デザイン思考は、複雑な問題を、デザイナーがデザインを行う際の思考法を活用して解決し、革新的な製品やサービスを生み出すための強力な思考法で、ユーザーニーズに合った製品・サービスの開発やアイデアの創出に役立てられます。
また、デザイン思考は、現代のビジネスシーンで求められるイノベーションや組織力の強化に貢献することが期待されています。
人口減少や、グローバル化、脱炭素むけた意識の高まりなど、企業を取り巻く環境は常に変化し続けています。
これまでの知識・方法論では太刀打ちできないような不確実性の高い社会においても、企業は製品を開発し、新たな顧客を開拓して行かなければなりません。
そういった中で、デザイン思考は、市場や社会が複雑化し顧客ニーズが多様化した現代において、イノベーションを生み出すための有効な手法として注目されています。
デザイン思考に類似する概念として、アート思考というものがあります。
アート思考は、既成概念や固定観念を打破し、自分の思考や感情から新たな課題を見つけていく思考法です。
イノベーションの創造に役立つため、国内外の企業で創造力・発想力を高めるために取り入れられています。
デザイン思考とアート思考はどちらも、創造性と革新に焦点を当てた思考法です。
しかし、2つのアプローチにはいくつかの重要な違いが存在します。
デザイン思考とアート思考の違いは、何を起点に考えるかという点にあります。
デザイン思考はユーザーの課題やニーズを起点にして、解決策を探る思考法です。
一方、アート思考は自分の感性や価値観を起点にして、表現したいことを創造する思考法です。
デザイン思考は、ユーザー目線で問題に向き合い、多様な意見を取り入れてイノベーションを生み出すメリットがありますが、
などのデメリットも存在しています。
アート思考は、自分の中の思考と向き合うことで独創的なサービスや商品を生み出すメリットがありますが、
というデメリットもあります。
デザイン思考とアート思考はどちらも、創造性と革新に焦点を当てた強力なツールです。
しかし、両者はまったく異なる性質を持っているので、適切に切り替えられるように理解しておくことが重要です。
デザイン思考以外にも思考法は複数存在しています。
以下の画像では、その中でも代表的なものをいくつかピックアップし、比較しました。
デザイン思考には5つのステップが必要です。
ここからはデザイン思考を行う際の過程を説明していきます。
【参考】デザイン思考 | 学部概要 | 大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 - ロボット工学科 / システムデザイン工学科 / 空間デザイン学科
デザイン思考の最初のステップである共感では、ユーザー視点から問題を理解することに注力します。
共感は、ユーザーのニーズを満たすソリューションを作成するために必要不可欠です。
を通じて、顧客のニーズや感情を理解しましょう。
問題定義においては、共感フェーズで得た情報をもとに、本質的な顧客課題を定義します。
このフェーズでの目標は、真の問題を特定し、それが顧客の行動にどのような影響を与えるかを理解することです。
顧客の問題を明確に定義することで、ニーズを満たす打ち手を考案するのに役立ちます。
創造フェーズでは、共感と問題定義で得た情報をもとに、ユーザーのニーズを満たすアイデアを検討します。
このフェーズのポイントは、
の3つです。
自由で多様なアイデアを出すことで、ユーザーのニーズを満たす新しいアイデアを生み出すことができます。
プロトタイプフェーズでは、アイデアをプロトタイプに変換します。
プロトタイプは、アイデアをテストし、フィードバックを収集するために使用されます。
テストフェーズでは、プロトタイプをユーザーにテストして、ニーズを満たしているかどうかを確認します。
ユーザーテストは、プロトタイプを改善し、最終製品を作成するために使用されます。
テストとフィードバックに基づいたプロトタイプの改善を複数回行うことで、よりすぐれた施策を開発できます。
続いて、デザイン思考を活用するビジネス上のメリットを説明します。
デザイン思考を活用することで、ユーザー視点での課題を発見し、検証を繰り返しながら解決策を導き出すことができます。
これにより、顧客が本当に求めているものを提供できる可能性が高まるでしょう。
デザイン思考を実施するには、チームでコミュニケーションを取りながらアイデアを出し合うことが必要です。
これにより、多様な視点や意見を交換でき、アイデアの質や量の向上が可能になります。
デザイン思考では、役職や立場に関係なくメンバーが参加できます。
これにより、メンバー間の結束やチームワークが強化され、組織全体のパフォーマンスが向上することが期待できます。
デザイン思考では、固定観念にとらわれずに新しい発想や解決策を探求していくため、市場や顧客のニーズに応えるイノベーションを生み出すことができます。
デザイン思考を導入することで、より学生の視点に立った採用活動ができるようになります。
デザイン思考を採用活動に取り入れられる代表的な2つの場面を紹介します。
採用プロセスをユーザー(応募者)の視点に立って見直し、応募者のニーズや課題を把握し、改善していく方法です。
例えば、応募フォームの簡素化や面接のフィードバックの提供などが挙げられます。
採用ブランディングとは、企業の魅力や特徴を伝えるための活動です。
デザイン思考を活用すると、応募者のニーズに合わせたメッセージやコンテンツを作成できます。
例えば、応募者が知りたい情報や感じたい感情を分析し、それに沿った採用サイトやSNSなどを活用する方法があります。
採用ブランディングについて関心のある方は以下のページを参考にしてみてください。
【参考】【成功事例あり】採用ブランディングとは?方法・導入メリットを解説
ここまでデザイン思考のメリットについて解説してきました。
デザイン思考はビジネスの場で頼りがいのあるツールですが、デザイン思考が役に立たないタイミングもあります。
デザイン思考プロセスは、ユーザーの考えや、問題点を深く理解したうえで、アイデアをブレインストーミングしていきます。
そのため、ほかのアプローチに比べて長い時間を費やさなくてはなりません。
時間の制約がある場合や、より短期的な解決策を探している場合に、デザイン思考を効果的に活用できるとは言いにくいのです。
デザイン思考は、問題の複数の解決策をブレインストーミングすることを奨励しますが、正解が1つしかない場合、このプロセスは当然無意味です。
また、アイデアの個数を重視するため、根拠や、論理性が薄くなってしまうことも多々あります。
デザイン思考は、新しい打ち手の創出を促進しますが、既存の仕組みが十分に機能している場合は、新しいソリューションを開発する時間と労力を費やす必要はありません。
デザイン思考の効果を高めるためには以下の4点を意識するとよいでしょう。
①デザイン思考と他の思考法(例:戦略思考やロジカル思考)を組み合わせる
②ユーザーとのコミュニケーションやテストを継続的に行う
③チームメンバーの多様性や意見交換を重視する
④ユーザーの本質的なニーズや感情に着目する
デザイン思考は、顧客中心のアイデアの創造に有効な思考法ですが、欠点も無視できません。
デザイン思考だけに頼るのではなく、ほかの思考やフレームワークと組み合わせてアイデアを検討することが重要といえるでしょう。
採用担当をしている方の多くは、1度はデザイン思考テストというフレーズを耳にしたことがあるのではないでしょうか?
しかし「実際にその意味を説明できるかというと不安」という方も多いはず。
ここからは採用フローで活用できる、デザイン思考テストについて解説します。
デザイン思考テストとは、ビジネスの課題を解決する「創造的問題解決」の思考法である、デザイン思考力を計測するテストです。
テストは、「創造セッション」と「評価セッション」の2つのフェーズで構成されます。
これらのスコアの合計が「デザイン思考スコア」となり、このスコアは、デザイン思考力の高さを示す指標となります。
「創造セッション」では、与えられた選択肢から「誰が」「どこで」「どんな時」について選び、そのシチュエーションにおけるニーズとソリューションを考えます。
ソリューションには、提示される様々な技術やテクノロジーを活用します。
<例題>
Who(誰が):心配性な母親
Where(どこで):近所のショッピングモール When(どんな時):急いで買い物をしているとき
Why(叶えたい願望):後に予定が控えているため、買い物に使える時間が限られている。次の予定に間に合わないことは絶対に避けたいため、モール内で効率よく買い物をしたい。
What(解決するためのモノ):情報を集約する技術
How(願望を解決するアイデア):買い物したい店や商品を入力すれば、AIが過去のデータを解析し、それぞれの店についての商品探しやレジ待ちなどの所要時間を予測する。それに基づき、最適な買い物ルートを表示するようにする。
「評価セッション」では、他の受験者が「創造セッション」で提出したアイデアを共感・既実現性・新規性・実現可能性の4項目を4段階で評価し、その評価の精度がスコアに反映されます。
ボストン・コンサルティング グループや住友商事、三菱地所など300社以上の企業が、デザイン思考テストを導入しています。
「イノベーション人材を採用できた」「今まで採用したことないタイプの学生に出会えた」といった意見があるようです。
【出典】デザイン思考テスト
【参考】デザイン思考テストとは 【参考】ページ 1 - 事例紹介 - デザイン思考テスト
「通常の選考で見落としてきた優秀な人材を採用したい」という方にはMatcher Scoutがおすすめです。
Matcher Scoutは、新卒採用に特化したダイレクトリクルーティングサービスです。
学生からの応募を待つナビ媒体とは異なり、ダイレクトリクルーティングは、学生に対し企業側からアプローチをかけます。
自社の採用要件にマッチした学生に効果的にアプローチするのがダイレクトリクルーティングの特徴で、離職の大きな要因である「企業と学生のミスマッチ」を減らすことができます。
数あるダイレクトリクルーティングサービスの中でも、Matcher Scoutは
といった特徴があります。
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といった方には、弊社のMatcher Scoutがおすすめです。
実は、デザイン思考力は練習を通じて鍛えることが可能です。
ここからはその方法について説明していきます。
デザイン思考は多くのビジネスマンに求められる能力のため、複数の企業が講座を開講しています。
具体的には、
などがあります。
ご自身の属性・ニーズに合わせて活用してみて下さい。
【参考】コース詳細 | i-Learning | デザイン思考入門
【参考】DX時代のデザイン思考入門 DXシリーズ【1】(eラーニング) | NECマネジメントパートナー 研修サービス
【参考】DXビジネスのためのデザイン思考入門 グループワーク付き
デザイン思考の理論や手法、事例などを詳しく紹介している書籍が多数あります。
書籍を通じて、デザイン思考の原則や、他の企業がどのようにデザイン思考を使用して問題を解決しているかを知ることができるでしょう。
この後おすすめの書籍を3冊紹介していますので、是非最後までお読みください。
デザイン思考のプロセスを体験できるワークショップが多数開催されています。
デザイン思考は、実際にやってみることが大切です。
知識だけでなく、実践的な学習方法も取り入れてみてください。
また、実際にデザイン思考のワークショップを企画する際のガイドラインを以下リンクからダウンロードできます。
ぜひ活用してみてください。
【参考】ファシリテーションガイド
ここまで読んで「もっとデザイン思考について知りたい!」と感じた方もいるかもしれません。
そんな方におすすめしたい書籍を3冊紹介します。
本書では、国内外の先進事例を紹介しながら、デザイン思考を経営に取り入れるための手法を総合的に解説しています。
デザイン思考を採用活動に取り入れたいと考えている採用担当者の方におすすめです。
スタンフォード大学のd.schoolでデザイン思考を学び、楽天やメルカリなどでデザイン思考を実践してきたジャスパー・ウさんが著した本です。
本書では、d.schoolの授業やワークショップをベースに、デザイン思考のマインドセットやスキルを身に付けるための具体的なノウハウやツールキットを紹介しています。
著者曰く
におすすめとのことなので、是非当てはまる方は読んでみてください。
【参考】実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決 (できるビジネス) | ジャスパー・ウ, 見崎大悟 |本 | 通販 | Amazon
まんがでわかるデザイン思考とは、デザイン思考の基本的なプロセスやノウハウを、漫画でわかりやすく紹介した本です。
本のあらすじは、カフェチェーンの赤字店の店長になった三島雄介が、デザイン思考に精通する大西会長の指導を受けながら、店の改善に挑戦するというものです。
このストーリーを追いながらデザイン思考について学ぶことができます。
本書は、デザイン思考の概念はわかったけれど、実践するにはどうすればいいかわからないという方におすすめです。
【参考】 まんがでわかるデザイン思考 Kindle版 - 坂元 勲
デザイン思考は採用にも活用することができます。
ぜひ、自社の採用にもデザイン思考を導入し、効果的な採用活動を行ってみてください