近年、企業経営において重要視されている、ダイバーシティやインクルージョンに配慮した採用方法、ブラインド採用をご存じでしょうか?
ブラインド採用は、海外の企業で積極的に取り入れられている採用方法です。
今回の記事では、ブラインド採用とは具体的にどんな採用方法なのか、採用方法を導入するメリットは何かなど詳しく解説していきます!
ブラインド採用とは、選考過程で応募者の写真、名前、性別、年齢、学歴など個人情報は排除し、実績・能力や行動特性、適性で評価される採用方法です。
職務中心の採用を徹底し、求職者に公正な就業機会を与える狙いがあります。
転職活動では、広く使われている選考方法です。
ブラインド採用が注目されている背景には、主にダイバーシティの推進と少子高齢化があります。
人種や国籍、宗教など異なる人材の多様性を受け入れて活用する動きのことを指す、ダイバーシティが推進されている昨今、ブラインド採用はダイバーシティの実現に有効な手段です。
また、少子高齢化による労働人口の減少も原因の1つです。
今後、能力の高い人材を集めていかなければならない時に、ブラインド採用は有効です。
韓国では、常時30人を超える社印が勤務する企業はブラインド採用の適用が義務付けられました。
職務遂行とは関係ない個人情報を審査資料に記載するように要求したり、資料として収集たりした場合は、500万ウォン以下の罰金が科せられるなど、徹底しています。
【出典】NNA ASIA「ブラインド採用を義務化、容姿や学歴は問わず」
先進国を中心に、ブラインド採用を導入している企業が多い中、ブラインド採用を導入するメリットは何かについて、ご紹介します。
ブラインド採用を取り入れるメリットは、以下の4つです。
①能力のある人材の確保
②採用基準の統一
③ブランディングの効果
④新たなアイデアの創出
それでは、各メリットについて詳しく解説していきます!
ブラインド採用は能力や経験に注目した採用方法です。
採用担当者の主観などに判断されず能力に注目しているため、能力の高い人材を確保することができます。
採用担当者の主観という不明瞭な基準を排除することができるので、採用基準が統一されやすいです。
また、求職者にとっても会社が具体的にどんな人が求められるのかがわかりやすく、求めている基準の求職者から応募が来やすくなるでしょう。
ただ、各採用担当者で採用基準の認識にズレが発生しては、意味がありません。
採用基準を決めた時点で、各採用担当者で共通認識を持たせることが重要です。
ブラインド採用を導入することで、多様性や公平性を重視する企業であることを明示でき、企業ブランディングに貢献します。
企業の印象も良くなり、結果的に多様で優秀な人材も集まりやすくなるでしょう。
多様な人材が入社することで、社員の価値観やスキルの幅が広くなり、新たなアイデアの創出が期待できます。
これまでの採用手法だと、採用担当者による主観で、採否を決めてしまうことは少なくないため、採用される人材に偏りが発生することもあるでしょう。
ブラインド採用では、採用基準が統一され、能力や経験に注目した採用方法であるため多様な人材の確保が可能になります。
よって既存のメンバーでじゃ生まれなかった視点や解決策が生まれることに繋がるでしょう。
メリットについて紹介しましたが、ブラインド採用にはどのようなデメリットが考えられるのか、ご紹介します。
ブラインド採用のデメリットは主に以下の3つです。
①採用工数が増える
②社員同士の衝突
③年齢や性別のバランス
それでは、それぞれ詳しく解説していきます。
ブラインド採用は個人情報を隠さなければいけません。
集めた履歴書など書類から個人を特定できる情報を排除する必要があります。
つまり、既存の採用に対してスタッフを増やし個人情報の排除をするといった工数を追加しなければなりません。
実施する場合は、工数が増えることを見越した上で計画を立てるようにしましょう。
ブラインド採用で入社した社員と、従来の採用で入社した社員間で衝突する可能性があります。
ブラインド採用で入社した社員が、これまで継続してきた既存の文化や価値観に対して理解できない可能性が十分にあるためです。
また、従来の採用で入社した社員にとっても、これまでとは違うアイデアなどが理解できない可能性もあります。
社員同士の衝突を防ぐために、事前にブラインド採用を行う目的などについて、あらかじめ社内で共有しておくことが重要です。
ブラインド採用は能力や経験を重視するため、性別や年齢などのバランスが偏る可能性もあります。
例えば「ある能力重視でブラインド採用を行っていたら男性ばかり採用していた」などです。
ブラインド採用を行う場合には、性別などに偏りが出る可能性があることを見越しておきましょう。
ブラインド採用を実際に実施するとなった時、どのような順番で進めればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
これからブラインド採用の実施方法について紹介します。
STEP1:役割を決める
STEP2:ブラインド採用専用の書類を準備
STEP3:本人が特定できない面接の実施
それでは、詳しく説明していきます。
ブラインド採用は既存の採用方法とは異なり、工数が増えるため、役割担当を決めておくことが重要です。
例えば、面接の実施や採否を決める採用担当と、履歴書など書類から個人情報を排除する事務担当とに分けておくことで、工数の多いブラインド採用でも円滑に進めることができます。
ブラインド採用においての選考情報を知るために、履歴書など個人情報についての書類とは別に書類の準備をします。
例えば、経験や実績に基づく行動特性が知りたいのであれば、行動特性に関した設問が記載されている書類を準備するなどです。
また、能力を測る試験を準備するのも良いでしょう。
ブラインド採用では、性別や容姿を含む個人情報が選考要素い入っていてはいけません。
ただ、どうしても気づかないうちに話し方や見た目などで判断してしまう可能性があります。
そのため、本人が特定できない面接や選考内容を実施することで、ブラインド採用を有効的に実施することができるでしょう。
いかに本人が特定できない面接例をご紹介します。
ボイスチェンジャーやパーテーションを利用することで、選考基準を重視した面接が可能です。
ただ、準備に手間がかかったり、面接担当者が話しづらくなったりという問題点があります。
能力を見るために、実際に課題に取り組んでもらい、その評価で採否を決める方法です。
例えば、文章力を見たいという場合であれば、テストライティングを実施することで、時間内にどれだけの内容を書くことができたのかを知ることができます。
ブラインド採用を上手く導入するためのポイントについて解説していきます。
ブラインド採用を導入する主なポイントは以下の3つです。
①多様性を受け入れる社内環境の構築
②採用基準の明確化
③採用の効率化
それでは1つ1つ見ていきましょう。
ブラインド採用を実施することで、多様性を取り入れることができますが、既存の社員が多様性ある風土を受け入れないと実現することは難しいでしょう。
社内でのコミュニケーションの機会を増やすなどして、多様性を受け入れる環境を作っていくことが重要です。
多様性を重要視するといっても、ブラインド採用で入社した社員が社内に馴染めなければ実力を発揮できないどころか、早期離脱に繋がってしまいます。
能力や経験を重視しながらも、求職者にある程度の組織理解や会社との適性も確認しておかなければなりません。
明確な採用基準を設けることで、採用担当者が変わっても公平に採用活動ができ、必要な人材を確実に確保することができます。
デメリットにも挙げた通り、ブラインド採用は従来の採用よりも工数が多く、手間がかかります。
また、ブラインド採用のルールに慣れず、上手くいかない場合も想定できるでしょう。
効率よく行うために、他の選考方法に組み合わせてみることがおすすめです。
例えば、従来の選考方法の初めの方にブラインド採用を追加することで、効率よく取り入れることができます。
ブラインド採用を実際に導入している企業を紹介します。
厚生労働省は、公正な採用選考を確保する観点から、新たな履歴書の様式を発表しました。
従来の履歴書と異なる点は以下の2点です。
【出典】厚生労働省ホームページ
株式会社Discober Deep Japanはブラインド採用を導入することで、不確実性の高い社会において多様性や包摂性が組織や社会にもたらしうる価値を示し、社会変革を先導することを目指しています。
【出典】PRTimes「株式会社Discover Deep Japanがブラインド採用を導入し、多様性を促進する公平な組織作りを実践」
2020年度の採用活動より、ユニリーバ・ジャパンの全ての採用選考の過程で、顔写真の提出や応募者への性別に関する一切の項目を排除し、個人の適性や能力のみに焦点を当てた採用をはじめました。
この採用活動は、無意識に生じる性別への先入観について、社会に気づきを発信しながら、それを実際に取り除くアクションを起こしていく「LUX Social Damage Care Project」を始動し、その第一弾のプロジェクトとして導入されました。
いかがだったでしょうか?
ブラインド採用を導入することによって、多様な人材を確保することができ、新たなアイデアの創出が期待できます。
ただ、これまでとは異なる採用方法であるため、ブラインド採用を上手く行うのは難しいでしょう。
そのため、履歴書を変えるなど、できるところから少しずつ変えていくと良いです。
【参考】即実践可!通年採用の4つのつのメリットや導入方法を徹底解説します!