採用コンセプトとは、採用候補者と採用担当者に企業が大切にしている考え方や価値観を一言で伝えるものです。
企業によっては毎年採用コンセプトを設定する企業もありますが、採用コンセプトを考える上で必要な手順やメリット、考え方がわからず、自社でも設定すべきかわからない企業もあるのではないでしょうか。
本記事では、そんな方のために必要な考え方から具体的な事例まで徹底的に解説するので、ぜひ参考にしてください。
採用コンセプトとは、企業の求める人物像・事業内容を一言で表したものを指します。
採用コンセプトを作ることで、社内の採用担当者と採用候補者に自社が大切にしている価値観を伝え、企業文化を統一させる効果があります。
実際の採用コンセプトには次のようなものがあります。
どの採用コンセプトも仕事内容や求める人物像を簡単に理解させるものになっていることがわかるでしょう。
採用キャッチコピーと採用コンセプトの違いはその目的にあります。採用キャッチコピーの目的は自社の求める人物像の注意を引くことで自社への応募数を増やすのに対し、採用コンセプトの目的は社内外に自社の採用指針を示すことです。
つまり、採用コンセプトが採用活動の設計図であるのに対し、採用キャッチコピーは自社の売り文句です。
採用キャッチコピーの目的は、自社の求める人物像の注意を引くことで自社への応募数を増やすことであり、採用活動の設計図です。その一方で、採用コンセプトの目的は、社内外に自社の採用指針を示すことであり、採用活動における自社の売り文句です。
採用コンセプトについて詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。
【参考】【2024年最新版】採用キャッチコピー事例15選!作り方も解説!
採用メッセージとは、採用コンセプトや採用キャッチコピーを作成するまでに至った想いを具体的に説明するものです。
採用メッセージには2つの役割があります。
効果的な採用メッセージを作成できるとターゲット人材から関心を持ってもらえるため、採用コンセプトの作成と並行して作成することをおすすめします。
採用コンセプトを作るメリットはどのようなものがあるでしょうか。
ここでは次の3つについて解説します。
⬇︎採用コンセプトを作る3つのメリット
採用コンセプトを作ることで自社と他社との違いを簡潔に説明することが可能です。
採用コンセプトは、自社の強みや文化を鑑みてわかりやすく独自で表現しているため「自社の企業文化」「持っていて欲しいマインド」など他社にはないメッセージを読み手に伝えることができます。
採用コンセプトを通じて企業が大切にしている価値観を採用候補者に伝え、共感を呼び起こすことで他社と差別化された魅力的な採用活動を展開することができます。
採用コンセプトは企業の「求めるマインドセット」や「どのような働き方を求めているか」がはっきりと示されているため、求職者は採用コンセプトを読むことで応募するより前に自ら企業との適合度を図ることができます。
その結果、あらかじめ企業との相性が良い採用候補者が応募するため企業と求職者の間のミスマッチを減らすことができます。
採用コンセプトを策定することで得られるメリットは何も採用上だけではありません。
採用コンセプトは企業が求めている人物を示すだけでなく、企業の方向性や社会的な役割を伝える場でもあります。その結果、企業イメージやブランドを向上させることができるでしょう。
採用コンセプトはどのように設定すれば良いのでしょうか。
ここでは、採用コンセプトの作り方を5ステップに分解し、それぞれについて詳しく解説します。
⬇︎採用コンセプトを作る5ステップ
まずは、求める人物像を明確にしましょう。
求める人物像が曖昧なまま採用コンセプトを設定すると、採用担当者によって採用する人材がバラバラになってしまいます。その結果、望む人材を採用する確率が減少することに加えて、ミスマッチによる早期退職の増加につながる可能性が高いでしょう。
求める人物像は、自社の社員の特徴や企業のビジョンのように複数の内容を言語化することが重要です。
具体的には次のような内容を考えてみましょう。
次に競合他社がどのような採用コンセプトを掲げているかを調査・分析をしましょう。
採用コンセプトを策定する上で、競合を調査することは差別化や求職者が求めている条件を適切に把握することができます。せっかく設定した採用コンセプトが他社と似ている場合、求職者に響かず埋もれてしまいます。
他社のキーワードやテーマ、ターゲット層をしっかり把握しましょう。
次に自社のポジションを整理しましょう。自社の成り立ちや価値観、カルチャーを整理することで求職者に何を伝えるべきかが明確になります。
具体的には次のようなことを整理しましょう。
これらの項目を整理することで傍から何が求められているかが明確になるでしょう。また、「○○業界 カオスマップ」と調べることで第三者の分析を元に自社の立ち位置を考えることができます。
今まで洗い出したものを元に採用の軸を洗い出しましょう。
例えば、「業界シェアNo.1になるために顧客のニーズをうまく聞き出せるコミュニケーション力が高い人」や「既存事業を発展させて新たな事業に乗り出すために、立ちはだかる壁を乗り越える忍耐力が高い人」のような軸を立てましょう。
このような軸を考えることで、受け手に刺さる採用コンセプトの伝え方を考えやすくなります。
最後に洗い出した軸をもとに採用コンセプトを「企業のイメージを直接的に喚起させる方法」か「文法を巧みに扱う方法」のどちらで表現するか決めましょう。
これにより、企業が求める人物像や価値観をわかりやすく伝え、より効果的に共感を呼ぶ採用コンセプトを策定することができます。
採用コンセプトには大きく次の2種類に分けることができます。
ここでは、14の企業が設定している実際の採用コンセプトの事例とその特徴、採用コンセプトから考えられる求める人物像を考察していきます。
企業の採用コンセプトを直接的に喚起させる採用コンセプトにはどのようなものがあるでしょうか。ここでは8つの事例を紹介します。
次の感動を、共につくろう。
ソニーグループは、コンシューマーエレクトロニクス商品からゲーム、音楽や金融などさまざまな事業を展開しています。この採用コンセプトから、既存のものだけでなく新たな製品で社会を変革する人材を求めていることがわかります。
あえて”新たな”ではなく”次の”とするこで、多くの人が利用したであろうSONY製品の社会的インパクトの大きさを感じさせつつ、利用者目線の感動を他の人にも与えたいと共感させることができる採用コンセプトとなっています。
君の夢は、君が創る。
ニトリは、「お、ねだん以上。」が代表するように、無駄なコストを削減し高品質な製品を低価格で消費者に提供してきました。この採用コンセプトから、企業が一人ひとりを大切にする風土であり、自分の成長のために主体性を持って行動する人物を求めていることがわかります。
「君の」と対象を個人に絞ることで、企業という組織を創る一人一人に寄り添う姿勢が伝わりやすくなっています。
【参考】株式会社ニトリ「新卒採用サイト」
「未来創発」激しく変化する時代。社会を見据え、確かな未来を切り拓く。
野村総合研究所は、2100年までの社会を予測した「NRI未来年表」に代表される未来を見据えたビジネスの支援を行っています。この採用コンセプトから、顧客から指示された業務だけではなく、自らその先を考えて行動して新たな価値を生み出す「自立性」を有する人を求めていることがわかります。
独自に作成した四字熟語の後にその意味を解説する形で文章を繋げることで、読み手が感じた疑問をすぐ解決し印象に残りやすくなっている。
【参考】株式会社野村総合研究所「未来年表 2024-2100」」
【参考】株式会社野村総合研究所「新卒採用向け総合案内サイト」
挑戦者よ、世界を揺らせ
近年、三井住友銀行は従来の銀行業務の幅を越えて、新たな切り口によるチャレンジを行っています。このような企業の経営方針が採用コンセプトにも表れていることから、既存の枠組みを越えて柔軟に物事を考える人材を求めていることがわかります。
企業における業務の影響力の大きさを「世界」と表現することで、文字通り読み手の心を揺れ動かしている。
【参考】株式会社三井住友フィナンシャルグループ「RECRUITIING SITE」
変化の中心で働く
アクセンチュアは日々進化するテクノロジーを活用して新たな価値を創出し続けています。
そんな変化の激しい業界の中で、世界の最先端な技術についていくためにタフな状況でも楽しめる人物を求めていることがこの採用コンセプトから読み取れます。
技術革新の激しい昨今の世の中で、アクセンチュアで働くとはどういうことかを端的に表している。
ドコモで踏み切れ。ここは、革新の出発点。
携帯電話をはじめとする通信事業を主力事業とするNTTドコモですが、数千万人に及ぶユーザー・多領域に渡る顧客基盤や知見を有しています。これらの基盤を元に新たな領域に際に当たる答えのない問いに挑戦する力と行動力を有する人材を求めていることがわかります。
採用コンセプトにある2つの文章では、自信を持って断言しています。このようにすることで、ドコモがビジネスにおけるリーダーであることを強調し、新たなキャリアを求める採用候補者に魅力的な印象を与えています。
【参考】株式会社NTTドコモ「新卒採用」
変化の穂先であれ。
金融というのは目的を達成するための手段にすぎませんが、様々な変化の中心にいます。そんな大きな影響力を有する金融を用いて、変化の先端で変化をリードする積極性を有する人材を求めていることがわかります。
あえて多くは語らないことで、企業が求職者に求めるマインドを端的に表現しています。
【参考】株式会社みずほフィナンシャルグループ「採用情報サイト」
次なる日本の創造 Dear Japan
JR東海は開業以来66億人もの人が利用しており、日本の社会基盤の発展に大きく貢献してきました。そのため、JR東海の企業としての挑戦は、日本社会に与える影響が大きいです。今の日本を守りつつ、より良い社会の創出のために、広く、長期的な視点を持った人材を求めていることがわかります。
日本各地に張り巡らされた鉄道網を活用して次世代の日本を支えていくビジネス規模の大きさを直接的に表現できています。
読み手の記憶に残るような採用コンセプトはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは6つの事例を紹介します。
世界を変える、変わらぬ信念。
1988年に創業を開始したNTTデータですが、採用コンセプトからは創業当時からお客様企業の課題とIT技術を融合させることで解決してきました。これからも従来の企業理念を大切にするためにお客様の課題を理解する「共感力」と最新技術を駆使する「応用力」を持った人物を求めていることがわかります。
句点を挟んで「変える」、「変えない」と対比することで、何を変えて何を変えないかを協調しています。
【参考】株式会社NTTデータ「新卒採用」
どうなるかじゃない、どうするかだ。
本田技研工業は二輪や四輪の領域で強みを持ち、今や地球だけでなく宇宙にその領域を広げています。そんな本田技研工業の採用コンセプトからは、周りの環境に流されずに、自らが変革を主導して突き進む積極性を持つ人材を求めていることがわかります。
主語を省略しつつも句点の前半で否定し、後半で断定しています。このように表現することで、自社で働くためにはどのようにあるべきかを力強く、簡潔に表現することができています。
【参考】本田技研工業株式会社「新卒採用」
やさしさをつくる、強い人。
ユニ・チャーム株式会社は赤ちゃんからお年寄りまでの幅広い層をターゲットにベビーケア商品や介護用品、ヘルスケア商品の販売を展開しています。この採用コンセプトからは日々、誰もが自分らしく充実した生活を送るために商品開発を行っているユニ・チャーム株式会社が周りの人と支えあいながらより良い環境構築を目指す人を求めていることがわかります。
「やさしさ」をひらがなで表し、「強い」を漢字で表現することでそれぞれの意味合いを強く印象付けるものとなっています。
娯楽の世界で、これからも変わらず、変わり続ける。
任天堂は花札の製造から始まり、スーパーマリオブラザーズをはじめとする人気ゲームタイトルを生み出し続けている企業です。任天堂は創業当初から人々の「娯楽」に注目して成長をしてきましたが、時代が変わるにつれ人々の需要も変わっていきます。そんな任天堂は変化する時代の中、変わらない芯を持ちながら物事を変えていくことができる人を求めていることがわかります。
2つ目の句点を挟んで「変わる」という単語をもとに否定と肯定の対比構造を作っています。このような対比構造は読み手に「娯楽」という核は変わらず持ちつつ、人々の娯楽を満たすために企業として変わっていくことを印象づけることができています。
知のめぐりをよくする。
株式会社サーキュレーションの事業内容は高い専門性を持った人材の経験や知見をシェアすることで企業の経営課題を解決することです。この採用コンセプトからは絶えず新しい知識が増える現代において、変化を受け入れ・変化を生み出すことができる積極性を持った人を求めていることがわかります。
日々私たちの中を絶えず流れる血の流れを表す「血のめぐり」を、自社の事業内容である「知」と合わせています。このように、人々が日常的に使用する単語を自社の特徴と合わせることで、採用コンセプトを見た人がどのようなものであるかを端的に理解させることができます。
原動力は好働力
Sky株式会社は、幅広い分野でソフトウェアのシステム開発を展開しています。この7文字からは、仕事を単なる割り当てられた義務として処理するのではなく、情熱を持って取り組むことができる人を求めていることがわかります。
「行動力」を「好働力」と表しています。
このような表現は、日々の業務を楽しみながら行っている人が多い職場であることを印象付けることができます。また、原動力と好働力という似た響きを持つ単語を並べることで記憶に残りやすいキャッチーな表現にすることが可能です。
【参考】Sky株式会社「新卒採用サイト」
採用コンセプトとは社内で採用人物像の共通認識を図るものでした。
企業ごとに求める人物像は異なりますが、大別すると次の5つの能力を有する人に分けることができます。
⬇︎採用人物像
14の企業の採用コンセプトについて、求める能力別に事例を紹介します。
ぜひご参考にしてください。
▼チャレンジ精神
▼チームワーク力
▼リーダーシップ力
▼主体的行動力
▼柔軟性
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採用コンセプトの具体例から作成方法まで解説しましたが、いかがでしたか?
採用コンセプトを作成することは簡単ではありませんが、作成することで得られるメリットは大きいでしょう。本記事を参考に自社に適した採用コンセプトを作成していただけたら幸いです。