昨今の話題のキーワードである「人的資本経営」という言葉を聞いたことはありますか?
人的資本経営は、企業経営において必須とされており、新卒採用にも大きな影響を及ぼします。
一方で、人的資本経営という言葉は知っているけれど、「具体的にどうやって実践すればいいのか見当がつかない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「人的資本経営」と「新卒採用」の関係性をテーマに、これからの企業のあり方を示す人的資本経営とは何か分かりやすく説明します。
また、採用活動における人的資本の開示方法についても、既に実施している企業事例を紹介しながら具体的に解説していきます。
今後の採用活動において、ぜひご参考にしてください。
人的資本経営について、かみ砕いて解説していきます。
従来の経営戦略と、何が異なるのでしょうか?
まず、「人的資本」についてです。
内閣官房が公表した文書では、以下のように定義されています。
「人的資本」とは、人材が、教育や研修、日々の業務等を通じて自己の能力や経験、意欲を向上・蓄積することで付加価 値創造に資する存在であり、事業環境の変化、経営戦略の転換にともない内外から登用・確保するものであることなど、価値 を創造する源泉である「資本」としての性質を有することに着目した表現である。
出典:内閣官房・非財務情報可視化研究会『人的資本可視化指針』
つまり、「人的資本」とは、企業の人材が持つ知識やスキル、経験、モチベーション、資質などの総体を指します。
これらは、建物や設備などの有形資産と同様に、企業の利益に貢献する重要な無形資産であり、企業にとって投資する価値があるものであると考えられています。
上記を踏まえ、人的資本経営とは、人材を「企業の資本=人的資本」と捉え、その価値を高め、最大限に引き出すための戦略的な取り組みを行うことを指します。
自社の従業員を投資対象として、従業員のスキルや知識を資本として捉え、それらの育成に投資し、成長を促すということです。
このようにして、従業員(人材)の資本価値を高めることで、中長期的な企業価値向上を目指します。
すでに欧米各国では、人的資本経営に取り組む企業が増加しており、日本国内においても、2020年に経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート」により注目されるようになりました。
人的資本経営は、これまでの経営戦略と何が違うのでしょうか?
従来の考え方では、人材は「消費すべき資源」であるとされてきました。
そのため、人件費=コストという認識のもと、人材にかける費用はなるべく抑えようという発想になる傾向がありました。
➡人材の「量」の確保+その「管理」を重視
対して、人的資本経営では、人材は「組織の価値を向上させる存在」として、「資源」ではなく「資本」として位置づけられます。
そのため、人材育成にかかる資金などの人件費=投資、つまり、組織の成長戦略に不可欠な投資として捉えられるのです。
➡人材の「質」の向上+その「活かし方」を重視
日本国内で人的資本経営が重要視されるきっかけとなった人材版伊藤レポートでは、従来の経営戦略と人的資本経営における考え方の違いについて次のようにまとめています。
出典:経済産業省『人的資本に関する研究会 報告書〜人材版伊藤レポート2.0〜』
コロナ禍、産業構造の変化、少子高齢化の進展、個人のキャリア観の変容…など、企業や個人を取り巻く環境は変化し続けています。
このような状況下では、企業も個人も過去の成功経験にとらわれず、変化に柔軟に対応し、予期せぬ事態への耐久力を高めるための変革力が求められるということです。
人的資本経営が注目されている理由は、現在の企業経営に求められている次のような視点が大きく影響しています。
以下で詳しく解説します。
少子高齢化により労働人口が減少しているため、外国人やシニア世代など多様な人材の活用が重要になっています。
また、働き方も多様化しており、従来の一律の人材管理では対応できなくなっています。
そのため、個々の事情や状況に合わせた働き方で、各人のパフォーマンスを最大限に引き出す人的資本経営が必要とされています。
投資家は、企業の将来性を判断するために、「無形資産」を評価指標として重視するようになっています。
無形資産とは、土地・建物・設備などの有形資産に対して、特許・商標・知的財産(人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等)、物理的な形を持たない資産を指します。
無形資産は、企業の競争力を高め、収益を増加させるための重要な要素であり、企業の成功に大きく寄与します。
例えば、特許は企業が独自の製品や技術を保護し、競争優位性を確保するための重要なツールです。
また、良好な企業の評判は、顧客の信頼を勝ち取り、製品やサービスへの需要を高めることができます。
そのため、投資家をはじめとするステークホルダーは、人的資本経営に関する情報開示を強く求めるようになっているのです。
これからは、「人的資本」の評価なしに企業価値を考えることはできなくなるでしょう。
近年、持続可能な社会を目指す取り組みが世界的に注目されており、「人」に関する指標を重視する経営が評価されています。
例えば、人的資本は、ESG投資やSDGsの目標にも関連しています。
ESG投資とは、投資先の企業の決定にあたり、財務情報だけでなく、
という3つの要素を考慮した投資の考え方です。
この中で、人的資本経営は「社会(Social)」の要素にあたります。
具体的には、働く人の人権や安全への配慮、働き方改革の推進、多様性の尊重などです。
そのため、人材への投資は企業の成長性を評価する上で重要なポイントとなっています。
多くの定型業務が自動化される中で、「人」の付加価値は「新たなイノベーションを生み出すこと」に移行しています。
デジタル化により産業構造が変化する中で、企業は新たな価値創造を担う「人」を最大限に活かす視点を取り入れることが、持続的な企業成長には欠かせないと考えられています。
人的資本経営に取り組むことで、企業は以下のようなメリットを得ることが出来ます。
人的資本経営で人材に投資することで、従業員のスキルや能力が高まり、業務の効率や品質が向上します。
個々人が今まで以上にパフォーマンスを発揮できれば、結果的に企業全体の利益に還元されます。
さらに、その利益を人的資本に投入することで、企業と人材がお互いに成長し合えるサイクルが生まれるのです。
人的資本経営により、企業に対して「従業員の成長に投資を惜しまない職場」であると認識しやすくなるため、従業員のモチベーションの向上が期待できます。
従業員のモチベーション向上は、企業への帰属意識を強め、離職率の低下につながるでしょう。
人材育成に力を入れることで、社会的信頼や評判を得やすくなります。
また、「この企業で働きたい」という人が増えることで、人材の確保や定着にもつながり優秀な人材を惹きつけやすくなるでしょう。
さらに、投資家やステークホルダーからも、企業の将来性や持続性を高く評価されやすくなります。
人材育成の成果や効果を定量的に把握することで、人材の能力やパフォーマンスを可視化できます。
これにより、人材の配置や評価、報酬などの人事管理が適切に行えます。
また、人材の強みや弱み、ニーズや志向などを把握することで、個別に最適な育成プランやキャリアパスを提供できるでしょう。
以上のように、人的資本経営は企業と従業員の双方に、多くのメリットをもたらします。
人材版伊藤レポートは、人的資本経営を成功させるためのフレームワークとして「3P・5Fモデル」を提唱しています。
以下で具体的に説明します。
「3P」とは、『人材戦略を考える際に、どの視点から全体を見るべきか』という3つの視点(Perspectives)のことです。
人的資本経営では、経営戦略と人材戦略は密接に関連しています。
経営陣の主導のもとで、経営戦略とのつながりを意識しつつ、必要な人材を確保するための具体的な行動やKPI(※)を考えることが重要です。
※KPI:目標の達成度合いを測定するために用いられる指標
現状(As is)と理想(To be)のギャップを明確にすることで、経営戦略と人材戦略を関連付けることができます。
さらに、定量化(数値化し、客観的に把握)することで、ギャップを生み出している問題を洗い出し、それを解決するための人材戦略を【組み立て➡見直し】のサイクルを繰り返すことで、経営戦略を実現します。
どのように採用戦略を立てればよいのか不安な方は以下の資料もご覧ください。
人材戦略を実行して効果が出た場合、それを企業文化として定着させることが重要です。
企業文化は、従業員との間で企業理念や目的、行動指針が共有されて、作りあげられるものです。
ですから、人材戦略を実行する際は、それらを意識して進めていきましょう。
「5F」とは、全ての企業が共通して取り組むべき人材戦略の要素のことです。
「人材ポートフォリオ」とは、人材のスキルや経験、在籍部署や在籍期間など、企業内の人的資源の構成内容を指します。
それらの情報をリアルタイムに可視化することで、経営課題に対応する人材配置が可能になります。
人材ポートフォリオの作り方や、事例などを知りたい方はこちらをご覧ください。
【参考】【5分でわかる】人材ポートフォリオとは?作り方や設計例も紹介!
顧客ニーズが多様化している現代では、多様な経験と視点を持つ人材が必要です。
そのため、個々の特性を活かした企業活動が行える環境が望ましいとされています。
従業員が新たなスキルを習得したり、学び直したりすることが重要です。
人的資本経営において、企業は従業員が自分のキャリアを見据えて学び直せるように支援することが求められています。
会社の存続のためには、一定の利益をあげる必要がありますが、従業員が主体的に「働きたい」「会社に貢献したい」と思えるような環境を構築することが重要です。
「従業員エンゲージメント」とは、企業と従業員の双方向的な関係性です。
従業員は企業に愛着や信頼を持って働き、企業は従業員に愛着や信頼を持ってもらえるような大成を構築することが理想とされています。
人的資本経営において、従業員エンゲージメントは結果的に経営戦略の実現につながると考えられています。
コロナ禍をきっかけに、日本でも>在宅勤務やリモートワークなどのテレワークが広がりました。
内閣府の調査によると、2019年は10.3%だったテレワーク実施率が、ピーク時で32.2%まで高まるなど、今や新しい働き方として広く普及しています。
事業継続の観点からも、このように働き方の多様化に対応することが求められています。
一方で、対面とは異なる事業の進め方において、リモートワークでの社内コミュニケーションのあり方、マネジメントなどを見直すことが必要です。
【参考】内閣府『第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』
人材版伊藤レポートでは、これらの視点と要素を意識しながら、具体的な戦略・アクション・KPIを練ることが企業にとって重要であると説いています。
これは、人的資本経営を成功させるための重要な指針となるでしょう。
出典:経済産業省『人的資本に関する研究会 報告書〜人材版伊藤レポート2.0〜』
ここまで、人的資本経営について解説してきました。
冒頭でも説明したように、人的資本経営は、採用活動にメリットをもたらすと考えられています。
それでは、新卒採用において「人的資本経営」を重視すべき理由は何でしょうか?
まず、新卒採用市場の動向について見ていきましょう。
リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査によると、2024年3月卒業予定の学生の求人倍率は「1.71倍」で、前年度より0.13ポイント上昇しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で、企業の採用意欲は一旦落ち込んだものの、コロナ禍以前の水準に回復してきたようです。
しかし、少子高齢化に伴う労働者不足により、>人材獲得競争は激化しており、今後も学生優位の>売り手市場傾向が続く見込みです。
売り手市場とは、売り手(供給側)である企業の求人数が多く、買い手である就職候補者が少ない状態のことです。
実際に、求人総数は前年の「70.7万人」から「77.3万人」と、約6.6万人(9.3%)増加しています。
一方で、就職希望者数45.1万人に対し、求人総数が「約32万人の需要超過」という売り手市場が続いている状態です。
【参考】リクルートワークス研究所『大卒求人倍率調査(2024年卒)』
さらに、企業調査によると、2024年卒の学生の採用について「難しい」と回答した企業が8割を超えています。
今後の採用活動では、「企業が候補者を選ぶ時代」から「候補者に選ばれる」時代になっているのです。
このような中で、人的資本経営における重要な取り組みとして、現状では主に投資家を対象としている「人的資本の開示」を求職者にも提供するべきだという意見が増えてきています。
【出典】学情「「2025年卒採用」に関する企業調査(2023年5月)」
新卒採用市場は、コロナ禍の影響を受けて大きく変化しています。
採用活動を進める中で、以下のような経験はありませんか?
新卒採用の課題について詳しく知りたい方は、以下の資料をご参照ください。
➡【参考】新卒採用のよくある課題とは?6つのポイントで解決策を紹介!
Matcher Scoutは、新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスで、上記のような採用課題を抱える企業におすすめです。
最大の特徴は、自社の求める人材に直接アプローチできることです。
Matcher Scoutには以下のようなメリットがあります。
Matcher Scoutでは、OB・OG訪問に積極的に取り組む、主体性のある優秀な学生にスカウト送信することができます。
また、学生のプロフィールや志望動機などの情報を事前に確認できるので、>ミスマッチを防ぐことができます。
一般的に、ダイレクトリクルーティングは、運用コストが大きく、運用難易度が比較的高いと言われています。
しかし、Matcher Scoutは、採用成功報酬型のダイレクトリクルーティングサービスなので、採用するまで費用は一切かかりません。
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詳しいサービスの内容については、以下の資料をご覧ください。
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それでは、なぜ新卒採用において「人的資本の開示」が求められるのでしょうか。
人的資本経営が世界的にも日本国内でも注目される中、2023年3月期決算以降から、上場企業を中心に人的資本情報の記載(人的資本の開示)が義務付けられました。
人的資本の開示とは、企業が有する人的資本に関する情報を社外に公開することです。
採用活動でも、人的資本の開示によって、企業の魅力や働きやすさをアピールすることができ、優秀な人材の獲得や定着につながると考えられています。
パーソル研究所の調査によると、人的資本の情報開示に対して重視する要素として、上場企業の役員層・人事部長が最も関心が高かった点は、「優秀人材の採用実績の増加(80.3%)」でした。
【参考】パーソル総合研究所『人的資本情報開示に関する実態調査』
上記のデータから、人的資本の情報開示は、優秀な人材の獲得に繋がるという認識が広まっていることが分かります。
また、今後の採用活動において学生優位の売り手市場では、「企業が学生を選ぶ」のではなく、「企業が学生から選ばれないと勝てない」という時代にあります。
そのためにも、まずは情報を開示しないと、選択肢を持つ「選べる人(優秀人材)」を採用することはできないのです。
企業が採用活動を進めるうえで有効な工夫として、「人材版伊藤レポート2.0」の中で、以下の3点が挙げられています。
【参考】経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書~人材版伊藤レポート2.0~」
特に、「学生が自らの意思を表明できる仕組みを整え、主体的なキャリア選択を促す」という提言の背景には、学生のキャリア観の変容があると考えられています。
株式会社ワンキャリアが実施した調査によると、25卒就活生の38%が「将来的な転職を視野に入れて選ぶ予定ですか?」との問いに「はい」と回答しました。
これは、大手企業のリストラや、社会情勢の不安定化等を踏まえ、就活生が終身雇用や年功序列の継続に対する不透明感を持つようになったためと考えられます。
単に大手だから入社するという考えから、自身のキャリアや転職につながるスキルが身につくかを重視して就職活動をする学生が増えたことが分かります。
【参考】株式会社ワンキャリア『【2025年卒 実態調査】25卒は「転職」を視野に入れつつ「給料」を重視』
採用候補者(学生)が魅力に感じる情報は、「人的魅力」に関するものであることが分かっています。
以下の2つの図をご覧ください。
【参考】PRTIMES『2021年卒、内定承諾の決め手になりそうなものは「社風や雰囲気」』
【参考】電通PR・企業広報戦略研究所『企業に魅力を感じる項目は「人的魅力」が5年連続1位。』
このように、人的魅力が重視されていることが、様々な調査結果から分かっています。
これからの採用活動にあたっては、企業は「商品的魅力」だけでなく、「人」が決め手になり選ばれていることを意識していくべきでしょう。
新卒採用において、具体的にどんな情報を開示するべきでしょうか?
2022年6月末に公開された人的資本開示指針案にて、情報開示が望ましい項目が明記されています。
それらを新卒採用に当てはめると、新卒採用にて開示すべき情報は以下の通りです。
この図では、「いつ」「どこで」「誰と」「何を」「なぜ」「どのように」の各項目について、
が整理されています。
学生が必要とする情報を明確に理解し、適切な情報開示を行うための参考となる内容ですので、ぜひご活用ください。
ここまで、新卒採用活動における人的資本の開示の重要性について解説しました。
では、これから人的資本の開示を進めようとする企業が取り組むべきアクションは何でしょうか?
まず始めに、多様性や働き方などの共通項目について情報を収集し、それを開示する体制を作ることが大切です。
例えば、「女性の活躍」や「男性の育児休暇の取得率」は、投資家だけでなく、採用市場でも注目されています。
競合他社や労働市場の標準と比較して、問題点を分析し、改善するサイクルを作り上げることを目指すべきです。
人材版伊藤レポートを作成した伊藤氏は、「人的資本の開示の根本にあるのは“開示すること”でなく“企業の実態が見えること”で、他者からフィードバックをもらい実態を改善するポジティブなループが続くことが本質だ」と提言しています。
SNSが発達している現代において、社会問題に敏感な学生は情報の透明性を求める傾向があります。
そのため、たとえ不利益になりそうな情報でも包み隠さず開示する誠実さが求められます。
そういった情報も含めて、積極的な情報開示を心がけることで、会社への信頼に繋がるでしょう。
具体的に、どのような情報を開示するべきかについては次章で説明します。
次に、開示内容に戦略性やストーリーを加えていきます。
例えば、「女性管理職の割合が〇%」や「男性の育児休暇取得率が〇%」が実現したら、
など、企業の成長戦略や人材戦略との関連性を理解できるKPIや目標を設定することが重要です。
また、従業員の心持ちや現状との乖離がないような開示も求められます。
人的資本の開示は、社外だけでなく社内に向けた約束でもあります。
そのため、情報の開示とともに、制度や企業文化と連動させ、従業員が共感やメリットを感じ、納得できる目標を立てることが必要です。
また、社内からの定期的なフィードバックやエンゲージメント調査を利用したモニタリングで、乖離の有無を確認することも大切です。
学生が就職活動を行ううえで、>企業の「リアル」を知りたがっていることは前述のとおりです。
そのためにも、新卒採用における人的資本の開示を成功させるためには、以下の3つのポイントを抑える必要があります。
特に、転職を前提に就職活動を行う学生が増えている中で、今後のキャリアが明確になっているかどうかは、企業選びの決め手になるでしょう。
カルチャー面を発信するには、「動画配信」も一つの手段としておすすめです。
社員同士の「リアル」なやり取りを見てもらうことで、関係性などが伝わりやすいからです。
社風・キャリア面を伝えるには、「インターンシップ」が有効です。
中でも、現場社員と関われるコンテンツは満足度が高く、社員同士の関係性やフィードバックの充実など、カルチャー面でアピールができます。
内容のコンテンツだけでなく、現場社員もコンテンツとして学生に強い影響力を与えているということです。
そのため、インターンを開催する際には、カルチャー面の「社員がどんな理由で、どんな関係性で働いているのか」をどう魅せていくか、戦略的に考えた方が良いでしょう。
このように、「ジョブ」「キャリア」「カルチャー」の3つの要素全てについて、
を、動画や文章を使って伝えることが効果的です。
このポイントを抑えることで、学生は働き方の「リアル」をより理解しやすくなるでしょう。
最後に、すでに人的資本経営に力を入れている企業の事例をご紹介します。
まずは、サイバーエージェントです。
[情報通信業▶メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業]
サイバーエージェントは、人的資本経営の推進に向けて、「人材は企業の最も重要な資源であり、人材の成長が企業の成長につながる」という人事方針を掲げています。
人的資本の価値を高めて、働きがいのある環境をつくりだすために、以下のような施策を実施しています。
全社員のエンゲージメント状況を高頻度で把握し、専任者がケアすることで、社員が士気高く能力を最大限発揮できる状況を作り出しています。
近年の社員のエンゲージメント調査では、多くの項目でスコアが上昇しているようです。
例えば、コロナ禍により働き方が変化した中で、「リモデイ」(出社とリモートの良さを活かしたハイブリッド型の働き方)を実施したことで「関係性」の項目が上昇しました。
これは働き方の多様性を認め、社員の主体性を引き出せたことが大きいと考えられています。
【参考】CyberAgent『87%の社員が「働きがいがある」と答える環境を実現ーーCHO曽山が語るエンゲージメントを高める人事施策』
また、社内転職制度を設け、各事業・部門の仕事内容を社内に発信することで、社員の希望による異動を促し、エンゲージメントが高まる社内異動も実現しています。
同社は事業領域の拡大に合わせて、社外人材も活用して組織全体でリスキルを実施し、事業成長に必要な人材ポートフォリオを確保してきました。
例えば、ある事業について社内に十分なスキルがない領域については、社外人材を活用し、勉強会を開催、共に取り組む仲間を持てる環境づくりをしています。
・若手社員への積極的な成長機会の提供:成長事業分野の社長ポジションに新卒・若手社員を登用し、20-30代の社長を50名以上排出しています。
・「あした会議」の実施:役員と社員がチームを組み、重要な経営課題に対する方策を発表しています。
このように若手社員の成長を促す環境づくりがなされているのです。
サイバーエージェントは、人的資本経営の取り組みや成果を統合報告書などでステークホルダーに開示しています。
さらに、採用ページにも掲載することで、求職者の目にも留まりやすいように工夫しています。
続いて、KDDI株式会社です。
KDDI株式会社では、人的資本に関する取り組みとして採用方針を変革し、社員のエンゲージメント向上と専門性獲得を両立しています。
社員のエンゲージメントを向上させるために、2020年度の新卒採用から、学生の希望に基づいた初期配属を保証するWILLコースを導入しました。
さらに、学生の多様な学習スタイルに対応するために、通年採用と入社を開始し、入社時期も柔軟に対応しています。
キャリア採用の数を約10年で10倍に増やし、2021年度の採用者の4割がキャリア採用でした。
そして、2022年度には、採用数を現在の2倍に増やす計画を立てています。
これにより、専門性の高い人材を迎え入れ、成長分野の加速を図ることができます。
既存事業の通信に加えて、金融・保険、エンタテインメント、コマースなどのライフデザインに関わる分野に事業を拡大しています。
そこで、営業の現場経験が長い社員を人事部門に登用することで、経営戦略と人事戦略の連動を強めています。
既存領域の深化と成長領域の拡大との両立のために、高い専門性を有する人材を惹きつけ、育て、活かすことを実現する人的資本経営を重視しているのです。
KDDI株式会社は以下の情報を開示しています。
また、人的資本を活用し企業価値の向上ができているかを測る指標として「人的創造性」を設定しており、2024年度には2021年度比+ 7%を目標とすることを掲げています。
ここまで述べてきたように新卒採用では、人的資本の開示によって学生に自社の魅力をアピールできるというメリットがあります。
しかし、必ずしも情報が学生に届くとは限りません。
数ある企業の中から学生に選んでもらうためには、まず自社を知ってもらう必要があります。
そのためにおすすめなのが、新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスMatcher Scoutです。
Matcher Scoutは、自社の求める人材に直接アピールできることが最大の特徴です。
このサービスを利用して、自社の価値提供を拡充できた企業事例として、【株式会社コスモスイニシア】さんをご紹介します。
株式会社コスモスイニシアは、不動産デベロッパーで、分譲マンション累計供給戸数10万戸突破など、業界でも有数の実績を残しています。
【導入事例】Matcher Scoutは、私たちが「価値の提供」を追求するうえでの“守り”の要として信頼しています。
同社は、学生に自社の価値を提供することを採用戦略の核としています。
そこで、自社の採用哲学に共感してくれる学生を見つけるために、Matcher Scoutを“攻め”の採用ツールとして導入しました。
このように、Matcher Scoutは母集団形成だけでなく、自社の価値を学生に伝えることも可能です。
人的資本経営を推進する際に、学生に直接アピールする場としてMatcher Scoutをぜひご活用ください。
Matcher Scoutについてご興味がある方は、ぜひサービス説明資料をご参照ください。
いかがでしたか?
持続的に企業価値を高めるためには、人材を「資本」として捉え、育成や採用など従業員に投資をすることで人材のポテンシャルを最大限に引き出し、活用につなげていくことが重要です。
このような経営手法を、「人的資本経営」といいます。
そのためには、人材や組織を正しく把握して、投資すべきポイントを見極めて投資効果の検証のサイクルを回すことがカギとなります。
また、人的資本を開示することにより、顧客や株主だけでなく採用応募者からのイメージアップになるため、企業成長のためには必要不可欠です。
そのため、新卒採用においても人的資本経営の視点が重要になっています。
人的資本経営に力を入れている企業の事例を参考にして、ぜひ今後の採用活動にお役立てください。