不採用通知を送る際は「これからも付き合いが続くかもしれない」という可能性を念頭におきながら、候補者を気遣った文面を作成する必要があります。
本記事では、不採用通知の書き方から、候補者の選考段階に合わせた不採用通知の例文を紹介しています。
▼この記事はこんな方にオススメです
- 不採用通知の書き方が分からない
- 不採用通知の例文を参考にしたい
- 不採用通知に関するトラブルを避けたい
- 候補者想いの企業であるとアピールしたい
不採用通知とは?
不採用通知とは、選考で不採用になったことを応募者に伝える通知のことです。
通知の書き方によっては、応募者を不愉快にさせたり、企業イメージを悪化させたりと大きな影響力を持っています。
そのため、注意点を押さえて丁寧に作成を行う必要があります。
不採用通知を行っている企業の割合
株式会社アイデムが行った企業調査によると、64.4%の企業が不採用通知を行っていることがわかります。
しかし、従業員規模が大きくなるにつれて不採用通知を行っておらず、従業員数が3000人以上の企業は、31.8%の企業しか不採用通知を行っていません。
近年は、就職活動における口コミの重要性が高まっており、就活生に良い印象を持ってもらうことが、内定承諾率アップや次年度の母集団形成を成功させる要因にもなっています。
「内定通知書を送らない企業であった」と口コミに書かれ、ネガティブな印象を持たれないためにも、就活生に対して不採用通知を行いましょう。
【参考】株式会社アイデム『2017年度新卒採用に関する企業調査』
不採用通知を送るタイミング
不採用通知を行う際は、連絡するタイミングも重要です。
選考から時間が経過しすぎると、自社に対して悪印象を抱きやすくなります。
選考結果の連絡は、選考日から3日〜1週間程度までには必ず行うようにしましょう。
また、不採用通知の連絡手段としては、メールが主流です。
▼不採用通知の連絡手段
- メール:96.6%
- 電話:4.1%
- その他:4.1
特別な理由がない限り、就活生が自分のタイミングで確認できるメールで不採用通知の連絡をすることがオススメです。
【参考】株式会社ABABA『就活生の9割が志望度の高い企業を不採用になった経験があり、 うち8割以上がその企業への「嫌悪感」を抱く衝撃の結果に 』
不採用通知を連絡する4つの方法とその特徴
不採用通知を送る手段としては次の4つの連絡方法が挙げられます。
⬇︎不採用通知を通知する連絡方法
- メール
- 電話
- Web通話
- 郵送
ここでは、それぞれの特徴を解説します。
以下は、4つの連絡手段のメリット・デメリットを比較した図です。
メール
基本的に不採用通知の連絡はメールでOKです。
どちらも都合の良いタイミングで送信・確認ができるため、お互いへの負担が少なく連絡を取ることができます。
また、文章として形に残るため、認識にすれ違いが起きにくいです。
トラブルに発展してしまった際も、メールは記録が残るため証拠として活用できます。
もし不採用理由について聞かれた場合は、面接担当者とコミュニケーションをとりながら丁重に返信しましょう。
メールで不採用通知を行う際は、以下の流れで行います。
▼メールで不採用通知を行う際の作業手順
- 応募者の合否を決定
- 不採用通知メールを作成
- 送信する応募者の宛名を確認
- ミスがないか、最終確認
- 不採用通知メールを送信
電話
電話は相手と同時にコミュニケーションを行うため、確実に通知を伝達することが可能です。
自社が通知してから相手が確認するまでのタイムラグがないため、「できるだけ早く応募者に選考結果を伝え、誠意を見せたい」という方にオススメです。
相手が忙しい場合はすぐに連絡が取れない場合もあるため注意が必要です。
また、電話だと言葉が不明瞭になり、思ったように意思の疎通が取れない場合もあります。
電話をかける前に、伝えたい内容について一度整理する時間を設けましょう。
電話は記録が残らないため、相手に誤解を与えてしまうとトラブルに発展してしまう可能性もあります。
また、採用担当者の業務負担が大幅に増えてしまうため、自社の状況に合わせて活用すると良いでしょう。
電話で不採用通知を行う際は、以下の流れで行います。
▼電話で不採用通知を行う際の作業手順
- 応募者の合否を決定
- 送信する応募者の連絡先を確認
- 伝えたい内容を整理
- 不採用理由を聞かれた場合に備えて、理由を把握しておく
- 電話で不採用通知を行う
Web通話(オンライン)
面談のような形で「なぜ不採用という結果に至ったのか」というフィードバックを応募者に対して行いたい場合は、オンラインでのWeb通話がオススメです。
お互いの顔が見えるため、メールや電話などでは伝わりにくい細かいニュアンスなども伝えることができます。
「不採用理由を伝えて今後の就職活動に役立てて欲しい」という誠意を見せることで、相手の心証を良くすることも可能です。
Web通話は事前の日程調整が必須なため、まずはメールなどで連絡を取るようにしましょう。
電話の場合と同じく、採用担当者の業務負担が増えてしまうことが特徴です。
▼Web通話で不採用通知を行う際の作業手順
- 応募者の合否を決定
- 送信する応募者の連絡先を確認
- 応募者へのフィードバックを考える
- 応募者と日程調整を行う
- Web通話を行う日程を決定
- Web通話で不採用通知を行う
郵送(手紙)
以前の名残りで「正式な書類は郵送する」という企業も少なからず存在します。
また、履歴書やポートフォリオの原本を応募者に返送する場合は郵送が必須なので、不採用通知とともに送る場合があります。
不採用通知はデリケートな話題のため、郵送する際は不特定多数の目に内容が触れやすいはがきではなく、封筒に入れて送るようにしましょう。
応募者が多い場合は、郵送の手間やコストがかかってしまうことが特徴です。
▼郵送(手紙)で不採用通知を行う際の作業手順
- 応募者の合否を決定
- 送信する応募者の宛名を確認
- 応募者の履歴書やポートフォリオの原本を整理
- 不採用通知とともに原本を封入
- ミスがないか、最終確認
- 郵送を行う
不採用通知の構成内容
不採用通知を行う際、次のような構成にすると良いでしょう。
⬇︎不採用通知の構成
挨拶・謝意
選考結果
応募書類の処理方法
締め
ここでは、どのような内容で不採用通知を構成すれば良いかについて詳しく紹介します。
挨拶・謝意
はじめに、応募者が自分の時間を割いて応募し、選考プロセスに参加してくれたことに対する感謝の気持ちを表します。
これにより、企業としての礼儀正しさや配慮が伝わり、応募者に対する敬意が伝わるでしょう。
選考結果
不採用通知は、応募者に対して選考の結果を明確に伝えることが目的であるため、必ず伝えます。
応募者に誤解を与えないためにも、曖昧な表現は使用しないようにしましょう。
応募書類の処理方法
個人情報保護の観点から、応募書類がどのように処理されるかを明確にすることは、応募者に安心感を与えるでしょう。
締め
不採用通知の最後に、今後の応募や別の機会を歓迎する旨を伝えることで、応募者に対してポジティブな印象を与えることができるでしょう。
礼儀正しい締めの言葉は、企業としての配慮が伝わるため、今後の応募者との関係性維持にも役立ちます。
【例文】不採用通知のメールを選考段階別に紹介
選考フェーズによって不採用通知のメール内容も異なるでしょう。
ここでは、次の2パターンについて詳しく紹介します。
▼選考段階別の不採用通知メール例
- 書類選考で採用を見送る場合
- 面接で採用を見送る場合
また、応募書類等の返送有無別に、例文を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
書類選考で採用を見送る場合
書類選考の段階で不採用となった場合のテンプレートについて確認しましょう。
▼履歴書返却なし
件名:『選考結果のご連絡』
〇〇(フルネーム)様
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
この度は、数ある企業の中から弊社の新卒採用選考にご参加いただきありがとうございました。
〇〇様にご応募いただいた書類について社内で厳正なる選考を行った結果、
誠に残念ではございますが、今回はご希望に添えない結果となりました。
ご要望に添えず大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、弊社にて責任を持って処分させて頂きます。
末筆ではございますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
株式会社××
新卒採用担当△△
▼履歴書返却あり
件名:『選考結果のご連絡』
〇〇(フルネーム)様
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
この度は、数ある企業の中から弊社の新卒採用選考にご参加いただきありがとうございました。
〇〇様にご応募いただいた書類について社内で厳正なる選考を行った結果、
誠に残念ではございますが、今回はご希望に添えない結果となりました。
ご要望に添えず大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、ご提出いただいた履歴書(ポートフォリオ)につきましては、履歴書に記載されております住所へ返送いたします。
末筆ではございますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
株式会社××
新卒採用担当△△
面接で採用を見送る場合
面接で不採用となった場合のテンプレートを確認していきましょう。
▼履歴書返却なし
件名:『選考結果のご連絡』
〇〇(フルネーム)様
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
先日はお忙しい中、弊社の面接にお越しいただき、誠にありがとうございました。
〇〇様の応募書類や面接を踏まえて社内にて厳正に検討した結果、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、弊社にて責任を持って処分させて頂きます。
末筆ではございますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
株式会社××
新卒採用担当△△
▼履歴書返却あり
件名:『選考結果のご連絡』
〇〇(フルネーム)様
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
先日はお忙しい中、弊社の面接にお越しいただき、誠にありがとうございました。
〇〇様の応募書類や面接を踏まえて社内にて厳正に検討した結果、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、履歴書に記載された住所に返送いたしますのでご査収ください。
末筆ではございますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
株式会社××
新卒採用担当△△
【例文】不採用通知を電話で伝える場合
電話で不採用通知を伝える場合の例文を、応募書類の返送あり/なし/留守電だった場合の3つのパターンについて紹介します。
▼履歴書返却なし
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
〇〇(フルネーム)様のお電話でお間違いないでしょうか。
ただ今、お時間よろしいでしょうか。
この度は、弊社へのご応募ありがとうございました。
また先日はお忙しい中、弊社までご足労いただき、誠にありがとうございました。
選考結果ですが、〇〇様の応募書類や面接を踏まえて社内にて厳正に検討した結果、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、弊社にて責任を持って処分させて頂きます。
改めまして、この度は数ある企業の中から弊社の選考にご参加いただきありがとうございました。
〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
▼履歴書返却あり
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
〇〇(フルネーム)様のお電話でお間違いないでしょうか。
ただ今、お時間よろしいでしょうか。
この度は、弊社へのご応募ありがとうございました。
また先日はお忙しい中、弊社までご足労いただき、誠にありがとうございました。
選考結果ですが、〇〇様の応募書類や面接を踏まえて社内にて厳正に検討した結果、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。
ご要望に添えず大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、履歴書に記載された住所に返送いたしますのでご査収ください。
改めまして、この度は数ある企業の中から弊社の選考にご参加いただきありがとうございました。
〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
▼留守電の場合
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
〇〇(フルネーム)様のお電話でお間違いないでしょうか。
ご応募の件でお伝えしたいことがあり、お電話いたしました。
また改めてご連絡させていただきます。
【例文】一度不採用を通知した人材に対して補欠採用を通知する場合
「想定よりも内定辞退率が高く、必要な人数を採用できない!」など、急な欠員によって一度不採用通知を送った相手に補欠採用の連絡を行いたいという場合もあるかもしれません。
このとき、事前に不採用者に対して補欠採用の可能性がある旨を伝えておくと、連絡が取りやすくなるでしょう。
一度、不採用の連絡をしたというマイナスの印象からスタートしていることを忘れずに、まずはメールで連絡をしてから電話を行うことで丁寧にコミュニケーションを取りましょう。
補欠採用連絡の文章例
件名:『補欠採用のご連絡』
〇〇(フルネーム)様
株式会社×× 新卒採用担当の△△です。
突然の連絡失礼いたします。
また、改めまして弊社の採用選考にご参加いただきありがとうございました。
先日〇〇様にご応募いただいた職種に欠員が出ました。
もしご興味がありましたら再度お話しさせていただけないかと思い、誠に恐縮ではございますがご連絡させて頂きました。
つきましては近日中にお電話できればと思うのですが、ご都合の良い時間帯などございますでしょうか?
ぜひもう一度、弊社について、〇〇様についての理解を深めていけたらと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
株式会社××
新卒採用担当△△
不採用理由は書くべきなのか
不採用の理由について記載する企業も一部あります。
不採用の理由が明らかになると、学生側としては今後の就活に活かせるため、有益な情報だといえるでしょう。
一方で、不採用となった理由を明確にしてしまうと、それに納得できない応募者からの問い合わせなどの業務負荷が増えてしまう懸念があります。
そのため、不採用理由まで記載する必要があるかは自社の状況に合わせて判断しましょう。特定の選考段階まで進んだ学生には理由まで記載する、というように、人数を限定してみることもできます。
人材紹介を利用している場合は不採用理由を伝える
人材紹介会社を介している場合、一般的に応募者への不採用通知は人材紹介会社の担当者が行います。
人材紹介会社の担当者が応募者から不採用理由を問われることがあるので、詳細な不採用の理由を担当者に伝えておきましょう。
また、不採用理由を伝えることで、人材紹介会社の自社の採用要件に対する認識が深まり、より適した人材を紹介してもらえる可能性が高まります。
不採用通知書を送る際に注意すべきこと5選
不採用通知はセンシティブな内容のため、丁重に扱う必要があります。
ここでは、次の5つを紹介します。
⬇︎不採用通知を行う際のポイント
- 不採用通知はできるだけ早く送る
- 宛名はフルネームで記載する
- メールの件名で要件を伝える
- 応募書類の取り扱い方法について伝える
- 送信内容をダブルチェックする
自社への心証を悪くしないためにも以下のことを意識しましょう。
不採用通知はできるだけ早く送る
不採用通知は迅速に行いましょう。
選考通過者や採用となった人には次のアクションを促す必要があるため、優先的に選考結果連絡を行う担当者様も多いのではないでしょうか。
不採用になった応募者への連絡を後回しにしていたら、かなり時間が経ってしまっていたなんてことがあったら大変ですよね。
自社の選考結果次第で、今後の就職活動方針を変える応募者もいるかもしれません。
連絡を怠らずに、不採用となった応募者に対しても迅速で丁寧な対応を心がけましょう。
宛名はフルネームで記載する
不採用通知を送る際、苗字のみを宛名に記載していませんか?
『田中』『佐藤』など同じ苗字を持った応募者が複数人いる場合、通知を送り間違えるなどのミスが発生する可能性があります。
宛名の間違いは「採用の通知が届いたのに実際は不採用だった」「不採用の通知が届いたので別の企業に内定承諾してしまった」というようなトラブルにもつながります。
不採用通知を送る際はしっかりとフルネームを記載するように意識しましょう。
メールの件名で要件を伝える
就職活動を行っていると、就活メディアや企業から日々たくさんのメールが届きます。
不採用通知のメールを送る際、件名が抽象的だとダイレクトメールなどに紛れて開封されないという事態が起こりかねません。
例えば『株式会社〇〇よりお知らせ』という件名だとメールの重要度が高く見えないため、応募者が通知を見逃してしまう可能性があります。
選考結果の通知であることが伝わるように『【重要】選考結果のご連絡』などの目を引くような件名で送りましょう。
応募書類の取り扱い方法について伝える
選考参加時に応募者から送られてきた履歴書はどのように処理していますか?
履歴書などには個人情報が多く記載されているため、丁重に扱う必要があります。
破棄や返送など、どのように取り扱うのかを不採用通知にて記載することを忘れないようにしましょう。
今後連絡を取る可能性があるためコピーを取った場合は、その旨もしっかりと伝えておきましょう。
送信内容をダブルチェックする
不採用通知は大事な連絡であると意識されている担当者様は多いと思いますが、選考結果連絡に、内定者フォローに、と重要度の高い業務が重なるとミスも起こりかねません。
送信先・宛名を間違えていないか等、ダブルチェックを行うことで入念に確認しましょう。
人材確保にお悩みの人事の方へ|Matcher Scoutとは?
「ダイレクトリクルーティングサービスを検討しているが費用の面で懸念がある」
「入社につながらなかった場合のリスクが心配」といったお悩みを抱えている新卒採用担当の方におすすめしたいのが、Matcher Scoutです。
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まとめ
いかがでしたか。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 不採用通知は選考日から1週間程度までに、必ず全員に行う
- 不採用通知の文章は選考段階によって変化を持たせる
- 不採用理由は基本的に不要だが、人材紹介会社を介する場合は担当者に不採用理由を伝えておく
- 応募書類の取扱いについて必ず記載を行う
応募者と今後も関係性が続く可能性があることを念頭に置き、丁寧な対応を心がけましょう。