稟議書とは、個人の権限では決定できない事案について、上司や役員から承認を得るために用いられる書類のことです。企業の採用活動においては、主に募集開始時と入社決定時に稟議書を作成します。
本記事では、採用稟議書の書き方や、決裁が承認されるためのポイントや注意点などをご紹介します。
弊社で作成しました採用稟議書のテンプレート(Word形式)はこちらから無料でダウンロードいただけます。ぜひ併せてご活用ください。
採用稟議書とは、企業の採用活動の中で担当者の権限だけでは決定できない項目について、上長や関係部署の承認を得るために作成する書類のことです。
企業が新たな人材の採用活動をする中で、企業の人事担当者は求人広告などのサービスを導入したり、面接や説明会への出席を他部署の社員に依頼することがあると思います。このような業務を円滑に進めるためには、事前に社内関係者へ稟議が必要となるでしょう。
稟議の流れのなかには「稟議」「決裁」「起案」という言葉が使われます。以下で再度それぞれの意味を確認しておきましょう。
▼稟議・決裁・起案の違い
採用稟議書の提出〜承認までの期間の目安は、数日〜2週間程度です。企業規模や承認者の数などによって所要日数は異なるため、余裕をもって提出を行いましょう。
採用稟議書を提出する際は、以下の流れで進めていきます。
▼採用稟議書が決裁されるまでの流れ
稟議に出すことが決まったら、提案内容や予算などを記載した稟議書を作成します。インターネット上で公開されている採用稟議書のテンプレートを使うと便利です。
稟議書が作成できたら、あらかじめ関係者の了承を得るための根回しを行いましょう。事前に承認者に確認を取っておくことで、決裁までの流れがスムーズになります。根回しを終えたら、まずは直属の上司から稟議書を提出しましょう。
提出した稟議書は、社内規定によって定められた経路に沿って承認されていきます。途中で稟議書の内容に修正点があると、提出者に差し戻されます。 もし差し戻しになった場合すぐに修正し、再度提出しましょう。
そして最後に、決裁権限のある社員によって決裁されます。ここで最終的に承認された稟議書は実際に実行することができます。
社内で採用稟議書が必要になるタイミングは、主に「採用活動開始時」と「採用決定時」の2回です。それぞれについてみていきましょう。
新たに採用活動を開始する際、採用の人事担当者はまずそもそも社内に新たな人材が必要なのか承認を得る必要があります。加えて、ナビ媒体や人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど、コストのかかる採用サービスを活用する企業も多いでしょう。
そういったサービスを利用する前に、社内の関係者や上長に利用する旨を共有しておく必要があります。人事担当者は採用活動開始時に採用稟議書を作成することで、人材採用の必要性や妥当性を検討し決裁することで、採用に関して共通認識を持たせることができます。
採用は人事部が担当することが多く、他部署では中身がどうなっているか把握しづらいでしょう。
人材採用決定時に保有資格や採用に至った理由を記載した採用稟議書を作成することで、採用開始時の採用稟議書との整合性を確認できるだけでなく、採用した人材の適性を共有してその後のフォロー体制を整備する上でも重要な役割があります。
そのまま使えるWord形式の採用稟議書テンプレートを無料で配布しております。
採用活動開始時・入社決定時の2パターンをご用意しているため、タイミングに合わせてお使いいただけます。
ぜひ以下よりダウンロードしてご活用ください。
ここでは採用開始時の稟議書について、必須項目と書き方をご紹介していきます。
▼【例】採用活動開始時の稟議書
| 件名 | 2028年卒の新卒採用について |
| 概略 | 2028年卒の新卒採用募集について、ご承認をお願い申し上げます。 |
| 採用目標 | 採用予定人数:5名 雇用形態:正社員 募集職種:営業職 募集期間:2027年3月1日〜2027年9月30日 入社予定日:2028年4月1日 |
| 採用目的 | 現在、新卒採用による人材の数が中途採用を下回り、今後自社独自の文化を受け継いだ人材減少に懸念が生じております。採用・育成に時間とコストがかかるが、今後将来企業が成長していくためには自社の文化を一から引き継いだ幹部候補となる優れた人材を確保する必要があると考えています。 |
| 募集要項 | 対象:2027年3月卒業予定の大学生・大学院生 求める能力・経験:主体性や課題解決力があり、継続的に物事に取り組んで成果を上げた経験のある人 |
| 選考方法 | 書類選考:エントリーシート提出 適性検査:SPI受検 一次面接:人事部担当 二次面接:営業部担当 最終面接:社長、人事部長、営業部長 |
| 採用予算 | 500万円(採用媒体利用費、求人広告費等) |
| 給与形態 | 初任給:30万円/月 賞与:年2回(6月、12月) 各種手当 |
採用活動開始時の採用稟議書に記入が必要な各項目の記載内容と例文を見ていきましょう。
どのような稟議書なのか、要件を簡潔に示しましょう。
記入例:
承認者に向けて、稟議書の内容を提示します。
記入例:
採用の目標について、項目ごとに記載します。
記入例:
なぜ採用活動を行う必要があるのか、その目的について説明します。
記入例:
どのような人材を募集するのか、各項目ごとに記載します。
記入例:
選考プロセスについて段階ごとに記載します。
記入例:
採用にかかる予算合計を記載します。
記入例:
入社後の給与形態について記載します。
記入例:
ここでは入社決定時の稟議書について、必須項目と書き方をご紹介していきます。
▼【例】入社決定時の稟議書
| 件名 | 2028年度新卒採用者の決定について |
| 概略 | 2028年度の新卒採用者が決定しましたので、報告いたします。 |
| 採用者情報 | 氏名:田中太郎 経歴:〇〇大学〇〇学部。体育会バスケットボール部所属。〇〇株式会社営業部門にて2年間の長期インターンシップ経験あり。 |
| 採用理由 | 在学中に自社と同業界の長期インターンシップに参加し、実務に近い環境で継続的に業務に取り組んできた経験があること、自身で課題を整理して周囲と連携しながら業務改善を行っていたことを評価しました。 加えて、長期間にわたる勤務経験があることから継続性を有しており、業務理解のスピードも早いため入社後も早期の段階で即戦力になると感じています。 以上の点から、自社業界・業務との親和性が高く、長期的な活躍が期待できる人材であると判断しました。 |
| 採用条件 | 雇用形態:正社員 勤務時間:10:00〜19:00(休憩1時間) 休日:年間140日 初任給:30万円/月 賞与:年2回(6月、12月) 各種手当 試用期間:3ヶ月 |
| 入社日 | 2027年4月1日 |
入社決定時の採用稟議書に記入が必要な各項目の記載内容と例文を見ていきましょう。
どのような稟議書なのか、要件を簡潔に示しましょう。
記入例:
承認者に向けて、稟議書の内容を提示します。
記入例:
採用する者の情報について、氏名と経歴を簡潔に記載します。
記入例:
選考を通じて評価したポイントを具体的に記載しましょう。評価理由として書くべき内容は以下があげられます。
▼評価理由として書くべき内容
記入例:
この項目では、雇用にあたって労働条件を記載します。労働条件の項目で記載するべきことは以下があげられます。
▼労働条件で記載するべき内容
この労働条件の項目で、従業員に対して交付する労働条件通知書の項目を記載することで、同時に承認を得ることができます。自社が記載している就業規則や労働条件通知書の書き方を参考にして記載しましょう。
記入例:
この項目では、入社予定日を記載します。
記入例:
採用稟議書の承認を得るために何度も作成せずに、一度で済ませたいと思う方も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは採用稟議書を作成し、承認を得るために特に重要なポイントを解説します。
▼承認される採用稟議書を作成するポイント
何について書いてあるのか、わかりづらい稟議書は承認まで時間がかかる可能性が高いです。採用稟議書を記入する際には、承認者の視点で採用の理由をわかりやすく説明することが大切です。
具体的には、以下の内容を提示しましょう。
▼分かりやすい稟議書にするために書くべき内容
これらをわかりやすく提示することで、承認者が採用の必要性を理解しやすくなり、承認を得やすくなるでしょう。
採用稟議書にはメリットだけでなく、デメリットも記載しましょう。
特に予算については、決裁担当者も注視しています。なぜそのような金額になったのか、具体的な根拠を含めた金額を記載すると良いでしょう。さらに、注釈として「総額を超える場合には、改めて採用稟議書の承認を得る」などと対処法を記載しておきましょう。
このように、根拠や対策法が明確な稟議書は承認を得やすく作り直しを避けることができます。
具体的なデータが記載されている資料や見積書を添付しておくことで、確認する側も判断しやすくなります。
特に採用活動の場合、過去のデータを添付することで比較することが可能です。根拠のある数字を用意することで、稟議書の説得力が増します。
採用稟議書では、その人材を採用したことによるメリットとデメリットを比較した上でメリットが大きいことを伝えましょう。このようにすることで、採用稟議書の決裁者も納得しやすくなります。
例えば、「人材採用を行うことで業務時間の改善を測ることができる」とメリットだけを書き記すのではなく、次のように記載すると良いでしょう。
▼導入時のメリット・デメリットを提示する際の例文
「新しい人材を採用する際、業務研修を行う必要があるため、一時的に業務が滞る可能性が考えられる(デメリット)。しかし、新たな人材を採用することで一週間あたり8時間の業務削減することができる(メリット)。」
なお、後に伝えられた情報の印象が強く残る親近効果により、デメリット→メリットの順番で文章を組み立てるとメリットを強く訴求できます。
作成した採用稟議書の承認がなかなか得られない3点には気を付けましょう。
▼採用稟議書を作成する際の注意点
採用稟議書に修正指示が出た場合は、情報が不足しているケースが多いです。また、同じ内容が重複して書かれていると読みづらさを与える可能性があります。
必要な情報が漏れていないか、内容が重複していないかを所属部署に加えて他部署の人にも確認してもらいましょう。記入漏れや内容の重複による採用稟議書の書き直しはよくあることなので注意してください。
採用稟議書は多くの決裁担当者が回覧しますが、その中には時間がなく、採用稟議書の中身を精読できない人もいるでしょう。長い文章で書かれていると、読むのを後回しにしてしまい、承認が遅れる可能性があります。
「箇条書きを利用する」「専門用語は利用しない」など、簡潔で伝わりやすい文書を意識しましょう。
採用稟議書を提出する際には、余裕を持って提出するようにしましょう。
採用稟議書は例えテンプレ通りに正しく書いたとしても、必ず承認されるという訳ではありません。また、繁忙期などは通常以上に時間がかかることもあります。決裁や修正に時間がかかることを想定し、余裕を持って提出するようにしましょう。
特に採用稟議書に関しては、結果を待っている人もいる応募者もいるので、なるべく早いうちに、承認を得ることを意識してください。なお、企業規模にもよりますが稟議が承認されるまでの日数は、一般的に数日から10日程度です。
企業規模や社内状況にもよりますが、採用稟議書の決裁から承認までには通常、数日〜10日程度かかります。従来の紙ベースの採用稟議書を使う場合、承認を得るために根回しを行ったり、進捗状況を視覚的に理解しづらいといった問題があるでしょう。
加えて、採用稟議書を作成した採用人事担当者が承認が否決された決裁から承認までには様々なムダが存在します。
このような、採用稟議書の決裁から承認までのムダな時間を削減できるのが「ワークフローシステム」です。ワークフローシステムでは、従来の紙ベースの採用稟議書を電子化して、管理・保管を容易にするだけでなく、承認までのフローを視覚的に確認できたり、テレワークでも決裁を行うことができます。
以下におすすめのサービスを紹介するのでぜひ参考にしてください。
▼決済フローが複雑になったときに利用できるサービス
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【参考】住友電工情報システム株式会社「楽々WorkflowII」
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採用稟議書の承認を得るためのポイントと例文について解説しましたがいかがでしたか?
スムーズに採用活動を行いたい人事担当者にとって、採用稟議書を1から作成し、社内関係者から決裁を得るという行為は時間がかかり、できるだけ避けたいでしょう。
そんな方にとって本記事のテンプレートや書き方が参考になっていれば幸いです。