新卒採用における内定承諾率の平均は35%程度と低く、内定者の3人に2人は辞退を選びます。
多くの企業が「優秀な学生に辞退して欲しくない」と悩みを抱えているのではないでしょうか?
本記事では、その実態と、内定辞退の原因、内定承諾率を向上させるために企業がとるべき行動を解説します。
自社の課題を正しく理解し、解決していきましょう。
内定承諾率とは、
企業が出した内定に対して、承諾をした人の占める割合のことです。
内定承諾率を確認することで、自社の採用プロセスや、学生に対する訴求が適切かどうか評価する指標になります。
計算方法としては、以下の通りです。
内定承諾率と表裏一体の概念として、内定辞退率があります。
内定辞退率とは、
企業が出した内定に対して、辞退をした人の占める割合のことです。
算出方法としては、内定辞退率(%)=100%ー内定承諾率で求めることができます。
”売り手市場”といわれる現在、学生は平均して約2.4社ほど内定を獲得しており、以前に比べて内定辞退が出やすい状況となっています。
このような厳しい状況下でも自社にマッチした人材を獲得するには、まずは自社の内定承諾率・内定辞退率を把握し、改善していく必要があります。
では、新卒の内定承諾率・内定辞退率の平均はどのくらいなのでしょうか。中途採用の場合と比較しながら、実態を把握していきます。
株式会社リクルートの調査によると、24卒3月卒業時点での内定承諾率の平均は36.4%です。つまり、内定者の3人に2人は辞退をしていることになります。
※”内定承諾率=100ー3月卒業時点の内定辞退率”で計算しています。
21卒〜24卒で内定承諾率の平均がどう推移してきたかも確認してみましょう。
21卒では42.5% でしたが、22卒では38.4%、22卒では34.2%、23卒では34.2%…と、年々新卒の内定承諾率は減少しており、内定辞退が出やすい状況になっていることがわかります。
23卒から24卒で若干数値が上がっていますが、依然として内定辞退が出やすい状態といえます。
【参考】株式会社リクルート「就職プロセス調査(2023年卒) 2023年3月度(卒業時点) 内定状況」
【参考】株式会社リクルート「就職プロセス調査(2024年卒) 2024年3月度(卒業時点) 内定状況」
次に、中途採用の場合の内定承諾率と新卒の場合を比較してみましょう。
株式会社マイナビの調査によると、中途採用における内定承諾率の平均は、2023年度で『91.0%』となっています。
2020年から2023年までをみてみると、概ね85〜90%の間を推移しているようです。
【参考】株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」
中途採用では、求職者はすでに入りたい会社が決まっていることも多いため辞退に繋がるケースはそれほど多くないといえます。
それに比べて、新卒の場合は内定承諾率が低いということが読み取れます。新卒採用の場合は特に、内定辞退への対策を行う必要性が高いといえます。
では、内定辞退の割合はどのくらいなのでしょうか。
2021卒マイナビ企業新卒内定状況調査によると内定辞退率が3割以上の企業は、 2024卒で56.8%、 2023卒で57% となっています。
反対に、辞退者0の企業は、 2024卒で23.6%、 2023卒で22.9% です。
つまり、内定辞退が発生していないのは、2割程度の企業のみということになります。
半数近くの企業は、内定辞退率が3割を超えている現状があります。
【参考】株式会社マイナビ「マイナビ2024年卒 企業新卒内定状況調査」
上記のグラフは2024卒と2023卒の就職内定辞退率における月別の推移をグラフ表したものです。
【参考】リクルートキャリア就職プロセス調査(2025年卒) 「2024年6月1日時点 内定状況」
3月時点では2023卒、24卒ともに内定辞退率は2割程度ですが、7月になると2023卒で57.8%、2024卒で60.2%まで上昇します。
3月から7月の間に、学生は選考を受けたほぼ全ての企業から結果を受け取ります。
第一志望の企業から内定を受け取った時点で他社の内定を辞退しているため、この時期の内定辞退率に大きな変化が見られるのだと考えられます。
7月以降の内定辞退率は、2023卒と2024卒どちらも5%以下の変化に止まっています。
内定者フォローや10月に行われる内定式などで、企業に対する印象が変わり、内定辞退をする学生が若干数見受けられます。
入社直前の3月でも、留年や親の反対、将来の方向性を見つめ直した結果、内定辞退するケースもあります。
最終的に2023卒は65.8%、2024卒は66.8%の学生が内定を辞退をしています。
新卒は、内定辞退率が高く、ほとんどの企業が学生から内定辞退されている現状がわかりました。
どの企業も例外なく、内定辞退対策を実施していく必要がありそうです。
新卒の内定辞退率が年々高まっている背景として、以下2点が挙げられます。
昨今、学生が就職活動をスタートする時期は早まりつつあります。
内閣府調べの「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」によると、 令和2年度(2020年度)には「業界や企業に関する分析を開始した時期」を「9月以前」と答えた学生の割合が上昇するなど、全体的に時期が早まっていることがわかります。
【参考】内閣府『学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査』
また、新型コロナウイルスの流行に伴い急速に拡大した「オンライン就活」により参加ハードルが下がっており、 学生1人あたりでは 企業単独開催セミナー参加 16.1社(21卒比+2.2社) エントリーシート提出 16.4社(21卒比+0.9社) と活動社数が増加したという調査結果も発表されています。
【参考】 キャリタス就活 2022 学生モニター調査結果(2021 年 7 月発行)
今後もオンライン就活は定着していくと見込まれており、さらにより早くより多くの選考に参加する学生が増えると考えられます。
選考数が増え、学生の保有する内定数が増えればそれだけ辞退の数も増える、つまり、内定承諾率はさらに低くなってしまいかねません。
そのため、内定を出した学生に承諾をしてもらうための対策が必要となります。
内定承諾をしてもらったからといって、完全に安心することはできません。 内定承諾をした後に辞退を選択する学生は一定数存在するのです。
内定承諾をした後に辞退をすることを「内定承諾後辞退」と呼びます。
内定承諾後辞退を選択する学生は、どのくらいいるのでしょうか。
ここからは、内定承諾後辞退について詳しく解説します。
株式会社MyReferの「複数社の内定承諾や意思決定時期に関する21卒就活生の実態調査レポート」によると、21卒就活生で、内定を1社以上保持している学生の中で、25.1%が2社以上承諾する意向だと回答しています。
実際に入社できるのは1社しかないため、この結果から、少なくとも25%の学生が内定承諾後辞退を選ぶということがわかります。
しかし、内定承諾後辞退の理由はそれだけではなく「留年」「親からの反対」等も考えられるため、実際には25%以上の学生が内定承諾後辞退をしていると予想できます。
【参考】MyRefer 『複数社の内定承諾や意思決定時期に関する実態調査レポート』
最終的に1社に絞る時期は、 7~9月 39% 10~12月 45% 1~3月 12% という結果が出ています。
複数社の内定承諾をする学生のうち、10月の内定式後に1社に絞る意向の学生が半数以上ということがわかります。
【参考】MyRefer 『複数社の内定承諾や意思決定時期に関する実態調査レポート』
では、内定承諾後辞退をする原因は何なのでしょうか。
複数内定承諾をする3つの主な理由から、その原因を考えていきましょう。
原因の一つとして「内定取消への不安」があげられます。
厚生労働省は、2021年3月卒業で、就職内定を取り消された学生が21年8月時点で136人であると発表しています。
新型コロナウイルスによって、企業の業績や採用活動にも大きな影響が出ています。
内定取消を心配した学生は、複数社の内定を承諾するようです。
就職活動のオンライン化に伴い、便利さは増す一方でリアルな情報が受け取りにくくなっています。
また、ネットには情報が溢れており何を信じれば良いのかという判断も難しくなっています。
そのため「内定を得たが、本当にその企業が自分に合うのか」の判断ができず、 さらに多くの情報を得るために複数社の内定を承諾し、比較検討しようと考える学生がいるようです。
企業ごとに選考スケジュールは異なっています。
年内に選考が終了する企業もあれば、6月以降に選考がスタートする企業もあります。
多くの企業を受けようとする場合、必然的に就職活動をする期間も長引くのです。
しかしながら「内定承諾期限」を設けている企業も多く、学生の多くは「とりあえず承諾をしておかなければ、他社に受からなかったときに入社先がなくなってしまう」と考えます。
そのため、結果的に複数承諾をせざるを得ない状況になってしまうことがよくあります。
「複数承諾を積極的にしようと思っていたわけではないけれど、 結果的にそうなってしまったので内定承諾後辞退をすることになった」 という学生もいるのだと考えられます。
内定承諾後辞退のうち、「複数内定承諾による内定承諾後辞退」の原因についてご紹介しました。
「内定を出した学生に承諾をしてもらう」ことに加えて「内定承諾後に辞退をされないようにする」対策も必要といえるでしょう。
【参考】厚生労働省『令和 3年 3月新卒者内定取消し等の状況を公表します』
【参考】MyRefer『複数社の内定承諾や意思決定時期に関する実態調査レポート』
ここまでで、どの企業も新卒の内定辞退対策に力を入れる必要があることがわかりました。では、学生が内定辞退をする理由はは何なのでしょうか。以下で、主な原因5選をご紹介します。
第1の原因として、他社に比べて自社の魅力を伝えきれず、学生の志望度を高められていない点が挙げられます。
インタツアーが実施した調査によると、学生が内定辞退した理由のうちで最多だったものが”本命企業ではなかったため”でした。もともと第1志望が他社で、その内定が出た場合にはそちらを優先されてしまうことは仕方がないのかもしれません。
一方で、選考途中に他社が第1志望となり、自社の優先度が下がるという事態も発生する場合があります。
学生の声をみると、「第1志望ではなかったため」という意見も見られましたが、「他社に比べて、マッチ度合いが低かった」「他社の方が魅力的に感じた」といった意見もみられました。
また、パーソル研究所の調査によれば、内定承諾先企業が元々第1志望ではなかった割合は約6割であることもわかっています。
つまり、たとえ本命企業ではなかったとしても、学生へ魅力を伝えることができれば、内定辞退を防げる可能性もあるのです。
自社の魅力を伝えきれず、優先度が下がることを避けるべく、しっかりと自社の魅力を訴求していきましょう。
【参考】インタツアー「【24卒 選考辞退・内定承諾についての調査】学生の内定辞退率が高いのは「説明会」と「内定後」! 多い辞退理由・承諾理由とは?」
【参考】パーソル総合研究所「新卒者の内定辞退に関する定量調査」
第2の原因として、勤務地・福利厚生が学生の志望にあっていなかった点が挙げられます。
選考に参加したものの、勤務地、給与、福利厚生等の労働条件を改めて考えた際に自分に合わないと考え直す場合があります。
また、ある程度選考が終了したところで、他の内定先と労働条件を比べた結果、他者を選ぶという場合もあるようです。
「勤務地が希望と異なる」「想定より給与が低い」「福利厚生に満足ができない」 といったことが内定後に発覚することは、学生にとっても企業にとっても残念なことです。
選考がある程度進む前段階の説明会などから、詳しく労働条件を提示して、理解の齟齬が生まれないようにしましょう。
第3の原因として、「実際に働くイメージを持たせられていない」ことがあげられます。
具体的な要素について詳しく解説します。主に以下の3点が挙げられます。
就職活動のオンライン化に伴い、インターンだけではなく本選考もオンライン実施が多くなりました。
最終面接まで全てをオンラインで実施している企業もあり、学生は実際の働くイメージをもちづらくなっています。
そのため「具体的にその会社で自分がどう活躍できるのか」についての理解ができず、内定辞退につながる場合があります。
社会人経験のない学生に、正しく自社の業務を伝えるためには工夫を凝らすことが不可欠です。
説明会や選考途中の社員との接触機会が少なく、共に働く人たちのことを十分に知ることができないことも多くあります。
特に、オンライン実施の説明会や選考では、実際の空気感・温度感を伝えることはより一層難しくなります。
「働く環境」を重視する学生は多く、理解不足は不安につながるため対策が必要です。
自己分析ややりたいことの思考が不十分で、納得感のある企業選びができていない学生は意外と多いです。
いくら自己分析をしていても、就職活動を進める中で思考が変わることもあり得ます。
また、企業分析が十分にできておらず会社独自の強みや成長環境についての理解が不十分で最終的な納得感を得られないこともあるようです。
情報が氾濫している時代だからこそ、正しい情報を選びそれをもとに判断する難易度も上がっているのかもしれません。
選考に参加しながらも「自分とこの会社は合わない」と感じ、辞退を選択する学生もいます。学生の声としては、「面接官の雰囲気が自分とは合わないと感じた」「逆質問で仕事の詳細を聴き、イメージと違うと感じた」といった意見があるようです。
学生が自分に合わないと感じてしまうポイントとしては、主に社風・業界・面接官の雰囲気などが挙げられます。
選考が進むうちにイメージが変化し、社風が合わないと感じるようになる学生は一定数いるようです。
「社風」とは、人間関係、評価、仕事の進め方など様々な要素に現れます。
「社風が合わない」という思いを分解すると、 「職場の人間関係がよくわからない」 「評価制度が不鮮明」 「評価制度がイメージと違う」 「仕事の進め方が性に合わなそう」 等が考えられます。
学生は、説明会や面接をはじめとする数少ない接触で企業の社風を判断します。
事業内容、仕事内容を淡々と話すだけの表面的な説明会では、正しく社風を伝えることはできません。
また、学生にとっては、面接で出会った社員がそのまま会社のイメージとなります。
面接でのやり取りから、職場の人間関係を想像してもらえる工夫ができないと「社風が合わない」と言われてしまいかねません。
新卒採用では、複数業界の選考を受けている学生も多くいます。
就活途中で、志望業界が変化することも少なくありません。
志望業界については、「絶対にこの業界がいい」とこだわりの強い学生もいれば、「業界に縛られず、自分が魅力を感じた仕事がしたい」と考えている学生もいます。
選考過程では、自社の魅力を伝えるだけではなく「業界の将来性」「業界の魅力」についてもあわせて伝えていくことができるのではないでしょうか。
選考途中で担当であった面接官の態度が悪いと、選考参加において不満を感じ企業への信頼感を失ってしまう場合があります。
採用活動中は、対応しなければいけないことが多く何かと忙しくはありますが、学生の信頼を失うことがないよう注意を払う必要があります。
第5の原因として、内定通知・承諾後の対応が悪かった点が挙げられます。
最終選考後に選考を辞退しようと思った学生の声として、「内定通知の連絡が遅かった」「内定承諾後の連絡頻度が少なく、不安になった」といったものが挙げられています。
最終面接後、学生は内定通知の連絡を不安になりながら待っていることがほとんどです。遅くとも、面接後1週間以内には内定通知の連絡をするようにし、学生に不信感を抱かせないようにしましょう。
内定辞退を防ぎ、承諾率を上げるためにはどうしたら良いのでしょうか。
学生が企業側に求めるポイント・内定承諾した企業と辞退した企業の特徴を比較しながら、自社の内定承諾率を上げる方法を考えていきましょう。
学生は入社予定先企業を選定する際、どのような情報を判断材料としているのでしょうか。
内定承諾率について考える前に、まずはこの点について確認をしてみましょう。
マイナビ2022年卒 学生就職モニター調査によると、以下の情報を判断材料としている学生が多いようです。
1位 待遇(給与・福利厚生等)に関する情報
2位 企業の社風・企業文化についての情報
3位 勤務地に関する情報
4位 具体的な業務内容(入社1年目の業務内容など)
5位 ワークライフバランスに関する情報
6位 社員の仕事に対する姿勢や、やりがいに関する情報
【参考】株式会社マイナビ『2022年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況』
就職活動を経て「入社」が目の前に迫ってきた学生は、待遇や勤務地等の情報から具体的な業務内容・やりがい等幅広く情報を得て、入社予定先企業を選定しています。
学生によって重視するポイントは異なるため、一人一人に適切な情報を提供したり、自社に対する悪いイメージを与えないようにすることが大切です。
それでは、上記を踏まえながら、学生が内定承諾を出した企業と内定辞退をした企業の違いはどこにあるのかについて分析し、内定承諾率を上げる施策を考えていきます。
学生が内定承諾を出した企業と、内定を辞退した企業の間には、どのような違いがあるのでしょうか。
具体的には、以下3点が挙げられます。
1点目の違いは、「交流型」インターンシップの開催有無と、自社の魅力づけを行う機会を設けているかどうかです。
パーソル総合研究所が実施した調査によると、インターンシップの内容について、内定承諾先企業では「交流型」インターンシップの開催が多かったことがわかっています。対して、内定辞退企業では、学生に企画提案を行わせる「プロジェクト」型のインターンシップが多かったということです。
つまり、「交流型」インターンシップの開催が、内定承諾率を高める一つの条件となっていると言えます。
また、同調査によると、”入社後の働き方に対するイメージ”についても内定承諾先企業と辞退企業で違いが見られており、主に「ワークライフバランスの良さ」・「育休・産休のとりやすさ」・「人間関係の良さ」というポイントが内定承諾先企業でより高く評価されいたということです。
「交流型」インターンシップなどで、社員と直接話す機会を設けることは、上に挙げたようなポイントを学生に訴求する絶好の機会です。
なぜなら、社風などを正しく伝えるためには、リアルな社員の声を聞いてもらうことが効果的だからです。
学生が自分自身で一緒に働く人たちと交流する機会を設けてあげることで、自社に対する肯定的なイメージを抱かせることにつながるでしょう。
【参考】パーソル総合研究所「新卒者の内定辞退に関する定量調査」
2点目の違いは、面接官が学生に対してフィードバックを実施しているかどうかです。
上で挙げたパーソル総合研究所が実施した調査によると、内定承諾先企業の方が、内定辞退企業よりも、学生が面接官からフィードバックを受け取った割合が12.4ptほど高くなっています。
面接においてフィードバックがあると、その分面接官への印象が高まり、ひいては企業自体への評価にもつながっていると考えられます。
面接では多くの学生を相手にする必要があるため大変ではありますが、学生へのフィードバックを行う時間を作流ことで、内定承諾率アップが見込めるといえるでしょう。
3点目は、対面型の懇親会など、学生が望む内容の内定者フォローを実施しているかどうかです。
同調査によると、内定承諾先企業の方が、「社長・役員との懇親会」「社員との個人面談」といった交流系の内定者フォローや、「社内・施設見学会」・「社内イベントへの参加」といった、対面型かつより企業を身近に感じられるものを実施していることがわかっています。
実際に、学生が入社意欲増進につながった内定者フォローとして挙げるものの上位2つは、「対面実施の内定者懇親会」、「対面実施の社員との交流会」であり、対面型の内定者フォローへの評価が高いことが窺われます。
【参考】株式会社ディスコ「調査データで見る「内定者フォロー」-2022 年卒調査-」
対面型・交流型の内定者フォローを実施することで、より内定承諾率を高めることができると言えます。
これまでで、学生が企業選びで重視するポイントや、内定先企業と内定辞退企業の違いについて見てきました。では、実際に内定承諾率を上げる施策にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には以下の4つが挙げられます。
以下で詳しく解説していきます。
内定承諾先企業の特徴として、「交流型」のインターンシップや、対面実施の内定者フォローを行っていることが挙げられる点については先ほど挙げました。このことから、学生とコミュニケーションをする機会を増やすことが、内定承諾率上昇には効果的だといえます。
コミュニケーション機会を増やす方法としては、座談会の実施と、内定後フォローの実施の2点が挙げられます。
自社の魅力や社風を正しく伝えるためには、リアルな社員の声を聞いてもらうことが効果的です。
学生が自分自身で一緒に働く人たちと交流することで、より納得感を持ちやすくなるでしょう。
座談会の機会を設け、学生自身に質問をしてもらい不安、疑問等を解消できるよう努めましょう。
座談会実施にあたり、注目したいポイントは2点あります。
1点目は、開催タイミングです。
時期により学生の不安・疑問は変化します。
説明会後の座談会実施が一般的ですが、この時点での学生の自社への理解度は低いことが多く、密度の濃い質問は思い浮かびにくいものです。
そのため、選考が進んだ段階で再度実施するのがオススメです。
選考中や最終選考前等に実施をすれば、学生が具体的に働くイメージを持った上での質問をすることができます。
より自社への解像度を上げられるとともに、入社意欲の向上につながりやすくなります。
2点目は、参加社員の年次です。
学生と年齢の近い若手社員との座談会はよく実施されていますが、中堅・ベテラン社員の話を聞くことができる機会は意外と少ないです。
若手・中堅・ベテランとそれぞれの年次の社員の話を聞ける機会を作ることで、学生はキャリアステップのイメージを抱きやすくなります。
また、中堅〜ベテラン社員の座談会の際は、同期入社の社員を複数人集めると「同期との横のつながり」を感じ取りやすく、より自社の雰囲気を伝えることもできます。
以上の2点に注目することで、学生の自社への解像度が高くなり志望度を高めることのできる効果的な座談会を実施することができます。
【参考】 座談会を成功させる進め方の秘訣【新卒】
株式会社リクルート 就職みらい研究所が調査したところによると 2社以上の内定を取得する学生は、毎年全体の50%以上ということがわかっています。
【参考】株式会社リクルート『就職プロセス調査(2022卒)「2021年8月1日時点 内定状況」』
そのため、複数のの企業を比較した際の自社の優先度を上げるフォローを行うことが重要です。
〈内定後フォローの例〉
内定後フォローを行う際には以下の点に注意しましょう。
新卒採用では、1社の内定が出た後にも就職活動を続ける学生が多いです。
そのため、「最終的に入社する会社を決めるタイミング」でフォローが行えるよう考慮しましょう。
企業ごとに異なりますが、4月〜6月頃に内定を獲得する学生が多いです。
他社の内定承諾期限を把握し、意思決定のタイミングを逃さないように内定後フォローの日程調整をしましょう。
内定出しをした後には、短期間での内定承諾/辞退の決断を迫るのではなく、個人や志望度に合わせた対応を行えると良いでしょう。
判断材料を集めて自身でじっくり考えたいタイプの人もいれば、決断するための一押しを求めている人もいます。
コミュニケーションをする中で、内定者の状況を判断し適切なアプローチをしましょう。
また、志望度が高い場合には前述のように一押しをすることが効果的ですが、志望度が低い場合には他の工夫も必要です。
内定者の求める情報を提示しながら、自社の魅力を正しく伝えられるよう努めましょう。
内定者は、内定後に「本当にこの企業に入社するのが最適なのか」「こういった点が心配」といった不安を抱えることがあります。
そのため、こまめに連絡を取り、内定者の求めていることや価値観に合わせたフォローを行うようにしましょう。
面談の際などには入社理由を言語化してもらい、コミットメントを引き出すことも効果的です。
内定者インターンでは、入社後自分が働く会社の業務や雰囲気をいち早く知ってもらうことができます。
様々な部署の仕事を体験したり、仕事を通じて入社後の目標を見つけられたりすることは、学生にとって非常に有意義な時間となるでしょう。
社会人経験のない学生を迎え入れることには工数はかかりますが、効果的に行えれば、入社後スムーズに仕事に慣れられる等、自社としてもメリットになり得ます。
「様々な社員と交流しながら仕事をできるようにする」
「目標立てをしてもらい、定期的に一緒に振り返る時間を設ける」
等の工夫をしながら、インターンを実施してみましょう。
【参考】 学生が求める内定者フォローとは?ポイントごとの実例もご紹介!
2点目は、選考過程に存在する課題を見直すことです。選考過程で学生に不信感を抱かせ、志望度を低下させることがないように注意しましょう。
早期に選考を行っており内定辞退率が高いのであれば、就活後期である6月以降に採用時期をずらすことを検討してみてはいかがでしょうか。
時期により学生の志望やモチベーションが変わってくる場合があります。自社に最も適した採用時期を考えてみましょう。
学生は、「大学の授業」「卒業論文」「アルバイト」等、常に複数の活動を抱えています。
就職活動が開始すると、「説明会」「エントリーシート作成」「面接参加」等より一層忙しくなります。
また、将来に対する不安を感じることもあり精神的に不安定になりやすい時期です。
「面接は何回あるのか」「応募から内定までどのくらい時間がかかるのか」等の選考スケジュールを事前に正しく伝え、学生に安心して選考に参加してもらえるようにしましょう。
選考結果を待っている時間は、不安になるものです。
連絡が遅いことで企業への信頼感を失ってしまいかねません。
社内での決定に想定より時間を要してしまい、予定通りに結果の連絡ができない等の事態が発生した場合にも、その旨をできるだけ早く連絡しましょう。
連絡がないままだと「不合格なのかもしれない」と思われてしまい、入社意欲が下がってしまったり、他社の優先度が上がってしまうかもしれません。
学生は、選考で会った社員を通じて会社のイメージを形成します。
社内マナーを再度徹底し誤ったイメージを持たれないよう気をつけましょう。
特に、「面接官の態度、話を聞く姿勢」はとても重要です。
「態度が悪い」自分に興味を持ってもらえていない」と感じた場合には、志望度は下がってしまいます。
一方で「学生の話をしっかり聞く」「学生がリラックスできるよう接する」「学生の考えを否定せず受け止める」といった態度は、学生の志望度アップにつながります。
採用担当の方には、当たり前のように思われるかもしれませんが、選考には採用担当ではない社員が面接官として参加することもあるでしょう。
面接官のトレーニングを実施してレクチャー、ロールプレイングを行うことが求められます。
面接の間に面談を行ったり、連絡をこまめに行ったりすることを通じて、応募者のモチベーション管理に努めましょう。
面接以外に事前課題を与えたり、グループワーク選考を行ったり等する場合には、特に疑問点が生じやすくなります。
選考参加中の学生は「質問をして良いのだろうか」と悩んでしまうこともあるため、質問があれば受け付けるという姿勢を提示するとスムーズなやり取りができます。
役員面接・社長面接等の前には、面接練習の場を設けて学生が少しでもリラックスして本番に臨めるよう工夫ができると良いでしょう。
3点目は、学生の価値観を踏まえた上で自社の魅力を訴求するということです。
多くの学生と接することになる採用活動ですが、より良い活動をするためには、学生をひとまとめに考えるのではなく、一人一人との信頼関係が求められます。
「価値」「懸念点」「会社選びの基準」等を理解し、それを踏まえた上でコミュニケーションをとっていくことで効果的に自社の魅力を伝えることができます。
自社への入社意向を高めさせようと、価値観を押し付けるのではなく、フラットな姿勢で学生個人の価値観を聞き出し、理解しようとする姿勢が必要です。
内定承諾のためには「学生が会社をどれだけ理解しているか」だけではなく、「会社が学生をどれだけ理解しているか」もとても重要です。
「この会社が自分のことを一番理解してくれた」という期待感は、入社意欲を向上させることにつながります。
選考において、本音を引き出したり他社選考の状況を正しく教えてもらったりするためには、信頼関係が不可欠です。
また、信頼関係が築けていれば、万一内定辞退となってしまった際にも、本音の辞退理由を聞くことができ、内定辞退の対策につながります。
実際に働いたことのない学生は、説明会や座談会等で話を聞いても具体的にイメージを持てていない場合があります。
学生が自社についてどこまで理解できているのかを確認し、理解不足があれば補うようにしましょう。
疑問点を聞くだけではなく、改まった場ではない話せる機会を設け、自然なコミュニケーションをとることができると良いでしょう。
④ターゲットを明確にした募集をする
4点目は、自社の求める学生像を明確にした上で、採用活動を行うことです。
「自社にあった学生」「自社に興味を持っている学生」に選考に参加してもらうことができれば、自ずと内定承諾率も高くなります。
そうした学生に選考に参加してもらうためにできることを紹介します。
採用要件を明確に定義した上で、採用ペルソナを設定することで効率良く採用を行うことができます。
また、ミスマッチを事前に防ぐことができ、内定を承諾し長く活躍する人物を採用しやすくなります。
採用目的を確認した上で、ペルソナを設定し社内の他部署ともすり合わせを行いながら、募集と選考を実施していきましょう。
よりイメージを持ちやすくするために、いくつかのペルソナを作成することも効果的です。
【参考】採用要件を明確に定義する方法!評価基準の設け方などを解説
ダイレクトリクルーティングでは、「学歴」「経験」「スキル」「価値観」等を指定して企業から学生にアプローチすることが可能です。
加えて、学生のプロフィールを見てスカウトを送信することができるので、自社にフィットした学生に出会いやすいというメリットがあります。
以下のような内容を一人一人に合わせて送ることで、「会いたい」と思った学生に会える確率を高めることもできます。
また、学生への興味喚起から内定後のフォローまで全て自社で行うことにより、自社の情報を正しく伝え、学生と関係構築を行いながらの採用活動を可能にします。
内定承諾率の実態と、承諾率向上のために企業がとるべき行動について説明してきました。
新卒採用において、内定承諾率を上げることはどの会社にとっても重要な採用課題です。
自社の課題を把握し、適切な手段を用いて解決していきましょう。