一度は聞いたことがある「Z世代」という言葉。
グローバル化やIT化などにより、現在の若者、いわゆるZ世代は昔と異なる価値観を持っていると言われています。
日々新卒採用で、学生と多く触れ合う採用担当者の方の中にも
「面接をしていて価値観が違うなと思うことがしばしばある・・・」
「Z世代の志向・価値観がいまいち分からない・・・」
と感じている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、数十社の新卒採用を支援する弊社の視点から、
などを紹介します。
この記事を読んで、独特な価値観を持つ「Z世代の採用」を成功させましょう!
Z世代という言葉、よく耳にしますが、実際どんな意味を持つのでしょうか。
Z世代とは、1990年代中盤から2015年までに生まれた世代のことを指すと言われています。
欧米で生まれた言葉で、その言葉が日本に広まりました。
日本では「2022年に25歳以下であった人」がZ世代にあたるとされています。
世代が話題に上がる時にしばしば使われる「ゆとり世代」「脱ゆとり世代」といった言葉がありますが、Z世代は「脱ゆとり世代」にあたるとされています。
余談ですが、1960年〜1980年生まれを「X世代」、1981年〜1990年中盤生まれを「Y世代」と呼ぶことがあります。
記事をご覧の方の中にも、このX世代、Y世代に当てはまる方は多いのではないでしょうか。
Z世代に似た「X世代」「Y世代」という言葉があるにも関わらず、なぜ「Z世代」がここまで注目を浴びるようになったのでしょうか。
その理由として「SNS等、WEBサービスの発達」と「少子高齢化」の2つが挙げられます。
1つ目の「WEBサービスの発達」については、InstagramやTwitterなどが発達したことで、商品を購入する基準が変化したことが挙げられます。
以前は「良い商品、ほしい商品」であれば、ある程度売上を伸ばすことができていました。
しかしSNS等のWEBサービスが発達したことにより「映え」「その商品を友達にシェアしたいか」など、若者が商品を購入する際に、新しい価値観が入るようになりました。
逆に言うと、ただ良い商品はZ世代など、若者には売れないのです。
つまり企業は「Z世代に刺さる、Z世代独自のマーケティング」が必要になっているのです。
「他の世代とは違う、独自の価値観を持っている」という点から、Z世代は注目を集めています。
また「少子高齢化」が進み、若者の数が減っているため、数少ないZ世代が注目を集めているという側面もあります。
例えば採用市場においては、どの企業も「若い人を採用したい!」というニーズを持っていながら、若者の人数は減っているため、Z世代の取り合いが発生しています。
人手不足で若手を採用するのが難しくなっている現代だからこそ、Z世代の動向が注目されているのです。
ではZ世代はどんな特徴を持っているのでしょうか。
簡単に紹介すると、以下の4つの特徴を持つと言われています。
下記にて1つずつ具体的に見ていきます。
Z世代は、生まれた時からパソコンや携帯電話、スマートフォンがある生活が当たり前となっています。
そのため、ネットリテラシーが高く、TwitterやInstagramをはじめとしたSNSの扱いにも慣れています。
情報収集や商品の購入にも、SNSなどのWEBサービスを中心に利用する若者が大半です。
逆に、新聞やテレビなど、マスメディアに触れる機会は減少しています。
Z世代がSNSを利用する際の特徴として挙げられるのが、その「承認欲求の強さ」です。
自分がSNSを通じて友人や恋人、フォロワーに情報や自身の考えを発信することにより、その承認欲求を満たしています。
Instagramの「映え」や、Twitterの「リツイート・引用リツイート」、短い動画が投稿できるTikTokは、Z世代の承認欲求の強さを示す最たるものといえるでしょう。
Z世代が生まれたのは1995年以降のため、いわゆる「不況」を幼少期に経験しています。
例えば、リーマンショックは、Z世代が小学生~幼少期の時に発生した不況で、若者の価値観に影響を与えてる可能性が高いです。
このように「生まれた時からずっと不況」という背景もあり、消費に対して前向きではないZ世代の若者が多いと言われています。
例えば、車や家を購入する若者が減少していることは、この最たる例でしょう。
インターネットで世界の情報にアクセスできるようになった結果、世界的な社会問題に興味を持つ人が増えているのもZ世代の特徴です。
例えば「ジェンダー問題」「地球温暖化」「環境破壊」などに関心を持っているZ世代は多いでしょう。
先ほども紹介したように、SNSがZ世代で一般化しているのも、社会問題に興味を持つ若者が増えた1つの要因です。
Twitterの投稿やリツイート、YouTubeのコメント欄等で、社会問題の論争に簡単に参加出来るようになったことで、社会問題がより「自分ごと化」しているのです。
2015年に国連で採択された「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」に興味を持つ学生も多いです。
人種や性別、国籍による差別、格差、貧困、環境問題に興味を持つZ世代が増えているため、環境問題やジェンダー平等、格差の解消などの社会問題に力を入れていない企業は、Z世代から敬遠される可能性があります。
社会問題に興味を持つZ世代が多いことは、Z世代を採用する上で非常に重要です。
新型コロナウイルスの感染拡大は、Z世代の生活にも大きな影響を与えました。
Z世代と言われる現在の大学生と、新卒1〜2年目の若者は、皆コロナ渦での学生生活を余儀なくされました。
そのため、Zoomをはじめとしたオンラインツールや、オンライン宅配サービス、ECサービスを利用する経験を、若い時からしています。
このような経験は、今後Z世代の生活をリモート中心に変化させていく可能性があるでしょう。
また新型コロナウイルスによる経済危機の影響で、若者が企業を選ぶ際に「安定しているか」を重視するようになったとも言われています。
Z世代は「超高速化社会」に慣れ、長い間に耐えることができなくなっていると指摘されることがあります。
動画の倍速視聴や、TikTokなどのshort動画が人気を集めていることがこの最たる例です。
Z世代に何かを発信するときは、長い文章や動画、メッセージでは伝わりません。
端的に短く、結論から伝えることが、Z世代を採用する際に求められているのです。
ではZ世代は企業選びの際に、どの様な点を重視しているのでしょうか。
簡単に紹介すると、以下の4つに絞られます。
1つずつ具体的に見ていきましょう。
Z世代の仕事に対する価値観として挙げられるのが、ワークライフバランスを確保したいという点です。
昭和生まれの社会人は「少し残業が多くても、たくさん働きたい」という価値観が強い傾向にありました。
しかしZ世代は、幼少期を物に囲まれて育ったため
「働いてたくさんの給料を得たい」
「出世したい」
といった思いを持つ人が少なく
「プライベートの時間を大切にしつつ働きたい」
「出世したくない」
という価値観を持つ人が増えています。
「たくさん働かなくても、幸せに生きられる」ことが、Z世代のこの価値観に繋がっていると言えるでしょう。
Z世代には「決まった時間や場所で働くのではなく、自由に働きたい」と考える人が多くいます。
会社に依存しないスキルを身に付けることで、自分の力で生活をしたいという価値観を持っています。
1、のワークライフバランスを重視したいという点と、少し相反するようにもみえますがプライベートの時間を大切にしつつ、必要なスキルを身につけたいという意識が強いのではないでしょうか。
このような点から、Z世代はお金や地位がほしいというよりも、自由を得るためのスキルがほしいという価値観で動いているといえるでしょう。
Z世代は、企業の安定性を重視して就職先を選んでいると言われています。
ある調査では「企業を選ぶ際に重視するポイント」を問われた際「安定性があること」を選ぶ学生が68%と、1位になっています。
【参考】就活生に聞いた「企業を選ぶポイント」 3位は「福利厚生が充実している」、2位と1位は?
このように企業に安定性を求める学生は、非常に多いです。特に新型コロナウイルスによる経済危機は、この動きに拍車をかけたといえるでしょう。
ただし多くのZ世代は「大企業だから安定している」と考えているわけではありません。
大企業でもリストラが一般的になっているため「スキルを身に付けることで、将来的な安定を勝ち取りたい」と考える若者が増えている傾向にあります。
先ほども触れましたがZ世代は、日常的にSNSを使用しています。
この使用目的は、他の世代とは若干異なります。
というのもZ世代はX世代、Y世代と異なりSNSを「コミュニケーションのツール」と捉える傾向にあるのです。
このようなSNSを通じたコミュニケーションを日々行っているZ世代は、企業にも同じことを求める傾向にあります。
SNSのようにオープンに意見を交換できる風通しの良い職場は、Z世代が企業に求めるものとしてとても大きいといえるでしょう。
続いては、Z世代を採用する場合の具体的な手順を紹介していきます。
「Z世代の学生を採用したいけど、年齢が違い過ぎてどうやって戦略を立てたらよいのか分からない・・・」
という方は必見の内容です。
Z世代を採用する場合は、大きく下記の3STEPで行うと良いです。
1つずつ具体的にみていきましょう。
まずは、どんな学生を採用したいのか「求める人物像」を決定しましょう。
求める学生を絞る際は「ハードスキル」と「ソフトスキル」に分けて考えるとよいです。
「ハードスキル」とは、出身の大学・学部や、資格、所属していた部活動、インターンシップ経験などを指します。
「学生時代に営業のインターンシップを行っていた学生を採用する」
「体育会系部活に所属していた学生に積極的にアプローチする」
といった手法は、このハードスキルで学生を絞るやり方といえます。
一方「ソフトスキル」は、論理的思考力やリーダーシップ、主体性などを指すもので、ハードスキルのように「目に見える」スキルではないのが特徴です。
新卒採用を行う皆様の企業では、即戦力を新卒で求めるのではなく、成長するポテンシャルを持った学生を採用するケースが多いでしょう。
ポテンシャルがあるかどうかで採用を決める場合は、ソフトスキルを軸に求める人物像を決定するのがよいです。
例えば「主体性のある学生を採用したい。そのためには学生時代の経験で、主体性がありそうかを見極める必要がある」というように、学生に何を求めるかを明確にしてから面接に臨みましょう。
採用におけるペルソナの設定方法については、下記の記事にも記載してあります。
下記の記事では、採用活動に役立つPDFファイルを無料でダウンロード可能です。
「採用のペルソナ設定で悩んでいる」という方は、ぜひご覧ください。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
ただし、求める人物像を細かく設定しすぎるのは、アプローチできる学生数が減ってしまうため得策とは言えません。
また求める人物像の定義が、社内でバラバラになる可能性も高まるでしょう。
求める人物像を決めたら、その要件を満たす学生に向けて、アプローチを行います。
「他社にはない自社の独自性」を押し出して、学生の興味を惹きつけましょう。
Z世代の学生は、大学3年生の3月から就活をはじめ、大学4年生の6月に就活を終える、というような画一的なスケジュールで就活を行わない人も少なくありません。
そのため自社が求める人物像に合わせて、細かく採用スケジュールを決めることが重要です。
例えば、
といった、求める人物像にあったスケジュールを細かく決めることが重要です。
Z世代の学生に合わせた就活スケジュールの立て方を詳しく知りたい方は、下記の記事を併せてご覧ください。
【参考】【24卒】新卒採用スケジュールの立て方|企業、時期別にご紹介!
スケジュールを決めたら、採用目標を達成するためのKPI、歩留まりの目標数値を決定しましょう。
KPIは「Key Performance Indicators(重要業績評価指標)」の略称で、最終的な目標を達成するための、具体的な指標を表します。
採用における歩留まりは「各選考でどのくらいの割合の候補者が、次の選考ステップに進んだのか」を表したものです。
例えば
「最終的に総合職で10名を採用する」
という目標を決めたとします。
最終的な目標が決まったら、10名を採用するという目標から逆算して、各選考ステップの目標数値を決めます。
具体的には、
「これまでのデータを見ると、最終選考の合格率は10%くらいだから、100名の学生が最終選考に来てくれれば目標数値を達成できる」
「1次選考の合格率は50%なので、100名の学生が最終選考に残るためには、200人の学生に1次選考を受けてもらう必要がある」
という流れで、各選考ステップのKPIを決定しましょう。
KPIを細かく決定しておくことで、
「1次選考を受ける学生数が少ないのは、そもそもの母集団形成が上手くいっていないからだ」というように、採用のどこに課題があり、どのようにアプローチすべきなのかが明確に見えるようになります。
歩留まりの考え方は、このような自社の採用課題を発見するために、非常に重要です。
下記の記事で、採用の歩留まりについては詳しく紹介したので、興味のある方はご覧ください。
採用に役立つ「採用歩留まりの改善シート」も無料でダウンロード可能です。
【参考】分析方法を徹底解説!採用歩留まりが低下しやすい項目と9つの改善策
Z世代の学生に好まれる会社組織は、どのように作ればよいのでしょうか。
ここではZ世代が好む会社組織について、紹介していきます。
詳しく紹介する前に、概要だけみておきましょう。
1つずつ具体的に見ていきます。
Z世代は、多様な価値観を持っています。
例えば、
「通勤時間をなるべく減らして、家にいる時間を増やしたい」
「自由な時間に働きたい」
「副業をして、少しでも収入を増やしたい」
など、求めることは様々です。
業務上、難しいケースもあるとは思いますが
などは、導入を検討してみると、よりZ世代の興味を惹きやすくなるでしょう。
先述したように、Z世代は環境や貧困、ジェンダー問題をはじめとした社会貢献性を重視している傾向にあります。
このような社会貢献意欲が高いZ世代は、企業の「社会貢献性」を重視します。
CSR活動(企業の社会的責任)やSDGsに向けた取り組みを積極的に行い、アピールすることで、Z世代の興味・関心を惹きやすくなるでしょう。
新卒入社後3年以内の離職率が、約30%と言われる現代において、入社後の教育システムは非常に重要です。
Z世代の若者を教育・マネジメントする場合は、以下のポイントを抑えておくとよいでしょう。
Z世代は、自ら進んで業務を行おうとする主体性が欠ける傾向にあります。
質問を行うことで、主体性が欠けている人でも、自身の意見や思いを言いやすくなるでしょう。
「自分で物事を考える」という意識を根付かせるためにも、質問は重要です。
Z世代は「インスタ映え」に代表されるように、他者からの評価を非常に気にします。
そのようなZ世代に有効なのが「入社を歓迎している」ことを、徹底的にアピールすることです。
例えば、
などは、Z世代に刺さる施策といえるでしょう。
先述したように、Z世代は生まれた時からデジタル機器に囲まれている「デジタルネイティブ」です。
デジタル機器の使用が当たり前になっているZ世代は、IT化が進んでいない企業に対して「古い体質の企業」と判断し、敬遠してしまう可能性があります。
場合によっては、古い体質がゆえに、ハラスメントや長時間残業が恒常化しているのでは?という疑念を抱かれてしまうでしょう。
IT化をどこまで進めるかは、業界・事業によっても異なりますが、できる限りIT化に対応することは、Z世代の採用において非常に重要です。
いかがだったでしょうか。
今回はZ世代の採用方法について、詳しく紹介してきました。
Z世代の採用を成功させるためには、その特性を知り、効果的に採用を行うことが重要です。
本記事を読んで、Z世代の採用を成功させましょう!