「思うように学生を集客できなかった」「選考を途中辞退した学生が多かった」「内定辞退を受けて採用目標人数に達せられなかった」など、自社の求める人材を採用することができなかった経験はありませんか?
近年、売り手市場が続いている中、新卒採用における母集団形成が年々難しくなっているのが現状です。
自社が求める人材を確保するためには、採用市場を拡大していくことが必要になってきます。
そうした中、注目を集めているのが、「地方学生にアプローチすること」です。
本記事では、
地方の大学に通う大学生の就職活動は、主要都市の学生と比較し、どのような特徴があるのでしょうか? 以下で詳しく見ていきます。
都内で就職活動を行う地方学生は、交通費や滞在費などでの出費が多くなります。
説明会や選考のオンライン化が進んでいる今でも、就職活動費用は地域間で約1〜4万円の差があるのが現状です。
また、金銭だけではなく、移動に伴う時間のロスも生まれます。
慣れない土地での就職活動という精神的負担も多くかかり、都内の大学生より就職活動にかかるコストが大きくなります。
そのため「とりあえず色々な企業説明会に行ってみよう」というフットワークの軽さを持ちにくいです。
地方学生は、都内の学生と比べて企業との接触機会が減ってしまう傾向があります。
ネットワークの発達により昔と比較すると情報格差は縮まっているものの、実際に会社に出向くことで知ることのできる情報などに対して地方学生は手が届きにくいことが現状です。
志望する会社に在籍する大学のOB・OGが少ない場合もあり、企業選考に際したノウハウを得られる確率が低くなります。
情報格差の影響により、地方学生は都内学生と比較し得られる選択肢が少なくなる傾向にあります。
地方学生は時間や費用の制約があるため、多くの選択肢を持てず、志望業界を絞ってから応募する傾向があります。
公益社団法人全国求人情報協会の就職活動の実態に関する調査によると、学生のプレエントリー社数が、関東は22.6社なのに対して、北海道・東北は8.0社、九州は11.0社と少ないです。
地方の学生は企業選びに慎重で、かつ企業接触が少ないことが分かります。
そのため、企業は地方の優秀な学生との出会いが少なくなり、一方で地方学生は選択肢が限られてしまい就職活動に納得できない、という悪循環が起こっているのです。
【引用】
公益社団法人全国求人情報協会 就職活動の実態に関する調査(23年卒)
採用市場の拡大を目指す上で、地方学生の採用に力を入れるメリットは何でしょうか? 以下で具体的に紹介します。
アプローチ対象を拡大することで、求める人物像に近い学生と出会える可能性が高まります。
地方学生は、時間や費用の制約があるため、かなり絞り込んだ状態で都内にある企業の説明会に参加したり、選考を受けたりする場合が多いです。
そのため、都内で地方学生と出会うには、学生の志望度をかなり高める必要があり、人数も限られてしまいます。
そこで、自社が地方に赴くことにより、地方ならではの経験を積んだ学生や、特殊な学部で勉強している学生など、今まで出会えなかった学生との接点を持てます。
都内の学生と比べて、地方学生の採用競争率は低いです。
前述の通り、地方学生のプレエントリー社数は、都市部の学生の半分以下です。
また、説明会や選考のオンライン化が進み、従来よりは地方学生の選考参加が簡単になっている一方で、地方学生採用に力を入れている企業はまだ少ないです。
そのため都内の学生と比べて、地方学生の採用競争率は低いです。
数ある企業の中から自社の魅力を十分に伝えることが難しいと感じている場合は、地方での採用活動を視野に入れましょう。
地方での採用活動に力を入れることで、「採用活動に真摯に取り組んでいる企業」、「地方学生の就職活動に協力的な企業」という採用ブランディングに繋がります。
今までアプローチできていなかった学生にも接触することができ、自社の名前をより多くの学生に知ってもらう機会が増えます。
また、地方採用に力を入れている企業はそれぞれ独自のやり方で採用活動を行っているため、イベントや選考会の内容にそれぞれの企業ならではの独自性が加わります。
このように、 自社ブランディングへの効果が期待できる
でしょう。【参考】採用ブランディングを成功させるための5ステップを事例とともに解説
地方学生の採用を行う前に、リスクと対策を考えておく必要があります。
以下の懸念点をどのようにしてクリアするのかが重要です。
地方学生が都市部に来るためにかかる交通費や宿泊費などを、自社が負担する形になります。
採用担当者が少ない企業や、他の業務を兼任している担当者の多い企業の場合は、できるだけ採用にかかる工数を抑えたいところです。
地方学生の採用を行うことで、自社が抱える課題をクリアできるのか、地方学生の採用にかかるコストは問題ないかなど、採用計画全体を見直した上で判断しましょう。
地方学生すべてが都市部で働くことを求めているわけではありません。
株式会社マイナビの調べによると、地元で就職を希望する学生は6割以上で、年々増加しています。
地元で就職したいと考えている学生に自社を知ってもらい、志望度を高めてもらうために何ができるかを検討する必要があります。
地方学生の採用を強化することで、もちろん今までに出会えなかった学生層と出会える可能性は高くなりますが、必ずしも自社の求める人材の採用に繋がるかどうかは分かりません。
地方採用に本格的に力を入れる前に、「どのような学生がいるのか」、「自社にフィットする人材はどのような場所にいる傾向があるのか」などを調べてみましょう。
もし今までに採用した新卒社員の中で、同じ地方の出身が多いなどの傾向が見られる場合は地域を絞って重点的に採用活動を行っても良いでしょう。
引用:株式会社マイナビ 大学生Uターン・地元就職に関する調査(24卒)
具体的に地方学生を採用していくには、どのようにすれば良いのでしょうか? 地方学生採用を行う際に活用できる主な手法と便利な媒体をご紹介します。
学内セミナーは、ナビ媒体掲載などの主な母集団形成の手法のなかでも比較的費用がかからないという特徴があります。
そのため、地方に行くための移動費がかかっても、大きな損失にはなりません。
しかし、地方大学の知名度により、参加する企業数も異なります。
有名な地方大学では優秀な学生の多さを見込んで多くの企業が学内セミナーを開催し、競争率も高くなるため、自社の求める人材を確保できない可能性があります。
地方大学で学内セミナーを行う時は、自社の魅力をより上手にアピールできる環境選びが大切です。
実際に現地へ赴かなくても、Web通話サービスなどを利用して、オンラインで選考を行うことが可能です。
オンラインで会話をする面接方式の他にも、事前に学生が録画した動画を元に選考をする「録画選考」があります。
移動工数がかからない点、日程が調整しやすい点がメリットです。
一方で、対面でないと伝わりきらないこともあるかもしれません。
最終面接だけは本社に来てもらうなど、選考段階によってオンラインと対面を使い分けをしましょう。
オンラインでの面接に何らかの懸念がある場合や、実際に学生と対面して選考を行いたい場合などは、現地選考会を行いましょう。
地方学生の慣れた土地で対話することにより、緊張することもなく、より学生のリアルな部分に触れられる可能性があります。
しかし、実際に現地で選考会を開催したとしても、参加してくれる学生が少なければ求める人材と出会える可能性も低くなってしまいます。
選考会をする前に、学内セミナーなどで地方の学生と接触し、自社の需要を確認しましょう。
移動コストを考え、1日で応募から内定まで済ませる大胆な選考方法です。
懸念点として、選考のクオリティを担保するためには面接の技術が高くなければ難しいこと、慎重な判断がしにくいことが挙げられます。
1日完結型選考を行う場合は、明確な採用要件を設定し、面接官との擦り合わせも綿密に行いましょう。
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「ダイレクトリクルーティング」とは、企業が学生に直接アプローチする採用手法です。
学生の住んでいる「地域」「都道府県」といった所在地を指定して、学生に声をかけることができます。
また、所在地に加えて、「学歴」「経験」「スキル」「価値観」などの採用要件を満たす学生に絞れば、自社にフィットした学生に効率よく会うことができます。
ただし、地方の優秀な学生はたくさんのスカウトを受け取っています。
そのため、スカウトを送るときは、タイトルや内容で自社の魅力をしっかり伝えることが必要です。
【参考】【新卒】ダイレクトリクルーティング厳選20サービスを徹底比較
地方学生に特化した人材紹介やナビ媒体など、地方学生と接触しやすいサービスがあります。
地方学生に特化しているため、「せっかく現地に行ったのに求める人材と出会えなかった」という状況を回避できます。
地方で開催する説明会や選考会への集客など、母集団形成のために活用していきましょう。
ただし、サービスの利用費がかかるため、自社に必要かどうかの判断は必要です。
また、求める地方学生がどのくらいいるのかについてはサービス提供業者に確認しましょう。
・「ジョーカツ」(運営企業:株式会社ナイモノ)
・「ちほりけ」(運営企業:株式会社ネオキャリア)
・「じもナビ」(運営企業:株式会社クオリティ・オブ・ライフ)
実際に地方学生の採用に尽力している企業を紹介します。
サイバーエージェントでは、地方就活生が抱える格差問題を解決するために、地方学生の採用に力を入れており、年々地方内定者が増えています。
具体的な取り組みは以下の通りです。
サイバーエージェント社員と直接会える機会を提供するオフラインのイベント。
IT業界で働くことについて、様々なテーマで知識を深めることができる無料セミナー。
移動時間と費用を削減するため、一次~三次選考を半日で実施する選考会。 四次選考以降の東京までの交通費は全額負担。
常にオンライン、オフラインの面接枠を用意し、希望に応じて選択可能にする。
イベントに参加した学生が、その後も繋がれるようにFacebookグループを活用したコミュニティを開設。
このように、金銭的・時間的な理由による機会ロスや情報格差を減らし、地方就活生が抱える格差問題の解決に向けた一歩を踏み出しています。
「超!全力採用」では、就職活動において不利とされる地方在住の学生などをサポートする選考プロセスを行っています。
具体的には、
希望する学生を対象に最終選考まですべての面接をスマートフォンで受けられる。
面接官が地方に訪れ最終選考まで行う。
などを実施し、地方在住の就活生を手厚くサポートしています。
地方学生の採用を成功させるためのポイントを5つにまとめました。
選考を短縮することで、地方学生の就職活動のネックである金銭的・時間的負担を軽減することができます。
具体的には、現地選考会や1日完結型選考、またインターン優遇の強化など、選考方法を工夫することで地方学生の選考参加のハードルを下げることができます。
SNSで自社の魅力をアピールすることで、企業の認知度を高められ、地方学生を含めるより多くの学生からの応募が期待できます。
株式会社No Companyの調査によると、近年、約6割の学生がsns(x:旧Twitter・YouTube・Instagramなど)で企業情報を収集しています。
選考情報に加えて、社内の雰囲気など企業のリアルを知りたい学生が多いです。
就活生の情報ニーズは時系列で変化していくため、就活生のフェーズに合わせてSNSで発信する内容を変えることで志望度や入社意欲を高めることができるでしょう。
引用:株式会社No Company 『Z世代就活生のSNS活用に関する実態調査(2023年)』
採用にSNSの導入を検討している方々に向けて、「各SNS媒体の特徴」や「SNS採用の成功例」などの活用ノウハウを分かりやすくまとめました。
ぜひ1度確認してみてください。
【参考】【最新版】SNS採用を成功に導く!6つのポイントと成功事例を紹介
冒頭で説明した通り、金銭的・時間的な負担が地方学生の応募ハードルをあげています。
そこで、オンラインでの企業説明会やWeb面接を導入して、地方の学生にも気軽に参加してもらえる環境を整えましょう。
オンライン説明会やWeb面接を成功させるコツについては以下の記事で説明しています。
【参考】【企業向け】オンライン説明会とは?集客方法から開催方法まで解説
【参考】【結局どっちがいいの?Web面接&対面のメリット/デメリットを比較】
地方の就活生にとって、都内で選考を受けるためにかかる交通費や宿泊費などの負担はかなり大きいものです。
そこで、それらにかかる費用を一部支給する企業も出てきています。
マイナビの調べによると、応募した企業から内々定をもらう前に交通費や宿泊費を支給されたことがある学生は6割近くいます。
支給された機会は、最終面接やインターンシップなどの時に支給されることがほとんどで、支給金額合計の平均は約4万円、1社あたりの金額の平均は約1.6万円でした。
また、下記の図を参照すると、支給金額は学生の在住地区によって大きな差があることが分かります。
特に、関東地区の学生の支給金額合計平均が約2万円である一方、その他地区(関東、東海、関西以外)の学生は約6.5万円と、3倍以上の差があることが分かります。
このような工夫により、遠方から来る学生の負担を減らし応募の母集団を増やしたり、途中選考の辞退率を下げたりすることにつながるでしょう。
地方学生は、就職だけでなく東京への移住に対する心配も持っています。
さらに、故郷を離れることに家族が反対することも多いです。
そこで、地方学生に対する内定後のサポートは丁寧に行いましょう。
サポート方法としては、地方出身の社員との対話・交流や、内定者の家族にパンフレット・社内報を送ることが特におすすめです。
学生が抱える懸念を解消して内定の辞退を防ぐ方法は、次の記事で詳しく説明しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
【参考】【事例あり】内定者フォローを成功させるために有効な方法とは?
【参考】内定辞退を防ぐには?辞退の理由とすぐにできる13の対策を紹介!
先程、地方学生の採用手法の一つとしてダイレクトリクルーティングをご紹介しました。
「自社が求める人材に直接アプローチしたい。」
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そんな方におすすめのサービスがMatcher Scoutです。
Matcher Scoutの特徴は以下の通りです。
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実際にMatcher Scoutサービスを利用し、地方学生の採用に成功した企業例を紹介しています。
ぜひ、こちらも参照してください。
いかがでしたか。
地方までアプローチ対象を拡大すれば、自社にマッチした人材を採用できる確率が高くなります。
地方にもポテンシャルのある学生はたくさん存在するはずです。
地方学生の採用に力を入れることで、学生の情報格差や負担するコストの多さなどによる機会損失をなくしながら、自社の求める人材を見つけることができます。
自社にとって納得の行く採用活動を進めていきましょう。
ぜひ今回紹介した手法や事例を参考にして、地方学生の採用を検討してみてください。