雇用流動化とは?メリット・デメリットや優秀な人材の確保方法を解説
2025/12/26
「雇用流動化」という言葉を聞いたことはありますか?

「聞いたことがある」という人もいるかもしれませんが、その意味や定義、さらには採用活動での活用方法まで把握している人は少ないのではないのでしょうか。

本記事では、「雇用流動化」に関して、注目された背景やメリット・デメリットを解説した後、採用活動における雇用流動化の活かし方を解説していきます。

雇用流動化とは?

雇用流動化とは「人材が企業間を移りやすくすることにより、労働力の流動化を図り、企業の生産性が向上して経済成長に繋がる」という状態を表します。

日本の従来の雇用制度は、年功序列・新卒一括採用・終身雇用をもとにした「メンバーシップ型雇用」が一般的でした。

しかし、「メンバーシップ型雇用」だと企業内での新陳代謝が促されず、もしも自社の社風や価値観に合っていない社員がいる場合、ミスマッチしている人材を雇用し続けるという課題があります。

その点雇用流動化によって労働市場が活発になれば、様々なスキルや経験、価値観を持った人材が労働市場に現れるため、企業は必要な人材像にあった人をピンポイントに採用できるようになります。

企業の生産性も向上し、日本全体の経済成長に繋がるというのが、雇用流動化で目指すものなのです。

雇用流動化が始まったのはいつから?

では、雇用流動化はいつから始まったのでしょうか。

1990年代以降、企業は低成長化・事業環境の不透明化の問題に直面していました。そして、以下の3つの背景から、雇用の流動化が活発になりました。

▼1990年代から雇用流動化が活発化した背景

  1. 非正規労働者の増加
  2. 大手企業の人員リストラによる転職の活発化
  3. 女性の就業時間の長期化

まとめると、非正規労働者の増加や大手企業によるリストラなど、これまで一般的だったメンバーシップ型雇用以外の働き方の選択肢が生まれたこと、女性の就業時間の長期化など働き方が大きく変化したことによって、雇用流動化が始まったことが示唆されます。

【参考】内閣府『働き方の変化と税制・ 社会保障制度への含意』

雇用流動化と労働力流動化の違い

雇用流動化に似た言葉として「労働力流動化」というものもあります。「労働者が会社間を移動しやすくし、労働市場が流動的になることで、産業の発展と雇用市場の活発化を実現できる」という意味を持つ言葉です。

どちらも、労働者の流動性が高まることによって産業の発展に繋がる、という意味で同じような言葉として使われます。

雇用流動化が注目される理由

日本において「雇用流動化」が注目される理由として、以下の4つがあります。

▼雇用流動化が注目される理由

  1. 少子高齢化による労働者数の減少
  2. 多様な就労スタイルの確立と就労意識の変化
  3. 働き方改革の促進
  4. 雇用流動化に関連した法改正・政策

それぞれ詳しくみていきます。

①少子高齢化による労働者数の減少

1つ目の理由は「少子高齢化により労働者数が減少したこと」です。将来推計人口を示した図

【出典】厚生労働省『将来推計人口(令和5年推計)の概要』

厚生労働省の人口推計に関する上のグラフを見ると、年を重ねるにつれて、高齢者の割合が増加する一方で、生産年齢人口が減少していることがわかります。また、この流れは2070年まで続くことが予測されています。

企業は、労働者人口が減少する中で、引き続き自社に合う優秀な人材の確保が必要です。従来の新卒一括採用にこだわらず、即戦力となる人材を中途で採用することが求められています。

②多様な就労スタイルの確立と就労意識の変化

2つ目の理由は、「多様な就労スタイルの確立と就労意識の変化」です。

近年、テレワークの普及により、従来のフルタイムでのオフィス勤務が当たり前ではなくなりました。また、キャリア形成が企業から個人に移行していることで、副業や転職に対してのイメージがポジティブに変化しました。

つまり、労働者一人ひとりが自分に合った働き方を目指して、雇用が流動的になりやすい環境が整ってきているのです。

③働き方改革の促進

3つ目の理由は「働き方改革の促進」です。

働き方改革は「働く人が多様な働き方を選択できる社会の実現を目指す改革」です。そこで、多様な就業機会を設け、各労働者の能力や意欲が発揮できる労働環境を整えることが必要になります。

従来の新卒一括採用や終身雇用ではなく、柔軟な雇用機会が作られることで、人材が流動的になりつつあるのです。

④雇用流動化に関連した法改正・政策

4つ目の理由は、「雇用流動化に関連した法改正・政策」です。代表的な法改正として「雇用保険法」が2025年4月に改正されました。その中の自己都合離職者に関する法改正が雇用流動化の促進に繋がっています。

雇用保険法における自己都合離職者の法改正の内容は以下の通りです。

改正前

自己都合離職者に対しては、失業給付(基本手当)の受給に当たって、待期満了の翌日から原則3ヶ月間(5年以内に2回を超える場合は3ヶ月)の給付制限期間がある。

改正後

離職期間中や離職日前1年以内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限を解除。

※このほか、通達の改正により、原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。ただし、5年間で3回以上の自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヶ月とする。

【出典】厚生労働省『令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について』

この自己都合退職者の給付制限見直しによって、労働者は転職をしやすくなった一方で、企業は人材流出のリスクが高まりました。

「雇用保険法の改正」のように、今後も雇用流動化を促進するような政策が策定される可能性があり、雇用流動化がますます注目されることになるでしょう。

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日本における雇用の現状

雇用流動化が注目されている中で、日本の雇用は現在どうなっているのでしょうか。雇用流動化の観点で日本の雇用を分析すると、以下のような特徴がみられます。

▼日本の雇用の現状

  1. 日本の雇用はすでに流動化している
  2. 日本の雇用は「非正規化により」流動化している

①日本の雇用はすでに流動化している

日本の雇用はすでに流動化しています。

厚生労働省の調査によると、令和6年の1年間における入職者数は7473.7千人である一方、離職者数は7195.3千人でした。

このことから、入職者数と離職者数の比率はおおよそ1:1であることがわかります。これは、離職した人数分を新しい入職者で補っているといえるため、日本における雇用の流動性が高いことがわかるでしょう。

【参考】厚生労働省『-令和6年雇用動向調査結果の概況-』

②日本の雇用は「非正規雇用の増加により」流動化している

日本の雇用流動化は、非正規社員の増加により実現されています。

日本では、正規社員を解雇するためには、整理解雇の4要件という厳しい条件を満たす必要があります。その4要件は以下の通りです。

▼整理解雇の4要件

  1. 人員削減の必要性
  2. 解雇回避努力
  3. 人員選定の合理性
  4. 解雇手続きの相当性

つまり、企業は戦略的な人員整理のためであっても容易に正規社員を解雇できないのです。一方で、非正規社員は雇用に関して常に不安定であり、比較的容易に解雇できます。

正規社員の代わりに、比較的容易に解雇しやすい非正規社員が増加したことで、雇用が流動化している、というのが日本の現状です。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移を示したグラフ

【出典】厚生労働省『「非正規雇用」の現状と課題』

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移を示したグラフをみると、非正規雇用労働者については、2020年と2021年を除き、2010年以降は増加していることがわかります。

また、2024年において、労働者全体(5,771万人)に対する非正規労働者の割合は約37%です。つまり、約3人に1人が非正規労働者として生活していることがわかるでしょう。

■国際比較|諸外国の雇用流動性

では、海外と比較してみると、日本の雇用の現状はどうなっているのでしょうか。

【図表1】各国の勤続年数別雇用者割合と平均勤続年数

国名 勤続年数別雇用者割合 平均勤続年数
1年未満 1~9年 10年以上
日本 8.6% 44.7% 46.8% 12.4年
アメリカ 22.2% 51.6% 26.2% 3.9年
フランス 18.0% 42.0% 39.9% 10.3年
ドイツ 16.8% 46.1% 37.1% 10.1年
デンマーク 23.2% 52.5% 24.4% 7.0年

図表1をみると、勤続年数別雇用者割合においては日本は1年未満の雇用者割合が低い一方で、他国では15%を超えています。このことから、日本では長期雇用がまだ残っていることがわかるでしょう。

しかし、平均勤続年数をみてみると、日本の平均勤続年数は12.4年であり、フランスやドイツの平均勤続年数とそこまで変わりません。

したがって、日本の雇用の現状としては、長期雇用はまだ残り続けているものの、日本の雇用は他国と比較して安定しているとはいえず、現在は雇用の流動化が進んでいるといえるでしょう。

【参考】独立行政法人 労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2025|労働政策研究・研修機構(JILPT)| Databook of International Labour Statisti』

雇用流動化によるメリット3選

雇用が流動的になることによる企業のメリットは以下の3つです。

▼雇用流動化による企業側のメリット

  1. 即戦力を採用できる
  2. 自社に適した人材を確保できる
  3. 新たな視点を取り入れ革新性が生まれる

それぞれ詳しくみていきましょう。

①即戦力を採用できる

雇用が流動化することで、さまざまなスキルを持った人材が市場にいるため、企業は即戦力となる人材を採用しやすくなります。人材が流動化し、中途採用での応募が増加すると、自社が必要としているスキルや経験を持ち合わせた人材と出会える可能性が上がります

事業の立て直しが必要な状況を考えてみましょう。

もし雇用が流動的でない場合、たとえスキルや経験がなかったとしても、自社の中から抜擢しなければなりません。しかし、雇用が流動的であれば、十分なスキルや経験を持つ人材を社外から獲得することができます。

②自社に適した人材を確保できる

雇用流動化が進むことで、自社に適した人材を確保しやすくなります。人材が流動的になることで、あらゆる人材を雇い入れる機会が増加するからです。

これによって、自社に必要なスキルや経験を持つ人、社風に合う人を採用できるでしょう。

また、新卒で採用できなかった優秀な学生が中途入社してくることも考えられます。

③新たな視点を取り入れ革新性が生まれる

雇用流動化が進むことで、これまで自社になかった視点やノウハウを取り入れることができるようになります。

流動性の低い組織や長い期間勤めている社員ばかりであると、社員の持っているスキルや経験に違いがなくなってしまうでしょう。

そこで、異なる業界を経験した人材や、違った価値観をもった人を採用すれば、社内に新しい視点をもたらします。

雇用流動化によるデメリット3選

雇用流動化にはデメリットもあります。ここでは以下の3つを取り上げます。

▼雇用流動化による企業側のデメリット

  1. 若手人材の成長機会が減る恐れがある
  2. 採用コストや工数が増加する
  3. 自社にマッチする人材の見極めが難しくなる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①若手人材の成長機会が減る恐れがある

雇用が流動化すると、若手人材の成長機会が失われてしまう恐れがあります。雇用が流動化することによって、企業が経験豊富な即戦力となる人材ばかりを採用し、若手の採用や育成を軽視してしまう可能性があるからです。

また一般的に、新人教育は多額の費用と労力がかかるというのも理由にあります。その費用や労力を避け、即戦力ばかりを採用してしまうと、自社の社風や理念を深く理解した、企業の将来を担う人材がいなくなってしまいます。

即戦力となる中途人材を定期的に採用しながら、若手人材の育成にも注力することが、中長期的に見て大切です。

②採用コストや工数が増加する

人材が流動化することは、採用コストや工数の増加をもたらします。

雇用流動化によるメリットを享受するためには、企業側の積極的な採用活動が必要です。雇用の流動化により、最適な採用戦略を考えたり、複数の求人媒体を利用したり、数多くの面接を行ったりなど、業務量が大きく増加するでしょう。

また、採用コストも大きく増加します。実際、中途採用の採用コストの平均は、新卒採用の採用コストの平均よりも400万円近く高い結果となっています。

新卒・中途採用の採用コストの平均

  新卒採用 中途採用
採用コストの平均 287.0万円 650.6万円

【参考】株式会社マイナビ『2024年卒企業新卒内定状況調査』

【参考】株式会社マイナビ『中途採用状況調査2025年版(2024年実績)』

また、自社にマッチしない人材を採用し、早期退職者が増えてしまうと、育成や採用にかけたコストや時間が無駄になってしまう可能性もあります。

③自社にマッチする人材の見極めが難しくなる

雇用が流動化すると、企業は自社にマッチする人材を見極めることが困難になります。

採用できる人材が増えることはメリットになる一方で、自社にマッチしてない人を採用してしまえば、それにかかる採用や育成コストは無駄になるかもしれません。

また、近年は転職に対するハードルも下がってきています。「勤め先が自分に合わない」と感じた社員はすぐに退職し、再び転職市場に身を置く可能性も高まりつつあるでしょう。

そのため、自社にマッチした人材かどうか、採用活動を通してしっかりと見極める必要があります。

雇用流動化が新卒採用に与える影響3選

雇用流動化は新卒採用にも影響を与えます。主な影響としては以下の3つです。

▼雇用流動化が新卒採用に与える影響

  1. 約3割の学生が転職前提で就活をする
  2. 学生がファーストキャリアで求めるものは「成長」
  3. 企業の「ジョブ型雇用」の増加

それぞれ詳しく解説します。

①約3割の学生が転職前提で就活をする

株式会社ワンキャリアが2026年卒の学生に行ったアンケートによると、約3割の学生が「転職を意識して就職先を選ぶ」と回答しました。また、「定年まで就職した会社で働き続ける」と回答した人は約3割でした。

その背景には、終身雇用・年功序列などの従来の雇用制度が崩壊しつつあり「大企業だから安泰」という風潮の変化があります。

これは、将来の先行きが不透明になったことで、キャリアを企業に委ねるのではなく、主体的にキャリアを築きたいと考える学生が増加したことが考えられます。

【参考】株式会社ワンキャリア『【2026年卒 就活の実態調査】説明会はオンライン、会話を要する選考等では対面を希望』

②学生がファーストキャリアで求めるものは「成長」

株式会社ワンキャリアの2026年卒を対象とした調査によると、転職を前提にファーストキャリアを選択する学生は、「自分のスキルを伸ばしたい」や「成長の幅と深さを持ちたい」といった自身の成長に関する回答がありました。

このことから、理想のキャリアを実現させるために、中長期的なスキルアップやキャリア形成を図りたいという学生の意図が伺えます。

企業はこうした学生に対して、「多様なキャリアパスがあること」や「成長できる環境があること」を訴求していく必要があるでしょう。

【参考】株式会社ワンキャリア『【2026年卒 就活の実態調査】説明会はオンライン、会話を要する選考等では対面を希望』

③企業の「ジョブ型雇用」の増加

雇用流動化により、新卒採用で「ジョブ型雇用」を採用する企業が増加していることも影響の1つです。

ジョブ型雇用とは、その職種に必要なスキルや知識を備えた人材を即戦力として採用する制度です。

株式会社マイナビの2021年の調査によると、新卒採用で人員計画や採用費用を決定している人の28.4%がジョブ型雇用を導入していると回答しました。すなわち、新卒採用において約3人に1人の人事担当者が「ジョブ型雇用」を導入していることがわかります。

したがって、採用市場におけるジョブ型雇用の拡大は、即戦力人材の獲得という特徴を持っているため、雇用の流動化をさらに促進させるでしょう。

【参考】株式会社マイナビ『ジョブ型雇用制度と少子高齢化~キャリア選択肢を増やすために企業ができること』

優秀な人材を確保するための採用戦略5選

雇用が流動化した現在において、企業にとって自社にマッチする人材の採用は非常に重要性を増しています。そこで、優秀な人材を確保するための採用戦略を5つ解説します。

▼優秀な人材を確保するための採用戦略

  1. 採用市場の分析を行う
  2. 採用戦略を立てる
  3. 自社の魅力を候補者に訴求する
  4. 採用担当者の評価能力を向上させる
  5. 内定者のフォロー活動を行う

①採用市場の分析を行う

1つ目は、採用市場の分析を行うことです。

雇用流動化が進む市場において、学生が企業に求めていることを常に把握する必要があります。雇用流動化が進む市場に対応するために、既存の採用手法が市場の変化に対応できているかを確認しておくと良いでしょう。

②採用戦略を立てる

2つ目は、採用戦略を立てることです。この際、明確な採用ターゲットを定めると良いでしょう。この際に、スキルや能力だけを評価基準にするのではなく、どんな価値観や性格が自社にあっているのか、まで検討することが大切です。

採用ターゲットを決めた後は、その人材をどのように確保するかの方針を立て、優秀な人材を獲得するまでの導線を構築しておきましょう。

③自社の魅力を候補者に訴求する

3つ目は、自社の魅力を候補者に訴求することです。自社のホームページやSNSを活用して、自社の魅力を候補者に訴求することが大切です。

また、定期的な情報更新を行うようにしましょう。雇用流動化が進む採用市場において、学生が求めている情報も変化します。市場の変化に合わせて、自社が訴求したい内容も随時更新するようにしましょう。

④採用担当者の評価能力を向上させる

4つ目は、採用担当者の評価能力を向上させることです。

雇用流動化によって、自社にマッチする人材の見極めが困難になっています。そのため、採用担当者の見極め精度を向上させる必要があります。

採用担当者の評価能力を向上させる方法としては、面接のロールプレイングの実施や採用基準の理解、新人社員の人材育成を行うと良いでしょう。

⑤内定者のフォロー活動を行う

5つ目は、内定者のフォロー活動を行うことです。

採用活動は、内定を出すことがゴールではありません。その後の内定者フォローにおいて、候補者の入社意欲を高めることができなければ、内定辞退の発生につながります。

優秀な人材を確保するためにも、内定者フォローは欠かさずに行うようにしましょう。

【手法3選】優秀な人材を自社に定着させるためには

企業戦略にとって「採用」が重要であることは言うまでもありません。

しかし同時に、採用した転職希望者が自社で長く働いてくれることも大切です。

ここでは、優秀な人材を自社に定着させるためにできることを3つ紹介します。

▼優秀な人材を自社に定着させる手法

  1. 労働環境や労働条件を見直す
  2. 多様なキャリアパスを用意しておく
  3. 人材育成・人材配置を最適化しておく

それぞれ詳しくみていきましょう。

①労働環境や労働条件を見直す

給与や福利厚生などの待遇面は、労働者が就職・転職をする際に重要視するポイントの1つになります。

労働者が快適に働きやすい環境かどうかは、定期的に見直す必要があるでしょう。

また「評価制度が公平でない」「正当に評価されていない」という不満は、労働者の離職を招きます。採用戦略とともに、上記のような不満がないような正当な評価制度にも力を入れることが必要です。

②多様なキャリアパスを用意しておく

社内で多様なキャリアパスを設けることも、離職の防止に繋がります。

終身雇用・年功序列型賃金が崩壊しつつある今、個人の主体的なキャリア形成が主流になってきました。そこで「どのようなキャリアを歩んでいけるのか」を明確にすることで、中長期を見据えた労働者にも働きやすい環境を整備できるでしょう。

キャリアパスが単一の企業よりも、複数ある企業の方が「柔軟な働き方ができる企業」というイメージから、多くの候補者が集まりやすくなるでしょう。

③人材育成・人材配置を最適化しておく

適切な人材育成と人材配置も、優秀な人材の定着に不可欠です。

もし適切でないと「この企業では成長できない」「思い描いたキャリアを描けない」と感じた社員の退職に繋がってしまいます。このようなトラブルを防ぐためにも、社員一人ひとりの適性と意向を踏まえた人材育成と人材配置が重要です。

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まとめ

採用市場において、存在感が大きくなっている「雇用流動化」について解説してきました。社会変化や就労スタイルの変化によって、新卒で入社した企業に定年まで勤めあげる制度は崩壊しつつあります。

人材不足に加えて、人材が流動化している現在において、戦略的な採用戦略は重要性を増しています。

この記事を参考に、自社に適した人材を採用・定着できるようになれば幸いです。