内定式はただの行事ではなく、学生の入社モチベーションを高めたり、企業理解を深める絶好の機会です。
学生が参加して良かったと思える内定式を開催するには何をすればいいのでしょうか?
本記事では内定式の計画〜開催までの流れや、当日のスケジュール例などをご紹介します。
内定式とは、企業が内々定を通知した学生に対して内定通知を渡し、正式に内定を伝える式典のことです。
内定式は社長や役員と内定者が初めて顔を合わせる場所であり、入って良かったと良い印象を持ってもらうためにも入念な準備が不可欠です。
企業側が内定式を開催する主な目的は、以下の5つです。
▼企業が内定式を開催する目的
内々定の通知が開始される6月から、実際に入社する4月まで半年以上の期間が空きます。その間に内定式を開催することで、入社までのモチベーション維持や、社会人としての意識醸成が期待できます。
内定式と内々定式の違いは、開催される時期にあります。経団連が定めた内定解禁日である10月1日以降に式典を行う場合は「内定式」、9月30日以前に行う場合は「内々定式」と呼びます。
▼内定式と内々定式の違い
そもそも内々定とは、正式な採用通知に先立って非公式に採用予定通知を出すことを意味します。内々定出しの開始時期は、6月1日以降が一般的です。企業によっては春ごろやそれ以前から内々定を出す場合もあります。
マイナビが25年卒学生に実施した調査によると、10月中旬までに内定承諾の意思決定を企業に伝えている割合は90.0%でした。内定承諾の意思決定後に開催される内定式は入社に向けてのモチベーション維持が目的であるのに対し、内々定式では内定承諾を促すことが目的とされる場合が多いです。
【参考】マイナビ『 2025年卒 大学生 活動実態調査 (10月中旬)』
内定式と入社式は、開催する目的とタイミングが異なります。
▼内定式と入社式の違い
一般的な新卒採用の場合、大学/大学院最終学年の10月ごろに内定式を行い、翌年の4月ごろに入社式を行います。
内定式は、内定解禁日である10月1日以降に開催されることが多いです。
政府は経団連に対して、就活が学生の学業生活に影響しないために以下のような就活・採用活動日程ルールを要請しています。
▼就職・採用活動日程ルール
【参考】内閣官房内閣審議官、文部科学省高等教育局長、厚生労働省人材開発統括官、経済産業省経済産業政策局長『2025(令和7)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について』
就活みらい研究所が実施した学生アンケート調査によると、10月以降に内定式を実施する企業は全体の90.7%です。そのうち内定解禁日である10月1日に内定式を開催する企業は69.6%と、半数以上でした。
一般的な企業は10月1日以前に学生に対して内々定を通知しており、内定解禁日である10月1日に開催する内定式で公式に内定を認める流れとなっています。
2025年卒では、対面で内定式を開催する企業が90.1%でした。
オンライン上での開催を予定している企業も8.3%ありますが、ほとんどの企業の内定式は対面で実施されているのが分かります。
内定式は、内定期間中の不安を払拭し、入社に対するモチベーションを維持させる内定者フォローの一環として行われます。そのため、他の内定者や社員とのコミュニケーションが取りやすい対面での内定式開催が主流になっているのだと考えられるでしょう。
内定式は、1〜2時間程度の内容で開催されることが多いです。内定式後には、基本的に内定者懇親会や食事会などが行われます。
午前開催の場合は10:00〜12:00で内定式を行い、ランチを懇親会に、午後開催の場合は16:00〜18:00で内定式を行い、ディナーを懇親会にする場合が多いです。
▼内定式のプログラム例
以下では、内定式の各プログラムの内容をご紹介していきます。
内定式では、社長や取締役が登壇し、企業の方針やビジョンを話すことが一般的です。
内定式の最も重要な内容の1つに内定証書授与があります。
対面の場合は社長や役員から代表者に手渡す形式が一般的です。オンライン開催の場合はメールで配信したり、内定者の自宅に送付するケースが多いです。
事前に社員に依頼をし、これまでの社員生活についてや、新入社員に伝えたいこと、期待することなどを話てもらいます。
内定者に身近な存在である入社1年目の社員や、社内でめざましく活躍している社員などに挨拶を依頼すると内定者のモチベーションアップにつながりやすいです。
事前に選出した内定者代表に、自社を志望した背景や、同期に対する思い、今後の意気込みなどを語ってもらいます。
内定者代表は、全体で1人を選出する場合や、各採用職種ごとに代表を選出する場合もあります。
内定式から入社までのスケジュールや必要な提出物を説明します。企業によっては内定者に対して入社前に課題を出す場合もあります。
事業内容や業務内容を説明することも効果的です。実際の業務内容を紹介することで、働くイメージを持ってもらえます。
内定者同士の交流を深める目的で行われます。内定式の案内に事前にどのような自己紹介をするべきなのかを通知しておくと、内定者がスムーズに準備できるでしょう。
また、交流を深める目的でグループワークやワークショップを行うことも効果的です。
内定式後には食事会などの懇親会がセットされるのが一般的です。場合によっては先輩社員が同席し、縦のつながりを強めることを目指す場合もあります。
内定式の実施にはどのような準備が必要なのでしょうか?
▼内定式の事前準備項目
以下で詳しく解説していきます。
経団連が定めた就活ルールに則り、内定解禁日である10月1日に内定式を行う企業が多いです。特別な事情がない限り、10月頃に内定式を開催しましょう。
一方で厳格な決まりが設けられているわけではないため、会社によっては全く異なる時期に内定式を開催する場合もあります。
新卒一括採用だけではなく、通年採用も主流となってきている現在、内々定出しを夏に行わない会社もあると思います。内定出しから入社までの期間で内定者のモチベーションを下げないためには、定期的な連絡やイベントの開催が必須です。
採用フローを見ながら、自社に合った内定式の時期を決定しましょう。
開催時期を決めたら、次に「いつ」、「何時から」内定式を行うのかを決めていきます。
基本的に内定式は、午前開催か午後開催の2つに分けられます。
午前開催の場合は、10:00から内定式を行い、お昼解散を目安にプログラムを立てます。拘束時間が短いため、内定者は午後からゼミやアルバイトなど別の予定を入れられ、社員は仕事の予定を入れることが可能です。
午後開催の場合は、13:00から内定式を行い、その後にグループワークや研修、社内見学などの時間を設けることができます。夜には懇親会を行い、内定者同士や社員との交流を図れます。
それでは次に、当日のプログラムを決めていきましょう。
内定式では、内定通知書授与や社長からの挨拶などを行います。コミュニケーションを活性化させて内定者の不安を払拭したいなどの目的意識を強く持っている場合は、学生が楽しめるイベントを企画すると良いでしょう。
計画した企画に合わせて、会場の予約や必要な物資の用意を行いましょう。
開催日時や内容が決まったら、内定者や参加予定の社員などへ連絡を行いましょう。
アルバイトのシフト提出やゼミの予定などが入ってしまう可能性があるため、内定者への日程連絡は遅くても1ヶ月前までに連絡すると良いです。
また、内定者へ連絡する際は、服装の指定なども忘れないようにしましょう。
対面で内定式を行う際は内定証書の準備が必要です。様式に決まりはないため企業で自由に作成できます。
基本的には表彰状のような材質の厚めの用紙が利用されます。
(参考:賞状サイズA4:210×297mm A4(大):218×308mm B4(大):273×379mm)
▼内定証書に記載する項目例
せっかく内定式を企画するなら他社と被らないユニークな企画を行いたいと思う方も多いでしょう。
ここでは、対面とオンラインの2つの実施形態別に行われた面白い事例を紹介します。
参加者に楽しいと思わせられる内定式を行えば、自然と入社へのモチベーションも高まります。
以下では自社の理念や事業内容を対面で魅力的に伝えることに成功した企業独自の事例を3つご紹介します。
昭和産業株式会社では、会社や商品への理解を深めるため、内定式で天ぷらを揚げる「体験型内定式天ぷら研修」を行っています。
「社員になれる喜びと同時に身の引き締まる思いがしました」「このおいしさや味わいをより多くの人に届けたいと心から思いました」などの感想があり、内定者の業務へのモチベーションアップに繋がっています。
ユナイトアンドグロウ株式会社では、一日乗車券でお客様のオフィスビル前をチームごとに巡り、訪問できた数で競う企画を実施しました。
内定者同士で協力しながら実施する企画があることで、コミュニケーションが活発になるため、内定式の満足度も高くなりやすいと考えられます。
他にも同社では、自分の将来を考えコラージュとして表現するビジョンシート制作と発表、内定者側が企画したコンテンツなど、内定者が主体的になれる企画を実施しています。
【参考】ユナイトアンドグロウ株式会社『2025年新卒内定式をおこないました』
ANA GROUPは、東京ビッグサイトという大きな会場で総勢676名が参加する内定式を開催しました。
内定式のなかでは、サッカー日本代表の三笘選手からサプライズでビデオメッセージが贈られました。
大規模な内定式ではこのようなサプライズの演出があると、内定者が集中力を持って式典に参加できると考えられます。
【参考】ANA GROUP『2025年度入社 ANA内定式を行いました』
キリン堂グループでは「一人ひとりが主役」というコンセプトで、内定者一人ひとりがランウェイのようにステージを歩く内定式を行っています。
「『人』を中心とした経営」という考えに基づき、採用活動時から情報発信などにもこだわりを見せています。
【参考】キリン堂グループ『2020 年度 入社予定者の「キリン堂 内定式」を開催』
インビジョン株式会社では、内定者に企業文化に触れてもらうことを目的として閉校した学校に宿泊する内定式を行っています。
「『入社後も仲良くやっていけそうだな』って、安心感があった」「一人一人を大切にしてくれてるのが伝わった」などの感想があり、交流を深め、入社意欲を高められています。
【参考】インビジョン株式会社『学校に泊まろう!2018年インビジョン流内定式を紹介』
オンラインで内定式を行う場合、対面とは違う企画で行った方が効果的です。
ここでは実際に行われたオンライン内定式の事例を紹介します。
株式会社アウトソーシングテクノロジーでは、代表者からのメッセージをオンライン上で話す内定式の後に、謎解きや先輩社員のトークなどがあるオンライン懇親会が行われました。
参加者からは「社会に出る感覚のイメージができました」「本当にここで働くんだなという実感が生まれました」などの声が寄せられています。
株式会社ファイバーゲートでは、プレゼンテーション形式の内定者自己紹介や代表取締役の挨拶などが含まれた内定式をオンラインで行いました。
内定証書はオンラインで授与を行い、後日正式な内定証書を郵送したとのことです。
内定者からは「刺激の多い1日で、さらに多くの方と関わる事ができて本当に楽しかった」「やはり実際に内定証書を書面として手に取ると嬉しい」という感想がありました。
【参考】株式会社ファイバーゲート『2022年度入社 オンライン内定式レポート』
オンラインの内定者や社員を大型スクリーンに映し出し、オンラインながら同期と一同に会すような一体感を演出した内定式を行っています。
また、内定式はブレークアウトセッション機能を利用した内定者自己紹介、内定者の決意表明を行うことで社会人になることを意識できるような工夫を行っています。
内定者からは「歓迎感を強く感じ、まるで家族に迎え入れて貰うような、心温まる式だった。」「オンラインの内定式ということで始まる前はここまで熱く、素敵な式になるとは、正直思っていなかった」などの感想がありました。
【参考】ディップ株式会社『2021年度内定式、270名の先輩社員が参加するオンラインで開催』
内定式を行う場合、「会社側からの話がほとんどで、内定者側は何時間も黙って聞かなければいけない」という状況に陥りがちです。
これでは入社へのモチベーションをあげたり、会社の一員であることを意識づけたりするのは難しいですよね。
以下でご紹介する内定式を成功させるための秘訣を参考にしてみてください。
なぜ内定式を行うのかという目的意識が漠然としていると内定者にとっても会社側にとってもメリットのないものになってしまいます。
こちらは上述した内定式を開催する主な目的です。
▼内定式を開催する目的例
以上の目的例を参考に、自社が内定式を行う理由は何か、参加後の内定者にどのような状態になっていて欲しいのかなどを事前に決め、それをベースに進めていきましょう。
これから入社する会社の内定式がグダグダだったら、内定者は「本当にこの会社に入って大丈夫なのか?」と不安になりますよね。
スムーズに内定式を執り行えるように、事前にリハーサルなどをしておくと良いでしょう。
会社のビジョンや今後の経営方針について、入社後に期待することなどを熱く語っていると、どんどんと話が長くなってしまいがちです。
最初の方は熱心に聞いていたとしても、だんだんと集中できなくなってくる内定者も出てきます。
特にオンラインで長時間話を聞いていると、疲れてしまいます。
話が冗長にならないように、当日の登壇者にも共有しておきましょう。
より良い内定式を作るためには、内定式の感想を集めて内容をブラッシュアップしていく必要があります。
「どんなところが良かったか」「どこがいまいちだったか」「時間はちょうど良かったか」「社員や内定者と交流できたか」などの項目で、内定式参加者にアンケートを取りましょう。
アンケートの結果から、改善すべき点や意識するべきポイントを見つけ出し、次年度の内定式に活かしましょう。
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いかがでしたか。
内定式に参加する内定者は、まだ自社への入社を決め切れていない、内定者ブルーになっている可能性があります。
「この会社に決めて良かった」「これから働くことが楽しみ」と思ってもらえるような内定式を開催できるように準備していきましょう。