現在、新卒で就職した3割が3年以内に離職すると言われています。
学生のためにも企業のためにも採用のミスマッチをなるべく減らすためには、面接でいかに学生の本音を聞き出せるのかが重要です。短い時間で効率よく学生の本音を引き出すためには、どのような質問をしたら良いのでしょうか?
本記事では、面接で学生の本質を見抜くためのポイントをいくつかご紹介します。
面接官の役割とは
採用面接を行う場合は、面接官の役割・責任を理解してから臨むことが重要です。
具体的に面接官の役割・責任とは、以下のようなものを指します。
▼面接官の役割・責任
- 自社の魅力やメリットをアピールする
- 『企業の顔』として候補者に良い印象を与えられるようにする
- 候補者が自社にマッチした人材かを見極める
ほとんどの求職者にとっては、面接官が「その会社で会う初めての社員」です。数千人社員がいるような会社でも、はじめて会う面接官の印象が、会社全体の印象を決めてしまいます。
以下では、面接官の役割を果たすために意識するべきポイントについて詳しくご紹介していきます。
自社の魅力やメリットをアピールする
「応募者の入社意欲をいかに高められるか」は、面接官の役割の1つです。
応募者は基本的に他の企業と並行して選考を受けています。そのため、面接の中で、好印象や、良いイメージを持ってくれることで、会社を選んでくれる可能性があります。
応募者に自社に対して良い印象を持ってもらうには、面接中のトーク内容のなかで自社の魅力や、自社に入社するメリットを伝えることが必要です。
▼面接で自社の魅力やメリットをアピールできるトーク内容例
- 求職者の志望理由に合わせて、「確かに弊社では〜〜などもあるので、〇〇さんに合っているなと感じました」など入社するメリットを伝える
- 現場で活躍している社員や新入社員のエピソードを交えて、求職者のキャリアパスについて話し合う
- 求職者の志望度について聞き取りをしながら、業界内における自社の立ち位置や強みについて説明する
このほか、「自社の顧客満足度は90%以上ですが、その魅力はどこにあると思いますか」といった会社の魅力を応募者に投げかけるといった方法も1つの手です。
転職希望者との面接の場合は、相手が以前働いていた会社との違いや魅力、メリットについて言及すると、より働くイメージがつくでしょう。
『企業の顔』として候補者に良い印象を与えられるようにする
面接担当者の心構えとして大切なのが、自分が「企業の顔である」という認識です。
応募者にとって、面接官は会社の印象。選考過程で関わる社員は少ないため、良くも悪くも面接官の印象が応募者が感じる印象に繋がります。
例えば、面接官に悪いイメージを持った応募者は選考を辞退するだけでなく、知人に広めたり、SNSなどに書き込みされたりした場合、会社のイメージダウンが生じます。
▼面接中に面接官が意識するべきポイント
- 身だしなみ、言葉遣いに気を付ける
- 高圧的な態度を取らない
- 専門用語を使わず分かりやすい表現で質問をする
まずは、求職者にとってどのような対応が良いのかを整理して考え、面接官の間で認識を統一すると良いでしょう。
候補者が自社にマッチした人材かを見極める
面接官の最大の役割は、面接を通して候補者が自社にマッチした人材かを見極めることです。
面接時間の平均は約30分〜1時間とされています。ランチタイムよりも短い時間の中で、相手の性格や癖、価値観、ポテンシャルなどを判断するのはなかなかハードルの高いことです。
候補者の素顔を探り、良い人材を見落とさないためにはキラー質問のような相手の本音が聞けるような工夫が必要です。以下の見出しでは、人材の本質を見抜くのに効果的なキラー質問の例をご紹介しています。
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【質問集】採用面接で人材の本質を見抜くキラー質問
ここでは、面接で応募者の本質を見抜く質問例を、即実行可能な形でご紹介します。ここでご紹介するものを参考にしつつ、採用方針や深堀りのしやすさなどによって形を変えてのご活用をおすすめします。
まずは応募者の能力や性格を見抜く質問を紹介します。
▼応募者の能力や性格を見抜く質問集
- 人間性を見抜く質問
- 課題解決力を見抜く質問
- 成長意欲を見抜く質問
- 協調性を見抜く質問
- 素直さを見抜く質問
- ストレス耐性を見抜く質問
- 本音を引き出す変わった質問
- コミュニケーション能力を見抜く質問
見抜きたい能力や性格に応じて参考にしてみてください
人間性を見抜く質問
新たな人材と従業員との親和性は、企業の文化を形成していく中で非常に重要な要素となります。
昨今は、人間関係によって職場を変える人も少なくないでしょう。職場で良好な人間関係を構築するためにも、採用候補者の人間性を適切に見極めましょう。
▼質問例
- あなたの長所と短所をそれぞれ教えてください
- 入社後、その長所をどの分野で活かしたいですか?
- その短所をどのように克服していきたいですか?
- 一緒に働きたいと思える人はどんな人ですか?
- 逆に、一緒に働きたくない人はどんな人ですか?
- 何か意思決定をした時、すぐに行動できるタイプですか?
- 周りの人からどんな性格だと言われますか?
- ひとことで自分の性格を表してください
- どんなところを褒められた時に嬉しいと感じますか?
課題解決力を見抜く質問
採用候補者が直面した課題に対してどのような行動を取るかは、自社で働く際にも生きる可能性が高いです。「どのような思考プロセスをたどって解決まで導いたか」を聞くことで、採用候補者の課題解決力を図ることができるでしょう。
▼質問例
- あなたが今いる組織の課題は何ですか?
- 課題解決のために、努力していることはありますか?
- 組織のリーダーになった場合、どのように課題を解決しますか?
- その方法が、課題解決のために最もふさわしいと思う理由は何ですか?
- アルバイト先での仕事を進める上で、何か工夫していることはありますか?
- 当社の募集職種に必要な能力は何だと思いますか?
成長意欲を見抜く質問
入社以降、会社の将来を担っていくためにも、社員の成長は欠かせません。
「目標の有無」や「理想と現実のギャップ」への考え方で、成長に意欲的かを見極めることができます。今までの成長を振り返っているか、将来を見極めて行動できているかを質問することで、採用候補者の成長曲線を見極めましょう。
▼質問例
- 学生時代に目標を持って何かに取り組んだ経験はありますか?
- これまでに経験した一番大きな失敗は何ですか?
- 失敗したとき、どのような考えを持ってどんな行動をしましたか?
- 現在長期的に取り組んでいる活動はありますか?
- 将来どのような社会人になりたいですか?
- 仕事を通して達成したいことはありますか?
- 当社の募集職種について仕事の内容など、事前に確認したいことはありますか?
協調性を見抜く質問
協調性を見抜く質問ではチームの中で担う役割や、チームで達成した経験を聞くことで他人と協力しながら業務を遂行できる力があるかを見極めましょう。
自分が担うべき役割を適切に判断できている人材かどうかが評価できるポイントです。
▼質問例
- 複数人と協力して活動した経験について、教えてください
- その活動の中で、あなたはどのような役割でしたか?
- チームメイトの意見が衝突していたら、あなたはどのような行動をとりますか?
- チームワークを重視する活動で、目標達成をした経験はありますか?
- チームワークを重視するきっかけになった経験があれば教えてください
- チームで働くために大切なことは何だと思いますか?
- これまでの活動の中で、良いチームだと思えた組織にはどんな特徴がありましたか?
- あまり良いとは言えないチームはどんな組織でしたか?
素直さを見抜く質問
素直さを見抜く質問では、課題に対してどれほど柔軟に対応する能力があるのかを見極めましょう。
自分の考えを持ちつつ、周りの意見を参考にしながら課題に対処できているかが評価ポイントになります。
▼質問例
- 自分では解決できないと判断した課題には、どのように対処しますか?
- 課題に直面した時、周りの人に意見を求めて成功した経験はありますか?
- 自分と異なる意見に対して、あなたはどのように対処しますか?
- 過去の失敗を活かして成功した経験はありますか?
- 自分の置かれる環境が大きく変わる時、どんな気持ちになりますか?
- 環境などの変化に対し、受け入れる努力をした経験はありますか?
ストレス耐性を見抜く質問
ストレス耐性を見抜く質問では、与えられた役割を責任を持って果たすことができるかを見極めましょう。
途中で仕事を投げ出さないか、感じたストレスに対して上手に付き合うことができているかが評価ポイントになります。
▼質問例
- どのようなときにストレスを感じますか?
- 理不尽な出来事にあったとき、ストレスにどのように対処していますか?
- 気持ちが軽くなるのは何をしているときですか?
- 失敗したことでその後に成長につながった実感のあるエピソードを教えてください
- 今までの人生で挫折した経験はありますか?
- 自分の抱えられるストレス量はどのくらいだと思いますか?
- 仕事で大きな失敗をしてしまったとき、あなたならどのように行動しますか?
本音を引き出す変わった質問
この質問は、答えに至るまでの思考プロセスに納得感があるかが評価ポイントになります。
これらの質問には決まった答えがないことに加えて、事前に対処することが難しく就活生が予想外な出来事へ対応する力の有無を見極められます。
▼質問例
- 「100万円を今日中に使い切ってください」と言われたら、何をしますか?
- あなたが昔話の桃太郎として鬼退治に行くとき、イヌ、サル、キジの他にどの動物を連れていきますか?
- もしあなたが当社の社長になったら、何をしたいですか?
- 尊敬する上司が裏で不正を行っていたら、あなたはどんな行動をとりますか?
- 大切にしている言葉は何ですか
- あなたを採用したら、当社にどんなメリットがありますか?
コミュニケーション能力を見抜く質問
この質問は、人と関係性を構築する際に自分だけでなく相手に配慮できるかが評価ポイントになります。
日々の業務において、人とコミュニケーションを全く取らないことは少ないでしょう。
これらの質問を通じて、社内の雰囲気を良好なものに維持できるかを見極められます。
▼質問例
- 人と話すときに意識していることを教えてください
- 苦手なタイプはどんな人ですか。また苦手な人と話すときに意識していることはありますか
- グループの中で、あなたはどの様な役割を担うことが多いですか
- 1人でいる時と他人といる時、どちらが楽しいと感じますか
【質問集】採用面接で会社とのマッチ度を見抜く質問
続いて、会社とのマッチ度を見抜く質問を紹介します。
▼採用面接で会社とのマッチ度を見抜く質問集
- 入社志望度を見抜く質問
- カルチャーフィットを見抜く質問
いずれも採用するにあたって重要なポイントですね。ぜひ確認してみてください。
入社志望度を見抜く質問
- 当社を知ったきっかけは何ですか?
- 今回選考を受けるに至った理由を教えてください
- 企業を選ぶ上で、最も大事にしている軸は何ですか?
- 当社に感じる課題を教えてください
- 選考をどれくらいの早さで進めたいか、ご希望はございますか?
- 入社一年目の社員との面談を設けることが可能ですが、希望されますか?
- 当社の第一印象と今の印象を教えてください
カルチャーフィットを見抜く質問
- アルバイトやサークルなどの活動では、どんな考え方が大切だと思いますか?
- 働く上で譲れない価値観はありますか?
- 企業に求める環境には、どのようなものを考えていますか?
- 当社の社員の印象について教えてください
- これまで所属していた組織で、最も活躍できた組織の特徴を教えてください
- 過去に当社のイベントに参加したことはありますか?その時の感想を教えてください
- 他にどのような企業を志望しているのか、差し支えなければ教えてください
【質問集】採用面接で採ってはいけない人材を見極めるキラー質問
いくら優秀な学生でも勤務態度や言動によって周りの社員に迷惑をかけてしまうことで、全体の生産性は向上しないでしょう。
ここでは、勤務態度や言動について著しく問題のある社員を見極めるキラー質問を次の5つ紹介します。
▼採用を見送るべき人材を見極めるキラー質問集
- 自分勝手な行動をするか
- 公序良俗に反する言動を発するか
- 上司・部下に対してハラスメント行為をするか
自分勝手な行動をするかを見極める質問
自分勝手な行動が目立つ人は、他人の意見を聞かない傾向にあります。
このような人材は、自分の考え方を推し進めますが、問題やミスが起こった時は責任から逃れようとします。
過去の経験からこれらの傾向の有無を見極めましょう。
▼質問例
- アルバイト等で、自分の考えと指示が合わなかったとき、どのように対応していますか?
- ルールや手順が変更された際に、どのように新しい状況に対応しますか?
- 緊急時に、自分の判断と上司の指示が異なった場合、どう対処しますか?
- 自分が納得できない指示を受けた時、その指示にどのように対応しましたか?
- ルールを厳守することが難しい状況に直面した経験がありますか?どのように対応しましたか?
公序良俗に反する言動を発するかを見極める質問
公序良俗に反する言動を発する人は、職場の雰囲気を悪化させるだけでなく、企業のイメージを下げる可能性もあります。
健全な企業経営のためにも、このような人材の採用はできるだけ避けたいことでしょう。
▼質問例
- 職場の文化や価値観について、どう感じていますか?もし自分と合わない点があった場合、どう対処しますか?
- 職場での適切なコミュニケーションについて、あなたが気をつけている点は何ですか?
- 過去の職場で、不適切な行動や言動を目撃したことがありますか?その時、どう感じましたか?
- 職場での人間関係が悪化した時、どのように修復を試みますか?
- 周りの同僚にとって不快になりうる行動や言動について、どう考えますか?
上司・部下に対してハラスメント行為をするかを見極める質問
近年、ハラスメント問題が注目されていることもあり、社会からハラスメント問題による糾弾を避けようと、企業ガバナンスに注力している企業も多いことでしょう。
地位の優位性を生かして、上司から部下へのハラスメントが多いですが、近年は上司の処分を求めたり、部下から上司へのハラスメントも少なくないです。
そのため、今までどのような人間関係を築いてきたかを見極める必要があります。
▼質問例
- 職場で他の人とのコミュニケーションで気をつけていることは何ですか?どんなときに対話がうまくいくと思いますか?
- 同僚や部下とのコミュニケーションで、誤解が生じたことはありますか?どう対処しましたか?
- 意見が合わない状況で、どのように関係を改善しましたか?
- あなたが率直にフィードバックを受けた際、どのように受け止めますか?
- 職場で他の人と摩擦が生じた場合、どのような対応を取りますか?
採用面接で人材の本質を見極めるために必要な事前準備
人柄、性格、価値観などを採用する上で判断材料となるものを面接の短い時間で引き出すには、いかに意図を持って質問するかが鍵となります。
漠然とした質問はその分抽象的になり、解像度の低い会話に終わってしまいます。それでは学生の本質は見抜けません。事前の用意で効果的な質問を作り出し、採用のミスマッチを減らしましょう。
そのためには、面接をする前にまず以下の3点について考えてください。
1.学生の何を見極めたいのか把握する
新卒採用の目的は「一般的に優秀とされる人材を採用すること」ではなく「自社にマッチする人材を採用すること」です。
ミスマッチを減らし、自社にマッチする人材を採用するためにはまず「学生の何を見極めたいのか」を把握する必要があります。
下記の流れで「学生の何を見極めたいのか」について確認してみましょう。
i. 採用要件を確認する
採用要件とは自社の求める人物像を明文化したものです。
採用の明確な基準を設けなくては、気分や感覚などの主観的な要素に大きく判断が左右されてしまいます。そういった判断を無くし、正当な基準で合否を決められるように採用要件を設けます。
まだ採用要件を決めていない場合には、この段階できちんと整理しまとめておきましょう。
ii. 自社が必要としている人材にはなにを求めているのかを明確にする
確認した採用要件をもとに、自社で働くために必要となる素質を確認します。
質問を用意するにあたって、漠然と「本質を見極める」と考えると何を質問したら良いかわかりませんよね。それを防ぐためには、質問を通じて「何を見極めたいのか」を明確にする必要があります。
「成長意欲」「協調性」「カルチャーマッチ」等、何を求めているのかを具体的にしておきましょう。
2.的確な質問を用意する
的確な質問をするためには「目的」と「手段」を分けて考える必要があります。
目的:相手のどんな部分を知りたくて、質問をしているのか
手段:どんな質問の仕方で相手を見極めるのがベストか
自社が必要としている人材に求めている素質があるかどうかを確かめるために、面接で質問をしますよね。採用要件をもとに質問の目的を定め、そこからブレないように質問の内容を考えていきましょう。
そして、目的が定まったあとは、質問の内容を決めます。例えば「自己理解力を評価する」という目的のある質問でも、質問の仕方は何通りも想定できます。
▼自己理解力を評価するための質問パターン例
- あなたの強みは何ですか?
- 宝くじで100万円が当たったらどうしますか?
前者の質問は、ストレートに自己分析を伝えられるものとなっておりますが、学生も想定できる質問のため、どれだけ面接に対して準備をしてきたのかなども併せて見られるでしょう。
後者の質問は、学生が事前に想定しにくい質問のためアドリブ力が確かめられ、急な質問に対してどういったアプローチで返答するのかなど、頭の回転の速さなども見られます。
このように同じ「自己理解力を評価する」という目的を持った質問でも、そのアプローチを変えることによって学生のどの部分が見えるかが大きく変わってきます。学生の何を見極めたいのかを詳細に把握し、それに合った質問を考えることが大切です。
3.質問に対する回答を予測する
「目的」と「手段」に分けて具体的な質問内容を決めたあとは、その質問に対する返答をある程度想定した方がよいでしょう。
質問の回答を予測しておくメリットとして、「評価基準が明確になる」「会話の深め方がわかる」が挙げられます。
面接では1日に何人もの学生と話をする場合が多いです。自分のなかで明確な評価基準を持っていた方が、学生にとっても会社にとってもベストな判断がしやすいでしょう。
それぞれの質問ごとに4つほどの基準を設け、それぞれに合格ラインなどを設けるなど、工夫をしてみるのもよいかもしれません。
また、繰り返しにはなりますが、面接ではいかに相手の深い部分へと近付いていけるかが鍵となっています。より相手の本質を引き出すために、学生の回答をさらに深めるための質問をした方がよいでしょう。
もちろん面接本番での柔軟性は必要ですが、事前にある程度想定される回答を考えておくことで、そこからどう会話を発展させていくかなどの目安をつけておきましょう。
採用面接で候補者の本音を引き出す時間構成
では、どのような流れで面接を行えば最も効果的に応募者の本音を引き出せるのでしょうか。
ここでは、採用面接で候補者の本音を引き出す時間構成や流れを説明します。
1.アイスブレイク
面接が始まったら、まずはアイスブレイクを行いましょう。アイスブレイクにかける時間は、面接時間全体の10%ほどの時間です。
アイスブレイクとは、初めて会った人などとコミュニケーションを取る際に、緊張をほぐすために使われる手法です。
以下の質問例にあげたような当たり障りのない質問をしたり、できるだけ笑顔でいることを意識したり、学生がリラックスできるような空気づくりを意識しましょう。
▼アイスブレイクの質問例
- 迷わずに来られましたか?
- 緊張していませんか?
- 暑く/寒くないですか?
- 朝ごはんはしっかり食べられましたか?
2.面接官→学生への質問
次に、面接官から学生へ質問をしていきます。面接官から学生への質問にかける時間は、面接時間全体の70%ほどの時間です。
一方的に質問をするのではなく、候補者と会話することを意識することで、相手の本音を引き出すことができます。
上述した質問例も参考にしながら、候補者との話を膨らませていきましょう。
3.学生→面接官への質問
面接官からの質問が終わったら、学生へ質問がないか伺ってみましょう。学生から面接官への質問にかける時間は、面接時間全体の15%ほどです。
質問内容によって、学生がどれだけ働くイメージを持てているかを測ることもできます。
4.クロージング
採用面接におけるクロージングは、学生が企業に感じる納得感・感動・安心感を高めるために重要です。クロージングにかける時間は、面接時間全体の5%ほどです。
納得感とは、応募者自身が納得をして就職活動の意思決定を行うために重要になります。面接を受けたことで志望度が高まるように、面接時に評価の高かったポイントなどを伝え、「理性」に訴えかけます。
感動とは、応募者の「感情」に訴えかけることです。担当者の気持ちを伝えることで、応募者に真摯に向きあっている姿を伝えることができます。
安心感とは、応募者の不安を取り除くために必要です。
面接後の流れや選考結果の通知日程・方法について伝えておくことはもちろん、座談会など、会社に対しての疑問を解消できる場も準備しておくと良いでしょう。
【参考】【選考段階別】採用面接で聞くべき質問集20選|面接官のNG行為も
採用面接中に面接官が意識するべきポイント3選
ここからは、すぐに使える質問例を交えながら面接する際に意識するべきポイントを3点解説していきます。
▼採用面接中に面接官が意識するべきポイント
- 学生が普段通りに話せる環境を作る
- 経験の中身を聞き出す
- 本音が出るような質問をする
これらのポイントを実践して、学生の本音が聞き出せるような場にしていきましょう。
1. 学生が普段通りに話せる環境を作る
採用のミスマッチを防ぐためには、候補者が面接のために準備された『評価されるための自分』ではなく、できるだけ『普段通りの自分』に近づけるような環境作りを意識することが重要です。
▼学生が普段通りに話せる環境を作るための質問
- 〇〇学部だと、キャンパスって〜〜あたりですよね?学生時代に住んでいたので懐かしいです。
- オンライン面接は何回かやられたことありますか?正直私、最初はツール使い慣れなかったのですが、だんだん慣れてきた気がしています(笑)聞こえづらい場面などがあったら気兼ねなくおっしゃってください。
- ご趣味が〇〇ということですが、ということは最近流行りの〜〜も見てましたか?私もすごくハマっています。
- 今回のオリンピック、すごいですよね。何か試合は見られましたか?
以上のようなアイスブレイクとなる質問を行い、面接の冒頭で雑談するように意識しましょう。そうすることで、候補者と面接官との会話のリズムがお互い掴めてくるため、候補者も緊張がほぐれ、話やすくなります。
2. 経験の過程に起きた出来事を聞き出す
続いて採用面接中に面接官が意識するべきポイントは、経験の過程に起きた出来事を聞き出すことです。
職務歴のないポテンシャル採用である学生との面接では、結果よりも過程を重視した質問をする場合が多いのではないでしょうか。そのような場合は、イエスかノーの質問よりも、「なぜ」や「どのように」と聞き出すことで、結果よりも過程を多く語ってもらうように意識する必要があります。
▼経験の過程に起きた出来事を聞き出す質問例
- なぜ数ある企業の中から弊社を志望しましたか?
- 最近気になったニュースはありますか?
- 目標を達成するためにどのような努力をしましたか?
- これまでの人生で継続して頑張ったことはありますか?
- 計画通りに物事が進まない場合、どのように対処しますか?
- どのようにあなたは弊社に貢献できると思いますか?
「なぜ」「どのように」といったオープン・クエスチョンでは質問の幅が広がり過ぎてしまう場合があるため、ある程度回答の方向性も示してあげることが重要です。
「どのようにして大会での成績を改善させたのですか?具体的な施策の内容や、それを実施しようと提案するまでの過程、難しかったことなど教えてください」
上記の例のように、具体的な返答例を挙げてみるとよいでしょう。投げやりな質問をするのではなく、学生が答えやすいように誘導することを意識しましょう。
3. 本音が出るような質問をする
本音が出るような質問をすることも、面接で学生の本質を見極めるために重要なポイントです。
学生は、面接に向けて話す内容の準備をします。時間をかけて作り込まれた回答からは本音が見えにくい場合も多いでしょう。学生の人間性や人柄を短い面接の時間で効果的に引き出すには、できるだけ本音がでるような質問の仕方を「手段」として選ぶ必要があります。
学生から本音を引き出すためには、その場で考えて回答する必要がある質問が有用です。
▼学生の本音を引き出しやすい質問例
- どのような特徴を持った会社には入社したくないですか?
- 宝くじに当たったとしたら何に使いたいですか?
- サッカーのゲームをするとき、どの立場で参加したいですか?
- オススメのストレス解消法をプレゼンしてみてください。
- 今までで1番苦労した経験を、3分間話てみてください。
また、一問一答形式ではなく、「○分間△△について話してください」など時間制限を設けた質問の仕方に変えてみてもよいでしょう。学生が内容を膨らませた回答をするため、より本音が引き出しやすくなります。
採用面接で思う回答が得られない時の対処法3選
採用面接で、「思ったように学生の話を聞き出せない」「想定と違う答え方をされてしまう」といった場面もあるかと思います。
ここでは採用面接で思う回答が得られない時の対処法を3つご紹介していきます。
- 抽象的な言葉に対して追加で質問をする
- 自身の体験に紐づいた言葉で語ってもらう
- 質問の意図を候補者に伝える
それぞれについて以下で詳しく解説していきます。
1. 抽象的な言葉に対して追加で質問をする
アドリブ力が試されるような質問では、学生自身に明確な回答のイメージがなく、抽象的な答えが返ってきてしまう場合があります。
例えば「こんな会社は嫌だな、というのはありますか?」 という質問に対して、「暗い会社は嫌だと感じます。私の所属する学生団体には暗いイメージがあったので、それを払拭できるように所属者間のコミュニケーションを活性化できるように、定期的なミーティングの開催や、交流会を設けました」と返ってきたとします。
これでは「暗い団体に所属したくない」という表面的な価値観しか聞き出せていません。
「なぜ暗い雰囲気が嫌なのか?」や「どういった状況が暗いと感じるのか?」など、「暗い」という抽象的な言葉の理解を相互的なものにするために次の質問で深めた方がよいでしょう。
学生の回答を聞いている中で気になった単語をメモに残しておき、会話の次の展開について考えながらコミュニケーションを取ってみてもよいかもしれません。
2. 自身の体験に紐づいた言葉で語ってもらう
面接で効果的に学生の本質を見抜くためには、相手の経験について語ってもらうことがベストです。
面接では将来のことについて語る場面が少なからずあります。「なぜこの会社を志望したのか」 「どのようなことを実現したいのか」このような質問に対して、熱意を持って理想を語る学生さんも多いのではないでしょうか。
一方で、理想はあくまでも想像なため、そこから学生の本質を見抜くことは難しいです。過去の具体的な経験や体験から本音を引き出せるように意識しましょう。
3. 質問の意図を伝える
面接での質問から学生の本質を見極めるためには、求めている回答をしてもらうことが重要です。そのためには「なぜその質問をしているのか」を伝えることが効果的な場合があります。
例えば「学生時代に組織で成果を挙げた経験」についての質問の意図としては、「組織の中でどのように考えて行動するのか知りたい」という意図があるかと思われます。
この場合、「組織の中で、個人として良い結果を出したこと」についてのエピソードとなる可能性もありますが、意図を伝えると「組織の中で、チームのために何を考えて行動したのか」について話してもらいやすくなるでしょう。
採用面接中に質問以外でチェックするべきポイント
採用面接では、質問に対する答えの内容ももちろん重要ですが、それ以外のことにも応募者の本質が隠れていることがあります。
ここでは、質問内容と併せてチェックしておきたいポイントについて紹介します。
ビジネスマナーが身についているか
ビジネスマナーは今後社会人として一緒に働く学生には身につけておいてほしいもの。
面接中もマナーが身についている候補者は、普段からマナーが実践できていると評価できるでしょう。
▼ビジネスマナーに関するチェックポイント
- 正しい敬語が使えているか。
- 挨拶ができているか。
- 面接の開始時間を守っているか。
身だしなみは清潔感があるか
面接での服装や髪型は学生の第一印象として記憶に残りやすい点ですね。
ほとんどが初対面同士で行う面接という場において、この点は気遣いができるかどうかで評価できるでしょう。
▼身だしなみに関するチェックポイント
- 面接に適切な清潔感のある服装・髪型かどうか。
- 自社で働く際にふさわしい服装・髪型かどうか。
もちろん企業によって様々な規定があるはずですので、自社で働く際にふさわしい服装かどうか確認することが大切です。
待機時や面接中の表情、態度はよいか
グループ面接でほかの学生が話しているときの態度にも注目するとよいでしょう。
▼待機時などでのチェックポイント
- 他の学生が話しているときと学生自身が話しているときの態度や表情にギャップがないか。
気を張っている面接ですが、自分が話しているとき以外はどうしても気が抜けてしまいがち。そのような状況で、学生の素の姿を垣間見ることができるかもしれません。
熱意を感じられるか
面接では、学生がどれだけ熱意をもって面接に臨んでいるか、という点もチェックしたい点です。
▼熱量を測るためのチェックポイント
- 逆質問で積極的に質問をしているか。
- 自社の理念や事業内容などを詳しく知っているか。
- 回答のなかで入社意欲はみられるか。
熱意があるかどうかは、その後入社した際に活躍できるか、また、すぐに辞職しないかどうかにかかわってきます。
採用面接におけるNG質問・NG行動
「良い人を採用したいから、いろんなことを聞きたい…」というのが、採用面接官の本音でしょう。しかし中には「面接で質問することそのものが違法」という質問があります。
以下の項目のような質問は、避けましょう。
採用面接のNG質問
以下は、厚生労働省が公正な採用選考のために配慮すべき事項です。
▼採用選考時に配慮すべき項目
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条などに関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
特にオンライン面接で候補者の家の様子が見えてしまうこともあるかとは思いますが、「部屋広そう/狭そうですね」などと触れないようにしましょう。
他にも、男女によって質問内容を変えることや、プライベートに関わる質問は避けましょう。例えば「結婚する予定はありますか?」「何歳頃まで働くつもりですか?」といった質問などは、男女雇用機会均等法に抵触する可能性が高く、NG質問に当たります。基本的人権の侵害や就活差別につながるおそれもあるため気をつけましょう。
質問で自社に対する心証を損ねてしまうと、最悪の場合訴訟されたり、インターネット上で悪い口コミが出回ったり、様々なリスクがあります。
面接官を従業員に依頼する場合は、面接前にリスク管理の研修を行ったり、質問事項を事前に決定したりすることで、対策を取ることが可能です。
採用面接のNG行動
ここでは、面接官の面接中のNGな行動を解説します。
▼面接官側のNG行動
- 候補者に対して何を質問するのか考えていない
- 候補者の履歴書やエントリーシートが手元にない
- 面接のなかで候補者の疑問に答えられない
- メモやパソコンばかりみて、候補者と目が合わない
- 顔の表情が暗い
- 声が小さい、何を言っているのか聞き取れない
以上のようなNG行動をしてしまうと、候補者に不安を与えて入社をためらう原因となり、志望度が下がってしまう可能性があります。
事前の準備や面接官研修を行い、面接中に適切な行動が取れるように対策しましょう。
オンライン面接で気をつけるべき質問項目
コロナ禍を経て、一般的となったオンライン面接。25卒でも依然としてオンライン面接を活用している企業が多いことが分かっています。
上の画像は、対面面接とオンライン面接の割合を、選考全体と最終面接に分けてそれぞれグラフ化したものです。選考全体の割合を見てみると、対面面接よりもオンライン面接の実施率の方が上回り、65.1%となっています。
このような傾向から、コロナ禍を経た今後もオンライン面接が引き続き実施されるであろうことが予想できます。
そこで、ここからはオンライン面接をする際に気をつけるべき項目についてご紹介していきます。
オンライン面接で最初に確認するべき質問
オンライン面接でも、基本的な面接の流れ、本音を引き出すための質問は対面の面接と変わりません。
しかし、オンライン面接が対面の面接と違う点は、パソコンやスマートフォンといった媒体を通して会話をしている、という点です。そこでオンライン面接が始まって最初に確認したいことは、適切に面接を行える環境かどうかという質問です。
▼オンライン面接で確認するべき質問例
- こちらの映像や音声は届いているでしょうか。
- 音量が聞こえにくい等がありましたら教えてください。
基本的なことですが、面接官側の映像や音声に不具合があると、学生が適切に回答できない可能性があります。面接実施前に回線状況を整えておくことはもちろん、面接開始時にも念のため学生に確認しておきましょう。
また、面接官の回線は良好であるものの、学生側の回線状況が悪く、面接が進まない可能性もあります。そのようなことを防ぐために、事前に回線状況の良い場所で実施するよう伝えるとよいでしょう。
オンライン面接の質問でのNG質問
オンライン面接では学生が自宅から参加する場合が多く、学生がリラックスして臨みやすくなります。その一方で、注意しなくてはならないのは、プライベートに踏み込むような発言・質問です。
対面の面接でももちろん気をつけなくてはならないことですが、学生が自宅から参加する場合、面接官が場を和ませようと部屋について言及してしまう可能性もあります。
▼オンライン面接でのNG質問例
- その場で立ち上がってください。
- 全身を見せてください。
- きれいな部屋ですね。
- もう少し部屋を見せてもらえますか。
以上のような質問は、学生からセクハラだと捉えられかねないため、注意が必要です。
面接官としてのスキルをレベルアップさせる方法
ここでは、採用に貢献できる人材になるためのポイントを解説していきます。
はじめて面接官を担当する方、面接官としてさらにレベルアップしたい方、必見です!
採用CXを意識してみる
応募者目線で対応する「採用CX(キャンディデイトエクスペリエンス/Candidate Experience)」の考え方を意識することをおすすめします。
「採用CX」とは、「応募者体験」という意味で、採用力の向上と自社ファンを増やすための姿勢を大切にすることです。
ご自身の就職活動中を思い出して、好印象を抱いた面接官の良かった点を取り入れてみたり、「この企業の選考に参加して良かった」と思ってもらうために、面接でどういう風に行動すれば良いのかに意識を向けてみると良いでしょう。
採用CXについて詳しく解説している記事はこちらです。
【参考】【解説】採用CXとは?注目されている理由と導入事例を紹介
認知バイアスを調整する
認知バイアスとは、自分の思い込みや価値観によって、無意識のうちに合理的ではない判断をしてしまう心理現象のことです。
無意識のうちに、相手への見方が偏り、面接中に認知バイアスが生じることがあります。
例えば、「自分と共通項が多いと、親近感が湧き好印象を持つ」「高学歴やエントリーシートに記載してある成果をみて優秀だろうと思い込む」「直前に面接をした応募者と能力を比較して見てしまう」といったことが認知バイアスに当てはまります。
面接で生じる認知バイアスを理解しておくことで、面接の見極め精度を高めることができます。
傾聴・承認をする
傾聴と承認は、基本的なコーチングスキルのひとつです。傾聴と承認を行うことで、相手をリラックスさせることができ、特性や人柄を引き出しやすくなります。それぞれの意識したいことについて確認していきます。
①傾聴
傾聴とは、相手の話を丁寧に聞くことです。
面接官が話をしっかり聞いていることが学生に伝われば、学生もリラックスして自分のことを話せるでしょう。
それによって面接官も学生に対する理解が深まります。
▼傾聴で実践したいチェックリスト
- 相手の話に最後まで耳を傾ける
- 相手の話に共感する
- 話を聴いていることを態度で示す(相槌、頷き、相手の目を見る)
②承認
承認とは、相手を肯定することです。
会話のなかで学生を肯定することで、学生の印象をポジティブに捉えていることが伝わります。
それによって、面接官や企業に対する信頼感の上昇、「この企業ではたらきたい」という気持ちを生み出すことにもつながります。
▼承認で実践したいチェックリスト
- 相手の名前を呼ぶ
- 相手の話を踏まえて、相手の人柄を肯定的に伝える (例:あなたは様々なことに努力してきたのですね)
- 褒める
新卒採用だけでなく、転職採用の際にも使いたいスキルですね。
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さいごに
いかがだったでしょうか。
面接ではいかに短い時間で効果的に相手の本質を見抜ける質問をするかが重要になってきます。
採用のミスマッチを減らすためにも、上記のコツやポイントを意識しながら本音を引き出しましょう。