企業が毎年力を入れる新卒採用。採用活動後は翌年度に向けた準備が始まりますが、それにあたって「振り返り」の実施に十分な時間を割けている企業は意外と少ないのではないでしょうか?
多忙なスケジュールの中で、振り返りが後回しになってしまうというのはよくある話ですが、採用活動は「やりっぱなし」では改善されません。むしろ、人材減少や就職活動の早期化などの影響で目まぐるしく市場が変化する昨今では、適切に振り返りを行い、自社の課題を明確にし、今後の採用戦略の精度を格段に上げることが重要になってきます。
本記事では適切な振り返りの進め方やポイント、注意点についてまとめました。今後の採用活動をより良いものにしていくためにも、参考にしていただければ幸いです。
そもそもなぜ振り返りを行う必要があるのでしょうか。改めてその目的について整理してみましょう。振り返りを行う目的は大きく分けて2つあります。
振り返りの大きな目的としてはまず「なぜ上手くいったのか」「何が課題だったのか」をはっきりさせることです。これらを分析することで、実施した施策の何が良かったのか、何がいけなかったのかを明確に把握することができます。
そしてもう一つの目的が、明確になった成功要因・失敗要因を踏まえて翌年度の採用活動をよりよいものにするということです。自社の強みと弱みを明確に把握し、次の採用活動に活かすことが重要です。
さらに、年々就活市場のトレンドは変化します。昨年度の採用活動が上手くいったからといってそのままの方針で次も上手くいくとは限りません。
振り返りで得られた改善点からトレンドを捉え、それに対応できるような施策を積極的に今後の採用活動に取り入れていきましょう。
では、実際に振り返りはどのような手順で進めていけばよいのでしょうか。正しい進め方をステップに分けて説明していきます。
▼新卒採用の振り返りの進め方
まず最初のステップでは、「何を実現したかったのか」「実現に向けてどのような計画を立てていたのか」といったような、前年に立てた採用目標についての再確認を行いましょう。これを行わないことには理想と現実のギャップが見えず、いくらデータを眺めても改善には繋がりません。
確認すべき項目は主に以下の2つです。
また、それぞれの目標の達成に向けてどのような施策を実施していたかの確認も行いましょう。
次のステップでは、それぞれのデータを集めて整理しましょう。
ここでポイントになるのが、「エントリー数」などの定量的なデータだけでなく、「学生からのフィードバック」や「面接者の評価」など定性的なデータも集めるということです。
振り返りにおいて数値的なデータはもちろん重要ですが、会社説明会や面接というのは突き詰めれば人と人のコミュニケーションの場です。したがって、採用フローにおいて学生が感じた自社の印象というのは数値のみでは判断が難しく、定性的なデータが必要不可欠になります。
定性的なデータは以下のような場所から得ることが可能です。
次に、集めたデータの分析を行いましょう。
定量的データから課題点を抽出し、定性的データから要因を特定します。このとき、「何が良かったのか」「どこに課題があったのか」「なぜそうなったのか」という部分までしっかり分析することが重要です。
分析結果を踏まえて、対策の立案を行いましょう。
主に分析するべきデータは以下の通りです。
これらを網羅的に分析し、自社の強み・弱みとしてしっかり把握するとともに、就活市場のトレンドも掴めるとよいでしょう。
採用活動は人事部門だけでなく、現場の協力も不可欠です。
現場社員や面接官との意見交換の場を設け、実際の印象や学生からのフィードバックを共有することで、現実的かつ実行可能な改善案を立てることができます。
STEP3で明確にした採用課題、自社の強みと弱みを踏まえた改善策を翌年度の採用計画に落とし込みましょう。
「何が上手くいったのか/いかなかったのか」→「なぜ上手くいったのか/いかなかったのか」→「どうすれば継続できるのか/改善できるのか」といった流れで確認をしながら翌年度の計画を立てましょう。
ここからは振り返りでどのようなポイントを重視すればよいのかを紹介していきます。
▼振り返りにおいて確認すべきポイント5選
前項でも説明しましたが、振り返りにおける指標として定量的なデータは主に「課題の抽出」において非常に重要になってきます。各フェーズごとに詳細なデータを取り、分析を行うことで、正確なボトルネックの把握に繋げましょう。
説明会での学生の満足度や、面接時の反応は定性的なデータとして重要な指標になります。参加者アンケートや選考中の学生の言動などから、自社のメッセージがどのように受け取られているかを分析することは非常に重要なポイントです。
内定を出して入社した新卒社員が、その後どうなっているかも振り返りにおいて重要なポイントになります。早期退職が起きていないか、配属後に活躍できているかなど、定着率や満足度のチェックは採用活動の「結果」を評価する上で必要不可欠です。
就活サイトを見てみると「即日内定出し」や「最短〇週間で内定」といった文言をよく目にします。短ければ良いというものでもありませんが、「なるべく早く内定が欲しい」というのが学生の本音でしょう。選考プロセスがスムーズだったか、各ステップでの対応にムダがなかったかなど、社内の運営体制も重要な振り返りポイントです。
学生に対して、自社の強みや文化、働き方などが正しく伝わっていたか、その訴求方法(説明会での内容、広告の掲載媒体、使用したスカウトサービス)には効果があったのかどうかも確認しましょう。採用活動においては、ただ「母集団を集める」だけでなく、「企業理解を深めた上でマッチした人材に出会うこと」が非常に重要です。「思っていた会社と違った」といった入社後ギャップは双方にとって大きな損失に繋がります。
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振り返りを行っていたとしても、やり方を間違えてしまうと効果は薄れてしまいます。以下に紹介する注意点を踏まえた上で、正しい振り返りを行いましょう。
▼振り返りにおける3つの注意点
数値分析はもちろん重要ですが、それだけに頼ると現場のリアルな声や学生の感覚を見落としてしまいます。必ず定量的・定性的の両方の観点から振り返りを行うようにしましょう。
仮に前年度の採用が上手くいったとしても、そのまま方針を変えずに翌年度の採用に臨むのは危険と言えるでしょう。就活市場は年々変化していきます。前年通用したことが次の年も通用するとは限りません。実際の進め方でも説明した通り、振り返りはその年の就活市場のトレンドを掴むことにも繋がるので、必ず毎年行うようにしましょう。
振り返りを社内だけで完結しすぎないように注意することも必要です。より視野を広げて、外部との相対評価も考慮に入れるようにすると良いでしょう。
たとえば「応募者数が少ない」と感じていても業界水準よりは高かった、「自社の魅力の訴求方法自体に問題がある」と分析していたとしても実際には他企業のスカウト手法やスピード感の方が学生に支持されていた、といったこともあります。
振り返りの精度を高めるためにも、社内だけでなく社外にもアンテナを張り、市場全体を俯瞰して見ることが重要です。
ここまで、新卒採用の振り返り方やその注意点について解説してきました。本章では、振り返りを効率的に行うポイントについてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
▼振り返りを効率的に行うポイント
「何のために振り返りを行うのか」「何を改善したいのか」をはっきりとさせ、振り返りを行う各個人が明確に意識として持っておくことで、議論がブレることなく具体的な改善策に結びつきやすくなります。
「毎年これくらいの時期に振り返りを行う」というように、ある程度時期を固定して定例化しましょう。
これにより振り返りが習慣化され、社員の振り返りに対する理解度も向上し、より意識を向けるようになります。
「こういうデータを集めてみるといいかもしれない」「このデータは〇〇部門にも共有した方が良いかもしれない」というように、振り返りそのものに対して社員それぞれが工夫をするようになれば、それがひいては振り返りの効率化にも繋がるでしょう。
煩雑なデータの整理や分析においては、ツールを利用することも効率化の観点で非常におすすめです。
採用に関するデータをExcelやスプレッドシートなどでマニュアル管理する場合、分析に時間がかかってしまったり、抜け漏れが発生してしまう可能性があります。
以下に新卒採用に強みを持つツールを3つ紹介します。
▼新卒採用に強みを持つツールを3選
新卒採用領域でシェア1位を誇る採用管理システム。2,100社以上の導入実績があり、「リクナビ」「キャリタス就活」と連携し応募情報や適性検査も一元管理。さらに「OfferBox」「ONE CAREER」ともデータを自動同期。RPOサービスによる業務支援も魅力で、採用成果の実現までしっかり伴走。
【参考】株式会社キャリタス『i-web』
「キャリタス就活」を運営する同社の採用コミュニケーションツール。900社以上が導入し、LINEを活用した母集団形成や採用効率化が強み。QRコードでの簡単エントリーや、学生に合わせた自動リマインド配信で業務負荷を軽減。応募者管理や選考ステータス管理、セグメント配信など機能も充実。
マイナビが提供する新卒採用向け採用管理システム。マイナビ新卒とシームレスに連携し、会員情報やマイページをそのまま活用可能。応募者管理や面接官アサイン、合否管理など採用業務を効率化する機能が充実。スカウト配信や面接代行などのアウトソーシングも強みで、業務負担を軽減したい企業に最適です。
新卒採用は単なる年次ルーチンではありません。市場環境や競合状況は常に変化しており、今年上手くいった施策が翌年も通用する保証はないからです。特に新卒採用は期限が限られているため、振り返りの質が翌年度の成否に直結します。
振り返りの目的は、採用課題の発見と、自社の強み・弱みを正しく把握し、次年度の改善策へ繋げることです。
数字(定量データ)だけでなく、学生の感想や現場社員とのやり取り(定性データ)も丁寧に拾い上げ、両方の視点から分析を行い、以降の採用活動をより良いものにしていきましょう。