学生の8割以上が内定者研修の実施を求めており、仕事に対する不安、社内の交流、そして社会人としての知識、マインドセットの習得ができるような研修の設計方法を解説しています。
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「内定者研修」とは、内定者が入社までの期間に受ける研修のことです。
入社前研修と呼ばれることもあります。
内定者研修を行う目的は企業によって異なりますが、主に以下3点があげられます。
①会社への理解を深める
②社会人に必要なスキルやマナーを身に着けてもらう
③内定者の不安を解消する
内定が決まった学生は、残りの学生生活を気兼ねなく楽しんでいると思いがちですが、実は入社前研修を望んでいる学生が多いです。
内定者が入社前研修を望む理由について、1つずつ解説していきます。
①入社後の不安を解消したい
②働くにあたって必要なスキルを身に着けたい
③会社で働く社員や内定者とコミュニケーションをとりたい
【出典】株式会社マイナビ「マイナビ 2022年卒 内定者意識調査」
また、「内定者ブルー」といって、志望していた企業から内定をもらったにも関わらず「本当にこの企業でよかったのか?」など不安な思いを持つ学生も多いです。
【参考】株式会社リクルート「リクナビ 就活準備サイト」
志望している企業に内定をもらったとはいえ、不安を感じている学生が多いことがわかります。
入社前に社員とコミュニケーションをとることで、会社の雰囲気を知ったり、身に着けておくべきスキルについて事前に学んだりして、少しでも不安を解消したいという学生が多いのです。
近年、会社選びのポイントが変化しており、自分が成長できるかを重要視して就職先を選択します。
そのため、「入社前に必要なスキルを身に着けて、早く成長したい」という成長意欲のある内定者が多いのです。
会社で一緒に働く社員と話すことで、会社にはどんな人がいるのかを知っておきたいという内定者も多いです。
また、不安や孤独感を解消するために、情報共有をし合えるような同期と事前に繋がっておきたい内定者も多いでしょう。
多くの企業は10月1日に内定式を実施し、翌年4月に入社式を行います。
内定者式と入社式の間の時期は、ほとんどの内定者が入社を決めているため、会社説明会や採用活動を鑑みて、入社前研修は11月〜1月の時期の実施がおすすめです。
また入社前研修を実施する回数は、入社前研修の目的や内容によって異なります。
1回のみの実施で十分な場合もあれば、毎月実施されるところもあるので、入社前研修の内容によって回数は変更するとよいでしょう。
ただ、内定者が集まれる日でないと実施する意味がないので、内定者に向けて事前にアンケートを取って、開催時期や回数を決めるのも良いでしょう。
「入社前研修は何をすれば内定者にとって有益な時間となるのか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
ここからは、入社前研修を内定者にとって意味のある研修にするための設計方法について解説します。
明確な研修の目的やゴールを設定しましょう。
設定する理由としては、目的やゴールによって研修内容が大きく異なることが挙げられます。
例えば、入社前研修の目的を「社員と内定者の距離を縮める」と設定するのであれば、研修内容は、懇親会や座談会を中心としたものになるでしょう。
また、「内定者が働く上で必要なスキルを身に着ける」と設定すれば、研修内容はスキル習得のための勉強会になるかもしれません。
目的やゴールが明確であると、内定者にとっても研修に参加する意味を把握することができ参加しやすくなります。
入社前研修を実施する場合は、現場の声を聞き忘れてはいけません。
内定者が入社後、育成するのはOJT担当者やメンターであり、現場の社員であることが多いからです。
受け入れ先の各部署からヒアリングをして、入社前までに身に着けてほしいスキルやどんな人が活躍しているのかなどを把握する必要があります。
内定者研修の内容がきまったら、スケジュールを組みましょう。
内定者とはいえ学生であるため、簡単に研修に時間を割けない人が多いです。
そのため、あらかじめスケジュールを早く組み、知らせてあげましょう。
内定者研修の実施方法について、ご紹介します。
今は、会社説明会からインターンシップ、選考まで、オンライン形式で研修を行うことが一般的となりました。
そのため、オンラインで行うことに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
オンライン式の研修と対面式の研修、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。
ZOOMやGoogle MeetなどWeb会議サービスを利用して、オンライン上で研修を行う形式です。
内定者研修企業の多くは、オンライン形式を採用しています。
【メリット】
・場所を選ばないので、開催場所から自宅が遠い人でも参加が可能
・時間やコストを削減できる
【デメリット】
・コミュニケーションが取りにくい
・接続環境が悪いとタイムラグが生じる可能性があり、説明が伝わりにくくなる
新型コロナウイルスが落ち着きだした近年、対面式での実施を再開する企業が増加しました。
【メリット】
・コミュニケーションが取りやすい
・説明が伝わりやすくなる
【デメリット】
・内定者は開催場所に来るまでに交通費や時間がかかる
・開催準備に必要なコストや時間がかかる
内定者研修を実施したいけど、どういう形でやったら良いのだろうとお悩みの方もいるかもしれません。
ここではいくつか実施例を紹介するので一緒に見ていきましょう。
まずは社会人の基礎とも言えるビジネスマナーです。
お辞儀の使い分け、能動的な挨拶、正しい名刺交換、ビジネスメールの基本的な形などを身につけることで、仕事での信頼関係を築けやすくなります。
基礎中の基礎なのでしっかり身につけれるようにしましょう。
DX人材育成サービス「MENTER」を提供するWHITEは、大学生を対象としたITリテラシー・PCスキルの実態調査を行いました。
8割以上の大学生がパソコンを所有していますが、約4割の方がパソコンスキルに自信はないという結果になりました。
大学生のうちにタイピングやショートカットキーなどに慣れ、入社前研修でExcel、Word、PowerPointなどのオフィスソフトに力を入れることで、入社後よりスムーズに仕事をすることができます。
自分が所属する企業や業界への理解は現状把握することができ、さらに自分のモチベーションが上がることでまさに一石二鳥です。
入社前だけではなく、入社後モチベーションや目標を見失った時に振り返ることで、自分の現状や目標を再認識し、再設定や方向性をつかむことができるかもしれません。
入社後にビジネスマナー、pcスキルの練習や仕事の基礎トレーニングをインターネットで行うことが可能なので、自分のペースで学習することが可能です。
内定者アルバイトとは、内定者を入社前にアルバイトとして雇用することです。ただし、内定者自身の意思決定が第一優先なので、強制することはできません。
内定者アルバイトのメリットは、内定者の辞退防止、スキルの向上、そして職場の理解が促進されることです。
一方、デメリットは、内定者のスケジュールの圧迫と企業側の負担やコストの増加です。
その他に賃金の支払いや雇用保険、社会保険も必要であり、内定で決まった正社員契約とは別に、アルバイトの契約を新たに結ぶ必要があります。
メリット、デメリットや注意すべき部分などを整理して参考にしてみてください。
初対面の人やまだ慣れていない環境では体と頭を動かすゲームが有効です。
アイスブレイクが目的なら、特定のカテゴリーのお題を声に出さずにジェスチャーで表現してポイントを稼ぐCharades(シャレード)がおすすめです。
チームビルディングが目的なら、制限時間以内にできるだけ高いタワーを建てる
ペーパータワーがおすすめです。
他にもおすすめのビジネスゲームがあるので参考にしてみてください。
【オンライン】5分でできるアイスブレイクネタ32選|大人数にもhttps://enterprise.matcher.jp/recruiting-knowledge/icebreak-online-0
入社前研修を実施する場合、賃金は支払うべきなのかについて解説します。
【参考】厚生労働省「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」
会社の命令により、場所や時間が拘束されている場合は、賃金の支払い義務が生じます。
任意参加で、内定者が不参加の場合でも不利益がない場合は、労働時間とならないため、賃金支払いの義務は生じません。
内定者研修が違法になる例としては
などとなっています。
内定者研修を導入している企業の事例を、内容と目的に分けてみていきましょう。
【内容】短い期間では1日、長い期間では1週間に1日、現地で体験労働を行います。
【目的】業務を経験し、社会人としてのマインドやスキル面での成長を促進、
企業側も内定者の個性を見分けられるため。
【内容】グループワークからeラーニングまでさまざまな研修を行うことができます。
【目的】グループとしてだけではなく、個人として成長でき、入社後の研修コストの軽減、キャリアを早めから準備できる手助けをするため。
【内容】集合研修の場で演習を中心に行うことで同期や先輩社員と関わりを持てます。
【目的】社会に出たばかりの内定者は漠然とした不安があり、それを解消すべく、会社に帰属意識を持ってもらい、安心感を持たせるため。
いかがでしたか?
本記事では入社前研修の必要性、時期、設計方法、そして取り入れるべき内容などについて紹介しました。
本記事を参考に、自社に必要な入社前研修の設計をし、内定者が不安なく入社できるような研修を導入してみてください。