企業側から求職者に直接アプローチする採用手法・ダイレクトリクルーティング。
最近耳にすることが増えたという担当者様も多いのではないでしょうか。
実際、ダイレクトリクルーティング市場は急速に拡大しており、中途採用だけでなく新卒採用においても導入する企業が増えつつあります。
この記事では、ダイレクトリクルーティング市場の動向を中途採用と新卒採用にわけてデータをもとに解説していきます。
ダイレクトリクルーティングの市場規模
まずはダイレクトリクルーティングの定義や、全体的な市場の推移を確認していきます。
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、企業が獲得したい人材に対してスカウトを送信し、候補者一人ひとりに直接アプローチする採用手法のことです。
これまで主流だった求職者からの応募を待つ「待ち」の採用とは対照的に、企業側から求職者に働きかける「攻め」の採用手法として近年注目を浴びています。
市場規模推移
以下のグラフは、新卒・中途向けを総合したダイレクトリクルーティングサービスの市場規模推移と予測を示しています。
グラフからもわかるように、2022年のダイレクトリクルーティングサービスの事業者売上高は前年度比38.9%増の865億円となっており、急速に市場が拡大していることが見て取れます。
初めは中途採用を中心に広がったサービスですが、現在では新卒採用でも盛んに利用されています。
新卒向けダイレクトリクルーティングの市場規模
ここからは、新卒採用におけるダイレクトリクルーティングサービスの市場動向を見ていきます。
新卒向けダイレクトリクルーティングサービスの市場推移
以下は、新卒向けダイレクトリクルーティングサービスの市場推移をグラフに表したものです。
2016〜2022年度のダイレクトリクルーティングの年平均成長率は58.1%と予測されました。
また、2020年度までの新卒採用サービス市場における各サービスの年平均成長率は以下の通りです。
1位:ダイレクトリクルーティング…58.5%
2位:新卒紹介…14.7%
3位:就活情報サイト…3.6%
4位:イベント・セミナー…3.5%
2位の新卒紹介と大差をつけて1位であることがわかります。
【参考】株式会社i-plug「事業計画及び成長可能性に関する事項」
11.0%が24卒から導入すると回答
株式会社マイナビが行った調査によると、24卒では11.7%の企業がオファー・スカウト型サービスを利用していると回答しています。
また、今年度から導入した採用手法では、体験型インターンシップ、SNSの活用、インターンシップのweb対応に続いて4番目に多い回答となっており、導入する企業が拡大していることがわかります。
【参考】株式会社マイナビ「2024年卒 企業新卒採用予定調査」
22卒の94%がスカウトを受け取ったことがある
2021年11月にウォンテッドリー株式会社が行った調査では、22卒の94%が企業からスカウトメッセージを受け取ったことがあると回答しています。
同調査によると、23年卒では86%、24年卒では66%もの学生がすでにスカウトメッセージを受け取っていることがわかっています。
この時期に就職活動をすでに開始していた24卒学生の割合は46%であったため、まだ半数以上が就活を始めていない早期から多くの学生がスカウトを受け取っているということです。
【参考】ウォンテッドリー株式会社「22卒〜24卒の就職活動に関する調査結果を発表」
中途向けダイレクトリクルーティングの市場規模
ここからは中途採用におけるダイレクトリクルーティングサービスの市場動向を見ていきます。
34.1%がダイレクトリクルーティングサービスを利用
株式会社マイナビが中途採用担当者1400名を対象に行った調査によると、2022年の正社員の中途採用において、ダイレクトリクルーティングサービスを利用したと回答した担当者は34.1%でした。
業種別に見てみると、IT・通信・インターネットが42.2%、金融・保険・コンサルティングが40.2%と高くなっています。
ダイレクトリクルーティングは専門性の高い人材にアプローチしやすいという特徴があるため、専門的な業種で特に利用率が高くなっていると考えられます。
平均採用人数でも上位
以下のグラフは、2022年度の中途採用において採用に結びついたサービス・手法21種類のうち、採用実績合計人数が多かった10種類を抜粋したものです。
ダイレクトリクルーティングは第4位で2.7人でした。
2021年度では第2位で4.4人であったことからも、ダイレクトリクルーティング経由で採用成功につながる企業が多いことが伺えます。
平均予算は201.5万円
2022年度のダイレクトリクルーティングの平均予算は201.5万円であり、人材紹介の353.4万円に次ぐ第2位という結果でした。
中途採用全体の平均予算は618.4万円であるため踏まえると、予算全体の1/3近くをダイレクトリクルーティングが占めており、多くの企業で注力的に利用されていることがわかります。
ダイレクトリクルーティング市場が伸びている背景
ここまでダイレクトリクルーティングサービスの市場規模について解説してきました。
新卒向け・中途向けともに年々市場規模が拡大していますが、その背景には少子高齢化による人材不足や、採用のオンライン化があげられます。
売り手市場の現在、働き方改革が進んだことも相まって、求職者がより自分に合った企業を選ぶ時代になっています。
優秀な人材を確保するためには、転職顕在層だけでなく転職潜在層にも企業側から自発的にアプローチをかける必要があるのです。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ここでは、ダイレクトリクルーティングのメリットについて詳しく解説します。
①自社にマッチした人材と効率的に出会える
ダイレクトリクルーティングでは、採用したいと思う人材に対して、企業側からピンポイントでアプローチすることが可能です。
自社の採用要件を満たした人材にのみ選考に参加してもらうことで、効率的な採用活動を行えます。
また、求職者それぞれに合わせた選考を行うことで、マッチング度を高める効果も期待できます。
②知名度の低さをカバーできる
求人サイトなど従来の「待ち」の採用では、知名度が低い企業は求職者に関心を持ってもらいにくく、応募を集めることが難しいという課題がありました。
ダイレクトリクルーティングでは、企業側から求職者にアピールするため、知名度の低い企業でも求職者に興味を持ってもらえる可能性が高まります。
③潜在層にアプローチできる
転職を希望していて実際に転職活動をしている「転職顕在層」は、1割にも満たないほどの数しかいないと言われています。
一方で「転職潜在層」は7割を超えているという調査データもあり、転職を意識している労働者のほとんどは転職潜在層であるといえます。
このような潜在層にアプローチできることはダイレクトリクルーティングの大きなメリットといえるでしょう。
また、中途採用だけでなく新卒採用においても、これまで出会えていなかった層の学生と接点を持てるというメリットがあります。
【参考】「求職者・候補者の転職意識の実態」を調査、転職潜在層を含めた「転職予備軍」は約70%と判明―YOUTRUST|HRzine
ダイレクトリクルーティングのデメリット
一方で、ダイレクトリクルーティングにはデメリットや課題点もあります。
①運用工数がかかる
ダイレクトリクルーティングの最大のデメリットは、他の採用手法と比較して人事・採用担当者の負担が大きい点です。
スカウト送信対象の選定やスカウト文面の作成、候補者への返信対応など多くの業務が発生するため、かなりの工数がかかってしまいます。
詳しくは後述しますが、スカウトメールの代理送信など運用を代行してくれるサービスもあります。
②運用難易度が高い
効果的なスカウト文面の作成など、他の採用手法よりも運用難易度が高い点もデメリットのひとつです。
ノウハウがないと成果につなげることが難しいため、効果が出るまでに時間を要する傾向があります。
ダイレクトリクルーティングの運用代行とは
ここまでダイレクトリクルーティングのデメリット・課題点を紹介してきましたが、これらの課題を解決するサービスとして注目を集めているのがダイレクトリクルーティングの運用代行サービスです。
運用代行サービスではスカウト送信や返信対応などの業務を代行してくれるため、マンパワー不足解消につながることはもちろん、プロのノウハウを活用することで効果的なスカウトを送信できます。
成功報酬型のサービスを利用すれば、リスクなく運用することも可能です。
そこでおすすめなのが『Matcher Scout』です。
新卒向けダイレクトリクルーティングサービスMatcher Scoutは、完全成功報酬型で運用に際する業務を全て代行します。
スカウト文面のA/Bテストなどによって蓄積したノウハウをもとに、会いたい学生に会える確率を高めるサポートも充実しています。
【Matcher Scoutの特徴】
- OB・OG訪問アプリ「Matcher」に登録している学生にスカウトを送信
- 独自のA/Bテスト機能で、会いたい学生に会える確率を向上できる
- 登録学生はMARCH・関関同立の学生の割合が高い
- 採用成功まで料金は一切かからない
ご興味をお持ちいただけましたら、まずはお気軽に、お問い合わせ・資料請求をお願いいたします。
ダイレクトリクルーティング市場の今後の展望
少子高齢化による人材不足や働き方改革は今後も進んでいくと考えられ、IT人材や即戦力人材に対する採用需要はますます高まるでしょう。
それに伴って、ダイレクトリクルーティングを導入する企業は増え続ける見込みです。
求職者にとっても「スカウトを待つだけでいい」ため、その手軽さから利用者数が増えていく可能性が高いです。
また、株式会社HR総研が中途採用担当者を対象に行った調査では、今後利用が高まると思われる採用手法として、ダイレクトリクルーティングはリファラル採用に次ぐ第2位にランクインしています。
ダイレクトリクルーティングに適した企業の特徴
ここでは、ダイレクトリクルーティングの導入を検討している担当者様に向けて、ダイレクトリクルーティングに適した企業の特徴をご紹介します。
専門性の高い人材を採用したい企業
エンジニアなど専門性の高いスキルを持った人材を採用したいという場合、ダイレクトリクルーティングはおすすめです。
ダイレクトリクルーティングでは求める人材にピンポイントでアプローチできるため、特定のスキルを持つ人材の採用に適しています。
また、専門性の高い人材は新卒・中途ともに市場に少なくなかなか出会いづらいですが、ダイレクトリクルーティングであれば市場に出てきていない潜在層にリーチできるため、専門的な人材に出会える可能性が高いです。
知名度が低い企業
知名度の低い企業にもダイレクトリクルーティングはおすすめです。
企業側から求職者に接触するダイレクトリクルーティングを利用すれば、知名度が低い企業であっても求職者に認知してもらうことが可能です。
そのため従来の「待ち」の採用と比較して、応募につながりやすい手法といえるでしょう。
ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶポイント
「ダイレクトリクルーティングを導入したいけれど、たくさんサービスがありすぎてどれを選べばよいのかわからない」という方に向けて、ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶ際に確認するべきポイントをご紹介します。
①登録層を確認する
サービスの登録者の中に自社が採用したい人材がどれだけいそうかという点は必ず検討しましょう。
例えば新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスであれば、学歴層や理系/文系、大手志向/ベンチャー志向など、サービスによって登録している求職者の属性は異なります。
②料金形態を確認する
ダイレクトリクルーティングサービスの中には、
- 完全成功報酬型
- 月額制
などさまざまな料金形態のサービスが存在します。
また成功報酬型のサービスの中でも、
- 入社前日までに辞退された場合に全額払い戻し
- 入社〇カ月以内に退職した場合には〇%払い戻しなど入社後まで保証
など、保証の条件もサービスごとに異なります。
ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶ際は、こうした細かい料金形態までしっかりとチェックしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
この記事のポイントは以下の通りです。
- ダイレクトリクルーティングサービス市場は中途・新卒ともに急速に拡大中
- 今後もダイレクトリクルーティングの利用者・導入企業は増加見込み
- ダイレクトリクルーティングの利点は知名度の低い企業でも潜在層にピンポイントでアプローチできる点
- 工数や運用難易度の高さは課題だが、代行サービスを利用することで解決できる
ダイレクトリクルーティングの特徴や市場動向を理解し、自社に合った形でダイレクトリクルーティングを採用活動に役立てましょう。