新卒採用における内定承諾率の平均は35%程度と低く、内定者の3人に2人は辞退を選びます。

多くの企業が「優秀な学生に辞退して欲しくない」と悩みを抱えているのではないでしょうか?

本記事では、その実態と、内定辞退の原因、内定承諾率を向上させるために企業がとるべき行動を解説します。

自社の課題を正しく理解し、解決していきましょう。

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内定に関する割合について

内定に関する割合を示す指標には、以下のようなものがあります。

内定率とは

内定率とは、企業への就職希望者に対して内定を得た人の占める割合のことです。

内定率が低ければ、企業の求人数よりも就職希望者数の方が多い『買い手市場』であると言えます。

逆に、内定率が高ければ、就職希望者数よりも企業の求人数が多い『売り手市場』であることが分かります。

内定辞退率とは

企業が出した内定に対して、辞退をした人の占める割合のことです。

優秀な学生は複数企業から内定を貰う場合が多く、その中から企業へのリサーチや内定者フォローを通して、最終的に就職する企業を選びます。

採用を行う際は、内定辞退される可能性も考慮して内定出しをする必要があります。

内定承諾率とは

企業が出した内定に対して、承諾をした人の占める割合のことです。

内定承諾は新卒採用の場面で使われることが多く、一般的に学生が卒業後に入社することを約束された状態を指します。

内定承諾は法的拘束力を持ちません。

学生の入社が確約されるわけではないことを頭に入れておきましょう。

内定承諾を受けた後も、内定者フォローをしっかりと行うことが重要です。

今回紹介する内定承諾率については、以下の計算式で算出することができます。 実際に計算してみましょう。

内定承諾率の算出式

内定承諾率・内定辞退率の実態

内定承諾率・内定辞退率の実態はどうなのでしょうか。

ここからは、内定承諾率の平均、内定辞退率の平均、2022卒の内定状況、内定承諾後辞退の実態について詳しく解説していきます。

内定承諾率の平均

「新卒採用」「中途採用」それぞれの内定承諾率の平均を説明します。

新卒採用

株式会社リクルート 就職みらい研究所が発表したデータによると、 2019年卒~2021年卒の3月卒業時点の内定承諾率平均は『36%』となっており、実に内定者の3人に2人は辞退をしています。

2022年卒の学生についてはどうでしょうか。

就職みらい研究所が発表した2021年9月1日の就職内定辞退率は、62.1%との結果になっています。

つまり、内定承諾率は37.9%しかないのです。

【参考】リクルートキャリア 就職みらい研究所『就職プロセス調査 (2022年卒)「2021年9月1日時点 内定状況」』

【参考】リクルートキャリア 就職みらい研究所『就職プロセス調査 (2020年卒)【確報版】「2020年3月度(卒業時点) 内定状況」』

中途採用

株式会社マイナビの調査によると、 中途採用における2018年~2020年の内定承諾率の平均は、『82.2%』となっています。

各年の承諾率は以下です。

2020年 84.3% 2019年 77.9% 2018年 84.5%

【参考】株式会社マイナビ 社長室 HRリサーチ部 『中途採用状況調査2021年版』

上記から、毎年75~85%ほどが承諾することがわかります。

2020年のコロナ禍での採用活動でも大きな変動は見られませんでした。

中途採用では、求職者はすでに入りたい会社が決まっていることも多いため辞退に繋がるケースはそれほど多くないといえます。

内定辞退率の平均

では、内定辞退の割合はどのくらいなのでしょうか。

2021卒マイナビ企業新卒内定状況調査によると内定辞退率が3割以上の企業は、 2021卒で43.8%、 2020卒で53.1% となっています。

反対に、辞退者0の企業は、 2021卒で20.4%、 2020卒で17.0% です。

内定辞退が発生していないのは、2割程度の企業のみ。

半数近くの企業は、内定辞退率が3割を超えている現状があります。

中途採用と比較して、新卒採用の内定辞退率は高い(=内定承諾率は低い)ことがわかりました。

【参考】株式会社マイナビ 2021年卒企業新卒内定状況調査

内定辞退が多い時期

就職内定辞退率における月別推移グラフ

上記のグラフは2021卒と2020卒の就職内定辞退率における月別の推移をグラフ表したものです。

【参考】リクルートキャリア 就職みらい研究所『就職プロセス調査 (2022年卒)「2021年9月1日時点 内定状況」』

3月時点では2020卒、21卒ともに内定辞退率は18%前後ですが、8月になると2020卒で62.7%、2021卒で53.9%まで上昇します。

3月から8月の間に、学生は選考を受けたほぼ全ての企業から結果を受け取ります。

第一志望の企業から内定を受け取った時点で他社の内定を辞退しているため、この時期の内定辞退率に大きな変化が見られるのだと考えられます。

8月以降の内定辞退率は、2020卒と2021卒どちらも5%以下の変化に止まっています。

内定者フォローや10月に行われる内定式などで、企業に対する印象が変わり、内定辞退をする学生が若干数見受けられます。

入社直前の3月でも、留年や親の反対、将来の方向性を見つめ直した結果、内定辞退するケースもあります。

最終的に2020卒は66.9%、2021卒は57.5%の学生が内定を辞退をしています。

学生が内定辞退を行うタイミングと理由を把握しておくことで、適切な内定者フォローを行い、内定辞退率を予防することが重要です。

【参考】 新卒採用の内定辞退を予防!主な辞退理由から対策を立てる

2022卒の内定状況

株式会社リクルート 就職みらい研究所が発表したデータによると、 12月時点での内定率は95.2%で、コロナ前の2020年度卒における12月時点での内定率95.4%とほぼ同じ水準となりました。

内定辞退率は12月時点で62.4%となっています。

前月から1.1%減少しました。

2022卒は5月時点での内定辞退率が36.3%と、過去3ヶ年に比べ数値が約10%ほど高かったですが、12月現在では例年と同様の水準を記録しています。

前述した通り、2019年卒~2021年卒の3月卒業時点の内定承諾率平均は『36%』です。

2022卒では、12月現在の内定承諾率は36.5%と例年の平均値と近い数字となっています。

12月時点での数値のため多少前後する可能性はありますが、3月卒業時点までに大きく数値が変化する可能性は低いです。

また、2022年卒の内定状況は昨年と比較して、 「内定取得企業数が増加し、辞退企業数も増加している」 という特徴があります。

実際の数値は以下の通りです。

  • 内定取得企業数(平均) 2022年 2.35社 2021年 2.25社 2020年 2.48社
  • 内定辞退企業数(平均) 2022年 1.35社 2021年 1.30社 2020年 1.44社
  • 2社以上の内定を辞退している学生の割合 2022年 32.9% 2021年 32.2% 2020年 36.0%

【参考】リクルートキャリア 就職みらい研究所『就職プロセス調査 (2022年卒) 「2021年12月1日時点 内定状況」』

この数値から、 コロナ禍で若干買い手市場に変わったことが原因で就職活動に不安を覚えた学生がたくさんの企業を受けて、結果的にたくさんの内定を獲得したが、結局は1社にしか入社できないので辞退するため去年に比べて辞退数も多くなった ということが考えられます。

就職活動の早期化、オンライン就活による活動量の増加が内定承諾率に影響

昨今、学生が就職活動をスタートする時期は早まりつつあります。

内閣府調べの「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」によると、 令和2年度(2020年度)には「業界や企業に関する分析を開始した時期」を「9月以前」と答えた学生の割合が上昇するなど、全体的に時期が早まっていることがわかります。

【参考】内閣府『学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査』

また、新型コロナウイルスの流行に伴い急速に拡大した「オンライン就活」により参加ハードルが下がっており、 学生1人あたりでは 企業単独開催セミナー参加 16.1社(21卒比+2.2社) エントリーシート提出 16.4社(21卒比+0.9社) と活動社数が増加したという調査結果も発表されています。

【参考】 キャリタス就活 2022 学生モニター調査結果(2021 年 7 月発行)

今後もオンライン就活は定着していくと見込まれており、さらにより早くより多くの選考に参加する学生が増えると考えられます。

選考数が増え、学生の保有する内定数が増えればそれだけ辞退の数も増える、つまり、内定承諾率はさらに低くなってしまいかねません。

そのため、内定を出した学生に承諾をしてもらうための対策が必要となります。

内定承諾後辞退の実態

内定承諾をしてもらったからといって、完全に安心することはできません。 内定承諾をした後に辞退を選択する学生は一定数存在するのです。

内定承諾をした後に辞退をすることを「内定承諾後辞退」と呼びます。

内定承諾後辞退を選択する学生は、どのくらいいるのでしょうか。

ここからは、内定承諾後辞退について詳しく解説します。

内定承諾後辞退の割合

株式会社MyReferの「複数社の内定承諾や意思決定時期に関する21卒就活生の実態調査レポート」によると、21卒就活生で、内定を1社以上保持している学生の中で、25.1%が2社以上承諾する意向だと回答しています。

実際に入社できるのは1社しかないため、この結果から、少なくとも25%の学生が内定承諾後辞退を選ぶということがわかります。

しかし、内定承諾後辞退の理由はそれだけではなく「留年」「親からの反対」等も考えられるため、実際には25%以上の学生が内定承諾後辞退をしていると予想できます。

【参考】MyRefer 『複数社の内定承諾や意思決定時期に関する実態調査レポート』

内定承諾後辞退の時期

最終的に1社に絞る時期は、 7~9月  39% 10~12月 45% 1~3月  12% という結果が出ています。

複数社の内定承諾をする学生のうち、10月の内定式後に1社に絞る意向の学生が半数以上ということがわかります。

【参考】MyRefer 『複数社の内定承諾や意思決定時期に関する実態調査レポート』

内定承諾後辞退の原因

では、内定承諾後辞退をする原因は何なのでしょうか。

複数内定承諾をする3つの主な理由から、その原因を考えていきましょう。

①内定取消への不安 原因の一つとして「内定取消への不安」があげられます。

厚生労働省は、2021年3月卒業で、就職内定を取り消された学生が21年8月時点で136人であると発表しています。

新型コロナウイルスによって、企業の業績や採用活動にも大きな影響が出ています。

内定取消を心配した学生は、複数社の内定を承諾するようです。

②どの内定先があっているか決め手に欠ける

就職活動のオンライン化に伴い、便利さは増す一方でリアルな情報が受け取りにくくなっています。

また、ネットには情報が溢れており何を信じれば良いのかという判断も難しくなっています。

そのため「内定を得たが、本当にその企業が自分に合うのか」の判断ができず、 さらに多くの情報を得るために複数社の内定を承諾し、比較検討しようと考える学生がいるようです。

③選考スケジュールがずれていて、複数承諾せざるを得ない

企業ごとに選考スケジュールは異なっています。

年内に選考が終了する企業もあれば、6月以降に選考がスタートする企業もあります。

多くの企業を受けようとする場合、必然的に就職活動をする期間も長引くのです。

しかしながら「内定承諾期限」を設けている企業も多く、学生の多くは「とりあえず承諾をしておかなければ、他社に受からなかったときに入社先がなくなってしまう」と考えます。

そのため、結果的に複数承諾をせざるを得ない状況になってしまうことがよくあります。

「複数承諾を積極的にしようと思っていたわけではないけれど、 結果的にそうなってしまったので内定承諾後辞退をすることになった」 という学生もいるのだと考えられます。

内定承諾後辞退のうち、「複数内定承諾による内定承諾後辞退」の原因についてご紹介しました。

「内定を出した学生に承諾をしてもらう」ことに加えて「内定承諾後に辞退をされないようにする」対策も必要といえるでしょう。

【参考】厚生労働省『令和 3年 3月新卒者内定取消し等の状況を公表します』

【参考】MyRefer『複数社の内定承諾や意思決定時期に関する実態調査レポート』

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内定辞退の原因は?内定辞退が多い企業の特徴3選

内定辞退の主な原因は何なのでしょうか。 今回は内定承諾前・内定承諾後に共通して見られる主な原因3選をご紹介します。

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学生の志望度を高められていない

新卒採用では複数社にエントリーする学生が多く、学生は自分の中で企業ごとの優先順位を考えています。

もともと第一志望が他社で、その内定が出た場合にはそちらを優先されてしまうことは仕方がないのかもしれません。

一方で、選考途中に他社が第一志望となり、自社の優先度が下がるという事態も発生する場合があります。

自社の魅力を伝えきれず、優先度が下がることは避けたいものです。

実際に働くイメージを持たせられていない

内定辞退の原因の1つとして「実際に働くイメージを持たせられていない」ことがあげられます。

具体的な要素について詳しく解説します。

業務内容の理解不足

就職活動のオンライン化に伴い、インターンだけではなく本選考もオンライン実施が多くなりました。

最終面接まで全てをオンラインで実施している企業もあり、学生は実際の働くイメージをもちづらくなっています。

そのため「具体的にその会社で自分がどう活躍できるのか」についての理解ができず、内定辞退につながる場合があります。
社会人経験のない学生に、正しく自社の業務を伝えるためには工夫を凝らすことが不可欠です。

働く環境の理解不足

説明会や選考途中の社員との接触機会が少なく、共に働く人たちのことを十分に知ることができないことも多くあります。

特に、オンライン実施の説明会や選考では、実際の空気感・温度感を伝えることはより一層難しくなります

「働く環境」を重視する学生は多く、理解不足は不安につながるため対策が必要です。

自己分析や企業研究などの準備不足

自己分析ややりたいことの思考が不十分で、納得感のある企業選びができていない学生は意外と多いです。

いくら自己分析をしていても、就職活動を進める中で思考が変わることもあり得ます。

また、企業分析が十分にできておらず会社独自の強みや成長環境についての理解が不十分で最終的な納得感を得られないこともあるようです。

情報が氾濫している時代だからこそ、正しい情報を選びそれをもとに判断する難易度も上がっているのかもしれません。

自分とは合わないと感じさせている

選考に参加しながらも「自分とこの会社は合わない」と感じ、辞退を選択する学生もいます。

主に考えられる辞退理由を以下で説明します。

社風が合わない

選考が進むうちにイメージが変化し、社風が合わないと感じるようになる学生は一定数いるようです。

「社風」とは、人間関係、評価、仕事の進め方など様々な要素に現れます。

「社風が合わない」という思いを分解すると、 「職場の人間関係がよくわからない」 「評価制度が不鮮明」 「評価制度がイメージと違う」 「仕事の進め方が性に合わなそう」 等が考えられます。

学生は、説明会や面接をはじめとする数少ない接触で企業の社風を判断します。

事業内容、仕事内容を淡々と話すだけの表面的な説明会では、正しく社風を伝えることはできません

また、学生にとっては、面接で出会った社員がそのまま会社のイメージとなります。

面接でのやり取りから、職場の人間関係を想像してもらえる工夫ができないと「社風が合わない」と言われてしまいかねません。

労働条件が合わない

選考に参加したものの、勤務地、給与、福利厚生等の労働条件を改めて考えた際に自分には 合わないと考え直す場合があります。

「勤務地が希望と異なる」「想定より給与が低い」「福利厚生に満足ができない」 といったことが内定後に発覚することは、学生にとっても企業にとっても残念なことです。

また、企業選びの軸の一つとして「離職率」を指標としている学生も多くいます。

自社の離職率はどのくらいなのか、その理由は何故なのかについても事前に説明する必要がありそうです。

第一志望業界ではない

新卒採用では、複数業界の選考を受けている学生も多くいます。

就活途中で、志望業界が変化することも少なくありません。

志望業界については、「絶対にこの業界がいい」とこだわりの強い学生もいれば、「業界に縛られず、自分が魅力を感じた仕事がしたい」と考えている学生もいます。

選考過程では、自社の魅力を伝えるだけではなく「業界の将来性」「業界の魅力」についてもあわせて伝えていくことができるのではないでしょうか。

選考スピードや選考で不満を感じた

選考結果の連絡が遅い、選考に時間がかかりすぎる、面接官の態度が悪い等、選考参加において不満を感じ企業への信頼感を失ってしまう場合があります。

採用活動中は、対応しなければいけないことが多く何かと忙しくはありますが、学生の信頼を失うことがないよう注意を払う必要があります。

内定承諾率を上げるためには?内定承諾率の高い企業が持つ特徴4選

内定辞退を防ぎ、承諾率を上げるためにはどうしたら良いのでしょうか。

内定承諾率の高い企業が持つ特徴を参考に、自社の課題に応じた解決策を考えていきましょう。

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学生が入社予定先企業を選定するポイント

学生は入社予定先企業を選定する際、どのような情報を判断材料としているのでしょうか。

内定承諾率について考える前に、まずはこの点について確認をしてみましょう。

マイナビ2022年卒 学生就職モニター調査によると、以下の情報を判断材料としている学生が多いようです。

1位 待遇(給与・福利厚生等)に関する情報

2位 企業の社風・企業文化についての情報

3位 勤務地に関する情報

4位 具体的な業務内容(入社1年目の業務内容など)

5位 ワークライフバランスに関する情報

6位 社員の仕事に対する姿勢や、やりがいに関する情報

【参考】株式会社マイナビ『2022年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況』

就職活動を経て「入社」が目の前に迫ってきた学生は、待遇や勤務地等の情報から具体的な業務内容・やりがい等幅広く情報を得て、入社予定先企業を選定しています。

学生によって重視するポイントは異なるため、一人一人に適切な情報を提供したり、自社に対する悪いイメージを与えないようにすることが大切です。

それでは、上記を踏まえながら内定承諾率が高い企業が持つ4つの特徴を確認していきましょう。

1、自社の魅力を伝える機会を創っている

社員と接する機会を多く設ける

社風を正しく伝えるためには、リアルな社員の声を聞いてもらうことが効果的です。

学生が自分自身で一緒に働く人たちと交流することで、より納得感を持ちやすくなるでしょう。

座談会の機会を設け、学生自身に質問をしてもらい不安、疑問等を解消できるよう努めましょう。

座談会実施にあたり、注目したいポイントは2点あります。

1点目は、開催タイミングです。

時期により学生の不安・疑問は変化します。

説明会後の座談会実施が一般的ですが、この時点での学生の自社への理解度は低いことが多く、密度の濃い質問は思い浮かびにくいものです。

そのため、選考が進んだ段階で再度実施するのがオススメです。

選考中や最終選考前等に実施をすれば、学生が具体的に働くイメージを持った上での質問をすることができます。

より自社への解像度を上げられるとともに、入社意欲の向上につながりやすくなります。

2点目は、参加社員の年次です。

学生と年齢の近い若手社員との座談会はよく実施されていますが、中堅・ベテラン社員の話を聞くことができる機会は意外と少ないです。

若手・中堅・ベテランとそれぞれの年次の社員の話を聞ける機会を作ることで、学生はキャリアステップのイメージを抱きやすくなります。

また、中堅〜ベテラン社員の座談会の際は、同期入社の社員を複数人集めると「同期との横のつながり」を感じ取りやすく、より自社の雰囲気を伝えることもできます。

以上の2点に注目することで、学生の自社への解像度が高くなり志望度を高めることのできる効果的な座談会を実施することができます。

【参考】 座談会を成功させる進め方の秘訣【新卒】

内定後フォロー

株式会社リクルート 就職みらい研究所が調査したところによると 2社以上の内定を取得する学生は、毎年全体の50%以上ということがわかっています。

【参考】株式会社リクルート『就職プロセス調査(2022卒)「2021年8月1日時点 内定状況」』

そのため、複数のの企業を比較した際の自社の優先度を上げるフォローを行うことが重要です。

〈内定後フォローの例〉

  • メールや電話での個別対応
  • 面談
  • 懇親会
  • 職場見学
  • 内定者インターン

内定後フォローを行う際には以下の点に注意しましょう。

① 実施時期を考慮する

新卒採用では、1社の内定が出た後にも就職活動を続ける学生が多いです。

そのため、「最終的に入社する会社を決めるタイミング」でフォローが行えるよう考慮しましょう。

企業ごとに異なりますが、4月〜6月頃に内定を獲得する学生が多いです。

他社の内定承諾期限を把握し、意思決定のタイミングを逃さないように内定後フォローの日程調整をしましょう。

② 個人・志望度に合った対応を行う

内定出しをした後には、短期間での内定承諾/辞退の決断を迫るのではなく、個人や志望度に合わせた対応を行えると良いでしょう。

判断材料を集めて自身でじっくり考えたいタイプの人もいれば、決断するための一押しを求めている人もいます。

コミュニケーションをする中で、内定者の状況を判断し適切なアプローチをしましょう。

また、志望度が高い場合には前述のように一押しをすることが効果的ですが、志望度が低い場合には他の工夫も必要です。

内定者の求める情報を提示しながら、自社の魅力を正しく伝えられるよう努めましょう。

③ 内定者の立場になって対応を行う

内定者は、内定後に「本当にこの企業に入社するのが最適なのか」「こういった点が心配」といった不安を抱えることがあります。

そのため、こまめに連絡を取り、内定者の求めていることや価値観に合わせたフォローを行うようにしましょう。

面談の際などには入社理由を言語化してもらい、コミットメントを引き出すことも効果的です。

内定者インターンでは、入社後自分が働く会社の業務や雰囲気をいち早く知ってもらうことができます。

様々な部署の仕事を体験したり、仕事を通じて入社後の目標を見つけられたりすることは、学生にとって非常に有意義な時間となるでしょう。

社会人経験のない学生を迎え入れることには工数はかかりますが、効果的に行えれば、入社後スムーズに仕事に慣れられる等、自社としてもメリットになり得ます。

「様々な社員と交流しながら仕事をできるようにする」

「目標立てをしてもらい、定期的に一緒に振り返る時間を設ける」

等の工夫をしながら、インターンを実施してみましょう。

【参考】 学生が求める内定者フォローとは?ポイントごとの実例もご紹介!

2、採用オペレーション上の課題を解決している

選考スケジュールの見直し

早期に選考を行っており内定辞退率が高いのであれば、就活後期である6月以降に採用時期をずらすことを検討してみてはいかがでしょうか。

時期により学生の志望やモチベーションが変わってくる場合があります。自社に最も適した採用時期を考えてみましょう。

選考スケジュールを正しく伝える

学生は、「大学の授業」「卒業論文」「アルバイト」等、常に複数の活動を抱えています。

就職活動が開始すると、「説明会」「エントリーシート作成」「面接参加」等より一層忙しくなります。

また、将来に対する不安を感じることもあり精神的に不安定になりやすい時期です。

「面接は何回あるのか」「応募から内定までどのくらい時間がかかるのか」等の選考スケジュールを事前に正しく伝え、学生に安心して選考に参加してもらえるようにしましょう。

応募者への連絡は早めに行う

選考結果を待っている時間は、不安になるものです。

連絡が遅いことで企業への信頼感を失ってしまいかねません。

社内での決定に想定より時間を要してしまい、予定通りに結果の連絡ができない等の事態が発生した場合にも、その旨をできるだけ早く連絡しましょう。

連絡がないままだと「不合格なのかもしれない」と思われてしまい、入社意欲が下がってしまったり、他社の優先度が上がってしまうかもしれません。

社内マナーを再度徹底する

学生は、選考で会った社員を通じて会社のイメージを形成します。

社内マナーを再度徹底し誤ったイメージを持たれないよう気をつけましょう。

特に、「面接官の態度、話を聞く姿勢」はとても重要です。

「態度が悪い」自分に興味を持ってもらえていない」と感じた場合には、志望度は下がってしまいます。

一方で「学生の話をしっかり聞く」「学生がリラックスできるよう接する」「学生の考えを否定せず受け止める」といった態度は、学生の志望度アップにつながります。

採用担当の方には、当たり前のように思われるかもしれませんが、選考には採用担当ではない社員が面接官として参加することもあるでしょう。

面接官のトレーニングを実施してレクチャー、ロールプレイングを行うことが求められます。

採用プロセスごとの対応

面接の間に面談を行ったり、連絡をこまめに行ったりすることを通じて、応募者のモチベーション管理に努めましょう。

面接以外に事前課題を与えたり、グループワーク選考を行ったり等する場合には、特に疑問点が生じやすくなります。

選考参加中の学生は「質問をして良いのだろうか」と悩んでしまうこともあるため、質問があれば受け付けるという姿勢を提示するとスムーズなやり取りができます。

役員面接・社長面接等の前には、面接練習の場を設けて学生が少しでもリラックスして本番に臨めるよう工夫ができると良いでしょう。

3、学生の思考を理解した上で自社の魅力づけを行っている

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多くの学生と接することになる採用活動ですが、より良い活動をするためには、学生をひとまとめに考えるのではなく、一人一人との信頼関係が求められます。

学生個人の価値観を理解する

「価値」「懸念点」「会社選びの基準」等を理解し、それを踏まえた上でコミュニケーションをとっていくことで効果的に自社の魅力を伝えることができます。

自社への入社意向を高めさせようと、価値観を押し付けるのではなく、フラットな姿勢で学生個人の価値観を聞き出し、理解しようとする姿勢が必要です。

内定承諾のためには「学生が会社をどれだけ理解しているか」だけではなく、「会社が学生をどれだけ理解しているか」もとても重要です。

「この会社が自分のことを一番理解してくれた」という期待感は、入社意欲を向上させることにつながります。

学生と信頼関係を築く

選考において、本音を引き出したり他社選考の状況を正しく教えてもらったりするためには、信頼関係が不可欠です。

また、信頼関係が築けていれば、万一内定辞退となってしまった際にも、本音の辞退理由を聞くことができ、内定辞退の対策につながります。

学生の自社理解状況を確認する

実際に働いたことのない学生は、説明会や座談会等で話を聞いても具体的にイメージを持てていない場合があります。

学生が自社についてどこまで理解できているのかを確認し、理解不足があれば補うようにしましょう。

疑問点を聞くだけではなく、改まった場ではない話せる機会を設け、自然なコミュニケーションをとることができると良いでしょう。

4、ターゲットを明確にした募集をしている

「自社にあった学生」「自社に興味を持っている学生」に選考に参加してもらうことができれば、自ずと内定承諾率も高くなります。

そうした学生に選考に参加してもらうためにできることを紹介します。

採用ペルソナを作成

採用要件を明確に定義した上で、採用ペルソナを設定することで効率良く採用を行うことができます。

また、ミスマッチを事前に防ぐことができ、内定を承諾し長く活躍する人物を採用しやすくなります。

採用目的を確認した上で、ペルソナを設定し社内の他部署ともすり合わせを行いながら、募集と選考を実施していきましょう。

よりイメージを持ちやすくするために、いくつかのペルソナを作成することも効果的です。

【参考】採用要件を明確に定義する方法!評価基準の設け方などを解説

【参考】採用ペルソナの設定方法やポイントについて解説!

ダイレクトリクルーティングの活用

ダイレクトリクルーティングでは、「学歴」「経験」「スキル」「価値観」等を指定して企業から学生にアプローチすることが可能です。

加えて、学生のプロフィールを見てスカウトを送信することができるので、自社にフィットした学生に出会いやすいというメリットがあります。

以下のような内容を一人一人に合わせて送ることで、「会いたい」と思った学生に会える確率を高めることもできます。

  • プロフィールを読んでどこに魅力を感じたのか
  • どんな部分が自社に合っていると思ったのか
  • 自社の面談・説明会に来ることでどんなメリットがあるのか

また、学生への興味喚起から内定後のフォローまで全て自社で行うことにより、自社の情報を正しく伝え、学生と関係構築を行いながらの採用活動を可能にします

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さいごに

内定承諾率の実態と、承諾率向上のために企業がとるべき行動について説明してきました。

新卒採用において、内定承諾率を上げることはどの会社にとっても重要な採用課題です。

自社の課題を把握し、適切な手段を用いて解決していきましょう。