「親が反対している」という理由で学生の内定辞退するケースが多く見られるようになったことから、『オヤカク』対策を行っている企業が増えています。
本記事では、オヤカクの実施状況や、親関連での内定辞退やトラブルを防ぐためにできることなどをご紹介しています。
オヤカクとは、「親への確認」の略で、企業が新卒採用活動において、内定を出した学生の親に対して、自社のことを紹介したり、内定承諾の確認を取ったりする行為を指します。
こうした状況を受け、企業は内定辞退率を減らすために、オヤカク対策に力を入れているのです。
【参考】アベプラ『【オヤカク】子どもの就活に親が介入?企業からの連絡も?仕事選びは誰のため?親に振り回された学生&EXITと考える』
オヤカクの主な目的は以下の2つです。
企業は、自社の事業内容や社風、仕事内容などを親に説明することで、学生の入社に対する不安や疑問を解消し、理解を得ることを目的としています。
学生本人が入社を希望していても、親が反対している場合は、内定辞退に繋がる可能性があります。
こちらはマイナビが2024年卒の学生を対象にした調査結果です。
この調査によれば、意思決定の際に助言や意見を聞いた相手として最も多かったのは「父親・母親」(61.9%)であり、学生の意思決定への保護者の影響は大きいと言えます。
ご覧の通り、2位の「友人」(23.9%)に大差をつけて圧倒的に多いことが分かります。
そのため、内定辞退リスクを減らすためにも、企業は親に直接内定承諾の確認を取ることが大切です。
オヤカクが注目されている背景として以下の3点が考えられます。
少子高齢化の影響により、近年は学生の数が減少し、企業にとっては人材確保が難化しています。
こうした状況下では、内定辞退率を少しでも減らすことが重要になります。
オヤカクは、親の理解を得ることで、内定辞退を防ぐ効果があります。
昔は、子供が就職する企業に対して、親はあまり口出しをしませんでした。
しかし、近年は、親が子供の就職活動に積極的に関わるようになっています。
株式会社ネオキャリアが行った調査によると、「新卒生の親の関与が高まっている」と答えた企業は全体の半数以上の58.3%にも上ります。
また、内定者が「親の意向により内定辞退を申し出てきたことがあるか」ついても約半数の47.9%の企業が「ある」と回答しました。
これは親が子供の将来を心配する気持ちが高まっているためと考えられます。
そこでオヤカクをすることで、親の不安や疑問を解消し、子供の就職活動をサポートする効果があるのです。
【参考】株式会社ネオキャリア「就職活動における「企業」と「親」に関する調査」
近年、ブラック企業問題が社会的に注目されています。
親は、子供がブラック企業に就職して苦労することを望まないため、企業の情報をしっかりと調べてから、子供に就職を許すかどうか判断するようになっているようです。
そのため、企業が自社の情報を積極的に発信することで、親の信頼を得る効果があります。
マイナビが就活生の保護者を対象に行った調査によると、子供の内定企業から連絡(オヤカク)を受けたという回答は52.4%と半数以上に上ります。
6年前の調査の17.7%に比べると、大幅な増加ですね。
【参考】マイナビ「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」
では、企業はどのような対策をしているのでしょうか?
企業がオヤカク対策として行っているユニークな取り組みを4つご紹介します。
▼オヤカクを行う企業実例
サッポロビールや広島のお多福ソース、王将フードサービスなどでは、保護者を入社式に招待しています。
式典後は会社見学や自社商品を振る舞う懇親会を用意する企業もあり、家族で会社の雰囲気を体感することができます。
近年では、静岡銀行のような金融機関でもこの取り組みが広がっているようです。
マイナビが保護者対象に行った調査によれば、親への連絡(オヤカク)として、実に2割近くの親が「内定式・入社式への招待」を受けていたようです。
【参考】マイナビ「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」
東証一部上場企業の船井総合研究所は、7年前から保護者向けの説明会を開催しています。
具体的には、内定者の保護者向けに会社説明やオフィス見学、役員との交流の場を設け、企業の理念やビジョン、福利厚生などを紹介しています。
さらに、ユニークなプログラムとして、内定者が保護者へ感謝の手紙を読み上げる「他己紹介」が行われているようです。
このような取り組みにより、企業は内定者と保護者との関係構築をより強化できるということです。
家具販売のニトリホールディングスは、2019年から内定者だけでなく保護者にも福利厚生資料を送付しています。
資料には、社員の手当金制度や女性社員の働き方などが詳しく紹介されており、待遇面への不安を解消する効果が期待されています。
人気企業でありながらも、このようにオヤカク対策に力を入れて社員の待遇を伝えることで、入社の後押しを促進させようという狙いです。
東京のとあるベンチャーIT企業では、社長自ら内定者の実家を訪問しています。
きっかけは地方出身の内定者の両親からの問い合わせでしたが、この訪問を通して社長は会社の安定性や将来性を保証できないものの、会社を成長させる決意を新たにしたそうです。現在も継続されているこの取り組みでは、保護者との懇談を通して信頼関係を築いています。
これらのユニークな取り組みは、単にオヤカク対策としてだけでなく、企業の魅力を広く伝える広報活動としても効果的です。
今後は、さらに多くの企業でオヤカク対策が積極的に行われていくことが予想されるでしょう。
企業から保護者へアプローチする方法は「オヤカク」だけではありません。
「オヤオリ」とは、「親向けオリエンテーション」の略で、企業が内定者とその親を対象に開催する説明会です。
オヤカクの一環として行われることが多く、企業はオヤオリを通じて、親に自社の事業内容や社風、仕事内容などを説明し、理解を得ることを目的としています。
オヤオリの主な内容は以下の通りです。
オヤオリは、親が企業について理解を深めるだけでなく、学生と親が一緒に将来について考える場としても有効です。
近年、オヤオリはますます重要性が高まっており、多くの企業が積極的に実施しています。
実際に内定者の両親に対してオリエンテーションをした事例をご紹介します。
大阪府内のIT企業である株式会社アシストは、内定者とその家族を招いた「オヤオリ」を開催しました。
このイベントは、内定者が新たな職場環境に慣れ、家族が会社の雰囲気を知ることを目的としています。
当日は、5人の内定者と8人の保護者が参加。
会社の担当者は、業務内容や安定した業績などを説明し、保護者からの不安を解消しました。
また、オフィスツアーや先輩社員との懇親会も開催され、実際に働いている社員の様子を見学したり、交流を深めたりする貴重な機会となりました。
内定者の母親は、「息子の働く場所が気になり参加しました。実際に会社の人と話す様子を見て、もうすっかり馴染んでいるんだなと安心できました。仕事で悩むことはあっても、人間関係で悩まず、生き生きと働いてほしいです。」とコメント。
内定者本人も、「母が会社の人と何を話すのか、恥ずかしさもありましたが、どんな会社か知ってもらえたし、他の内定者の家族とも仲良くなれたのでよかったです。」と、オヤオリを通して得られた経験を喜んでいます。
【参考】NHK NEWS WEB『保護者が就活に!?広がる「オヤカク」』
親ブロックとは、学生の親が、子供がその企業に就職することに反対することです。
近年、親ブロックは増加傾向にあり、企業にとって大きな課題となっています。
親ブロックを受けやすい企業がオヤカク・オヤオリを実施することで内定辞退を減らせる可能性があります。
▼親ブロックを受けやすい企業の特徴
詳しく見ていきましょう。
過労やパワハラ、長時間労働など、ブラック企業のイメージがある企業は、親から反対されやすいです。
近年、ブラック企業問題が社会的に注目されているため、親は子供をそのような企業に入社させたくないという気持ちになるためです。
親の反対による辞退が多い企業の方は、今一度労働時間や福利厚生等を確認してみましょう。
TOBの企業など、一般的に知名度が低かったり、業務内容がイメージしにくい業界の企業は両親の反対にあいやすい傾向があります。
広告宣伝や広報活動を積極的に行うことで知名度を上げましょう。
広報活動を行っても、知名度が低い企業は埋もれてしまう可能性があります。
このような「学生からの応募数に悩んでいる」「母集団形成がうまくいかない」といったお悩みを抱えている新卒採用担当の方には、企業側から優秀な学生に直接アプローチできるMatcher Scoutがオススメです。
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業績が悪かったり、事業内容が不安定だったりする企業は、将来性が見えないと判断され、親から反対されやすいです。
事業戦略やビジョンなどを明確に伝えることで、将来性ある企業だということをアピールしましょう。
現在就職活動をしている学生の親世代は、ちょうど就活氷河期に就活を経験しました。
そのため、他の世代よりも「できるだけ安定した企業に勤めてほしい」「ネームバリューのある企業に就職してほしい」という気持ちが強い傾向にあります。
リスクモンスター株式会社の調査によると、子・孫に勤めてほしい企業で重視するポイント1位は「経営が安定している」(56.1%)という回答でした。
さらにマイナビの調査でも、保護者が子供の就職先に求めるポイントとして一番多いのは『経営が安定していること』(48.6%)でした。
子供の就職先に安定性を求めたいという保護者の傾向は今後も続くと考えられるでしょう。
【参考】マイナビ「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」
子供が就職する企業がベンチャー/スタートアップであると親世代の価値観とずれる場合が多く、親ブロックのリスクが高まる場合が多いようです。
オヤカク・オヤオリを通じて、企業の理念や社風などを親に丁寧に説明することで、親の理解を得ましょう。
内定辞退者の「両親に反対されたため辞退します」を真に受けるのは危険かもしれません。
内定辞退者の中には「他に理由があるけど、本当の理由は言いにくい」と考え、辞退の理由を両親の反対や、家庭の事情とする人もいるからです。
オヤカクなどを通じて企業が両親の理解を得るのはもちろん大切です。しかし、本質的に内定辞退を防ぐためには相性や相互理解が必須です。
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いかがでしたか?
オヤカクは、単に内定辞退率を減らすための手段としてだけでなく、企業と学生、そして親との信頼関係を築くための有効な手段としても活用できます。
今後、より良い人材を獲得するためには、学生だけでなく保護者へのアプローチも重要になっていくでしょう。
今回ご紹介した企業事例を参考に、ぜひオヤカク・オヤオリを実施してみてください。