「もっと自社にマッチした人材を採用したい!」
そんな想いをお持ちの人事担当者の方はいませんか。
採用面接は、企業の土台となる人材に直結する重要な要素です。
人材採用がうまくいかなければ、事業ひいては企業の成長もありません。
そこで、面接官をトレーニングし「選考の質」を上げることに注力してみませんか?
この記事では、面接官トレーニングが必要な理由を確認した上で、面接官に求められるスキルや知識、スキルアップに効果的なトレーニング方法を解説していきます。
面接官に求められる役割は、時代と共に変化してきています。
1990年代前半までは給与も多く安定している「大企業に入社すること」が良しとされ、就職活動はそのための試験でした。
そのため、面接官の役割は主に会社の事業拡大のために優秀な学生を「見極める」ことでした。
しかし、バブル崩壊・グローバル化の流れに伴い終身雇用は崩壊し、一時代を築いたような大企業ですらリストラが横行していたり、倒産の危機に迫られています。
また、IT化によって10年後には現在の半分の仕事がなくなるとも言われています。
このような背景から、求職者は大企業のネームバリューよりも個のスキルを求めるようになりました。
先行きが不安な将来の中で、頼れるのは自分の力だと考えたためです。
こうした理由から、学生の企業への入社理由は多様化してきています。
今まで通り、「自分たちは選ぶ側」というスタンスでは、学生は入社してくれません。
これからの面接官には、「見極め力」だけでなく学生が入社したいと思えるような「動機づけ力」も求められます。
ここでは、面接官トレーニングの目的を整理していきます。
なぜトレーニングが必要なのか理由を整理することで、目的が明確になり、効果的なトレーニングができるようになるためです。
面接官のトレーニングには大きく2つの目的があります。
1つ目の目的は、評価基準を統一するためです。
面接官も一人の人間ですから、評価基準は主観的になり、採用基準が面接官によってバラバラになりがちです。
評価基準が統一されていない状態では、本当は自社にマッチしている人材を不採用にしてしまったり、逆にマッチしていない人材を採用してしまうことがあります。
【参考】【すぐできる】新卒採用のミスマッチが起こる原因と7つの対策を紹介
事業の基盤である人材の採用が上手くいかなければ、企業は成長できません。
そこで、評価基準を統一する必要が出てきます。
評価基準を統一するには、このような状態を作らなければなりません。
特に、「スキル」や「論理性」など比較的分かりやすい評価項目に比べ、「人間性」や「価値観」は表面的な要素だけでは分からず、面接官のスキルが問われます。
このような、表面的な要素だけでは分からない部分を深堀するスキルをトレーニングによって身に着けるのです。
2つ目の目的は、学生に「入社したい」と思ってもらうためです。
「面接官に求められる役割」でも述べたように、これからの面接官は「見極め」だけではなく「自社への魅力づけ」もできる必要があります。
「自社で採用したい」と思う学生は、他社も必ず採用したいと考えているはずです。
そのため、面接官が求職者から内定承諾を獲得できる実力やスキルを持っているかが、企業の採用力に直結します。
このような背景から、面接官のトレーニングが必要になるのです。
面接官に必要とされるスキルは、大きく2つあります。
見極め力とは、
「採用基準の能力を満たした学生なのか」
「自社の雰囲気にマッチした人材なのか」
を学生が語るエピソードから見極める能力です。
その学生が優秀かどうかだけではなく、その学生が自社に入社して幸せになれるのか、活躍できるのかまで見極めなければなりません。
能力面であれば、自社の評価基準をまとめたチェックリストを活用することで、比較的容易に採用基準を満たしているかどうか確認することができます。
それに対して、その応募者の価値観や性格面は、判断が主観になってしまうため見極めが非常に難しいです。
どんな質問をすれば、求職者の価値観や性格など内面的な要素を引き出せるかを理解している必要があります。
しかし、こうした質問は求める人物像(ペルソナ)によって変化します。
事前に求める人物像を決め、「求職者が自社にマッチしているか」を見抜く質問を考えておきましょう。
【参考】 【質問例あり】面接で学生の本音や本質を見抜くための3つのポイント
【参考】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットを用いて解説します
魅力付け力とは、面接を通して、自社への志望度を上げるスキルです。
学生の価値観や目標を理解し共感したうえで、自社の魅力や入社後のキャリアと結びつけることで志望度は上がります。
魅力付け力は、もともとの性格に由来するものが大きいと思われがちです。
しかし、トレーニングによって身に着けることも可能です。
ここからは、上記で紹介した2つのスキルを、効率的に磨くトレーニング方法を3つご紹介します。
ぜひ自社の面接官トレーニングの参考にしてみてください。
多くの企業で実施されている方法が、外部講師による研修です。
採用面接のプロに依頼することで、知識やスキルを体系的に身に着けることができます。
ここでは、面接官研修を行っている代表的な企業を3社ご紹介しておきます。
マイナビで行われている面接官研修では、新卒採用における面接の目的を踏まえたうえで、 ロールプレイングを複数回行います。
インプットとアウトプットの場がしっかり用意されているので、効率的に採用面接について学ぶことができます。
また、コロナ禍で主流になったWeb面接において注意すべきポイント等も含めて研修してくれます。
研修現場の動画も参考にどうぞ。
1日間(7.5時間:昼休憩1時間を含む)
公開型:30,000円/人(税別) 講師派遣型:お問い合わせください
研修当日だけでなく、研修準備の段階からサポートしてくれるのがリカレントの特徴です。
研修時間は比較的短いですが、ワーク中心の研修となっており、面接官として必要な知識を実践の中で学ぶことができます。
また、面接官としての基礎スキルを身に着ける基本研修と、評価と営業視点を身に着ける発展的な研修の2種があるため、自社の状況に応じて研修を行える点もリカレント強みです。
3時間(変更可能)
お問い合わせ下さい。
【参考】 採用研修 面接基礎編【面接の基本スキルを身につける】 | 明日使える社員研修ならリカレント
面接官として必要なフレームワークの提供はもちろん、面接官自身の特徴まで分析し、その面接官が陥りがちな状況まで提示できるのがリンクアンドモチベーションの研修の特徴です。
企業の選考項目に沿ったオーダーメイド的な研修も可能なため、より効果的に面接官としてのスキルを学ぶことができます。
オーダーメイド
お問い合わせください。
【参考】 面接官研修の目的は何か? 採用の見極めのポイントとは?内容や特徴を解説
ここまで効果的にスキルアップできる方法として、研修をご紹介しました。
しかし、企業によっては研修に予算をさけない・面接官の予定が合わないといった事情もあるかと思います。
そこでコスト0ですぐに自社内で取り組める、面接官トレーニングを2種類ご紹介します。
自社の面接官同士でトレーニングする方法です。
面接官の中でも、面接人数や面接通過数、内定承諾数や内定辞退率は一人一人異なります。
そこで、まずは面接官別に面接通過から内定承諾、内定辞退に至るまでの歩溜まりを分析しましょう。
内定辞退率が最も低いということは、その面接官は自社にマッチしている人材を最も正しく見抜いているということです。
その面接官が普段意識してみているポイントや判断基準、よく聞く質問とその意図を共有しましょう。
そうすることで、選考全体の質が向上します。
また、スケジュールに余裕がない場合は面接の様子を録画し、後日FBしあうことも効果的です。
最初はロープレから入り、徐々に現場に慣れていきましょう。
ロープレとは、面接官役と求職者役それぞれに分かれて行う面接のシュミレーションです。
それぞれ「学生の本音を引き出す面接」「学生の性格を見極める面接」など、テーマを決めて行うことで効率的に不足している力を補うことができます。
また相手役からフィードバックをもらうことで、自分に不足している部分を客観的に知ることができます。
実際にロープレを行う場合には、①の方法と平行して行うとよいでしょう。
①のナレッジの共有をしてからロープレを行うことで、共有したナレッジのアウトプットの場にもなります。
また、初めて面接を行うときはベテランの面接官に同席してもらうなど、徐々に現場の雰囲気に慣れていくことが肝心です。
ここでは、意外と見落とされがちな面接時の注意点を3つ解説します。
せっかく面接官に必要なスキルや資質が備わっていても、基礎的なマナーや社会常識がなければ採用は成功しません。
学生からの好感度が下がってしまい、その企業への志望度が下がったり、企業イメージが悪くなるためです。
ここでは、改めて面接時に注意する点を確認しましょう。
面接は、企業が学生を選ぶ場であると同時に、学生が企業を選ぶ場でもあります。
そのため、面接官は「会社の顔」として学生に見られていることを自覚しなければなりません。
面接が終わったときに、「この会社に入社したい」と思ってもらうには、企業の顔である面接官が社会常識やビジネスマナーを備えていることが絶対です。
例として、面接にスーツで臨む場合を想定しましょう。
もし面接官のシャツにしわが寄っていたり、靴が汚れていれば、求職者に不快感を与えてしまいます。
また、オンライン面接をする場合も背景が散らかっていたり、周りの音が丸聞こえの状態も同様に不快感を与えます。
「社会人は社会常識やビジネスマナーを備えていて当たり前」学生からはそんな風に思われています。
身だしなみや面接環境に気を付けていても学生からの評価が上がることはないかもしれません。
しかし、そういった当然の気遣いの積み重ねが成果につながります。
学生は、企業の細かい対応1つ1つを気にしています。
就活では多くの企業に同時にエントリーすることが多いため、常に企業側の対応は比較されていることを意識しましょう。
面接の時の言葉遣いや態度はもちろん、メールの返信の速さや丁寧さなども重要です。
また、もし面接で自社とマッチしない学生と判断した場合でも、丁寧な対応を心掛けましょう。
SNSが発展した現代では、対応次第ですぐに悪評が広まってしまうこともあります。
面接官は、採用に関わる基本的な法律やハラスメント事項を把握している必要があります。
例えば、以下のような内容です。
権利や平等、ジェンダー意識の高まりがある現代社会で、配慮にかけた質問を学生にしてしまえば一気にSNSで拡散され、会社のブランドを傷つける原因になります。
今一度、基礎知識を振り返ってみてはいかがでしょうか。
いかがでしたか。
面接官に必要なスキルは「見極め力」と「魅力付け力」の2つです。
この2つの力を効率的にトレーニングすることによって面接の質が上がり、より自社にマッチした学生を採用することができます。