【簡単】コンピテンシー面接を徹底解説!質問例・評価シート例あり
2023/04/05

【目次】

  1. コンピテンシー面接について解説
  2. コンピテンシー面接の進め方とは?
  3. コンピテンシー面接をより効果的に進めるためのポイント
  4. コンピテンシー面接導入事例
  5. コンピテンシー面接で使える評価シートのテンプレートを紹介
  6. コンピテンシー面接で使える本(書籍)・漫画をご紹介
  7. まとめ

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「コストをかけて新卒を採用したのに、すぐに離職してしまう・・・」
「面接時に学生の本質を見抜くことが難しく、実際の印象とかけ離れていることが多い」
といった悩みを抱えている新卒の採用担当の方はいませんか。

本記事ではそんな方に向けて、学生の本質を見抜くために有効な「コンピテンシー面接」について解説します。

コンピテンシー面接の評価基準や進め方マニュアル、質問例等も掲載しているので、新卒採用の面接官を行う方は必見の内容ですよ。

コンピテンシー面接の他にも新卒の定着を改善する施策があります。 気になる方は、以下の記事もご覧ください。

【参考】【質問例あり】カジュアル面談の準備からその後の流れもまとめて解説
【参考】【必見】座談会の進め方のコツ6選│新卒採用成功に繋げる秘訣とは

内定辞退を防ぐための内定者フォローの資料ダウンロード

コンピテンシー面接について解説

そもそもコンピテンシーとは何か?以下の項目でコンピテンシー面接について理解を深めていきましょう!

①コンピテンシー面接とは?

②コンピテンシー面接はなぜ必要か?

③コンピテンシー面接の特徴

④コンピテンシー面接のメリット6選

⑤コンピテンシー面接の欠点・デメリット

①コンピテンシー面接とは?

一言で言うと、コンピテンシー面接は「採用面接を受けにくる新卒学生の本質を見極め、自社にマッチするかどうかを判断する」面接方法です。

近年では、公務員試験でもコンピテンシー面接が行われるようになっています。 新卒採用の場合、社会人経験が浅い求職者が多いため、学歴や資格が判断基準になりやすいです。

会社にとってマッチ度の高い求職者を集めるようとする採用において、学歴や資格に関する情報は表面的です。 一般的に高学歴の人材が優秀である「確率」は高いと言われています。

しかし、優秀な学生が必ずしも自社の社風や理念と合うとは限りません。

求職者の学歴やスキル、第一印象で判断するのではなく、それらに表れない行動特性や本質を見極めることで、入社後のミスマッチを減らすことができるでしょう。

またコンピテンシー面接は、新卒採用だけでなく、昇格審査や転職・中途の採用面接でも有効です。

※コンピテンシーとは?

ビジネス用語で「職務や役割において優秀な成果を残す従業員の行動特性」のこと。

コンピテンシー面接をはじめるまでにやるべきこと

では具体的にコンピテンシー面接を実施するまでにやるべきこと、流れを紹介していきます。

具体的には

ステップ1:社内で活躍している社員をピックアップ
ステップ2:成績が良い社員に共通する行動特性を特定
ステップ3:面接時に重視する行動特性を決定
ステップ4:実際に面接を行う

の4つのステップを、本番の面接前に行っておきましょう。

コンピテンシー面接では「社内で活躍する人材をピックアップし、その人材がどんな行動特性を持っているか」を分析することが重要です。

その行動特性を持った学生を採用すれば、自社で活躍する可能性が高まります。

例えば、活躍している社員が共通して「コミュニケーション力」と「課題解決力」に強みを持っているのであれば、同じような強みを持った学生を採用するのがよいでしょう。

②コンピテンシー面接はなぜ必要か?

配属先の人間関係で悩んだり、自身の望む配属先でない場合、「配属ガチャ失敗」といって退職を決断をする若者が増えています。

若い世代の求職者にとって、入社前の研修会社とのマッチング度は重要なのです。


コンピテンシー面接では、求職者の考えや本質が見極めやすくなり、よりマッチング度を図ることができます。

そのため、若い世代の求職者にとっても自分に合った会社を見つけられるので、メリットが大きいのです。

それではなぜコンピテンシー面接を行う必要があるのでしょうか? ここではその重要性を理解するための背景について解説します。

厚生労働省の調査から、新卒採用で就職した学生の約3割が3年以内に離職していることが分かります。

実際に、2018年卒における3年目までの離職率は31.17%、2017年卒では32.8%、2016年卒では32.0%でした。

【参考】厚生労働省「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況」

初職の離職理由として最も多いのは「仕事が自分に合わなかったため」で43.4%です。

【参考】内閣府「平成30年版 子供・若者白書(全体版)」

このような業務内容とのミスマッチを感じて離職する新卒学生を減らすためにも、面接中に適性を見極められるコンピテンシー面接は重要です。

また近年は新型コロナウイルス感染症の流行によってオンラインで行う採用活動量が増え、それに応じて課題も出てきています。

対面の面接に比べ、オンライン面接での「学生の評価が難しい」と感じている企業は、2023年卒で55.7%と半数以上でした。

【参考】株式会社ディスコ「2022年卒採用内定動向/2023年卒採用計画調査(2021年10月調査)」

このように、オンライン採用が広まり学生の本質を見抜くことが難しくなったからこそ、就業経験のない学生が自社の業務に適性があるのかどうかを適切に評価するコンピテンシー面接は重要です。

③コンピテンシー面接の特徴

コンピテンシー面接と従来の面接の違いは「学生の評価基準」「質問の内容」にあります。

従来の面接では、学生時代に力を入れたことや自己PR、志望動機をおおまかに聞き、その受け答えの印象に合わせて、その学生の学歴を踏まえて評価が行われていました。

つまり学生が「どんな行動特性を持っているか」より「どこの大学出身で、どんな経験をしてきたのか」を重要視していたのが、従来の面接です。

印象も重要視していた従来の面接は、合否の基準が曖昧で面接官によって評価がバラバラになることが少なくありませんでした。

一方コンピテンシー面接は、入社後の仕事への取り組み方や配属予定の部署社員との相性などの「学生の行動特性」を見極めます。

そのため印象や、うわべの実績、能力だけに頼らない評価が可能です。

つまりコンピテンシー面接は、30分〜1時間という短い面接時間で「学生の本質」を見極めるために有効な手段なのです。

<従来の面接とコンピテンシー面接の違い>

  コンピテンシー面接 従来の面接
評価の対象

・行動特性

・学生の本質

・印象

・学歴や現在のスキル

・実績

質問の内容 (例)

・なぜその行動をしようと思ったのか(行動特性)

・モチベーションはどこにあったのか

・取り組んだ事柄のおおまかな内容

・自社を志望する理由

面接官による評価

・基準があるため、客観性が担保されている

・基準が曖昧なため、面接官によって評価がバラバラ

面接の流れ

・全ての面接官がある程度同じ

・面接官によって進め方が異なる

 

④コンピテンシー面接のメリット6選

コンピテンシー面接には、企業と就活生のミスマッチを防ぐだけではなく、6つのメリットがあります。

コンピテンシー面接を導入することでどのような影響があるのか参考にしてみてください。

1、入社後に活躍できる人材を多く採用できる

まず第1に「入社後に活躍できる人材を多く採用できる」ことが挙げられます。

前提として、「優秀な学生 = 自社で活躍できる人材」とは限りません。

「頭のキレはいいけど、周囲とのコミュニケーションが苦手で、本来のパフォーマンスを発揮できていない」

「体育会系出身の学生だけど、想像していたよりストレス耐性が弱く、うちの部署の雰囲気に合わない」 「学歴や実績を重視しすぎた結果、性格的に合わない学生を多く採用してきてしまった」 という場合は、コンピテンシー面接がおすすめです。

新卒採用は、スキルや実績よりもポテンシャルが重要視されます。 だからこそ、入社後に活躍できる人材を見つけるには、会社の社風や部署との相性を確かめる必要があるでしょう。

コンピテンシー面接は行動特性を深掘りするため、学生のポテンシャル・本質をより見極めやすくなります。

自社にマッチする学生を見極めるために効果的と言われる構造化面接については、下記にまとめてあります。

【参考】【質問例あり】構造化面接は本当に効果的?実施手順まで徹底解説!

2、経験の少ない面接官でも適切に評価できるようになる

第2のメリットとして「経験の少ない面接官でも適切に評価できるようになる」といったメリットがあります。

コンピテンシー面接は、面接で評価するべき項目や面接の流れが明確に決まっているため、面接経験が少ない社員でも何をすべきかが分かりやすくなっています。

「面接経験が少ない社員による学生の評価が、今まで適切になされてこなかった・・・」とお悩みの場合は、コンピテンシー面接の実施がおすすめです。

3、学歴や現在のスキルに囚われない採用活動ができる

第3のメリットとして「学歴や現在のスキルに囚われない採用活動ができる」といったメリットが挙げられます。

従来の面接だと「学歴が少し足りていないない」という印象があると、その後の面接の評価にバイアスがかかってしまうことがありました。

冒頭でも説明しましたが、一般的に高学歴の人材が優秀である「確率」は高いと言われています。 しかし、学歴が高くないからといって優秀でないとは限りません。

優秀な学生を学歴バイアスによって、不採用としてしまうのは、会社にとって損失です。 コンピテンシー面接により、学生の行動特性を見極めることに集中することで、学歴やスキルに囚われない採用活動ができるようになります。

4、評価基準が明確なため、面接官によるバラツキが生じにくい

第4のメリットとして「評価基準が明確なため、面接官によるバラツキが生じにくい」といったメリットが挙げられます。

先程触れたように、コンピテンシー面接は評価基準が明確で、質問がマニュアル化されていることが多いです。

そのため、面接官ごとの評価にバラツキが生じにくく、「自社の採用要件にマッチした優秀な学生」を多く採用することができます。

5、求職者の行動特性を見抜ける

第5のメリットとして、「求職者の行動特性を見抜ける」ことがあげられます。

コンピテンシー面接は「その人個人がどんな人なのか」を見極めるために有効な手段です。

実績を残している候補者がいたとしても、その実績を残せたのは一緒にいたメンバーが強力だった可能性もあれば、運がよくたまたま上手くいった可能性もあります。

コンピテンシー面接は、実績といった表面上のものではなく 「その行動をした理由はなにか」 「チームで担っていた役割はなにか」 といったことを、具体的に深掘りしていきます。

そのような深掘りを続けることで、再現性が生まれ「入社後どんな場面で活躍してくれるのか」が想像しやすくなるでしょう。

6、求職者の嘘を見抜きやすくなる

求職者は面接の時、自分を少しでも良く見せようと嘘で取り繕おうとしたり、話を過剰に盛ってしまったりすることがあります。

コンピテンシー面接は、質問の回答に対しさらに掘り下げた質問をするため、求職者が嘘をついても、どこかで辻褄が合わないということが発生するのです。

そのため、求職者の嘘を見抜きやすくなり、本質を見ることができます。
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⑤コンピテンシー面接の欠点・デメリット3つ

これまではコンピテンシー面接のメリットを見てきました。 ではコンピテンシー面接には、どんな欠点・デメリットがあるのでしょうか。

1、モデルとなる社員がいないと実施が難しい

まず第一のデメリットとして、コンピテンシーの指標となる社員の存在が必須であることが挙げられます。

というのもコンピテンシー面接では、社内で高い評価を受ける社員の行動特性を分析し、その行動特性と一致した新卒を採用する必要があるからです。

つまり「あの人のような学生を採用したい!」というモデルが社内にいないと、コンピテンシー面接の実施は困難になります。

2、実施するまでに手間がかかる

また従来の面接に比べて、実施するまでに手間がかかることも、デメリットの1つとして挙げられます。

というのもコンピテンシー面接では

①モデルとなる社員の特定
②社員に対する聞き取り調査
③高評価社員に共通する行動特性・仕事の向き合い方をまとめる
④行動特性を採用面接の質問集に落とし込む

といったステップが必要になります。

場合によっては職種や部門ごとに聞き取り調査が必要になり、さらに時間がかかる可能性があるので、注意が必要です。

3、ヒアリングに時間がかかる

コンピテンシー面接は回答に対し、更に掘り下げた質問をしていくため、通常の面接よりもヒアリングに時間がかかります。


面接に時間がかかれば、会社によっては負担がかかったり、面接ができる人数が通常よりも減ってしまったりすることがあるでしょう。

 

コンピテンシー面接の進め方について詳しく解説!

話し合いを表す画像

コンピテンシー面接について、前述の紹介にて理解できたと思います!

次に実際に詳しい流れを「面接前に準備すること」「面接の流れ」「面接後の評価方法」に分けて紹介します。

コンピテンシー面接進め方

【面接前に準備すること】

面接の前に準備することは主に4つのステップでできます!また、1度きりではなく、継続的にコンピテンシー面接を実施できることが重要です。

ステップ1:重視する行動特性が分かる質問を行う

まずは事前に決定した「重視する行動特性」が伝わるような質問を行いましょう。

例;「課題解決力があるか見極めたい」 <質問例> ・課題・問題を解決してきた経験はありますか。

  • なぜその方法を採用しようと思ったのですか。その他に方法は無かったのですか。
  • もう一度同じ課題にぶつかったら、同じ方法で解決しますか。それとも別の方法を採用しますか。

ステップ2:答えにより適宜深掘り質問を行う

質問の返答を見て、適宜質問への深掘りを行いましょう。 学生の話す内容に少しでも疑問・質問があれば、遠慮なく聞くようにすることで、ミスマッチを防止できます。

ステップ3:評価を付ける

質問への返答を見て、学生に評価を付けましょう。 評価方法としては、1、2、3といった数値や、○×△などを用いると、評価方法が明確になり、他の面接官でも理解しやすくなります。

ステップ4:その他に重視する行動特性の質問に移る

重視する行動特性に関する質問が完了したら、その他に重視する行動特性に関する質問に移りましょう。 重視する行動特性が複数ある場合は、ステップ1〜4を何度も繰り返し「本当に自社にマッチしているか」を漏れなく確認するのがおすすめです。

【番外編】マニュアル化で面接時の負担を減らそう

コンピテンシー面接を効率よく行うためには、面接内容をマニュアル化することがおすすめです。 深ぼる内容をマニュアル化しておけば、面接官によって評価のバラツキがなくなり、学生の評価がしやすくなるでしょう。

例えば、

  • リーダーシップを聞きたい質問なのに、1人で行った内容の話をしたら×評価を付ける
  • 課題解決力の話であれば、思考の深さを深ぼる
  • 思考が深いかどうか不明であれば△の評価を付ける
  • ○の評価を下したのであれば、その他の行動特性も深ぼる

など、面接前に評価内容や聞くべきことをマニュアル化しておくのがおすすめです。

また学生を評価する際は、評価シートを作っておくと評価基準が明確になり、他の面接官から見ても分かりやすくなります。

 

【番外編】コンピテンシーモデルの作成をする

コンピテンシーモデルとは、実際の業務で使用するためにコンピテンシーの概念をモデル化したものです。

そもそもコンピテンシーは、会社での「ハイパフォーマンスのための概念」なので、評価基準や項目に定型があるわけではありません。また、一つの職場の中でも、業種や職種によって、その行動特性は当然異なります。

コンピテンシーモデルを作成し、自分たちの組織におけるコンピテンシーとは何かを明らかにすることで、それに基づいた評価や採用をすることができるのです。

コンピテンシーモデルの作成方法について解説します。

【本人や周囲にアンケートをとる】

社内で実績を上げている優秀な人材や、上司など周囲の人から評価が高い人材にアンケートをとり、業績を挙げている行動背景や考え方などを抽出する方法です。

本人から調査をすることで、精度の高いコンピテンシーモデルを作ることができます。

また、役職を務める社員に対して、優秀な人材の特徴などを調査することで、より細かく明確なコンピテンシーを作ることが可能です。

【行動を分析】

次の方法は、優秀な人材や他者評価の高い人材の行動を観察し、特徴などを抑えることでコンピテンシーを抽出する方法です。

時間はかかりますが、客観的な要素を抽出することができます。

【面接の流れ】

次にコンピテンシー面接の実際の流れについて紹介します!コンピテンシー面接は次のように進めることが多いです。STEPを6つに分けて解説します。

STEP①:テーマの設定

過去に成果を上げた取り組みについて、聞くことで就活生の行動特性や考え方を見出すことができます。そのため、過去に成果をあげた経験などを聞くことが重要です。

【具体的な質問】

・過去に大きな目標を立てて取り組んだことは?

・学生時代に一番力を入れたことは?

STEP②:就活生が何に力を入れたのか知る

就活生が何をしたのか特定していきましょう。定量的に、具体的に聞くことでより就活生の考え方を知るきっかけになります。

STEP③:課題やどんなことに苦労したのかを聞く

具体的に成果を上げた行動で、とくに工夫したり苦労したりした場面を特定しましょう。

STEP④:行動事実を明確にする

課題に対して、どのようなことを具体的に行ったのか、どんな風に工夫したのか詳しく聞きます。行動事実は一つとは限らないので、いくつも列挙させることも重要です。

例えば、課題は、〜点と〜点が考えられますがこれらの課題に対してどのような取り組みをしましたか?などと聞くと複数の取り組みについて答えてくれます。

STEP⑤:列挙した行動事実から深堀する

複数ある中でも、何に比重を置いたのか聞きましょう。とくに工夫したことや困難を乗り越えた行動を掘り下げていきます。

STEP⑥:その他の場面を特定

他にもどのような場面があったのかを特定します。

これらのステップを繰り返すことで漏れなく聞くことができます。これらを通じてでた行動特性が、就活生の考え方や意思決定方法です。

【面接後の評価方法】

面接後の評価方法は、とても重要です。面接を通して就活生の行動特性を見つけ出し、自社とマッチするのか整理していかなければならないです。

就活生の考え方を整理する際に参考になるのが「コンピテンシーモデルとのすり合わせ」「行動特性とモデルケースの比較」です。

コンピテンシーモデルの3つのタイプ

コンピテンシーモデルは主に以下の3つのタイプに分類されます。

・実在型

・理想型

・ハイブリッド型

それぞれの特徴について、解説していきます。

実在型モデル

実在型モデルは、社内で成果を挙げている人にヒアリングなどをして作られるモデルです。

コンピテンシー面接を採用している多くの企業は、このモデルを利用しています。

現実に即したモデルを設計することができ、成果を上げるために必要な行動特性をイメージしやすいです。

理想型モデル

理想型モデルは、企業が求める人物像をベースに評価項目を作成するモデルのことです。

企業の経営ビジョンや事業戦略から、理想とするモデルを想定しながら行動特性、評価項目をせっていします。

社内にモデルの大砲となる人がいない場合や、新たな人材を採用したい場合に有効です。

ハイブリッド型モデル

ハイブリッド型モデルは、「理想型モデル」と「実在型モデル」を組み合わせて作成するモデルのことです。

実在型モデルを作成したのち、足りない部分に理想型モデルの要素を組み込み、評価項目を調整します。

それぞれのモデルの良いとこどりをしているため、3種類のモデルの中で最も優れたモデルとも言えるでしょう。

行動特性に関するモデルケースを参考にする

面接時に重視したい行動特性を定めておくことで、マッチした人材なのか知ることができます。

行動特性のモデルを0から作るのではなく、今働いている社員からハイパフォーマー社員を元にモデルケースを定めておきましょう。

コンピテンシー領域と行動特性

コンピテンシー面接をより効果的に進めるためのポイント

コンピテンシー面接をより効果的に進めるためのポイントを紹介します。質問例を考える際に有効的なSTARフレームワークと評価時に基準となる行動特性をコンピテンシーレベルで解説していきます。

①コンピテンシー面接の質問例~STARフレームワークを使おう!~

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では実際のコンピテンシー面接で、どんな質問を行うとよいのでしょうか。 おすすめなのが「STARワークフレームを用いた質問」です。

STARワークフレームは、Google社が採用している候補者を公平に判断するために用いられるものです。

具体的には S:Situation(状況) T:課題(Task) A:行動(Action) R:結果(Result) の4つの頭文字を取ったものです。

この4点にそった質問を行うことで、新卒学生の行動特性が分かりやすくなるでしょう。 具体的な質問例を下記で見ていきます。

状況(Situation)

  • 取り組んだ内容
  • チーム体制
  • なぜそれに取りくもうと思ったのか(背景)
  • どれくらい難易度が高かったか
  • 期間はどれくらいか

<質問例>

  • 何人でやっていたかなど、チーム体制を詳しく教えてください。加えてその組織内のあなたの役割はなんですか。
  • あなたが行っていた内容の難易度を分かりやすく教えてください。
  • そもそもなぜその事柄に挑戦しようと思ったのですか。

課題(Task)

  • 掲げた目標 ・目標に到達するまでの課題、問題

<質問例>

  • その内容の中で、あなたはどんな目標を掲げましたか。
  • その目標を達成するうえで、一番の課題・問題はなんでしたか。またなぜそれを一番の課題問題だと考えたのですか。
  • 問題点はどの様に発見しましたか。

行動(Action)

  • 具体的な行動内容
  • 行動を行う上で、一番大変だったこと
  • 工夫した点

<質問例>

  • 課題を解決し目標を達成するために、あなたは具体的にどんなことを行いましたか。
  • なぜその行動を行おうと思ったのですか。意図を聞かせて下さい。
  • その行動の中で「あなたならでは」の行動を教えて下さい。
  • 特に苦労したこと・大変だったことを教えて下さい。

結果(Result)

  • 最終的な結果・成果 (できるのであれば定量的に)
  • その経験から学んだこと ・周囲からの評価

<質問例>

  • 最終的な結果はどうなりましたか。数字で表せるのであれば、定量的に教えて下さい。
  • その行動によって、あなたが周囲からもらった評価があれば教えてください
  • 行動を振り返って、反省点などがあれば教えてください

コンピテンシー面接をより効果的にするためには?

コンピテンシー面接は、学生の行動特性を知ることができる面接方法です。

実施時には、以下のポイントに注意して行いましょう。

1、候補者を公平に判断するという意識を忘れず持つ
2、第一印象や現在のスキルなどに囚われすぎない
3、職種によって、質問内容や深掘り質問は変更する

特に3つ目のポイントは重要です。

ひとえに新卒採用といっても、営業職なのかエンジニア採用なのかによって求める能力・学生の行動特性は異なるでしょう。

職種ごと・部署ごとの質問例マニュアルを作っておくことで、新卒学生の行動特性を適切に見極めましょう。

②【評価基準にお悩みの方必見】コンピテンシーレベルをご紹介!

「質問例は考えられたけど、学生をどの様に評価したらよいのか分からない・・・」 「具体的な評価基準の作成に手間取っている・・・」 といった悩みを抱えている方はいませんか。

そんな方には、コンピテンシーレベルの考え方がおすすめです。

コンピテンシー面接でこの考え方を使うと、自社にマッチする学生とそうでない学生が明確に分かるようになります。

具体的にコンピテンシーレベルは

レベル1:受動行動
レベル2:通常行動
レベル3:能動・主体的行動
レベル4:創造・課題解決行動
レベル5:パラダイム転換行動

の5つの段階に分けられます。

具体的に見ていきます。

レベル1:受動行動

受動行動はその名の通り「人から指示を受けて行った受動的な行動」を指します。

「リーダーに指示された行動のみをした」「仕方なく行動した」といったものは、全てこの「レベル1:受動行動」に該当します。

レベル2:通常行動

通常行動は「やるべきことを必要最小限に行った行動」を指します。

作業は自分一人で行うことができますが、工夫が見られず、誰もができるようなことを普通にやっている状態は「レベル2:通常行動」に該当します。

レベル3:能動・主体的行動

能動・主体的行動は「明確に自らの意見があり、それを基に行った行動」を指します。

「言われたことだけでなく、今必要なことを自らの意思を持ってできる」状態は「レベル3:能動・主体的行動」に当てはまります。

レベル4:創造・課題解決行動

創造・課題解決行動は「主体的に行動する中で、課題を解決するための方策を自ら考え実行した行動」を指します。

「主体的に行動し、仮説検証を回していくことで、何が最適なのかを特定できる」 「課題解決のために、独創的なアイディアを出すことができる」 といった状態は「レベル4:創造・課題解決行動」にあたります。

レベル5:パラダイム転換行動

パラダイム転換行動は「常識に囚われず、誰もが思いつかないアイディアを実行し、なおかつ周囲から賛同が得られる行動」を指します。

「アイディアの斬新さ」と「周囲からの評価」の2つがポイントで、この2つが満たされている状態は「レベル5:パラダイム転換行動」にあたります。

新卒の学生で、レベル5:パラダイム転換行動の状態にある学生は、決して多くありません。

そのため、あまりに採用要件を厳しくしてしまうと、母集団の数が減ってしまうこともあります。

「現在のコンピテンシーレベルは低いが、入社後に成長しそうか」という観点も、新卒のコンピテンシー面接では重要です。

コンピテンシー面接の導入事例

コンピテンシー面接を実際に導入している企業は、どのようなコンピテンシーモデルを採用しているのかご紹介します。

株式会社RevComm(レブコム)の導入事例

【参考】株式会社RevComm(レブコム)「コンピテンシー面接」
過去に実績として以下7つの能力が発揮されているのか、その再現性を見ています。

7つの能力>(コンピテンシーモデル)
①コミュニケーション能力
②ヒアリング能力
③交渉力
④課題発見力
⑤セルフマネジメント能力
⑥対応力
⑦行動力

過去の実績における発揮が、入社後の発揮に繋がるとみて採用を行っています。

【参考】株式会社RevComm(レブコム)

コンピテンシー面接で使える評価シートのテンプレートを紹介

「コンピテンシー面接を導入したいけど、やることが多くて大変そう・・・」と悩んでいる方はいませんか。

そんな方に向けて、コンピテンシー面接における評価シートのテンプレートを作成しました。 コンピテンシー面接実施時の参考にしてみてください。

【テンプレート】コンピテンシー面接の評価シート

上記のテンプレートでは「STARワークフレーム」を用いています。

コンピテンシー面接で使える本(書籍)・漫画をご紹介

次にコンピテンシー面接でおすすめの本・漫画を紹介します。 コンピテンシー面接の基本を知りたいという方は、以下の2冊がおすすめです。

コンピテンシー面接マニュアル 川上真史著 弘文」

コンピテンシー面接導入時に検討すべきこと等が、詳しく書かれています。 コンピテンシー面接の成功事例なども掲載されているなど、情報量が豊富で非常に参考になる一冊です。

まんがでわかるコンピテンシー面接 川上真史 弘文堂

コンピテンシー面接の基本が、漫画でまとまっています。 導入方法から、実践まで分かりやすく漫画にまとまっているので、採用面接官を担当して間もない方でも読みやすい一冊です。

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まとめ

いかがでしたか。 コンピテンシー面接は、印象だけではない「学生の本質」を見極めるために、有効な面接方法です。

「新卒がすぐに退職してしまい困っている・・・」という場合は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。