近年、当たり前の存在となったSNS。気軽に利用できることから、採用活動においても利用する企業が増加しています。
本記事では、採用におけるSNS活用のメリット・デメリット、メディア別の特徴や運用を成功させる秘訣など、徹底的に解説していきます。
そもそもSNS採用って何?
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(=SNS)を利用した採用手法のことです。
ここでいうSNSとは、InstagramからTwitter、Facebook、YouTubeまで多岐に渡ります。
これまでは、大手ナビサイトや求人広告に掲載し、求職者を募るという形が一般的でした。
しかし2000年以降のIT革命によって、WEBにアクセスできる人が増えた結果、近年では多くの企業がSNS採用を導入しています。
その中でもSNS採用は、利用者数が多い20代の若手・新卒採用を中心に行われることが多いようです。
なぜSNS採用(ソーシャルリクルーティング)が注目されているのか
ではなぜこのSNS採用が、近年注目されるようになったのでしょうか。
一言でいうと、「SNSに時間を使う若者が増加しているから」です。
学生はパソコンよりも、スマホやタブレットを利用する時間が長い傾向にあり、頻繁に使う連絡手段はメールよりもSNSと、10年前と比較すると学生の利用するメディアが大きく変化しています。
スマートフォンの登場によって、新聞・テレビなどのマスメディアよりも、TwitterやInstagramなどのソーシャルメディアが若者を動かす影響力を持つようになりました。
このような学生のトレンドに合わせ、採用の手法も変わってきています。
学生側から企業にアプローチし企業が学生を選定する、といった従来の一方的な方法よりも、学生と企業の双方向的なコミュニケーションを重視する採用が増えています。
これは、少子高齢化の影響で、売り手市場になっていることも1つの要因といえるでしょう。
これまでのような「待ちの採用」だけでは人が集まらないため、SNS採用のような「攻めの採用」が増加しているのです。
そのため、気軽にコミュニケーションが取れる「SNSのフットワークの軽さ」や「その拡散性」、「学生へのアプローチが簡単にできること」などが注目されているといえるでしょう。
企業から求職者にスカウトを行うダイレクトリクルーティングも、「攻めの採用」といえます。
「ダイレクトリクルーティングについて詳しく知りたい!」という方は、下記の記事も併せてご覧ください。
【参考】導入すべき?ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット比較
新卒採用でSNSを活用する学生はどのくらい!?
2022年卒の学生に就職活動に関する情報の入手先を尋ねたアンケートでは、『就活情報サイト』が最も使用されている情報入手経路となっており、94.9%でとなっています。
『SNS』から情報を集めている学生は、前年から+7.1ポイントで25.4%まで増加し、オンライン上で就職活動に関する情報収集を行う学生が増えていることが分かります。
【参考】株式会社ディスコ キャリタスリサーチ『1月1日時点の就職意識調査』
就職活動においてSNSを利用していない学生は2021年卒では45%ほどでしたが、2022卒では-20ポイントほど減少し、約25%となっています。
新型コロナウイルス感染症の流行によりオンライン上の就職活動が急激に増加した現在、SNSを利用した就職活動を行う学生が増えているのだと考えられます。
特に「LINE」の利用率は前年度の調査結果である34.7%から+10ポイント増加し、50%近い学生が利用していることが分かります。
その他にも、「Twitter」「YouTube」も30~35%程度と比較的利用者が多くなっています。
【参考】株式会社ディスコ キャリタスリサーチ『10月1日時点の就職意識調査』
また、2021年卒学生のうちLINEで企業の採用アカウントに登録している学生は40.9%でしたが、2022卒では12.5 ポイント増加し、約半数が利用しています。
LINE上で会社説明会などの日程を予約する機能については、利用経験者・未経験者合わせて約65%の学生が「今後利用したい」と回答しました。
【参考】株式会社ディスコ キャリタスリサーチ『1月1日時点の就職意識調査』
LINEでは日程予約やイベント案内などの実務的なやりとりとしての利用が多い一方、TwitterやInstagramなどは、採用上の企業ブランディングとして利用されることが多いです。
【参考】採用ブランディングとは?成功事例を交えて運用方法をご紹介!
SNSで情報発信をすると学生からの印象が良くなる!?
SNS上で情報発信している企業について印象が上がると回答した学生は、約8割に上ります。
理由としては、「時代に合わせて変化している企業というイメージがあるから」「身近に感じるから」と回答した学生が多いです。
SNSの特性を活かした採用を行うことで、自社に対する印象を上げ、志望度を高めていくことに繋がります。
【参考】株式会社DYM『就職活動に関するアンケート調査の集計結果』
SNS採用のメリット6選
SNS採用の概要を紹介したところで、続いてはSNS採用のメリットを紹介していきます。 まとめると下記の様になります。
メリット | |
気軽にコミュニケーションが取れる | SNS上の返信や投稿に慣れている学生が多いため、反応をもらえる可能性が高い。 |
情報が拡散されやすい仕組み | Twitterのリツイート等で拡散されれば、1つの投稿で多くの学生と繋がることができる。 |
リアルな候補者情報が見れる | SNSには「等身大の自分」を投稿する人が多いため、就活用ではないリアルな情報に触れることができる。 |
幅広い層にリーチが可能 |
ほとんどのSNSは、無料ではじめることができるため、費用面での負担が少ない。 |
採用ブランディングが行える |
投稿数を増やしていくことで、求職者からの自社へのイメージアップを期待できる。 |
求職者・採用候補者と長く繋がれる | SNSでは継続的にコミュニケーションが発生するため、求職者と長く繋がれる。 |
ミスマッチを防止できる | 「等身大の求職者」を知れるため、入社後のミスマッチが発生しにくい。 |
気軽なコミュニケーションを取れる
日常的に利用しているアカウントとは別に、就職活動用のSNSアカウントを持つ学生がいることをご存知でしょうか。
同じ年卒の学生同士や、狙っている企業のアカウントなどと繋がり、情報収集のためにSNSを利用する人が増えてきています。 投稿や返信が簡単にできるプラットフォームを活用することで、従来よりも気軽で、対等なコミュニケーションが取れます。
また、学生にとっても比較的気軽なコミュニケーションができる場となっているため、学生の本音も知りやすい環境になっていると言えます。
情報が拡散されやすい仕組み
Twitterにおいてはリツイート、フェイスブックではシェア、インスタではリポスト、など、SNSには情報を拡散する仕組みが備わっています。
良い情報、面白い内容のものは多くの人の目に触れられやすくなっています。
採用活動においてどれだけの学生にリーチできるのかが母集団形成において重要なため、採用とSNSは相性が良いと言えるでしょう。
また、拡散されるときは、拡散した人のフォロワーに情報が流れる仕組みになっているため、社員が友人や知人に紹介するリファラル採用の仕組みと相性が良いです。
例えば社員が採用アカウントの投稿を拡散したとき、その社員の後輩などが投稿を見る可能性が高いです。 情報が拡散されやすい仕組みをうまく活用すれば、リファラル採用を成功させることができます。
リアルな候補者情報が見られる
いわゆる履歴書のような畏った経歴ではなく、日々の悩み、休日の過ごし方、ふと思ったことなどが記録されているのがSNSです。
本来、面接で見ていたような学生のリアルな思考や感性といったところがその前段階で見られます。
リアルな部分において共感性が高い場合は、入社後のすれ違いも少ないです。
そのためミスマッチを減らせる可能性があります。 また、企業のアカウントのリアルも見せることができます。 採用HPなどではわざわざ見せない細かなことについても気軽に発信できるのが特徴です。
より身近な存在としてアピールすることで、自社に対する応募の心理的ハードルも下がります。
幅広い層にリーチが可能
新卒採用では基本的に、特定の卒業年度の学生のみに対してアプローチをします。
一方で、SNSではある特定のユーザーのみと繋がるのではなく、幅広く多様な人と繋がれる仕組みとなっています。
そのため、現在は就職活動をしていない大学1、2年生や、またはそれよりも下の世代など、自社に関心がある様々な層へとリーチできます。
将来を見据えて継続的に繋がっておくことで、自社への関心も高まり、志望度の高い学生と出会える可能性があります。
コストがかからない
SNSは基本的に無料で登録・発信ができます。
そのためリスクが少なく始められます。 もしもSNSが自社の採用形態と相性が合わなかったとしても、いつでもアカウントを停止できます。
最初から最後まで完全無料で利用できるのは、他の採用媒体には無い特徴です。
採用ブランディングが行える
ある商品を買おうとした時に、公式サイトに掲載された情報よりも、口コミサイトに寄せられたユーザーのコメントや評価を参考にすることが多いのではないでしょうか?
採用活動においてもユーザー側、つまり学生からの評判が自社イメージ形成に大きな影響を与えます。
SNS採用では、一方的に情報公開する従来のような採用広報ではなく、学生との双方向的なコミュニケーションの中で自社の情報を発信していくことが可能です。 そのため自社に対する学生側のイメージが、より具体的に形成されやすい傾向にあります。
SNSにおける学生とのコミュニケーションの中で信頼が得られると、学生同士の情報交換の中でも自社のプラスなイメージが伝わっていきます。 このような他者からの評価が伝わると自社への信頼が信用に変わり、自社に対するポジティブなイメージが確固たるものになりやすいです。
SNSで発信するコンテンツや学生との直接的なコミュニケーションによって、採用ブランディングを行うことができます。
求職者・採用候補者と長く繋がれる
SNSで採用を行うことのメリットとしては「求職者・採用候補者と長く繋がれる」というメリットがあります。
この「長く繋がる」ということは、学生からの認知度・印象のためにも非常に重要です。
SNSのDM、リプライなどで日々フォロワーとコミュニケーションを取っておけば、今すぐに効果が出なくても、将来的に「入社したい!」と思ってもらえるかもしれません。
一過性に終わらない、継続的に繋がれる点がSNS採用の大きなメリットの1つといえるでしょう。
ミスマッチを防止できる
先程も記載しましたが、SNSには「等身大の自分」を投稿する人が多いです。 そのため、その人がどんな人なのか・本来の性格を知ってから、アプローチをかけることができます。
面接では聞き出せないようなその人の本質が理解できるため、「この人思ってた人と違う!」というようなミスマッチも予防できるでしょう。
ミスマッチについて詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。
【参考】【すぐできる】新卒採用のミスマッチが起こる原因と7つの対策を紹介
SNS採用を導入することで期待できる5つの効果
①求人掲載により母集団形成が可能
②企業ブランディング、企業理解度向上につながる
③企業認知度UPが狙える
④DMによるスカウトできる
⑤求職者との連絡ツールとしての活用できる
上記5つがSNS採用を導入することで期待できる効果です。
従来までの求人サイトやナビサイト、人材紹介サービス等と違い、企業ブランディングや採用広報など、使い方次第であらゆる効果が期待できるのがSNSの特徴です。
しかし、期待できる効果が多い分、SNSを使用する目的を事前に定め、それに即した運用を行わなければ求める効果は得られません。
そのため自社の採用課題は何か、課題に適した媒体はどれか、効果を得られる運用はどのようなものかをあらかじめ明確にしておくことが重要です。
SNS採用のデメリット
続いては、SNS採用のデメリットを紹介していきます。 デメリットも知りつつ、SNS採用の導入の可否を検討しましょう。
工数が大きい
SNS採用をうまくいかせるには頻繁に更新することが重要です。
日々大量の情報が流れるSNSでは、情報の鮮度が高いものが多いほど関心を高めるのに有利に働きます。
自社アカウントの注目度を高めるには、その分時間をかけて運用する必要があります。
また、SNSは他の採用媒体と比較して気軽なコミュニケーションが取りやすいため、それだけ多くの学生を相手に返信やいいねなど、何らかの反応をする必要があります。 反応が遅いとそれだけ関心度も低くなるため、SNS採用を成功させるには工数をかけても良いという覚悟が必要です。
高い水準のネットリテラシーが求められる
先述したように、SNSは拡散されやすい仕組みとなっています。
自社にとってポジティブな印象付けに役立つような内容が拡散されたらとても有益ですが、一方でネガティブな内容が拡散されてしまう可能性があることも忘れてはいけません。 不特定多数に向けて公開されているため、一度拡散されてしまったら消すことができません。
故意ではなくても失言してしまうことや、炎上する可能性が十分あることをしっかりと念頭に入れて利用しましょう。
コンテンツの内容に左右される
ナビ媒体などの採用を目的としたメディアの利用者は、『採用』という一つの目的に沿った情報収集を行います。
一方で、SNSでは様々な情報がランダムで流れ、採用に特化した媒体ではありません。
日々大量な情報が流れるなかで利用者の関心を引くためには、採用媒体よりも大きな努力が必要となります。
コンテンツの内容が薄いとその分得られる反応も薄くなります。 SNSのアカウントを運用する場合は、興味を惹けるような内容を考えられるように注意しましょう。
採用に苦しむ中小企業こそSNS採用がおすすめ!
大手企業は知名度が必然的に高く、学生にも認知されている場合が多いです。 一方、中小企業では採用における認知度が低い場合が多く、母集団形成の段階で学生が集まりにくいです。
採用における認知度を上げるためには、SNSの特徴の一つである情報の拡散力を活用すると良いでしょう。
採用HPなどに記載するフォーマルな魅力訴求ではない、カジュアルな情報発信によって、自社に対して興味を持つためのハードルが低くなります。
また、SNSは利用料がかからないため、採用コスト削減に繋がります。 そのため、中小企業でもSNS採用は効果的です。 中小企業の採用に関しては、下記の記事に詳しくまとめています。
【参考】採用課題解決|中小企業の本当の採用課題とは?採用成功の方法を解説!
【事例あり】SNS別の特徴と実際の企業の投稿例をご紹介!
「SNS採用導入してみたいけど、他社がどんな形で運用しているのか分からないと不安・・・」 「自社の採用に最適なSNSを知りたい!」 という方も多いでしょう。
続いては、そんな方に向けて「各SNS媒体の特徴」と「SNS採用の成功例」を紹介していきます。 まずは就活生が就職活動で情報を得る際、どのSNSを利用しているのかについて見ていきましょう。
SNSにおける就職活動関連の情報収集は、TwitterとInstagramで得ている人が75%を超えていることが分かります。
【参考】株式会社DYM『就職活動に関するアンケート調査の集計結果』
上述したように、それぞれのメディアで獲得できるユーザーの特徴が異なります。 自社が求める人材が多く集まりそうなものを選ぶことが重要です。
また、複数のメディアを使って、それぞれの媒体に合わせた形で自社を紹介していくと、多面的な情報を届けることができます。
その結果、自社への解像度が上がることで学生が自社へエントリーしやすくなります。 以下では、それぞれの媒体の特徴・拡散力の有無・運用工数をまとめました。
SNS | 特徴 | 利用する人の年代 | 拡散力 | 運用工数 |
実名での登録が原則となっており、信頼性が担保できる。 | 20代~50代まで幅広い年代が利用 | △ | 少ない | |
リツイート・リプライ・いいね機能があり、拡散力が強い。 | 20代・30代の利用が多い | ○ | 少ない | |
写真や動画が中心のため、文字のみの投稿より分かりやすく情報を伝えることができる。 | 10代・20代の若者が中心 | △ | 比較的多い | |
LINE |
1対1のやり取りとなることが多いため、確実に相手に対し情報を伝えることができる。 | 全世代で幅広く利用 | × | 比較的多い |
YouTube |
動画のため、オフィス環境・働く人・社風をより分かりやすく伝えられる。 | 全世代で幅広く利用 | ○ | 多い |
リンクトイン(LinkedIn)
|
ビジネス用のSNSであり、実名制による信頼性と、拡散力がある。 | 社会人経験がある年代が中心 | △ | 少ない |
1つずつ詳しく見ていきましょう。
【信頼性の高い】Facebook
《実際の投稿例》
株式会社電通 https://www.facebook.com/dentsu.recruit/
楽天グループ株式会社 https://www.facebook.com/RakutenRecruiting/
《ポイント》
実名での登録が原則となっているFacebookは、他のメディア媒体と比較して信頼性が高いのが特徴です。
投稿内容も長文が添えられることが多いため、ナビ媒体と、他のメディアの中間に位置しているような感覚で使うと良いでしょう。 企業の採用専用ページを立ち上げて、運用しましょう。 また、他のHPへ誘導しやすいのも特徴です。
<Facebookはこんな企業におすすめ!>- 信頼性のあるSNSを使いたい!
- 比較的年代が上の人にもアプローチをしたい!
【拡散力が強い】Twitter
《実際の投稿例》
株式会社サイバーエージェント https://twitter.com/ca_recruit_info
サイボウズ株式会社 https://twitter.com/cybozu_recruit
《ポイント》
拡散力の強いTwitterでは、個性的なツイートをすることで話題を呼ぶことが可能です。
意図的に拡散するためのリツイート機能の他にも、いいねマークを押した投稿がタイムラインに乗るなど、他のメディアよりも拡散力が強いことが特徴です。
拡散されやすい分、不特定多数の人の目に触れる機会が多くなるため、炎上リスクも高くなっていることに注意しましょう。
Twitterで採用活動を行っているアカウントは、絵文字や顔文字などを使用している場合が多いです。 親しみやすさを演出することで、カジュアルな雰囲気を出せます。
<Twitterはこんな企業におすすめ!>- 拡散力のあるSNSを使って、多くの人に自社を知ってもらいたい!
- フォロワーと積極的にコミュニケーションを取りたい!
【世界観を伝える】Instagram
《実際の投稿例》
株式会社JALスカイ https://www.instagram.com/jalsky_saiyo/?hl=ja
三井住友カード株式会社 https://www.instagram.com/smcc_recruit/
《ポイント》
写真や動画を投稿に添えることが必須となっているInstagram。視覚的な訴求をしやすいことが特徴です。
自社の雰囲気、企業の持つ世界観などが伝えやすいメディアとなっています。
Instagramでは他メディアとは異なり、URLリンクで外部ページに飛ばしにくい構造となっているため、他媒体への誘導は難しいことに留意しましょう。
投稿の雰囲気を統一して、ファッショナブルな演出をしている企業が多い傾向にあります。
トップに出てくる画像の色味を統一したり、イラストを使用したりして、パッと目に止まるような投稿にするよう意識しましょう。
また、ハッシュタグを使うこともおすすめです。
<Instagramはこんな企業におすすめ!>
- 動画と画像で自社の情報を分かりやすく伝えたい!
- 20代が多く利用するSNSを使いたい!
【情報伝達の確実性が高い】LINE
《実際の投稿例》
LINE株式会社 https://page.line.me/linenewgrads
《ポイント》
LINE@というLINE公式アカウントと統合させる仕組みを使うことで、企業の情報を発信することが可能です。
他のメディアよりプライベートなSNSとなるので、炎上する可能性は比較的低くなっています。
普段使いしている利用者の多いメディアなので、ユーザーに偏りも少ないことも特徴です。
新着情報をメッセージとして送ることができるため、情報を見逃す可能性が他のメディアと比較して低いことが利点です。
従来のメルマガのように使用することで、学生に確実に情報を届けることができます。
通知を煩わしく感じるとブロックされてしまう可能性が高いため、メッセージはほどほどにするように注意しましょう。
<LINEはこんな企業におすすめ!>
- 候補者に対し、確実に情報を届けたい!
- 1対1で候補者と丁寧にやり取りしたい!
【ディープな魅力を伝える】Youtube
《実際の投稿例》
株式会社タカラトミー https://www.youtube.com/watch?v=5Fc9q5PlYbk
《ポイント》
事業内容の解説や、社内環境を見せる動画を公開することで、自社の魅力を他メディアよりもディープに伝えることができるYouTube。
学生との直接的なコミュニケーションを取ることは難しいですが、充実した内容で自社をより身近に感じさせることが可能です。
就活攻略チャンネルなど、就職活動に関わる投稿も多くされているため、関連動画として自社の動画が出てきやすくなるでしょう。
投稿をするためには、簡単な動画編集技術は必須です。
テロップなどを入れることで、内容を理解しやすいものにするよう意識しましょう。
また、YouTube用に作成した動画を短く編集し、他メディアと組み合わせて発信していくと効果的です。
<YouTubeはこんな企業におすすめ!>
- 自社の社風、社員、オフィス環境などを動画で分かりやすく伝えたい!
【社会人が利用する】リンクトイン(LinkedIn)
リンクトイン(LinkedIn)は、全世界で7億5600万人のユーザー数がいる、「ビジネス用SNS」です。
登録は原則実名となっていることに加え、拡散力も持ち合わせており、FacebookとTwitterを融合させたようなサービスといえます。
リンクトインは、社会人経験のある人が利用することが多いため、中途採用向きで新卒採用には向いていません。 「中途採用に困っている!」という方は、導入を検討してみるとよいでしょう。
<リンクトイン(LinkedIn)はこんな企業におすすめ!>
- 利用者が実名で、信頼性が担保されたSNSを使いたい!
- 中途採用に力を入れていきたい!
SNS採用を行う際の手順
続いては、SNS採用を導入する際の手順について紹介していきます。
まとめると以下のような流れになります。
①SNS採用の目的を決める
②SNS採用で集客したい求める人物像を定める
③求める人物像をもとにペルソナを設定する
④SNSの媒体を選定する
⑤配信するコンテンツを決定する
⑥配信スケジュールを決定する
⑦運用上のルールを決定する
⑧実際に配信する
1つずつ具体的に見ていきましょう。
①SNS採用の目的を決める
SNS採用を始める上で、どのような状態がゴールなのかをまず明確にします。
「幅広い学生にアプローチするために、自社の認知度をもっと高めたい」
「入社後のギャップが生まれないように、リアルな情報をもっと学生に届けたい」
など、自社が現在抱えている課題と、その先にある目標が何かを確かめます。
もし自社の課題が漠然としている場合は、選考参加率、内定辞退率など、採用における各項目の歩留まり率を算出してみると良いです。
平均歩留まり率と比較しながら、どの過程を改善するとより良い採用活動が行えるのかを把握しましょう。
また、SNS採用によって本当に自社の抱えている課題が解決するのかについてもこの段階で検討します。
②SNS採用で集客したい求める人物像を定める
「SNSで集客したい人物像」 「何人ほど採用したいのか」 など、ここではSNS採用を行う上での基準となる部分を設定します。
上述したメリット・デメリットを参考に、SNS採用で集客したい人物とはどのような特徴を持っているのかについて考えていきます。
「エンジニア職募集のためにプログラミング経験者を5名ほど採用したい」というように、求める人物像が定まることで、次のアクションプランが立てやすくなります。
【参考】 採用要件を明確に定義する方法!評価基準の設け方などを解説
③求める人物像をもとにペルソナを設定する
求める人物像を設定したら、次はペルソナを作りましょう。 ペルソナ作りでは、求める人物像に当てはまるようなある1人の人物の趣味、長所や短所、行動特性などを具体的に想像します。
例えば求める人物像が「プログラミング経験者」であれば、
- ゲーム好き
- 長所は好きなことにのめり込めるところで、短所は頑固になりやすいところ
- 休日はYoutubeを参考にプログラミングを独学している
というようなペルソナを設定することができます。
このようにペルソナを設定することで、求める人物像を採用するにはどのようにアプローチしていけば良いのかが明確になります。
【参考】 採用ペルソナの設定方法やポイント・具体例について解説!
④SNSの媒体を選定する
次に、自社で設定したペルソナに当てはまるような人材はどのSNS媒体に集まりやすいのかを想定し、使用する媒体を選定します。
このとき、各メディアの特徴とユーザーについて把握していることが大切です。
例えば、Twitterでは文字での表現がメインとなるため文章への関心度が比較的高く、Instagramでは写真などの視覚情報がメインのためビジュアル的なこだわりが強い人が多いと予想できます。
また、LINEでは一対一のやりとりとなるため自社への志望度が高い人に効果的で、Youtubeなどは自社への理解度が低い人に充実した内容を届けることができます。
このように、ペルソナがどのような特徴を持っているのかを確認し、それに合わせて使用するSNSの媒体を選定し、効果的に集客ができるようにしましょう。
⑤配信するコンテンツを決定する
使用するSNSの媒体を選定した後は、その媒体で何を発信していくのかについて決めていきます。
通常の採用広報よりもカジュアルに自社の情報を発信していくことができ、学生と気軽にコミュニケーションを取っていけることがSNS採用の最大の特徴です。
そのことを活かしたコンテンツ作りを行うように意識していきましょう。
2022卒学生が企業の運営するSNSから最も得たいのは「社員の雰囲気」に関する情報です。
他にも「採用スケジュールや説明会、インターン開催などの詳細」や、「仕事内容」に関する情報を求めている学生も比較的多いです。
SNSならではのカジュアルさで企業のリアルに近い情報を発信しつつ、採用に関する情報を更新することを心がけましょう。
【参考】株式会社DYM『就職活動に関するアンケート調査の集計結果』
また、SNSでコンテンツを発信していく場合、使用する媒体によって表現方法を変えた方が効果的です。
例えば、Twittterを使用する場合は、指定文字数内で自社の魅力が伝わるように短くキャッチーな表現を行います。 Instagramの場合は、視覚的に魅力が伝わりやすいように写真やデザインにこだわるなど工夫をすると良いです。
⑥配信スケジュールを決定する
SNS運用を成功させるには、定期的かつ継続的な運用が必要です。
「他の業務などで手が空いたときに配信しよう」と思っていたら、いつのまにか投稿が途絶えてしまう、なんてことも起こり得ます。
「この曜日のこの時間に誰がどのコンテンツをあげる」というようにスケジュールを決めておくことで、定期的かつ継続的な運用が可能になります。
事前に配信スケジュールを決定しておくことで、スムーズにSNSを更新していけるようにしましょう。
⑦運用上のルールを決定する
SNSには、炎上・拡散してしまうリスクがあります。 面白いコンテンツを発信しようとしてやりすぎてしまう、などバランスを取ることが難しいです。
このようなリスクを未然に回避するため、運用上のルールを予め決めておきましょう。
例えば、SNSアカウントを複数人で運用し、各メディアの担当を週ごとに割り振るなどのルールが効果的です。
チームで運用することによって、投稿内容を事前に確認し合い、更新担当を週ごとに振り分けることができるため、リスクや負担を下げることが可能です。
担当を振り分ける際は、コンテンツに合わせて採用、営業、内定者など複数の立場から情報を発信できるように意識しましょう。
社内の情報を複合的な目線から発信していくことで、学生はより立体的に自社のイメージを膨らますことができます。
⑧実際に配信する
SNS採用を成功させるためには、配信のタイミングも重要です。
Twitter、Instagram、Youtubeなどでは、掲載したコンテンツのインプレッション数などから、どれほどのユーザーに情報が届いたのかを追っていくことができます。 ユーザーの目に触れやすい時間帯なども把握することができるので、次回配信の際に参考にしましょう。
また、自社コンテンツのなかで人気が高いものの特徴を見つけることも可能です。
リアルなユーザーが求めている情報は何かを把握し、コンテンツ内容や配信スケジュールの見直しを行いながら、改善していきましょう。
SNS採用を成功させるための6つのポイント
SNS採用は、闇雲にはじめても中々上手くはいきません。 成功させるためには、いくつかのポイントがあります。 ここでは「SNS採用で意識しておくと良いこと」を6つ紹介していきます。
(1)自社のターゲット層がよく利用するSNSを選ぶ
(2)SNSを利用する目的を明らかにしてから、コンテンツを企画する
(3)継続的に発信できるだけのリソースを確保する
(4)他媒体では伝わらない「会社のリアル」を伝える
(5)競合分析を忘れずに行う
(6)アウトバウンド施策でフォロワーを増やす
(1)自社のターゲット層がよく利用するSNSを選ぶ
まず「自社のターゲット層がよく利用するSNSで発信する」ことが重要です。
先程も触れましたが、各SNSによって利用者が多い年代が異なります。
「50代以上をターゲットとしているのに、Instagramで発信を行ってしまう」 「新卒の集客を行いたいのに、リンクトインを使用する」 といったことが無いように注意しましょう。
(2)SNSを利用する目的を明らかにしてから、コンテンツを企画する
「なぜ採用活動で、SNSを利用することにしたのか」を明確にすることも重要です。
SNSを使用する目的を確定しないまま、情報発信をはじめてしまうと、 「発信する内容の一貫性がなくなり、本来の運用方針からずれてしまう」 「SNS採用の成功基準が明確にならず、効果測定が適切に行えない」 といった問題が発生することがあります。
そのような問題を防ぐためにも
- 自社の採用における問題点はなにか
- SNSを使うことによってどうやってその問題解決できるか
- 大手ナビサイトや人材紹介にはない、SNS採用の魅力はなにか
を事前に確認してからSNS採用を開始するのがよいでしょう。
目的を確認してからSNS採用を開始すると、軸が明確になり、発信する内容も一貫したものになります。
(3)継続的に発信できるだけのリソースを確保する
3つ目に重要なことは「継続的に発信できるだけのリソースを確保する」です。
SNSは数分の間に、何千・何万という投稿があり、新規で発信された情報が上位に表示されます。
そのため更新回数が少ないと、他のアカウントが発信した情報に埋もれてしまい、自社の発信した情報がフォロワーに届きづらくなってしまいます。
自社の情報を適切に届けるためにも、
- コンテンツ製作
- メッセージのやり取り
- フォロー作業
などに使える人員、時間を充分に確保しておくようにしましょう。
SNSは運用に手間がかかりますが、採用活動を継続的に行っていくためには、欠かせない手段です。
十分な工数を確保してから、SNSの発信を行うようにしましょう。
(4)他媒体では伝わらない「会社のリアル」を伝える
4つめに重要なことは「他媒体では伝わらない会社のリアルを伝える」ことです。
SNSは求人広告やナビサイト、人材紹介とは異なり、自社の世界観や採用に対する想いなどを自由度高く発信できるのがメリットです。
また先程も紹介しましたが学生の60%以上は、企業のSNSで「社員の雰囲気を知りたい」と回答しています。
そんな学生からのニーズに応えるためにも、SNSでは「会社のリアル」を伝えるように意識することが重要です。
(5)競合分析を忘れずに行う
5つ目に重要なこととして挙げられるのが「競合分析を行うこと」です。
これは、コンテンツ作成前に行っておくのがよいでしょう。
自社と同業界・同規模の会社が、どの様にSNS採用を行っているのか知ることは、コンテンツの独自性だけでなく、効果の高いコンテンツの作成にも繋がります。
「同業界で同規模の○○株式会社は、Twitterでの発信を増やして採用が上手くいっている。だから自社もTwitterでの発信を増やした方が良いのではないか」 と仮説を立てることで、成果の出るコンテンツ製作が出来るようになるでしょう。
(6)アウトバウンド施策でフォロワーを増やす
6つ目に重要なこととして挙げられるのが「アウトバウンド施策でフォロワーを増やす」ことです。
SNS採用で言うアウトバウンド施策とは
- 競合他社のフォロワーをフォローすること
- フォロワーの投稿へ、積極的にいいね、リツイートを行うこと
- フォロワーに対してDMを送信し、コミュニケーションを取ること
などが挙げられます。
特に、競合他社の採用アカウントのフォロワーに対するフォローは、自社アカウントのフォロワー増加に高い効果が見込めます。
潜在層に対し積極的にアプローチを行うことで、自社に興味を持つフォロワーと多く繋がりましょう。
人事の個人アカウントも積極的に運用しよう!
最近、採用担当者による個人アカウントの運用が注目を集めています。 ここでは、そんな採用担当者による個人アカウントの運用について解説します。
採用担当者による個人アカウントの運用とは?
SNS採用における個人アカウントとは、担当者自身が、個人で社名や名前を公開して運用するアカウントのことを指します。
下記のようなプロフィールのアカウントを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
個人アカウントを運用するメリット
個人アカウントを運用するメリットは大きく2つあります。
①企業ブランディングの向上
1つ目のメリットは、企業ブランディングの向上です。
SNSにおいて、企業の公式アカウントがフォロワーを集めることは非常に難しいです。
なぜなら、企業アカウントは人間味や個性を出すことが難しいためです。
一方、個人アカウントであれば人間味あふれた内容を発信することができるため、多くの人に共感してもらえるためです。
また、個人アカウントの運用は複数の担当者で同時に行うことが一般的なため、それぞれのアカウントの個性により様々な形で会社のブランディングをはかることができます。
②発信者自身の資産になる
2つ目のメリットは、発信者自身の資産になることです。
最近では採用の現場においてもフォロワーが多く、つながりの多いアカウントの価値が高まっています。
フォロワー数やつながりの多さがそのまま発信力となり、発信力の大きさが形成できる母集団の大きさに関わるためです。
そのため、転職においてもフォロワーが多いアカウントを運用していることが強みになります。
実際フォロワーが多く十分に育ったアカウントでは、SNSのDMで企業からスカウトが届くこともあります。
こうした背景から、個人アカウントの運用は自分の資産の1つになるのです。
SNS採用の代行サービスをご紹介!
「SNS採用を開始したいけど、運用負担が大きすぎて社内のリソースが足りない・・・」 とお悩みの方はいませんか。 そんな方には「SNSの採用を代行してもらえるサービス」がおすすめです。 下記では、SNS採用の代行サービスを数社紹介します。 SNS採用導入時の参考にしてみてください。
1、エアリク
エアリクは、SNSの運用代行サービスを提供する会社です。 実績も多数あり、「InstagramにおけるSNS採用」に特化しています。
若者が多く使用するInstagramでSNS採用を行いたい、という場合はこちらのサービスがおすすめです。
【参考】エアリク 公式ホームページ
2、Nu Realize株式会社
Nu Realize株式会社では「採用特化型のSNSアカウント運用代行サービス」を提供しています。
具体的には
- 採用戦略設計
- SNS戦略設計
- SNSアカウント開設
- SNS運用代行 等
自社の採用課題にマッチしたサポートを行ってもらえます。
【参考】Nu Realize株式会社 SNS採用支援サービス
リファラル採用においてもSNSを活用する
SNSは、リファラル採用におけるコミュニケーションツールとしても有用です。
LINEなど個人への連絡ツールとしてはもちろん、TwitterやFacebookを使用することで繋がりを持つ多くの人に募集していることを伝えることができるでしょう。
たまたま転職を考えていた友人へのアピールにもなりえます。
気軽に情報が発信でき、連絡の取りやすいSNSを活用することでリファラル採用をより効率的に行うことができます。
【参考】 新卒でリファラル採用を行うメリットとその方法とは?
さいごに
いかがでしたか。
現代の主な情報拡散ツールとして使われているSNSをうまく活用することで、採用において様々な利点をもたらすことができます。 発信する内容には十分気をつけながら、運用していきましょう。