新卒からジョブ型採用を取り入れるべき?特徴や導入企業一覧を紹介
2026/03/06

富士通が2026卒から新卒採用において導入することを発表するなど、近年、新卒採用においてもジョブ型採用を導入する企業が増加しています。

スキルや専門性を重視したジョブ型採用は、人柄やポテンシャルを重視し、ゼネラリストの育成を目指してきた従来の日本の採用とは対照的な採用方法です。

そのため、自社でも取り入れるべきなのか、どのように導入すれば良いのかなど、お悩みの担当者様も多いのではないでしょうか。

本記事では、日本におけるジョブ型採用の普及率やメリット・デメリット、導入する際の手順などを詳しくご紹介します。

ジョブ型採用(ジョブ型雇用)とは?

そもそもジョブ型採用とは何でしょうか。

ここではジョブ型採用の概要と、メンバーシップ型採用との違いを中心に解説します。

ジョブ型採用(ジョブ型雇用)の特徴

ジョブ型採用(ジョブ型雇用)とは、募集する職種枠を事前に決めて、その職種に必要なスキルや知識を備えた人材を採用する制度のことです。

中途採用では、前職のスキルを活かせるように職種ごとの採用が一般的に行われていました。

近年では、インターンや課外活動などで学生のうちからスキルを磨いているケースが増えており、新卒採用でもジョブ型採用を取り入れる企業が増えています。

また、株式会社学情が行った調査によると、27卒学生の7割がジョブ型採用に「興味がある」「どちらかといえば興味がある」と回答しました。

ここから多くの学生が職種とのマッチングを重視した就職活動を行っていると言えます。

【参考】株式会社学情『キャリアは「自身で主体的に選択したい」学生が7割超。「自分の人生を誰かに指示されたくない」の声。ジョブ型採用に「興味がある」も7割』

メンバーシップ型採用との違い

メンバーシップ型採用は、終身雇用や年功序列制度を前提に総合職での採用を行う日本独自の雇用スタイルで、主に新卒一括採用時に行うことが多いです。ジョブ型採用と異なり、職種や勤務地、業務時間などを決めずに人材を募集します。

以下の表は、ジョブ型採用とメンバーシップ型採用の特徴をそれぞれ比較したものです。

ジョブ型採用とメンバーシップ型採用の違い

ジョブ型採用では知識や能力、専門性などを重視したスキルマッチで採用する人材を決定するのに対し、メンバーシップ型採用では人柄やポテンシャルなどを重視したマインドマッチでの評価を行います。

入社後の待遇も異なり、ジョブ型採用では職務内容や専門性の高さによって報酬が決まりますが、メンバーシップ型では役職や勤務年数によって報酬が決まります。

他にも、雇用保障の強弱や教育の充実度などに違いがあります。

職種別採用との違い

職種別採用は、職種や部門・部署など職種を設定して採用を行うことです。

ジョブ型採用と職種別採用の違いは、雇用契約においても部署や部門を限定しているかどうかです。

ジョブ型採用では特定の部門・部署において採用を募集を行い、雇用契約においても部門・部署を明記します。一方で職種別採用においては特定の部門・部署において募集を行いますが、あくまで入口が限定されているだけで、雇用契約では部門・部署を明記しないことが一般的です。

ただし、企業によってはジョブ型採用と職種別採用をほとんど同義で使用している場合もあります。

ジョブ型採用(ジョブ型雇用)の導入がオススメな企業の特徴

ジョブ型採用の導入がオススメな企業の特徴は、以下の通りです。

ジョブ型採用の導入がオススメな企業の特徴

  • 専門性の高い人材を育成したい企業
  • 人員にゆとりがある企業

ジョブ型採用では、ある特定の職種に従事し、専門性を高めていきます。

そのため事業展開のために専門性の高い人材を育成したいと考えるスタートアップ企業や、人員にゆとりがあり、1人の社員が複数の職種を兼任する必要のない大企業にオススメの採用方法です。

日本と海外の新卒採用におけるジョブ型採用の普及率

これまで、日本ではあまりメジャーではなかったジョブ型採用ですが、現在どれくらいの企業がジョブ型採用を導入しているのでしょうか。

本章では日本と海外における新卒採用におけるジョブ型採用の普及率をご紹介します。

日本におけるジョブ型採用の実施状況

サイトエンジン株式会社が行った調査によると、「新卒採用の場において、あなたの企業ではジョブ型雇用を導入・検討していますか?」という質問に対する回答は以下のグラフのようになりました。

新卒採用でジョブ型採用を導入・検討している企業の割合

ここから、54.6%の企業が新卒採用においてジョブ型採用を導入、検討していることがわかります。

ジョブ型採用を取り入れた理由として最も多いのは、「特定領域の人材を雇用するため/職種別報酬の導入が必要になったため」です。

また、ジョブ型採用を検討している理由として最も多いのは、「専門職としてキャリアを積みたい人材の採用のため」の49.3%でした。

ジョブ型採用を取り入れた理由、検討している理由

IT化が急進している現在、デジタル人材の採用などに力を入れている企業が多いだけでなく、専門性を持って働きたいと考える人材が増加していることが背景にあると考えられます。

また、ジョブ型採用は理系学生から特に支持を受けています。

2027年3月に卒業する大学生・大学院生を対象に調査した「就職人気ランキング」で、理系学生を対象に行った調査では、トップ10に入った企業の多くが職種別の採用を実施していました。

研究や勉強に多くの時間を費やしてきた分、そこで得た知識や研究内容を仕事で活かしたいと考えている理系学生が多いです。

【参考】サイトエンジン株式会社『ジョブ型雇用の実施状況』
【参考】株式会社リクルートキャリア『「ジョブ型雇用」に関する人事担当者対象調査 2020』
【参考】株式会社学情『就職人気企業ランキング』

海外におけるジョブ型採用実施状況

海外ではどのような形態で採用を行っているのでしょうか? ここではアメリカ、ドイツ、タイを取り上げ、各国におけるジョブ型採用の状況を見ていきます。

▼海外におけるジョブ型採用実施状況

  • アメリカ
  • ドイツ
  • タイ

◎アメリカ

即戦力になれるかを採用時に判断するアメリカでは、ジョブ型の採用を行うことが主流となっています。

終身雇用制度がなく、個人のスキルを高めて成果を挙げることが評価される実力主義の環境であるため、新卒でも中途と同じように専門的な能力や知識が求められます。そのため大学で専門的な知識を養い、インターンシップなどで実務経験を多く積む学生が多いです。

採用開始時には、募集する職種の業務内容をジョブ・ディスクリプション(=職務記述書)に記載します。ジョブ・ディスクリプションに記載されている業務範囲外を任すことはなく、そのため営業から人事部に異動、ということもありません。

◎ドイツ

教育が整備されているドイツでは、小学4年生時点で将来就職するであろう職業を想定した上で中等教育を選択します。

学校で受ける教育と職務内容の関連性が極めて高いため、卒業後に企業へ就職する際も高い専門性を持っていることが前提とされています。

そのため総合職での採用はなく、アメリカと同じように職種ごとで募集を行うジョブ型採用が一般的です。

◎タイ

大学でのキャンパスリクルートが主流となっているタイでは、大学で学んだことが就業する職種に直結する場合が多いです。

また離職率が高く、転職を繰り返しキャリアアップを行う形となっています。終身雇用やメンバーシップ型採用はなく、専門的な職種での採用を行うジョブ型採用が主流です。

いま日本でジョブ型採用が注目されている理由

前述したように、近年ジョブ型採用を取り入れる企業が増加しています。

いま日本でジョブ型採用に注目が集まっている理由は何でしょうか? 以下で解説します。

今日本でジョブ型採用が注目されている理由

労働環境の改善

「働き方改革」の必要性が重視されている現在、労働環境を改善するための取り組みを行っている企業も多いのではないでしょうか。

従来のメンバーシップ型採用では、業務内容や労働時間が定められていません。被雇用者が「これは私の仕事ではない」と言える取り決めがないため長時間労働が発生しやすく、過労死などの社会問題に繋がっていると指摘されています。

一方でジョブ型採用では、上述したようなジョブ・ディスクリプションに、従事する業務内容の詳細や労働時間が明記されています。ジョブ・ディスクリプションに記載のない職務については断る権利が被雇用者にあるため、労働環境の改善が期待できるでしょう。

労働人口減少への対策

少子化や労働人口の減少が要因となり、持続可能な企業経営には優秀な若手人材の獲得が重要となっています。

メンバーシップ型採用では年功序列や終身雇用制度が前提となっているため、実力に関係なく若手のうちは下積みを行わなければならないケースが多いです。このような環境は若手人材にとって魅力的ではありません。

専門的な能力が評価されるジョブ型採用では、年齢に関係なく自身の知識やスキルが評価に直結するため、優秀な若手人材が集まりやすいです。

実力評価主義へのシフト

近年、IT化によって各社員のパフォーマンスを数値化しやすくなりました。

また、新型コロナウイルス感染症の流行以降、在宅勤務が増加したため、社員の実績を管理することが以前よりも重要になってきています。

このように実力が可視化されやすい労働環境へと変化しているため、実力評価主義にシフトする流れが強くなっていると言えるでしょう。

また、年功序列では「勤続年数=キャリアアップ」でしたが、特にデジタルなどの日々進化している分野では勤続年数と実績が直結しません。

専門性の高い人材の方が特定の領域において実績を挙げやすいため、職種で募集をかけるジョブ型採用が注目されています。

新卒からジョブ型採用を取り入れる5つのメリット

実際に新卒からジョブ型採用を取り入れる上で得られるメリットは何か、気になるところですよね。

以下で、5つのメリットについてご紹介します。

新卒からジョブ型採用を取り入れるメリット

  1. 人材育成にかかる工数削減が可能
  2. ミスマッチを予防できる
  3. 採用時/入社後の評価基準を具体化しやすい
  4. 特定のポジションをピンポイントで採用できる
  5. 専門知識豊富な人材を採用できる

①人材育成にかかる工数削減が可能

ジョブ型採用では既にある特定の職種に対する興味や関心が強い学生にアプローチします。

長期インターンや課外活動などでその職種に必要なスキルを既に養っており、自主的に学ぶ力を持っている場合が多いです。

一方で従来のメンバーシップ型採用では、一から人材を育成していくため工数がかかります。

ジョブ型採用では特定の職種に特化した学生を獲得できるため、人材育成にかかる工数を削減することが可能です。

②ミスマッチを予防できる

入社後3年以内の離職率が高い場合や、新卒入社した社員のパフォーマンスが低い場合はミスマッチが起きていると予想されます。

応募段階から職種や配属、業務内容が決まっているジョブ型採用では、入社後に行う業務についてある程度予測することができます。

またスキルマッチで採用を行うため、入社後のパフォーマンスもある程度想像することができます。そのため「自分のやりたい仕事ができなかった」「配属された部署の環境が合わない」などのミスマッチを予防することが可能です。

③採用時/入社後の評価基準を具体化しやすい

候補者のポテンシャルを評価するメンバーシップ型採用では、質的な評価となるため基準の設定や認識の擦り合わせが難しいことが多いです。

一方でスキルマッチを行うジョブ型採用の場合、資格やスキル、実務経験など定量的に評価可能な項目が多いため、面接官の間で評価にズレが起きにくいです。

また入社後、ジョブ型採用の給与体系は実力評価主義の成果報酬型になります。勤続年数に関係なく評価を行うため、組織の高齢化が進んでいる場合は人件費の削減にも繋がります。

④特定のポジションをピンポイントで採用できる

メンバーシップ型採用では「人に仕事がつく」というように、人材を採用してから職種を割り当てるため、現在枠がある職種と人材の適性とのバランスを考えながら部署を割り振ります。

しかし、ある特定のポジションに欠員が出た際、その職種枠に適した人材をピンポイントで採用できた方が効率的ですよね。ジョブ型採用では特定の職種をピンポイントで採用できるため、欠員補充を効率的に行うことが可能です。

⑤専門知識豊富な人材を採用できる

職種や仕事内容を明確に提示して人材採用を行うジョブ型採用は、専門的な知識の豊富な人材を採用することができます。

例えば、エンジニアを募集する場合は「エンジニアを募集します!」と職種を明確に提示するため、エンジニアとして自身の能力に自信を持つ人からの応募を増やせるでしょう。

その職種や仕事内容に興味のある人や、これまでに学習や経験をしたことがある人が集まりやすくなるというのも、メリットの1つです。

新卒からジョブ型採用を取り入れる5つのデメリット

ジョブ型採用を取り入れる上で懸念すべき点は何でしょうか? ここでは新卒からジョブ型採用を取り入れる際のデメリットを5つご紹介します。

新卒からジョブ型採用を取り入れる5つのデメリット

  1. マッチする人材を探すのが難しい
  2. 会社都合での転勤/移動には再契約が必要
  3. 自社に人材が定着しにくい
  4. 給与体系の変更が必要な場合も
  5. 幹部候補を育成しにくい

以下で詳しく解説していきます。

①マッチする人材を探すのが難しい

職種を定めて募集を行う場合、ポテンシャルを見極めるメンバーシップ型採用よりも候補者に求める要件のハードルが高くなりがちです。

ジョブ型採用では、ある特定の分野を学んだ経験や技術を有する人材にターゲットを狭めるため、総合職での募集よりも母集団は少なくなります。

特に新卒採用ではスキルや能力が即戦力になるには十分ではない候補者が多い可能性もあるので、評価基準をどのように設けるか検討が必要です。

②会社都合での転勤/移動には再契約が必要

転勤や異動を打診しやすいメンバーシップ型採用と異なり、ジョブ型採用では採用時に契約として業務内容や部署を定めている場合がほとんどです。そのため、人事異動や転勤が行われる場合には、再契約を行う必要があります。

「様々な部署を体験して、自社全体を俯瞰して見られるような人材を育てたい」というような場合には、ジョブ型採用はあまり適していない可能性があります。

③自社に人材が定着しにくい

ジョブ型採用では、専門性の高い人材が集まりやすいです。一方で終身雇用や年功序列制度が前提となっていないため、自社で働き続ける理由がなく、優秀な人材ほどより良い条件を提示する会社に転勤してしまう恐れがあります。

人材の定着率が低いと、自社の企業文化を継承していくことや、チームワークを強めることが難しいです。

一方で組織内の人材の入れ替わりがあることで、新たな視点の導入や、風通しの良さなど組織の活性化に繋がる可能性もあります。

④給与体系の変更が必要な場合も

現在メンバーシップ型採用を行っており、年功序列制度を設けている企業の場合は、ジョブ型採用に移行するために給与体系の変更が必要になります。

ジョブ型採用は前述した通り、能力に応じて給料が変動することが一つの特徴です。実力が評価に直結することは社員のモチベーションアップに繋がる場合もありますが、社内の不満を高める可能性もあります。

また労働基準法により賃金の減額には制限がかかっているため考慮が必要です。

⑤幹部候補を育成しにくい

ジョブ型採用は専門性の高い人材を採用することができる一方で、様々な部署を経験し、多角的な視点を持った将来の幹部候補となる人材を育成しにくいという特徴があります。

繰り返しになりますが、ジョブ型採用で採用した人材は基本的に一つの部署で専門性の高い仕事を行うため、マネジメントを担う人材にならない場合が多いです。

また、ジョブ型採用は終身雇用制を前提としていないため、スキルアップを目指して転職してしまう場合もあるでしょう。

したがって、マネジメントを担い、将来の幹部候補となる人材を育成しにくいと言えます。

新卒でジョブ型採用を導入する手順

それでは実際に新卒でジョブ型採用を導入する際は、どのようなことを行えばよいのでしょうか? ここでは、ジョブ型採用の導入時に必要となる手順をご紹介します。

新卒でジョブ型採用を導入する手順

  1. 成果報酬型の給与体系に切り替える
  2. 実力評価を行うための環境を整備する
  3. ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を作成する
  4. 採用手法/形態を見直す

以下で詳しく解説していきます。

①成果報酬型の給与体系に切り替える

先ほどデメリットでも取り上げたように、ジョブ型採用では勤続年数ではなく各人材の能力や成果に応じた報酬を渡すことが特徴です。現在年功序列での給与体系となっている場合は、成果報酬型へとシフトする必要があります。

またジョブ型採用では待遇の良い会社への転勤によってキャリアアップするという傾向があります。優秀な人材に自社に留まって欲しい場合は、他社の待遇と比較しながら成果に応じた報酬はどれほどかを慎重に検討しましょう。

②実力評価を行うための環境を整備する

ジョブ型採用では、実力に合わせた評価制度が必要になります。そのため評価基準を事前に定めておかなければいけません。

明確な評価基準が設けられることによって、社員も「何を達成すれば良いのか」というゴールを認識できるためパフォーマンスの向上が期待できます。「何を行うと」「どう評価される」という入社後の評価ポイントを定めるため、人事部など他の必要な部署との相談が必須です。

③ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を作成する

次に、業務内容や勤務地、求められるスキルや資格などを明記したジョブ・ディスクリプションを作成します。

ジョブ型採用を行う場合はジョブディスクリプションを作成し、職務の内容を明記することが必要です。学生が理解しやすい言葉遣いになるように注意しましょう。

④採用手法/形態を見直す

募集する各職種に特化した採用を行うことになるため、通常の人材募集だけではターゲットにアプローチしにくい可能性があります。

例えばエンジニア採用であれば、プログラミング経験が豊富な学生が集まりやすい採用媒体を利用するなどの工夫が必要です。

他にも、総合職採用のような自社で働くことの全体的な魅力が伝わる訴求ではなく、その職種の魅力や自社での待遇、キャリアの提示など「何を伝えるか」についても変更した方が良いでしょう。

また専門的なスキルを高めている学生の中には「留学に行っていた」「休学してインターンに専念した」などの在学期間が通常と異なる可能性もあります。

4月入社を想定した新卒一括採用ではなく、通年採用を行うことも検討すると良いでしょう。

新卒でジョブ型採用を導入する際の4つのポイント

どのようなポイントを意識すると、新卒でのジョブ型採用が成功しやすいのでしょうか? ここでは新卒でジョブ型採用を導入する際の4つのポイントについてご紹介します。

ジョブ型採用を導入する際の4ポイント

  • 中途採用で基盤を作る
  • 専門人材のオンボーディング体制を整える
  • 帰属意識を高める
  • 学生が理解しやすいように職務内容を説明する

①中途採用で基盤を作る

新卒でジョブ型採用を導入する前に、中途採用で基盤を作っておくと良いです。

新卒では今までに就業経験のない学生が多いため、ジョブ型採用初心者の企業が新卒採用から初めてしまうと混乱が起きる可能性があります。

前職である程度経験を積んだ中途での採用からジョブ型の導入を行うことで、企業側の受け入れ態勢を整えていきましょう。

②専門人材のオンボーディング体制を整える

これまでメンバーシップ型採用を行っていた企業では、ある業務に特化した専門性の高い人材が不足している場合があります。

ジョブ型採用を行う場合はある業務に特化した人材を育成していくことが必要不可欠です。したがって、新卒でジョブ型採用を行う前にオンボーディングを担当する人材とその内容を確保しておく必要があるでしょう。

③帰属意識を高める

メンバーシップ型採用を行う際、企業によっては半年間ほど新人研修やジョブローテーションなどで、会社全体と交流する機会が多くあります。

ジョブ型採用では所属する部署も業務範囲も入社前から決まっているため、入社後に交流機会がある人の幅が限られます。

また「勤続年数が長い方が良い」という考え方もないため、会社への帰属意識が低くなりやすく、個人主義的な価値観によって社内の連携が取りにくい環境になるかもしれません。

こうした事態を防ぐためにも、社内イベントの開催や、コミュニケーションを活性化させる仕組みづくりなど、社員の帰属意識を高める工夫が必要です。

④学生が理解しやすいように職務内容を説明する

新卒採用でジョブ型採用を行う場合は、職種・職務内容を学生が理解しやすいように説明することが大切です。専門的な言葉を多用してしまうと学生が募集職種について正しく理解することができず、採用後のミスマッチが発生してしまう場合があります。

職種・職務内容を説明する際はできるだけ画像や動画、もしくは職場見学などを用いて具体的にわかりやすく説明することを心掛けましょう。

【導入事例】日本企業がジョブ型採用を導入した背景

ジョブ型採用を実際に導入している企業が、どのような背景から採用しているのか、三菱UFJ銀行・日立製作所の事例をご紹介します。

①三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は、新卒採用のうち1割程度の40人を専門人材として採用し、能力の高い人材に新しい給与体系を適用します。

ジョブ型採用を導入した背景には、好待遇で優秀な人材を獲得しているIT企業や外資系企業、ベンチャー企業の存在があります。

一律の給与体系では、能力を持った優秀な人材を確保することが難しいと判断し、ジョブ型採用を導入しました。

<例>

現場を踏まず、専門部署へ即配属することが可能

そのため、新卒で入社した社員も実力や能力次第で初任給(年収)が1,000万円になる可能性もあるのです。

【参考】三菱UFJ銀行

②日立製鉄所

日立製鉄所は、新卒で入社する社員に限らず全社員に「ジョブ型雇用」を導入しました。

また、各部署・職種に必要なスキルを社外に公開し、専門性の高い人材の採用を積極的に行っています。

日立製鉄所がジョブ型採用を導入した背景には、グローバルで戦うことに方向性を変えたことがあります。海外では欧米を中止にスタンダードであったジョブ型採用(雇用)を導入しました。

<例>

職種別採用コースを設ける

学歴別一律の初任給ではなく、技能や経験及び職務の内容などを考慮した、個別の処遇設定

【参考】日立製鉄所

【企業一覧】ジョブ型採用を行う日本の企業

ここでは実際に日本でジョブ型採用を行っている企業を9社ご紹介します。

▼ジョブ型採用を行う日本の企業一覧

  1. 富士通株式会社
  2. 株式会社KDDI
  3. パナソニック株式会社
  4. アクセンチュア株式会社
  5. オリンパス株式会社
  6. 任天堂株式会社
  7. 株式会社サイバーエージェント
  8. 味の素株式会社
  9. 花王株式会社

①富士通株式会社

特徴:

  • 内定時に所属する本部と職種を約束する「JOBマッチングコース」
  • 内定時に研究領域を約束する「研究所コース」(学校推薦)

通株式会社では、以上の2つの方法から選考を受けることができます。

同社では2020年より段階的に「ジョブ型マネジメント」の導入を開始し、2026卒からは新卒採用においてもこれを導入し、一律初任給ではなくジョブレベルに応じた処遇に切り替えることを発表しました。

募集職種や業務内容、人材要件についても詳しく紹介しており、求職者が募集しやすい仕組み作りがなされています。

【参考】富士通株式会社「新卒採用情報」
【参考】富士通株式会社『「ジョブ型人材マネジメント」に基づく採用方針について』

②株式会社KDDI

特徴:

  • 初期配属領域を「確約するコース」
  • 初期配属領域を「確約しないコース」(OPEN技術系、OPEN業務系)

株式会社KDDIでは以上の2つのコースを選んで応募できるようになっています。

初期は配属領域を「確約するコース」では、法人営業、代理店営業、ネットワークインフラエンジニア、ソリューションエンジニアなどの細かい職種で募集を行っています。

また、初期配属領域を「確約しないコース」では、OPEN技術系、OPEN業務系の2種類に分けて採用を行っており、適性を踏まえた配属を行っているそうです。

【参考】株式会社KDDI

③パナソニック株式会社

特徴:

パナソニック株式会社では、事務系、技術系、クリエイティブ系の3つの職種に分けて募集を行っています。

それぞれの系統で職種を確約するジョブ型採用を取り入れたコースがあり、また、通年採用の他に、6月選考や7月選考という時期を限定したもの、博士選考のようにターゲットを絞り込んだ選考などがあります。

また各職種ごとに求める人物像を明記しているところも特徴です。

働き方のスタンスや技術など、企業での働き方が想像しやすい文章となっています。

【参考】パナソニックグループ

④アクセンチュア株式会社

特徴:

募集するポジションと業務内容、勤務地が新卒採用のトップページで記載されていることが特徴的です。

いずれの職種も国内外への転勤などがあることが明記されています。また現在募集していないポジションについても記載されているため、現在企業にとって必要な人材のみを募集しているのだと分かります。

【参考】アクセンチュア株式会社

⑤オリンパス株式会社

特徴:

オリンパス株式会社では研究・開発系、生産技術開発系、マーケティング系など、全ての部署で初期配属を確約する採用を行ってます。

各職種の紹介も充実しており、職種ごとの社員インタビューが豊富です。

【参考】オリンパス株式会社

⑥任天堂株式会社

特徴:

理工系、デザイン系、サウンド系、制作企画系、事務系などの職種系統によって選考コースを分けています。

配属に関しては新入社員研修後に決定する形となっています。

「仕事を読み解くキーワード」という各職種系統の仕事に取り組むスタンスを示すサイトを設けていることが特徴です。

それぞれの職種のことのみではなく、「なぜその会社で働くのか」という理由を求職者が見つけやすい仕組みとなっています。

【参考】任天堂株式会社

⑦株式会社サイバーエージェント

特徴:

株式会社サイバーエージェントでは、ビジネスコース、エンジニアコース、クリエーターコースの3つに分けて選考を行っています。

例えばエンジニアコースでは、1次面接ではエンジニアと技術について、2次面接では採用人事と過去の経験について、など選考方法を職種系統によって変えています。

100社以上の子会社を持っていることもあり、職種に分けて募集したのちに、人材の持つスキルや経験に適した会社への配属を行っていることが特徴です。

【参考】株式会社サイバーエージェント

⑧味の素株式会社

特徴:

味の素株式会社では、R&D、生産、Sales/Business、財務・経理など、計10個の選考コースを設けています。

内定時に確約するのは初期配属のみで、入社後のキャリアについては個人の希望や適性に応じて変わる可能性があると記載されています。

インターンシップも研究・開発志望者向けとセールス&マーケティング志望者向けに分けて開催していることが特徴です。

【参考】味の素株式会社

⑨花王株式会社

特徴:

花王株式会社では、専門職コース・グローバルビジネス職コースの2種類で採用を行っており、その中で更に細かく職種が選択できるようになっています。

新卒採用では募集要項に各募集職種の想定配属先や業務詳細、推奨学部などが細かく記載されています。

採用サイトにある社員紹介ページでは、一つのプロジェクトに対して「どの職種」が「どのように関わる」のかを紹介しています。

具体的な事例と共に紹介されているため、求職者が入社後の働く姿を想像しやすいコンテンツです。

【参考】花王株式会社

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おわりに

いかがでしたか。

本記事では日本のジョブ型採用の現状やメリット・デメリット、実際に取り入れる際のポイントなどをご紹介しました。

ジョブ型採用を導入している企業にもそれぞれの特徴があるように、自社に合った採用の形を見つけることが重要です。

自社の採用課題などを見直しながら、導入を検討しましょう。