「自社の採用要件に当てはまる学生がなかなか採用できない」
そんな悩みはございませんか?
大学訪問は、母集団形成に大いに役立ちます。
本記事では企業が大学を訪問する際のポイントから、メール、手土産などのマナーまでご紹介します。
採用戦略にお悩みの方は、以下の記事を参照ください。
【参考】「採用戦略の立て方」を4ステップで徹底解説!鍵はフレームワーク?
大学訪問とは、企業の担当者が大学に出向き、就職担当者へ求人情報やアピールポイントといった企業紹介を行うことを指します。
アポイント先はキャリアセンターの担当者の場合もあれば、担当教授の場合もあります。
①学生の母集団形成
②大学とのコネクションの形成
上記の2つが大学訪問の目的となります。
1つ目について、大学訪問では求める学生を絞り込んでアプローチすることができます。
採用要件に当てはまる学生に限って接触することで、質の高い母集団形成ができるでしょう。
2つ目について、大学と継続して信頼関係を構築できれば、安定して求める学生を採用することができます。
コネクションを利用して、学内の就活イベントに参加する機会を増やすことも大きな目的の一つです。
では、実際にどのように大学訪問を進めればいいのでしょうか。
ここでは大学訪問の流れについて、すぐに実践できる形でご紹介します。
まず、採用要件と合致するターゲットとなる大学を設定しましょう。
自社で活躍する社員の出身校を中心に内定者の大学名をリストアップし、そこから2、3校選定するのがおすすめです。
リストアップした全ての大学を訪問するには人件費などのコストが大きくなり、中途半端な関係性となる可能性が高くなります。
数よりも質を優先させることで、信頼関係の構築に注力できるようにしましょう。
一般的には10月からガイダンスが始まり、3月から学内の合同説明会が開かれるため、3月以降の訪問がおすすめです。
しかし、大学によって就職活動に関するスケジュールが異なるため、事前に予定を調査しておく必要があります。
大学ごとに柔軟にスケジュールを組み、求人票の提出締切日など目標を立てて、自社で管理するようにしましょう。
アポイントは大学の㏋に記載のある電話番号、または担当教授のFaceBook、Twitterから連絡しましょう。
電話の場合、事前に話す内容をメモしておくことで、情報をもれなくやり取りすることができるでしょう。
上記は必ず含めて、可能であれば大学の選定理由を添えると熱意が伝わりやすくなります。
「自社で活躍する社員〇〇名が貴学出身で、是非今年も採用したい」といったように、大学の選定時のデータを活用しましょう。
また、相手の多忙な時期や連絡の取りやすい時間帯を把握し、第一印象を損なわないようにアポイントを取りましょう。
限られた訪問時間の中で伝達事項を十分に伝えられるよう、アピールポイントや質問など事前に話す内容をまとめておきましょう。
可能であれば、事前に伝えられる情報はメールなどで共有しておくと良いでしょう。
上記のような自社のアピールができる資料を持参し、提示しながら説明すると相手が理解しやすくなります。
また、自社に所属する訪問校のOBOGを同席させることで、企業で活躍する人材の印象付けができます。
初回訪問は第一印象として大切な場であることを理解し、信頼関係を得られる工夫をするとよいでしょう。
訪問後は、お忙しい中ご協力いただいたことへの感謝を伝えましょう。
また、大学からのメールには可能な限り早く返信を行い、疑問点を解消するようにしましょう。
長期的に信頼関係を保つために、メールでのコミュニケーションも重要となります。
翌年の採用にもつなげられるよう、採用の有無に関わらず、採用活動を終えた際もお礼のメールを送るようにしましょう。
接触の機会を定期的に持つことで、企業理解や関係性構築が進みます。
企業側のニーズを満たすためだけの訪問という印象にならないよう、就職活動の現状について意見交換を行えるとよいでしょう。
初回訪問ではわからなかったスケジュールを把握することで、学内イベントに参加するチャンスが得られる可能性が高まります。
ここでは、事前準備や訪問時に意識するべき6つのポイントについてご紹介します。
基本的な流れについて理解した上でポイントを把握すれば、余裕を持って大学訪問を進めることができます。
限られた時間で確実に大学訪問を進めるためには、訪問する度にゴールを設定しておくことがおすすめです。
「担当者との~に関する情報交換を行う」
「前回の情報をもとに教授をご紹介いただく」
上記が主な例になります。
最終的なゴールに関しても同様です。
「自社の魅力を担当教授に伝え、良好な関係を築く」
「学内の企業説明会に呼ばれる」
上記のように、自社が抱える課題や採用の方向性によって、ゴールを設定しましょう。
自社の社員に入社理由をヒアリングしたり、大学側が知りたい情報をピックアップしたりすることで、自社のアピールポイントを整理しておきましょう。
アピールポイントの例としては、以下が挙げられます。
またアピールポイントに沿って、大学訪問に自社の社員を同行させることも効果的でしょう。
例えば、若手が裁量権を持って働ける環境ならば、若手社員に自社での経験を話してもらうことで、魅力が伝わりやすくなります。
スケジュールや窓口はもちろん、大学独自のキャリアナビといった、ターゲット大学の就職支援に関する状況を把握しておきましょう。
調べれば済む情報共有で、限られた時間を使い切ってしまうことを避けられます。
大学に関する情報を事前に知っていることで熱意が伝わり、信頼関係を築きやすくなることにも繋がるでしょう。
採用条件や待遇などを記載した求人票を作成しておくことが、大学訪問を受け付ける条件となっている場合があります。
学内の企業説明会でも必須となる可能性があるため、なるべく早い段階で作成しておきましょう。
求人票の記入密度や提出時期の早さから、採用活動や大学訪問への本気度を示すことができます。
見知った担当者とやりとりを重ねることで、大学側との信頼関係を築きやすくなります。
逆に、大学側から自社へ連絡する際に担当者が複数いると、情報共有に漏れが発生する可能性があります。
やりとりを重ねて踏み込んだ話ができるよう、訪問だけでなくメールでの連絡を含めて同一の担当者にするようにしましょう。
自社にマッチする人材の基準として、大学だけでなく求める人物像を設定しておくことがおすすめです。
例えば学部学科や文系理系はもちろん、専攻分野、その中でも得意な分野まで絞り込んでおくと、よりマッチ度の高い人材を採用しやすくなります。
アルバイト経験ならば、業種だけでなくバイトリーダーといった立場まで具体的に決めておくとよいでしょう。
性格に関しても、粘り強い性格の人材を候補とするならば、「目標を設定した上で達成のために計画を立てて行動した」というように極力具体性を持たせましょう。
求める人物像の決定方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
母集団形成の他にも、大学訪問には多くのメリットが存在します。
ここでは、大学訪問を行うメリットについて、詳しくご紹介します。
一度キャリアセンターや教授との関係性を築ければ、翌年も引き続き大学訪問で得た母集団を活用することができます。
更に、大学側から自社に合った学生を紹介してもらえる可能性も高まります。
採用市場の変化の影響を受けずに、有効な母集団形成を確保することが期待できるでしょう。
学内の就活イベントには、例年参加している企業や大学に認められた優良企業が優先的に参加することができます。
大学との関係を築くことで、大学での合同説明会や大学内インターンシップといった、学内の就活イベントに誘ってもらいやすくなります。
優良企業であることを適切にアピールできれば、新規の企業でもイベントに参加できるのです。
自社に大学のOB、OGがいる場合、大学経由で学生からアプローチがもらえる可能性があります。
OBやOG訪問をする際、大学側が持つリスト経由で申し込みを行う学生がいるため、自社にOB、OGが多くいる場合はその点をアピールしておくとよいでしょう。
また、大学訪問時に提出した求人票を見て、学生から自社を見つけてもらえるケースもあります。
大学訪問は、学生に直接認知してもらうきっかけにもなるのです。
仲介企業を挟まず大学へ直接アプローチできるため、採用の成功報酬や広報費を負担せず採用活動を行うことができます。
費用としては交通費や宿泊費が挙げられますが、訪問先の大学がオンラインでの大学訪問に対応している場合があります。
その際、採用担当者の人件費のみが経費となるため、低コストで始められる可能性が高いと言えるでしょう。
2021年卒以降の新卒採用で、企業の採用活動の解禁や内定の日付を統一するといった就活ルールを廃止することが、経団連の中西会長より発表されました。
それにより、就活ルールに合わせたスケジュールから、通年採用へ切り替える企業が増えてきています。
大学訪問で年度をまたいで信頼関係が構築できていれば、自社のスケジュールを早めて他社より早くアピールすることが可能となります。
大学で直接キャリアセンターや教授と話すことで、母集団形成だけでなく、学生の生の情報を得ることが可能となります。
就職活動をする学生がどのような点に悩み、どんな活動を行っているのかを把握することは、自社のアピールポイントを検討する上で重要です。
ターゲットとなる人材に絞って動向を知ることを目的とした訪問も、採用活動を行う上で効果的となるでしょう。
ここでは、大学訪問のデメリットについてご紹介します。
自社の採用方針や状況に合わせて、導入の検討材料としてご活用ください。
定期的な訪問や信頼関係を得るための情報収集、大学との連絡などにより、採用担当者の時間的負担が大きいことがデメリットとして挙げられます。
オンラインでの訪問が可能な大学でも、直接会って話すことが信頼関係に繋がりやすいため、地方大学への訪問は特に交通費もかかります。
1〜2年かけても大きな成果が得られるとは限らないため、長期的なコストの確保が必要です。
目的が情報収集や母集団形成であるため、必ず内定承諾に至る学生が確保できるとは言い切れません。
大学訪問のみで採用活動を行うのではなく、選考過程や内定者フォローにも戦略を設ける必要があります。
内定者フォローに関するノウハウについては、以下の記事をご参照ください。
【参考】【オンラインあり】内定者フォローの面白い企画事例からコツまで紹介
これまでご紹介した大学訪問のメリット、デメリットを踏まえ、大学訪問と相性が良い・悪い企業の特徴をまとめました。
長期的な接点を持つ必要のある大学訪問では、小さなことでも信頼関係を失ってしまうと採用活動に悪影響が及びます。
ここでは、信頼を失わないための3つの注意点をご紹介します。
自社の採用計画と同様に、大学側にも就職活動に関連したスケジュールの都合があります。
相手の都合を配慮し、急な対応を要求することは避けるようにしましょう。
また、質問への回答だけでなく日程調整などの先方からの連絡はこまめに対応し、訪問後の感謝のメールなど、丁寧にやりとりを行うようにしましょう。
実は、大学訪問は自社だけでなく大学側にとってもメリットとなる可能性があります。
例えば、大学訪問を通して内定者が増えれば、大学の内定実績や就職率のデータを元に進学先を決める学生の集客増加が見込めます。
自社の希望に合わせてもらうのではなく、双方にとってのメリットを踏まえた上で大学訪問を進めるようにしましょう。
手土産は高額であったり訪問する度に持参したりすると、かえって印象が悪くなる可能性があります。
特に国立大学では賄賂と認識され、受け取られない場合があります。
国立大学への訪問の際には求人票や企業のパンフレット、ノベルティに留めるようにしましょう。
その他私立大学などへの訪問時は、相手に遠慮させない数千円程度の手土産を選び、不自然でない頻度やタイミングを判断するようにしましょう。
コロナウイルスの関係で、大学訪問にオンラインを導入している場合があります。
オンライン訪問は手間が少なく効率的に実施できる一方、対面訪問に比べて信頼関係の構築が難しいデメリットもあります。
極力対面訪問を実施するよう心がけ、やむを得ない事情が無い限りは、先方からの指示で初めてオンライン訪問を実施するようにしましょう。
いかがでしたか。
大学訪問ではコストを抑えて安定した母集団形成が可能となり、学生の情報収集にも適しています。
自社の採用戦略や目的を踏まえ、大学訪問を計画的に取り入れていきましょう。