会議を行わずに社内で意思決定を行う際に作成する稟議書。
採用活動においては、採用開始時と入社決定時において活用することがあります。
本記事では、稟議書のメリット・デメリットや書き方を解説していきます。
そもそも稟議書ってなに?
まず「稟議」とは、担当者(起案者)の権限だけでは決定ができない事柄に対して、決裁権を持つ上長や関係部門の承認を得ることです。
稟議書(りんぎしょ)とは、担当者の権限だけでは決定ができない事項について、会議なしに上長や関係部署の同意を得るために使う書面のことを意味します。
企業によって起案書、提案書と呼ばれることもありますが機能は稟議書と同様です。
採用稟議書の役割も、本質的には稟議書と同様です。
採用に関する決裁事項について関係者から同意を得るために、採用稟議書を使います。
採用稟議書とは
採用稟議書とは、採用活動の中で必要になる社内決裁をするための書類のことです。
新たに人材を採用するためには、求人広告などコストのかかるサービスを導入したり、面接や説明会の出席を他部署の社員に依頼する必要がありますよね。
そのような業務を円滑に進めるためには、事前に社内の関係者の同意を得ておく必要があります。
採用業務は関係者が多いため、一般的な稟議書の感覚で提出してしまうと決裁が下りない可能性があります。
採用稟議書が通らないことは、新人の採用担当者にとってよくあるトラブルだそうです。
この後採用稟議書の書き方を解説していますので、参考にしながら通りやすい稟議書を作成していきましょう
採用稟議書を利用するタイミング
採用活動において稟議書を利用するのは主に「採用活動開始時」と「入社決定時」の2つの場合です。
採用活動開始時
新たに採用活動を開始する際、ナビ媒体や人材紹介、ダイレクトリクルーティングなどの採用サービスを活用する企業も多いのではないでしょうか。
そういったサービスを利用する前に、関係者や上長に利用する旨を共有しておく必要があります。
稟議書を事前に回しておくことによって、採用状況の把握ができ、採用に関する協力を得られやすくなります。
入社決定時
採用は人事部が担当することが多く、他部署では中身がどうなっているか把握できません。
企業の発展、業績や社風などに影響を与える人材がどのような人物なのかを関係部署に共有しておくことが大切です。
そのため、入社人数や配属先、入社予定者の基本情報などを事前に共有するために稟議書を使用します。
また、採用活動での指針と経営方針にズレがないかなどの最終確認にもなります。
アルバイト採用時でも
データ入力などアルバイトとして働いている人が社内にいることや、どんな業務を行っているかを共有する必要があることはご存じですか。
アルバイトは、正社員とは異なり任される業務内容の幅は狭く、出社する日数や時間も少ないため、誰がアルバイトなのかを社内の人間が知らないと、仕事の割り振りや業務遂行する中で混乱する可能性があります。
アルバイトも新しく人材を受け入れるという意味では、通常の社員採用とは変わらないので、稟議書を事前に回しておくことは大切です。
採用稟議書の書き方/採用活動開始時
稟議書の書き方について詳しく解説します!
【例文】採用活動開始時の稟議書
採用予定人数、雇用形態、募集職種/業種
「どの部署」に「どれだけの人数」が必要で、募集するのかという基本情報を初めに記載しましょう。
募集に至った背景
採用活動を開始するにあたり、各部署に必要な人材についてヒアリングをしているはずです。
「なぜ今回このような人材が必要だと判断したのか」その理由について書きましょう。
募集理由の例文
業務拡大に伴う募集の場合
今後●●部での●●の事業を展開する予定であり、人員拡大が必要になるため。
退職者が出たことによる人員補充の場合
●●月に●●部で▲▲人が退職したことにより、○○というスキルを持つ後任が必要になったため。
募集期間、入社予定日
「募集期間」と「入社予定日」を記載します。
期日を設定することにより、各関係者のアクションプランを立てやすくなります。
入社日から逆算していく形で、必要な募集期間を設定しましょう。
応募要件
「求める人物像」について記載しましょう。
どのような人物が必要だと思われるかについて共有することで、事前にゴール基準をすり合わせることができ、必要に応じて修正も可能です。
使用する採用手法、かかる費用
「何の媒体を使用するのか」「どのくらいの費用がかかるのか」を共有しましょう。
なぜそのサービスを使用するのかも併せて記載し、妥当性を示します。
採用活動開始時には、どのような採用戦略をとっていくかが重要です。
下記記事では採用戦略について詳しく解説しています。
是非ご覧ください!
【新卒】採用戦略の立て方、成功事例を紹介|フレームワークの活用
採用稟議書の書き方/入社決定時
続いては入社決定時の稟議書の書き方について解説します!
【例文】入社決定時の稟議書
入社予定者の基本情報
「名前」「生年月日」「所属大学」「資格」などの基本情報を記載します。
評価したポイント
候補者を評価したポイントについて書きましょう。
活躍できると思われる範囲や持っている力などをできるだけ具体的に記述することで、より採用した人材の必要性が伝わりやすくなります。
評価理由の例文
経験・実績による評価の場合
●●の業務経験があるだけでなく、主体性が高い。チームメンバーと協力し、今後の事業拡大に貢献できると判断した。
保有資格・スキルによる評価の場合
●●の資格を保有しているため、○○という業務で自走力がある。前職では資格を生かして▲▲に取り組むなど、実行力があると判断したため。
未経験者の場合
長期インターンの経験があり、コミュニケーション能力が高い。また、新しいことに対する好奇心が高く、主体性もあるため、未経験ではあるが採用を希望する。
入社予定日
入社する予定の「年月日」を記載しましょう。
配属先・所属予定部署
事前に部署での受け入れ態勢などを整えておく必要があるため、「支店名などの就業場所」「部署名」「担当する業務」など、できるだけ詳細を書くようにしましょう。
労働条件
「就業時間」「給与」「保険」「福利厚生」など、どのような条件で働いてもらうのか、事前に合意をもらう必要があります。
入社後に労働条件についての意思疎通ができていなかったとならないように、注意しましょう。
採用稟議書を書く時のポイント3選
採用稟議書は、できれば1回で通したいと思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、稟議書を書く時のポイントについて以下の3つを解説します。
- 重要な部分をわかりやすく提示する
- リスクやデメリットに対処できていることを示す
- 具体的なデータや見積書を用意する
①重要な部分をわかりやすく提示する
何について書いてあるのか、わかりづらい稟議書は承認まで時間がかかる可能性が高いです。
- 何を見てほしいのか
- どこに承認が必要か
これらをわかりやすく提示するように意識しましょう。
②リスクやデメリットに対処できていることを示す
採用稟議書にはメリットだけでなく、デメリットも記載しましょう。
特に予算については、確認する側も注視しています。
そのため注釈として「総額を超える場合には、改めて稟議書を通す」などと対処法を記載しておきましょう。
そうすることで、稟議書が通りやすくなり、作り直しを避けることができます。
③具体的なデータや見積書を用意する
具体的なデータが記載されている資料や見積書を添付しておくことで、確認する側も判断しやすくなります。
特に採用活動の場合、過去のデータを添付することで比較することが可能です。
根拠のある数字を用意することで、稟議書の説得力が増します。
採用稟議書が通らない?作成時の注意点
「稟議書が通らない」とお悩みの方へ、以下の注意すべき3点には気を付けましょう。
- 記入漏れや重複はしない
- 読み手を意識する
- 余裕を持った稟議書の提出を
①記入漏れや重複をしない
稟議書に修正指示が出た場合は、情報が不足しているケースが多いです。
また、同じ内容が重複して書かれていると読みづらさを与える可能性があります。
必要な情報が漏れていないか、内容が重複していないかを所属部署に加えて他部署の人にも確認してもらいましょう。
記入漏れや内容の重複による稟議書の書き直しはよくあることなので注意してください。
②読み手を意識する
稟議書は多くの人が回覧するので、読み手を意識しなければなりません。
長い文章で書かれていると、時間がない社員は読むのを後回しにしてしまい、承認が遅れる可能性があります。
箇条書きを利用するなど、簡潔で伝わりやすい文書を意識してください。
同様に部署特有の専門用語の利用にも注意しましょう。
補足説明が必要な用語は、読み手にとって不親切です。稟議書は、相手が理解しやすい形で提供してください。
③余裕を持った稟議書の提出を
採用稟議書を提出する際には、余裕を持って提出するようにしましょう。
稟議書は例えテンプレ通りに正しく書いたとしても、必ず承認されるという訳ではありません。
また、繁忙期などは通常以上に時間がかかることもあります。
修正や時間がかかることを想定し、余裕を持って提出するようにしましょう。
特に採用稟議書に関しては、結果を待っている人もいる応募者もいるので、なるべく早いうちに、稟議にかけることを意識してください。
ちなみに、稟議が承認されるまでの日数は、一般的に数日から10日程度です。
わざわざ書く必要とは?稟議書のメリット・デメリット
稟議書は書く方も見る方も時間がかかるため、わざわざ採用で書く必要があるのか?と考えている方もいるのではないでしょうか?
これから採用時に稟議書を書くメリットとデメリットをご紹介します!
メリット①会議を行う手間が省ける
稟議書を導入することで、無駄な会議を削減することが可能です。
ただし、
- 予算が予定よりも超過する場合
- 採用フローなどを例年と大きく変える場合
など、関係者が把握している前提から変更となる場合、会議を開いて合意に向けて稟議書を基に丁寧に説明しましょう。
または、毎年の予算が一定の場合、予算を超過する場合は稟議書を作成し合意形成する、と取り決めておくことも可能です。
予算超過しない場合は「例年通りに実施」と簡単な稟議書を作成し回覧すれば稟議書の工数削減もできます。
メリット②認識の統一が測れる
稟議書に採用の方向性や具体的な数字、予定などの情報が記載されているため、採用活動状況に関する認識を会議を行わずとも統一することができます。
現場に近い担当者と、全体の統率を図る社長や役員が稟議書を通して認識を統一し、ズレが生じることを防げます。
メリット③採用活動の経過を記録できる
採用活動の目標と結果を、記録しておくことで達成度や改善余地などを見ることができます。
採用活動を成功させるには社内で一丸となって取り組むことが必要です。
採用活動状況が稟議書を通して振り返りやすくなることで、課題観などの共通認識が生まれやすくなります。
デメリット①全ての合意が取れるまでに時間がかかる
関わる人数が多いほど、稟議書の回覧に時間がかかります。
採用担当だけではなく、他の業務に当たっている社員にも合意を取る必要があるので、自然と後回しにされてしまうこともあります。
特に大企業などでは、稟議書をスピーディーに回すことは難しいです。
企業規模や関わる人数によって異なりますが、基本的に全員の合意を取るまでに1〜2週間を目安にしましょう。思わぬ箇所で手戻りが発生し、稟議書を再度回覧する可能性もあります。
合意が必要な期日から逆算して、それぞれの決裁に期限を設けるなど、なるべく全ての合意が取れるまでの時間を短縮できるような工夫をしましょう。
デメリット②否決された場合の理由が不明瞭になりやすい
関わる人数が多いほど、稟議書の内容が否決された場合に何故否決されたのかが曖昧になってしまう場合があります。
否決された後の対応で動きやすいように、「誰が」「なぜ」否決したのかをコメントしてもらう仕組みを事前に用意しましょう。
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