タレントプールとは、有望な人材を中長期的に管理していくためのデータベースを意味します。
才能を意味する「タレント」と、蓄えることを意味する「プール」を組み合わせて作られました。
採用する前段階の人材も含めて考えられており、効果的な採用活動のベースとして企業に利用されているのです。
またタレントプールは
といった意味で用いられることもあります。
タレントプールを導入している企業は増えています。
では、なぜ多くの企業がタレントプールを導入しているのでしょうか?
タレントプールが注目される背景を解説します。
近年では少子高齢化が進み、労働人口が減少しています。
企業は限られた労働人口のなかで採用を進めなければいけないため、一度は不採用になった人へ再アプローチが求められるようになりました。
再アプローチが求められたことに伴い、タレントプールが注目されるようになったのです。
政府主導の働き方改革のもと、人々の働き方は多様化しました。
なかには働きやすさやプライベートの充実を求め、副業や業務委託、フリーランスなど正社員以外の働き方を選ぶ人材も増えています。
とくに、優秀な人材の多くはどの会社に行っても活躍できるため、やりがいや自由度の高さを求め新しい働き方を選ぶようになりました。
優秀な人材を採用するためには、中長期的な目線に立った複数回のアプローチが必要です。
タレントプールを活用すれば、人材の状況に合わせて繰り返しアプローチできるため、働き方が多様化した現代に適した採用手法と言えます。
近年ではビジネスのデジタル化が進み、サービス構築にはITのプロフェッショナルが必要不可欠になりました。
一方で、これらの作業を担当するITエンジニアやUI/UXデザイナー、データサイエンティストなどは専門的なスキルを持っているため、企業間での獲得競争が激しく、採用が難しい人材です
スペシャリストを目指す人材の採用タイミングを逃さないために、タレントプールを用いた定期的なアプローチが求められています。
アメリカの大手コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが1997年から2000年にかけて、主にアメリカで実施した人材の獲得・育成に関する調査結果をまとめた「The War for Talent」では来るべき「人材獲得・育成競争社会」が書かれています。
そして今まさに、その通りの現象が起きているのです。
この「The War for Talent」の中で「タレントプール」が登場します。
激化する人材獲得・育成競争の波を乗り切るために、マッキンゼーは「タレントプール」を活用した採用手法が重要であることを指摘しているのです。
タレントプールをどのように運用するのか、まだ理解できていない方も多いのではないでしょうか?
タレントプールの運用方法について以下のフローで説明します!
①人材の要件を定義
②母集団の形成
③人材のデータベース化
④候補者のグループ分け
⑤定期的にコンタクトをとる
採用したい人材像を定義付けします。
採用したい人材を決める時の方法として、
などして、部署や職種ごとに求める人材の能力や資質を定義しましょう。
この時に、社内のニーズだけでなく候補者のニーズにも目を向けてみてください。
候補者が過去にどのような経歴を歩み、どのような価値観を持ち、会社に何を求めているのか、ターゲットが明確になればより効率的なアプローチができます。
ターゲット設定には「ペルソナ設定」が有効です。
採用ペルソナ設定の方法について詳しく解説している記事がありますので、あわせてご覧ください。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
次に人材の母集団を形成します。
形成方法は
などが考えられます。
方法によって母集団の性質や経歴が異なりますので、求める人材に適した方法を選びましょう。
母集団形成の方法についてまとめてあるので、気になる方はご覧ください。
【参考】【オンライン対応】新卒採用イベント12種をタイプ別に徹底比較!
コンタクトをとった候補者の情報は採用管理ツールなどでリスト化して管理しましょう。
記載する情報として、
などがあるでしょう。
加えて「内定を辞退した人材」や「採用選考の終盤で不採用になった人材」「社員紹介で面接した人材」などを記入しておけば、候補者に適した手法で再アプローチができます。
データベースに登録した候補者は、スキルや経歴ごとにグループ分けをしておきましょう。 肩書きだけでグループ分けするのではなく
など複数の評価軸を用意して分類しておけば、ポジションが空いた時に効率よくアプローチができます。
データベースに登録した人材にはメールマガジンやイベントなどを通して、定期的にコンタクトをとりましょう。
一度は応募してくれた候補者でも、時間とともに企業への興味は薄まってきます。
定期的にアプローチすることで、候補者の関心を維持しましょう。
もし直接コンタクトが取れるなら、メールや電話で近況を聞いても良いです。
ただ必要以上に連絡をすると、逆効果なので気を付けましょう。
また、一度就職しても数年経てば、また転職活動を始める人材も多いです。
長期的にコンタクトを続けてコミュニケーションをとりましょう。
タレントプールという新しい採用手法を、わざわざ始める必要があるのかと疑問に感じる方も多いのではないでしょうか?
タレントプールを導入するメリットを4つ、ご紹介します!
「せっかく採用した人が早期退職をしてしまった」「内定者が企業のカルチャーと合わず活躍できていない」などの経験はないでしょうか。
候補者リストやSNSを活用すれば、一度は逃がしてしまった人と中長期的にコミュニケーションをとることができます。
交流を重ねれば候補者がカルチャーを理解してくれますし、企業側も候補者の人柄やスキルを正確に把握できるため、ミスマッチが減少するでしょう。
新卒採用のミスマッチを防ぐ方法について、下記記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください!
【参考】【完全版】新卒採用のミスマッチを防ぐには?7つの対策を紹介します
採用工数を削減できるため、採用活動の効率化が図れます。
人材が足りない時、通常は求人広告や人材紹介を通し、書類選考や面接などを経て候補者を絞り込むでしょう。
ただ、この手法では時間も手間もかかるため、早急に人を採用することが厳しいです。
タレントプールは求める人材を抽出して、すぐにアプローチできます。
過去の交流を通して、どのような人材なのかある程度わかっているので、採用過程もスムーズに進められるでしょう。
タレントプールを活用することで、採用活動で発生するコストの削減が可能です。
ミスマッチや採用工数が削減されることで、内部コストを削減できます。
求人掲載費や人材紹介会社への外注費も最低限に抑えることができるでしょう。
長期的なコミュニケーションによって、内定者の企業理解が深まっていれば、入社後の教育コストも削減できます。
タレントプールは、企業が求める人材をピックアップして採用を行えるため、採用の質の向上が期待できます。
タレントプールの活用を続けていると、次第に候補者の母数が増えて、複数の候補者のスキルや人柄を比較できるため、企業に適した優秀な人材のピックアップが可能です。
また作成したタレントプールは、人事担当交代の際に引き継ぎが簡単にできます。
そのため、継続して運用することが可能です。
タレントプールのデメリットについて下記の2つを紹介します。
①アプローチのタイミング
②早期的な効果は見込めない
それでは、それぞれ詳しく解説します!
タレントプールは、候補者へアプローチするタイミングの見極めが難しいです。
候補者のデータを積み重ね、長期的に候補者にアプローチを繰り返す必要があります。
ただ、採用成功へ導くには候補者へのアプローチのタイミングが重要です。
従来のリクルーティングでは、候補者の「就職したい」と企業の「人材が欲しい」が一致しているため、決まったアプローチ方法で問題ありません。
しかしタレントプールは、候補者の志望度を図りながらアプローチを繰り返すため、アプローチするタイミングが難しいといえるでしょう。
タレントプールは、長期的に候補者にアプローチをするような方法のため、導入してすぐに効果がでることは考えにくいでしょう。
これまでの採用を続けながら、継続して行うことをおすすめします。
タレントプールを効果的に運用するためのポイントについて以下の3つを解説します!
①中長期視点で運用する
②人材要件や候補者の情報を更新する
③候補者と継続して交流する
タレントプールの運用には、候補者との信頼関係構築や情報の更新など、データベース作成後の労力や時間が欠かせません。
構築してすぐ成果が出るものではないため、中長期的視点を持った運用が重要です。
データベースに登録された人材の情報や状況は時とともに変化します。
そのため、SNSやメールなどでコンタクトを取りながらアップデートしなければなりません。
加えて、常に求める人材が蓄積されたデータベースとなるよう最適化が求められます.。
事業や組織の状況が変化したときは、求める人材の定義も忘れずに更新しましょう。
候補者が就職するタイミングで声をかけるためには、優秀な候補者とつながり続ける工夫が必要です。
例えば、会社について具体的に知ってもらうために「社員座談会」や「個別面談」を開くなど様々な方法が考えられます。
タレントプールを実際に導入している以下2社の事例を紹介します!
①SmartHR社
②DELL
是非参考にしてみてください!
SmartHR社は、タレントプール構築によって大きな成功をおさめています。
あらゆる採用チャンネルでの施策を打ち出し、並行したタレントプールの管理により約3700人ほどの人材情報を蓄積することができているそうです。
ツールとしては採用管理ツール(ATS)であるTalentioと、マーケティング用ツールであるMarketを使用しており、情報管理と計測・分析の画面からタレントプールの活用に成功しています。
【出典】ナイル渡邉が気になる、あの会社の採用広報 #1 SmartHR瀧田成紗氏|採用広報のカギは“カルチャー”を発信すること
Dell Technologies社は、採用ページに「Join Our Talent Network」というフォームを設置し、登録すると最新の求人情報を受け取ることが可能です。
SNSアカウントやメールアドレスで登録ができるようになっており、再接触への導線ができていることがわかります。
自社HPの採用ページを更新次第、登録者に通知メールが届くような仕組みを自動化できれば、運用工数もかなり抑えられます。
【参考】Dell Technologies「Join Our Talent Network」
Matcherスカウトとは、OB・OG訪問サービス「Matcher」に登録している学生に向けてスカウトを送ることができる、ダイレクトリクルーティングサービスです。
テキスト上で直接やり取りを行うこともできるため、中長期的に確保することができます。
MatcherScoutは
といった特徴があります。
必要な人材に絞ってスカウトを送ることも、もちろん可能です。
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