新入社員の離職を防ぐために注目されている「メンター制度」。
約48%の企業が導入しているようです。
しかし担当者の中には
「メンター制度を導入したいが、どのような手順を踏めばいいのかわからない」
「メンター制度はあるがうまく機能せず、形骸化してしまった」
という方もいるかもしれません。
この記事では、
について解説しています。
メンター制度に課題を抱えている方はぜひ参考にしてください。
部署の異なる先輩社員と後輩社員をマッチングし、新入社員が仕事の悩みやキャリアを相談できる環境を作ります。
OJTでは同じ部署の先輩が業務上の指導をするのに対し、メンター制度においては基本的に新人と利害関係のない先輩社員がメンターにつくことが多いです。
メンター制度について詳しく説明する際に、この記事で頻出の用語を紹介します。
メンターとは、経験や知識が豊富な人が、より若いまたは経験の少ない人を指導・助言する役割を担う人のことを言います。
社内のメンター制度においては、先輩社員がメンターにあたるということです。
メンティーとは、メンターから指導を受ける人のことを指します。
メンターとメンティーの関係は、通常、1対1で行われ、メンターはメンティーのキャリア開発や個人的な成長を支援します。
社内のメンター制度においては、新入社員がメンティーにあたるということです。
メンタリングとは、メンターがメンティーに対して行う指導の総称です。
メンターは面談などを通じて、メンティーに気付きを与えたり、助言を行います。
メンティーがトラブルに陥った際も、メンターが一方的にアドバイスをするのではなく
「なぜトラブルが起きたのか」
「どうしたら解決できるのか」
を対話を通じて共に考えます。
メンター制度にはどのような目的があるのでしょうか?
1つ目の目的は新入社員の定着率の改善です。
メンター制度によって、新入社員の居場所や悩みのはけ口を作ることができます。
離職率軽減のためにメンター制度を導入している企業は少なくありません。
新卒社員に自社の文化や考え方を伝えることもメンター制度の目的です。
先輩社員がメンター制度を通じて後輩にカルチャーやパーパスを伝えることで社内の一体感を高められます。
女性のキャリア支援もメンター制度導入の目的です。
先輩女性社員が若手女性社員のメンターとして相談に乗ったり、自身の経験を伝えることで、若手女性社員のキャリアを支援することができます。
メンティー側も自身のロールモデルとなる存在と接することで、高いモチベーションで業務に当たるようになるかもしれません。
メンター制度と類似の制度も複数存在します。
参考までにご紹介していきますので、メンター制度との違いを把握しましょう。
エルダー制度とは、企業や団体において、経験豊富な社員が、新入社員や若手社員の実務上の指導と助言をする制度です。
メンター制度と併用する際は双方の役割を明確にする必要があります。
ブラザーシスター制度は、新入社員の仕事上の心構えなどを若手社員が始動する制度です・
メンター制度とは異なり、同じ部署の若手社員が担当します。
チューター制度は新入社員の業務の指導をする制度です。
指導役は経験の量を重視して選ばれます。
メンター制度のメリットを解説します。
先ほど述べた通り、メンター制度を導入することで新入社員の離職率を軽減できます。
これはメンターとのコミュニケーションを通じて、業務以外の悩みを解消したり、今後のキャリアについて向き合えるためです。
ただし、メンターとメンティーの相性によっては逆効果になる可能性もあるので慎重に運用をしましょう。
メンター制度は、基本的に他部署の先輩後輩同士がペアを作る方式で運用されます。
つまり、社内に「斜めのつながり」が複数できるということです。
これにより、部署を超えた連携を強められ、結果的に組織のつながりを強化できます。
メンティーへの指導を通してメンターも成長できます。
部下がいない若手社員にとってはメンター業務は重要なマネジメントの経験になります。
将来的にマネジメントを担ってほしい若手に経験を積んでもらえるという点も、メンター制度の大きなメリットです。
魅力的なメンター制度ですが、デメリットもあります。
メンターに任命された社員は通常業務に加えて新人のメンタリングをする必要があり、自然と業務量が増加してしまいます。
それを放置すると、メンターの疲弊につながり、最悪の場合メンティーが放置されてしまう状況に陥るかもしれません。
メンター制度を効果的に機能させるには、メンターの通常業務を調整する必要があります。
メンター制度で最も重要なのはメンターとメンティーの相性です。
双方の相性が悪いと、コミュニケーションにストレスが生じ、メンター制度が機能しなくなる可能性が生じます。
メンターとメンティーのマッチングは慎重に行いましょう。
マッチング方法についてはこの後解説します。
メンティーの成長は、メンターの経験や個人能力に左右されます。
メンターの質を一定以上にするために必ずメンター向けの研修を実施しましょう。
①メンター制度の目的設定
②運用ルールの策定
③メンターの選出
④マッチング
⑤メンターの事前研修
⑥メンターのフォローアップ
6つのステップに分けて解説します。
まずは自社にメンター制度を導入する目的を明確に定めましょう。
先ほど解説した通り、メンター制度の目的には
等があります。
しかし、具体的な課題やメンター制度導入に至る課題は企業によって様々です。
まずは自社の現状を分析し、適切な目的を定めましょう。
メンター制度運用時のトラブルを避けることが目的です。
以下にルールを設定しておくべき項目をまとめましたので参考にしてください。
守秘義務
メンタリングによって知りえた情報は一切口外しないこと
相談窓口
メンタリング中のトラブルの相談先
メンタリングの実施期間
メンターとメンティーの関係の継続期間を定める
メンター制度の運用方針が固まったらメンターになる社員を選出しましょう。
マッチングの手法は一般的に以下の2種類です。
アサインメント方式
人事がマッチングを実施する形式のことです。
メンターとメンティーの能力や年齢などの要素から判断し、ペアを作ります。
ドラフト方式
メンティーがメンターの候補から希望者を選択する方式のことです。
メンターとメンティーのミスマッチを回避するために以下の4点に留意しましょう。
メンター制度の運用準備が整ったら、実施に向けてメンターの研修を行います。
メンタリング実施期間はメンターの負担が大きくなります。
メンティーだけでなくメンターのフォローを必ず実施しましょう。
メンターからのヒアリングによって翌年以降の制度運用を改善できます。
メンター制度の導入時に厚生労働省の認可を受けたうえで一定の条件を満たすと、人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給対象になります。
離職率低下目標の基準を満たすと57万円を受け取ることが可能です。
メンター制度導入から1年経過するまでの期間の離職率を、実施前の1年間の離職率よりも、下表に掲げる目標値(※)以上に低下させること。
※低下させる離職率の目標値は対象事業所における雇用保険一般被保険者数に応じて変わります。
助成金を受け取るためには、自社のメンター制度が以下の条件を全て満たしている必要があります。
①通常の労働者に対するキャリア形成上の課題および職場における問題の解決を支援するためのメンタリングの措置であること。
②会社や配属部署における直属上司とは別に、指導・相談役となる先輩(メンター)が後輩(メンティ)をサポートする制度であること。
(メンターとしての要件を満たしていれば社外の人材でも差支えない)
③担当者にメンター講習を受講させること。
④2の講習を受講する際に発生する費用は全て事業主が負担すること
⑤メンター、メンティによる面談方式のメンタリングを実施すること
⑥ メンター、メンティに対し、メンター制度に関する事前説明を行うこと
⑦メンター制度の扱いを就業規則に明示すること
【出典】https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000617722.pdf
いかがだったでしょうか。
メンター制度を適切に運用することで自社の組織力の強化できる可能性があります・
なお、自社にマッチした人材を採用することで、離職率を改善する方法もあります。
離職率にお悩みの方はぜひ以下の資料をDLしてみてください。