「AI採用」という言葉に耳馴染みがない方も多いのではないでしょうか?実際、大手の企業が導入をしたという話くらいは聞いた事があっても、あまり実態を知らないという方は多くいると思います。 「採用業務って書類選考見たりするの大変なんだよなー」 「面接の日程調整したりするの学生と合わないとできないし難しいな」 この様なお悩みを抱えている場合、「AI採用」を導入するといいかもしれません! 本記事では、AI採用活動の「工数削減」や「コストの削減」に効果的であるという理由を、大手企業の導入例を用いながら解説していきます! デメリットや注意点などもまとめていきますので、導入をお考えの際はリスクなども考慮しながら検討していきましょう AI採用とは異なる方法で採用活動の効率化を図る場合は、「ダイレクトリクルーティング」もおすすめです。
【参考】
【新卒】ダイレクトリクルーティングとは?特徴や他サービスとの比較、メリット・デメリットを紹介
ダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットを理解しよう
AI採用とは?どんなもの?
AI採用とは、AI技術を用いて採用業務を行う方法です。一般的に、書類選考や面接の場面で多く使われています。 AI採用を導入をする事で、「採用活動に割く時間が減った」「採用のクオリティが高まった」という状態を作り出すことを目指します。 現在、先端技術の導入をしている企業の活用目的は、総務省が調査を行った結果として以下の様なバランスになっています。
【参考】
総務省:特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety5.0「先端技術の活用目的(提供/利用者側別)
総務省のデータからも読み取れる通り、利用者側の69.6%が業務効率の向上という目的で先端技術をツールとして活用しています。 次に多くの票を集めたのがコスト(人件費・保守費用等)の削減です。 この上位2つは、AI採用の導入において最も効果を発揮するシーンです。 理由や根拠については下記の、「AI採用のメリット・デメリットとその注意点」において詳しく書いてありますので、そちらをご参照下さい。
AIってそもそも何?
AIとは、「Artificial Intelligence」の略称です。 機械が人間と同じ様に学習・行動・認知・理解をする事ができ、それらの技術はテクノロジーの集合体となっており、AIの定義というのも人によって異なります。 現代のDXやHRテックなどといった技術革新はAIの力を活用したものが多くあります。 それだけAIの力というものは強大でありさらなる進化へと導いてくれているのです。 とはいえアルゴリズムで形成されたものであるのに変わりはないため、ミスも起きますし取り扱いには注意が不可欠です。
AI採用のメリット・デメリットとその注意点

では早速、採用活動に「AI採用」を導入するメリット・デメリットについて話していきます。
AI採用の【メリット】4選
まずは、AI採用のメリットについてお話ししていきます。
AI採用のメリット①:採用業務時間を他の業務に当てられるため作業効率UP!
現在、あなたの会社の採用活動にはどれだけの時間がかかっているのでしょうか? 多くの工程や時間を要していると思われます。 新卒採用時にAI採用を導入する最大のメリットはこの効率化です。 AIを導入する事で、合格エントリーシートと不合格エントリーシートを振り分ける事ができ、多くの応募学生をスクリーニングができるのです。 そうする事で合格ラインに達した学生に時間を割く事ができ、より良い学生の採用が可能になるのです。 AIをうまく使う事でクオリティを維持したまま採用活動の効率をあげる事ができちゃうのです! 実際に大手企業であるソフトバンク株式会社では、エントリーシート(ES)の自動判別を用いて、書類選考にかかる作業時間を約75%削減しました。 他にもソフトバンク株式会社は、応募者の移動時間やコストの面からグループディスカッションなどの制度を廃止し、動画面接の制度を導入した事で面接作業にかかる時間が約70%の改善を見込んでいるといいます。
【参考】
AI採用のメリット②:学歴や好みで判断されず学生を客観的に見れる!
採用業務を人が行っていると、学歴や好みといった視点から選考に影響が出てしまうケースも少なくないでしょう。 しかし、AI採用ではこの様なことは起こりません。過去に蓄積されたデータからのみ判断されるため主観的な判断ではなく、客観性が担保されます。 そうする事で、より企業にマッチした応募者を選択する事ができる様になりますね。 更に、学歴に偏らない採用は、学歴以外の面でポテンシャルの高い学生が簡単に切り捨てられないため、学生にとっても嬉しい事であり、採用担当者の目に止まる確率が高まります。 そうする事で企業側も、「私たちは学歴や顔で判断せず、学生1人1人を見ています」というアピールができるため「この会社は学生1人1人に丁寧に寄り添ってくれる」という印象を自社に抱くようになるでしょう。
AI採用のメリット③:過去のデータから企業にあった学生の選別が可能!
「〇〇さんみたいな人材が欲しい」などと思ったことはありませんか? 企業には採用活動時に得られる膨大な応募者データが蓄積されています。 そのデータから、実際に活躍した人のデータと一致もしくは同類の人物を出していく事で自社の採用条件にマッチしない学生を拾う事がなくなり、人事に怒られる事が減ります。 これはAIを用いた採用活動の大きな魅力ではないでしょうか?
AI採用のメリット④:24時間利用可能な「AI採用」の活用で、人件費の削減が実現できる!?
上記でも触れた通り、2020年5月からソフトバンク株式会社が面接業務においてAIシステムの導入を始めました。 従来であれば、応募者が会場へ訪れ、面談やグループディスカッションを行う流れでしたが、応募者の移動時間やコストの削減ができるといいます。 企業側にもメリットがあり、面接の際にかかる人件費や労力を削減する事ができ、長時間の面接による疲労からのヒューマンエラー(人が故のミス)が無くなる事がわかりますよね。 学生が動画を撮り、出された質問に答えていくシステムなのですが、質問への回答が浅ければAIが深掘りした質問をするなど、かなり本格的なものとなっています。
AI採用の【デメリット】
次に、AI採用のデメリットについてお話ししていきます。
AI採用のデメリット①:過去データ基準のため、学生のポテンシャルが判断できない
企業に蓄積されたデータから基準を算出し判断していくため、主に学生が発した文字・言葉を解析しています。 そのため、学生のやる気や人間性といったポテンシャルが判断できないという欠点も存在しています。 人間的な「勘」といった判断ができないのも特徴の1つであると考えられますね。
AI採用のデメリット②:機械に判断される事に否定的な学生が存在する
【参考】
AI採用を導入していると時々、「時間をかけて作ったものなのに読んでもらえないのは理不尽だ」といった様に否定的な考えを持つ学生が存在します。
HR総研:「2019年卒学生 就職活動動向調査」(3月調査)結果報告 AI選考に否定的な学生たち 2018/06/22
【結果】
「AIによるエントリーシートの合否判定」について学生は、文系理系どちらも42%がどちらとも言えないと答えています。 重要なのはここからです。 ・賛成派「文系19%・理系25%」 ・反対派「文系39%・理系33%」 文系においては賛成派よりも約2倍の反対派がいる事が検証されています。 それぞれの意見としては
〈賛成〉
・人間よりも公正な判断をされる ・大手などはどうせ読んでいないケースが多いんだろうから、学歴で判断されないならそっちの方がいい ・人間の気分とか好みで分けられるくらいなら機械の方がいい といったAIの正確性や人間の主観、ムラに左右されない部分に魅力を感じる一方で、
〈反対〉
・公正かもしれないが人間性がない ・時間をかけて作ったんだから企業も時間をかけてでも読むべき ・採用した際に一緒に働く人をAIに任せるというのでいいのか といった、学生目線としての採用意見がある様です。 学生は自分を見てくれているという実感が自信になり、やる気につながるという点があるのを企業側は忘れてはいけないでしょう。
AI採用のデメリット③:正確に有望な人材のみを選ぶのに過去のデータが必要となる
過去データから算出されるAI採用では、どれだけ過去に正確なデータが取られているかで大きく左右されます。 大手企業であるソフトバンク株式会社は、過去のデータが多く存在したため、AIシステムの導入に至る事ができたと思われます。 しかし、スタートアップやベンチャー企業はそんなに多くのデータを蓄積できていないため、きちんとデータにそった振り分けが行えないリスクを加味した上で、導入の検討を進めていかなければならないでしょう。
AI採用導入時の注意事項
ここからは、 AI採用を導入する際の注意事項をまとめていこうと思います。
導入時の注意事項①:二次選考以降のフローは人が判断すると良い
AIで判断できるのは学生の言葉や文章です。 実際に学生がこの企業にあっているのかどうかという点は、過去データを参照にした所までしか図れません。 つまり、採用担当者様が実際に対面して会話をするといったフローは必ず大切になってきます。 効率化を目的として考えていても、採用活動で行う上で人の労力が必要なフローまで無くしてしまわない様に注意しましょう。
導入時の注意事項②:「女性差別」といった問題を引き起こす可能性も!?
AIは過去のデータから学習をし、企業にマッチした学生を選別するアルゴリズムになってます。 そのため過去のデータから間違った情報を常時学習してしまうと、AIはその通りに選別をしていきます。 過去には実際にAmazonがこのAI採用を導入した際に、「女性差別」という問題に直面し、システムをAIシステムを中止しています。 技術職には多くの男性が応募していたため、AIが男性を採用するのが好ましいと判断してしまったのです。 問題はこれだけに留まらず、「女性」に関する単語(女子サッカー部代表等)が記されていても評価が下がるといった事が起きてしまいました。 つまり学習方法によってAIは大きく左右されるため、慎重に学習させていかなければなりません。
導入時の注意事項③:AIが効果的なのは採用の初期段階
AIが最も効果的に働いてくれるのは、書類選考や面接です。 大手企業の様に応募数が多ければ多いほど足切りとしての効果は計り知れず、作業効率は高まります。 つまり、導入を検討する際には一次選考でかかっているコスト(人件費・保守費用等)や時間を考慮した上で必要かどうか、他に方法がないかを検討する必要があります。
導入時の注意事項④:個人情報の取り扱いに注意が必要
個人情報を取り扱う際には当然その扱いに注意しなければなりません。 AI採用は多くのデータから算出し、合格者を出していくのだから必然的に膨大なデータを取り扱います。 現代では特に個人情報の漏洩といった問題はすぐに広まり大惨事になり得ます。 慎重なデータの取り扱いが重要であり注意点となるでしょう。
AI採用に向いている企業と向いていない企業の特徴
AI採用には、有効に使う事ができれば大きな力となる理由があります。 ここでは、有効に使う事ができそうなケースを元に、向いている企業と向いていない企業の特徴を出してみます。
〈向いている企業〉
・膨大なデータがあり、成功・失敗のケースが既に存在している ・一次選考にかかるコスト(人件費・保守費用等)や時間が膨大 ・個人情報の扱いに絶対的な自信がある
〈向いていない企業〉
・まだ十分に過去のデータが蓄積されていない →AIが判断する人材に偏りが出てしまう恐れがあります ・一次選考にそこまでコストがかかっていない可能性がある →効果が最大限発揮されるのは書類選考や面接です。しっかりと自社の状況を把握しましょう。 ・個人情報の厳守に100%の自信がない →情報漏洩は致命的な損害となってしまいます
AI採用でコスト削減された【大手企業】の導入事例

それでは早速、導入企業のご紹介に入っていこうと思います。 自社においてどの様に活用していく事ができるのか念頭に置きながら閲覧ください!
導入事例:①ソフトバンク株式会社
もう既に本記事で紹介されているが、ソフトバンク株式会社は新卒採用時にAIツールを導入しています。 理由としては、応募者が会場に移動する際にかかる費用や時間を削減するとともに、総合職のエントリーシートの先行後に行われていたグループディスカッションや集団面接を廃止し、動画面接へと変更しました。 その動画面接で使われたのが「AI採用」です。ベテラン採用担当者や過去データを元に採点し評価をつけるといった方法を活用しています。 また、動画面接の導入を受け、ソフトバンク株式会社は面接選考にかかる作業時間を70%削減する見込みを立てています。 こうして削減された時間をインターンシップの拡大や求める人材へのアプローチなど、更なる応募者とのマッチングの時間へと割く事ができる様になりました。
【参考】
導入事例:②株式会社吉野家
「応募者側に寄り添うためのツール」として活用をし出したのは吉野家株式会社です。 これまでの「AI採用」は応募者数が多い企業が足切りのためのツールとして使っているイメージが強く残っています。 だが実際には ・面談の日程を企業に合わせなくても良い ・好きな時に好きな場所で撮ることができる ・採用側も時間を選ばずに採用活動ができる といった様にお互いにとってWin-Winな状態だという様です。 また、「直前のキャンセル」「不採用者との面接時間削減」「マッチした応募者を採用できる様になった」といった当初見込んでいた3点の効果が見られたので、AI採用の規模を拡大し、関東(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)で本格展開しています。
【参考】
導入事例:③全日本空輸株式会社
「人は完全ではない」ANAの人材戦略室の二川さんはそう言います。 「自分に似た境遇の人がいれば共感が生まれてしまう。誤嚥といえば聞こえはいいがその人の本質まで見えているかは疑問が残る。」 実際にAI採用を取り入れてみて、AIが高い評価を出した学生はやはり採用担当がみても評価は高いです。 観光業界は応募してくださった学生目線に寄り添う事で、「ご縁がなかった」という結果が出てしまった学生が今後はお客様としてご利用いただくための布石にもなるため、AI採用の利点である「移動時間の削減」はとても重要だそうです。
【参考】
「痛み分かち合える」 就職人気の全日空が求める人材 全日本空輸人財戦略室の二川恒平スーパーバイザー
現在、成功例として3つの企業を紹介しましたが、全ての企業がAI採用をうまく活用できたわけではないのです。
導入事例:④Amazon.com Inc
優秀な人材をAIを駆使して集めようとしたAmazonは、独自のAI採用システムを開発しました。 ところが、システムに性別の中立性がないことが発覚してしまったのです。 今回は10年間に渡って蓄積されたデータをもとに学習させたが、それが今夏の悲劇を生んでしまったのでしょう。 技術職のほとんどが男性からの応募であったことで、機会は男性を採用すべきだと覚えてしまったため、「女性差別」という問題が起こってしまったのだ。 こうしたように間違えた学習をしてしまうとAIはデータに基づいた間違えた評価を下してしまうというケースも起きてしまうといったデメリットも存在している。
【参考】
AI採用の料金相場や費用
AI採用には多種多様なツールが存在しているのはご存知でしょうか? 今回その中でも6つのサービスについてピックアップし、紹介していきます。 大きく<料金記載あり><料金記載なし>の2種類に分けて説明をしますので、サービス導入時の参考にしてみてください。 料金記載なしのツールにおいては、各ツールのホームページを掲示しますので、各ホームページのお問い合わせにて確認をお願いします。
<ホームページに料金記載あり>
下記にてホームページに料金記載のあるAIツールを比較しました!

【公式HP】
<ホームページに料金記載なし>
こちらではホームページに料金記載や契約企業の記載がないAIツールを紹介します!
IBM Watson
ソフトバンク株式会社が導入中 エントリーシート(ES)の自動判別を用いて、書類選考にかかる作業時間を約75%削減しております。
【公式HP】
i-web AI
導入企業については実名で出しておりません。 業界でのご紹介になります。 食品メーカー・総合商社・医薬品メーカー・証券会社などの記載があります。
【公式HP】
PRaiO
導入企業については実名で出しておりません。 大手メーカー・中堅メーカーなどの記載があります。 マイナビ✖️MRI(三菱総合研究所)の合同制作ツールとなっております。
終わりに
いかがでしたでしょうか? 「AI採用」について理解することはできましたか? こうして見てみると多くの企業が先端技術の導入を受け、採用業務にかかるコストの削減や学生の移動時間や費用などを気にして検討している様子がわかります。 今回説明したように、現在「AI採用」を検討しています採用担当者様及び企業様は、くれぐれも「メリット・デメリット」の点を重々意識し、自社にマッチしているかどうか今一度ご確認した上でお考えください! ソフトバンク株式会社のようにうまく使う事ができれば、採用活動は革新的な程に変わります。 ぜひご検討してみてください!