具体的には、企業の経営戦略と人事(人材)マネジメントを連動させることで、企業が競争優位を獲得することを目指します。
戦略人事は、アメリカの経済学者デイブ・ウルリッチが提唱した考え方で、日本でも注目されています。
従来の人事部門は、採用や給与・福利厚生などのオペレーション業務が中心でした。しかし、近年はビジネス環境の変化が激しく、企業が競争優位を獲得するためには、人材を戦略的に活用することが重要です。
戦略人事では、企業の経営戦略を実現するために、どのような人材が必要なのかを明確にし、その人材を獲得・育成・活用するための施策を策定・実行します。
例えば、企業がグローバル展開を志向する場合、語学力や異文化理解力のある人材を獲得・育成することが重要になります。また、イノベーションを創出するためには、創造性や問題解決力のある人材を育成する必要があるでしょう。
人事戦略と戦略人事の違いは、「企業のミッションや経営目標」にコミットしているか、否かという点です。
人事戦略は、人事全般の業務やオペレーションを改善し、組織の生産性を高めるための戦略です。
具体的には、採用や育成、配置などの人事業務の効率化や、社員のモチベーション向上などを図ります。
戦略人事は、企業のミッションや経営目標を達成するために、人的経営資源を適切にマネジメントする仕組みや考え方です。
人事戦略と比較して、より経営に近く、高度なビジネス理解が求められます。
人事戦略と戦略人事の違いを図解すると、以下のようになります。
HRBP(HRビジネスパートナー)とは、経営者の人事面でのパートナー機能を意味します。
戦略人事を機能させるには、経営トップの考え方を理解する必要があります。
経営陣から現場社員まで、社内のステークホルダーとコミュニケーションをとり、経営の戦略に人事の側面から携わる役割です。
CoE(センター・オブ・エクセレンス)とは、組織の横断的な取り組みを進めるために、優秀な人材やノウハウを1つの拠点に集約して組織化された集団です。
CoEは、以下の役割を果たします。
社内知識の収集・整理
社内の情報を部門や社員しか保有していない場合も多く、経営戦略の立案を図るには、情報を経営層に集約する必要があります。CoEは、社内の知識を収集・整理し、経営層に共有します。
企画立案
CoEは、企業の発展につながる企画を立案します。そのためには、社内の知識をベースに、経営戦略を踏まえた企画を策定する必要があります。
フィードバック
CoEは、各部門にフィードバックして業務改善やモチベーションアップを図ります。策定した企画を各部門が実行する際、CoEはフィードバックを行い、課題の解決や改善につなげます。
業務プロセスの構築
業務プロセスを分析・改善し、業務効率化や生産性向上を図る。
社内イノベーションの促進
CoEは、社内イノベーションの促進にも貢献します。そのためには、社内の知識や技術を共有し、部門や職種を超えた連携を促進する必要があります。
CoEは、全社的なプロジェクトの推進に貢献する機能であるため、経験のある社員を配置する必要があります。
組織開発と人材開発は、どちらも組織のパフォーマンス向上を目的とした取り組みです。
組織開発は、組織内の人と人の関係性や相互作用に働きかけ、組織を活性化させることを目的としており、具体的には以下のような施策を実施します。
人材開発は、社員一人ひとりの知識・スキル・経験や考え方を向上させることを目的とします。具体的には、以下のような取り組みがあります。
組織開発と人材開発は、どちらも組織のパフォーマンス向上に欠かせない取り組みです。
両者をうまく掛け合わせることで、組織をより効果的に活性化できます。
従来からの人事機能を円滑に維持することも戦略人事においては重要です。
具体的には以下のような機能があります。
戦略を効果的に実施するためには基礎的な業務を正確に実施し、現場からの信用を構築することが必要です。
まずは、自社の経営戦略を深く理解することが重要です。
自社の経営戦略を理解したうえで人事や採用戦略を立案する必要があるためです。
経営戦略に即した人材のビジョンを設定します。
自社が求める人材をソフト、ハードの両面で検討し、必要な人数も設定しましょう。
人材ビジョンの設定にお悩みの方は以下の記事も参考にして下さい。
人材ビジョンを設定したら、その人材をどのように採用し、育成していくのかの計画を立てます。
採用計画と育成計画を策定する際に検討すべき内容は以下の通りです。
採用計画
育成計画
自社の状況にあわせて可能な限り具体的な計画を立てることが重要です。
人事白書によると、約9割の企業が戦略人事の重要性を把握しています。
しかし、重要性を認識していながら、実際に戦略人事が機能していると考えている企業は全体の3割程度でした。
戦略人事の導入にはどのような壁があるのでしょうか。解説していきます。
戦略人事は経営戦略とのつながりが深いため、経営陣との連携が必要不可欠です。
そのため経営層の理解がなければ、戦略人事を機能させるのは難しくなります。
積極的に経営陣とコミュニケーションをとり、経営層の考え方と人事戦略を一致させる必要があるでしょう。
戦略人事は組織を大きく変革する取り組みであるため、勤務している現場社員にも大きな影響を与える可能性があります。
その変化を社員が否定的に捉えた場合、戦略人事が実行できなくなるかもしれません。
戦略人事を導入する場合は、必ず導入によるメリットや、変更点について共有しておくようにしましょう。
「戦略人事の有用性は理解しているが、日常の業務に追われて実行に移せない」という人事部の方もいるかもしれません。
人事部門は最低限の人員で業務を回していたり、総務と兼任している場合もあります。
そのため、戦略人事によって発生するタスクを消化できず、うまく戦略人事を機能させられないのです。
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の4つです。
詳しく解説します。
繰り返しになりますが、戦略人事は経営戦略とのつながりが強いです。
そのため、人事側が企業のことを理解していなければ施策もあいまいになってしまいます。
戦略人事では、経営目標と戦略を深く理解し、それにリンクした戦略を実施しましょう。
経営に関連した取り組みである以上、人事領域だけでなく、市場環境や顧客ニーズ等の外部環境を把握する必要があります。
それを踏まえて自社の展望を予測し、戦略を組み立てることが必要です。
戦略人事を実施する際、経営側の連携を重視し、現場がおろそかになりがちです。
しかし、戦略人事を実施した際に最も影響を受けるのは現場社員です。
そのため現場の信頼を得なければ施策の実行が難しくなります。
人事は経営と現場社員双方の声に耳を傾け、双方の橋渡しの役割を担うことが重要です。
ここまで読んでくださった方の中には「もっと戦略人事について勉強したい!」と考えている方もいるかもしれません。
そんな方におすすめな戦略人事を学べる本を3冊ご紹介します。
1冊目は「戦略人事のビジョン〜制度で縛るな、ストーリーを語れ〜 」です。
この本は人事の役割や、組織開発の方法論を経営の視点から解説しています。
戦略人事に必要な要素が網羅的に取り上げられているため、1冊で戦略人事を理解したいという方におすすめです。
【参考】戦略人事のビジョン 制度で縛るな、ストーリーを語れ (光文社新書) | 八木 洋介, 金井 壽宏 |本 | 通販 | Amazon
2冊目は「【入門】CHROの原理原則―人事は水を運ぶ」です。
戦略人事の中でもCHROの役割や原理についてコンパクトにまとめられています。
入門とタイトルに書いてある通り、基礎的な原理原則が解説しています。
初めて人事に配属されて、どのように業務を進めていけばよいかにお悩みの方におすすめの1冊です。
【参考】CHROの原理原則―人事は水を運ぶ― | 堀尾 司, 山崎 賢司 |本 | 通販 | Amazon
さいごに紹介するのは「【実務者向け】最強の戦略人事: 経営にとっての最高のCAO/HRBPになる」です。
アメリカの組織コンサルタントである著者が手がけており、組織設計のノウハウを集約した内容です。
やや難解な内容であるため、人事経験を積んだマネージャークラスの社員におすすめの1冊です。
【参考】Amazon.co.jp: 最強の戦略人事―経営にとっての最高のCAO/HRBPになる eBook : リード・デシュラー, クレイグ・スミス, アリソン・フォン・フェルト, 土井 哲: 本
①「戦略人事」とは企業の経営目標を達成するために、人材を戦略的に活用する考え方のこと
②戦略人事は経営陣のパートナーとしての役割を担う
③戦略の推進には自社の理解と、現場からの信頼が重要
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