内定式はただの行事ではなく、学生の入社モチベーションを高めたり、企業理解を深める絶好の機会です。
そこで、学生が参加して良かったと思える内定式を開催するには何をすればいいのでしょうか?
本記事では内定式の計画〜開催までの流れや、当日のスケジュール例などをご紹介します。
内定式とは、内々定を通知した学生に対して、正式に内定を伝える式典のことです。
内定式は、社長や役員と内定者が初めて顔を合わせる場所であり、入って良かったと良い印象を持ってもらうためにも入念な準備が不可欠です。
就活の早期化に伴い、内々定式の実施が増加しています。
内々定とは、正式な採用通知に先立って、非公式の採用予定通知を出すことをいい、内々定式では内々定を受け取った学生の交流や内定辞退を防ぐ目的で開催されます。
ただし、内定式と異なり正式に内定を通知するものではなく、内定者フォローの一環で開催されているようです。
経団連の「採用選考に関する指針」で「正式な内定日は、卒業修了年度の10月1日以降」と決められています。
このような背景で、正式に内定したことを認められる10月1日以降に内定式を実施する流れができました。
ただし、内定式の実施日に明確な規定はないため、企業によってはそれ以前の日程で開催することもあります。
【参考】マイナビ キャリアリサーチLab『2024年卒大学生活動実態調査 (10月中旬)』
内定式が開催された日程は、24年卒は10月2日が54.7%、23卒は10月3日が53.3%でした。24卒も23卒も、10月1日が土日であったため、半数以上の企業が平日である月曜日にずらして開催していたことが読み取れます。
25卒の場合、2024年10月1日は火曜日であるため、1日に開催する企業が多くなることが予想できます。
新型コロナウイルスの影響で21年卒以降の内定式はオンラインでの開催が余儀なくされていました。
【参考】マイナビ キャリアリサーチLab『2024年卒大学生活動実態調査 (10月中旬)』
一方で、新型コロナウイルスが第5類に移行した24年卒では「直接対面形式で実施され、全員集まって参加した」内定式が79.3%でした。
オンラインと対面のハイブリッド形式は4.6%、オンラインのみは12.5%と、一定数のオンライン開催も継続しているようですが、22卒以降年々減少しています。
内定式は、1〜2時間程度の内容で開催されることが多いです。内定式後には、基本的に内定者懇親会や食事会などが行われます。
午前開催の場合は10:00〜12:00で内定式を行い、ランチを懇親会に、午後開催の場合は16:00〜18:00で内定式を行い、ディナーを懇親会にする場合が多いです。
以下では、内定式のプログラム例と内容をご紹介していきます。
内定式の最も重要な内容の1つに内定証書授与があります。
対面の場合は社長や役員から代表者に手渡す形式が一般的です。
オンライン開催の場合はメールで配信したり、内定者の自宅に送付するケースが多いです。
内定式では、社長や取締役が登壇し、企業の方針やビジョンを話すことが一般的です。
内定式から入社までのスケジュールや必要な提出物を説明します。
企業によっては内定者に対して入社前に課題を出す場合もあります。
事業内容や業務内容を説明することも効果的です。
実際の業務内容を紹介することで、働くイメージを持ってもらえます。
内定式では多くの企業が内定者の自己紹介のコーナーを設けています。
これは内定者同士の交流を深める目的で行われます。
内定式の案内に事前にどのような自己紹介をするべきなのかを通知しておくと、内定者がスムーズに準備できるでしょう。
また、交流を深める目的でグループワークやワークショップを行うことも効果的です。
内定式後には食事会などの懇親会がセットされるのが一般的です。
場合によっては先輩社員が同席し、縦のつながりを強めることを目指す場合もあります。
内定式の実施にはどのような準備が必要なのでしょうか?
ここでは、行うべき準備内容について詳しく解説します。
経団連が定めた就活ルールに則り、内定解禁日である10月1日に内定式を行う企業が多いです。
特別な事情がない限り、10月頃に内定式を開催しましょう。
一方で厳格な決まりが設けられているわけではないため、会社によっては全く異なる時期に内定式を開催する場合もあります。
新卒一括採用だけではなく、通年採用も主流となってきている現在、内々定出しを夏に行わない会社もあると思います。
内定出しから入社までの期間で内定者のモチベーションを下げないためには、定期的な連絡やイベントの開催が必須です。
採用フローを見ながら、自社に合った内定式の時期を決定しましょう。
開催時期を決めたら、次に「いつ」、「何時から」内定式を行うのかを決めていきます。
基本的に内定式は、午前開催か午後開催の2つに分けられます。
午前開催の場合は、10:00から内定式を行い、お昼解散を目安にプログラムを立てます。
拘束時間が短いため、内定者は午後からゼミやアルバイトなど別の予定を入れられ、社員は仕事の予定を入れることが可能です。
午後開催の場合は、13:00から内定式を行い、その後にグループワークや研修、社内見学などの時間を設けることができます。
夜には懇親会を行い、内定者同士や社員との交流を図れます。
それでは次に、当日のプログラムを決めていきましょう。
内定式では、内定通知書授与や社長からの挨拶などを行いますが詳しい流れはページ後方にある「内定式当日の流れ」でお伝えします。
コミュニケーションを活性化させて内定者の不安を払拭したいなどの目的意識を強く持っている場合は、学生が楽しめるイベントを企画すると良いでしょう。
計画した企画に合わせて、会場の予約や必要な物資の用意を行いましょう。
開催日時や内容が決まったら、内定者や参加予定の社員などへ連絡を行いましょう。
アルバイトのシフト提出やゼミの予定などが入ってしまう可能性があるため、内定者への日程連絡は遅くても1ヶ月前までに連絡すると良いです。
また、内定者へ連絡する際は、服装の指定なども忘れないようにしましょう。
対面で内定式を行う際は内定証書の準備が必要です。
様式に決まりはないため企業で自由に作成できます。
基本的には表彰状のような材質の厚めの用紙が利用されます。
(参考:賞状サイズA4:210×297mm A4(大):218×308mm B4(大):273×379mm)
内定証書に記載されることが多い内容は以下の通りです
内定式を計画する前に、なぜ内定式を行うのかという目的を把握する必要があります。
下記の目的を達成できるようなプログラムの作成を意識しましょう。
内定式では、内定通知書の授与などが行われます。
このような儀式的なプロセスがあることによって、学生は入社する実感を得るでしょう。
近年は複数の内定先に内定承諾をし、後から辞退する会社を決める学生もいます。
内定式で入社意志の最終確認を行い、意欲が弱まっている内定者に対しては別個で面談を行うなどのフォローをしましょう。
内定式は、内定者同士や社員との交流を深める初めての機会となります。
内定者の中には、「本当に自分に合っている企業なのだろうか」「社員や同期の中に馴染めるだろうか」と不安を抱え、内定ブルーになっている学生もいるかもしれません。
内定式でこれから一緒に働く人たちとコミュニケーションを取る機会を設け、学生の心配を払拭しましょう。
内定式を開催する際は、内定式後にグループワークや研修、懇親会などを行う場合もあります。
内定者が課題に対してどのように解決していくのか、また、社員や他内定者との振る舞いなどの様子を見ながら、配属先を決める参考にすることも可能です。
せっかく内定式を企画するなら他社と被らないユニークな企画を行いたいと思う方も多いでしょう。
ここでは、対面とオンラインの2つの実施形態別に行われた面白い事例を紹介します。
参加者に楽しいと思わせられる内定式を行えば、自然と入社へのモチベーションも高まります。
以下では自社の理念や事業内容を対面で魅力的に伝えることに成功した企業独自の事例を3つご紹介します。
昭和産業株式会社では、会社や商品への理解を深めるため、内定式で天ぷらを揚げる「体験型内定式天ぷら研修」を行っています。
「社員になれる喜びと同時に身の引き締まる思いがしました」「このおいしさや味わいをより多くの人に届けたいと心から思いました」などの感想があり、内定者の業務へのモチベーションアップに繋がっています。
キリン堂グループでは「一人ひとりが主役」というコンセプトで、内定者一人ひとりがランウェイのようにステージを歩く内定式を行っています。
「『人』を中心とした経営」という考えに基づき、採用活動時から情報発信などにもこだわりを見せています。
インビジョン株式会社では、内定者に企業文化に触れてもらうことを目的として閉校した学校に宿泊する内定式を行っています。
「『入社後も仲良くやっていけそうだな』って、安心感があった」「一人一人を大切にしてくれてるのが伝わった」などの感想があり、交流を深め、入社意欲を高められています。
オンラインで内定式を行う場合、対面とは違う企画で行った方が効果的です。
ここでは実際に行われたオンライン内定式の事例を紹介します。
株式会社アウトソーシングテクノロジーでは、代表者からのメッセージをオンライン上で話す内定式の後に、謎解きや先輩社員のトークなどがあるオンライン懇親会が行われました。
参加者からは「社会に出る感覚のイメージができました」「本当にここで働くんだなという実感が生まれました」などの声が寄せられています。
株式会社ファイバーゲートでは、プレゼンテーション形式の内定者自己紹介や代表取締役の挨拶などが含まれた内定式をオンラインで行いました。
内定証書はオンラインで授与を行い、後日正式な内定証書を郵送したとのことです。
内定者からは「刺激の多い1日で、さらに多くの方と関わる事ができて本当に楽しかった」「やはり実際に内定証書を書面として手に取ると嬉しい」という感想がありました。
オンラインの内定者や社員を大型スクリーンに映し出し、オンラインながら同期と一同に会すような一体感を演出した内定式を行っています。
また、内定式はブレークアウトセッション機能を利用した内定者自己紹介、内定者の決意表明を行うことで社会人になることを意識できるような工夫を行っています。
内定者からは「歓迎感を強く感じ、まるで家族に迎え入れて貰うような、心温まる式だった。」「オンラインの内定式ということで始まる前はここまで熱く、素敵な式になるとは、正直思っていなかった」などの感想がありました。
内定式を行う場合、「会社側からの話がほとんどで、内定者側は何時間も黙って聞かなければいけない」という状況に陥りがちです。
これでは入社へのモチベーションをあげたり、会社の一員であることを意識づけたりするのは難しいですよね。
以下でご紹介する内定式を成功させるための秘訣を参考にしてみてください。
なぜ内定式を行うのかという目的意識が漠然としていると内定者にとっても会社側にとってもメリットのないものになってしまいます。
こちらは上述した内定式を開催する主な目的です。
自社が内定式を行う理由は何か、参加後の内定者にどのような状態になっていて欲しいのかなどを事前に決め、それをベースに進めていきましょう。
これから入社する会社の内定式がグダグダだったら、内定者は「本当にこの会社に入って大丈夫なのか?」と不安になりますよね。
スムーズに内定式を執り行えるように、事前にリハーサルなどをしておくと良いでしょう。
会社のビジョンや今後の経営方針について、入社後に期待することなどを熱く語っていると、どんどんと話が長くなってしまいがちです。
最初の方は熱心に聞いていたとしても、だんだんと集中できなくなってくる内定者も出てきます。
特にオンラインで長時間話を聞いていると、疲れてしまいます。
話が冗長にならないように、当日の登壇者にも共有しておきましょう。
より良い内定式を作るためには、内定式の感想を集めて内容をブラッシュアップしていく必要があります。
「どんなところが良かったか」「どこがいまいちだったか」「時間はちょうど良かったか」「社員や内定者と交流できたか」などの項目で、内定式参加者にアンケートを取りましょう。
アンケートの結果から、改善すべき点や意識するべきポイントを見つけ出し、次年度の内定式に活かしましょう。
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いかがでしたか。
内定式に参加する内定者は、まだ自社への入社を決め切れていない、内定者ブルーになっている可能性があります。
「この会社に決めて良かった」「これから働くことが楽しみ」と思ってもらえるような内定式を開催できるように準備していきましょう。