「採用目標人数を達成することができなかった…」
「自社の採用要件にフィットする学生と全然会えなかった…」
採用結果が当初の計画とずれてしまったというケースは少なくありません。そのような場合の対処法として、追加募集/二次募集を行うことができます。
しかし、ただ闇雲に追加募集/二次募集を開始しても、再び失敗に終わってしまう可能性が高いです。前回の採用の改善点を見つけ、採用目標を達成するための戦略を立てる必要があります。
ここでは、新卒採用の追加募集/二次募集を行うべき企業の特徴や、実施する手順、採用を成功させるための秘訣などをご紹介します。
「内定承諾してくれるか分からず、追加募集/二次募集をするべきか迷っている」という方は、まず既にいる内定者のフォローを行いましょう。
上記のようなお悩みをお持ちの方は、以下の記事もご参照ください。
【参考】【改善策4選】3年分の内定承諾率から考察!内定承諾率を上げるコツ
【参考】内定者へのフォローメールはどう書く?すぐに使える例文集4選
新卒採用の選考開始〜内定出しまでの一連の流れを終えた後、採用枠の追加や採用予定数に満たなかった場合などに追加で募集を行うことがあります。
多少の前後はあるものの、通常の新卒採用は『就活ルール』に従いながら以下のようなスケジュールで進めることが多いです。
広報活動:卒業前年度の3月以降
採用選考:卒業年度の6月以降
正式内定:卒業年度の10月以降
【参考】内閣官房『2023 年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方』
広報活動解禁の3月から採用活動をスタートさせることから、このような日程で行われる採用活動を「春採用」と呼びます。
「春採用」で母集団形成がうまくいかなかったり、内定辞退が予想より多かったりした場合などに、6月頃から開始する「夏採用」や10月頃からの「秋採用」で追加募集/二次募集を行います。
他の企業はどのくらいの時期に採用を終わらせているのか、採用充足率はどのくらいか、気になるところですよね。
株式会社ディスコの調査によると、2023年度卒において、「春採用」の選考が終了していると見られる7月時点で採用選考を終了した企業は全体の25.6%です。
2022年卒を対象として同時期に行った調査では29.8%、コロナによる採用への影響が大きかった2021年卒では26.0%でした。採用の早期化が進む一方で、採用選考の終了時期は伸びていることが分かります。
また内定者の充足率は7月時点で58.0%。従業員規模が1000人以上の大手企業では67.2%。一方で300人以下の中小企業では51.7%と、従業員規模によって内定者の充足率に15%ほど差があることが分かります。
【参考】株式会社ディスコ『2023年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2022年7月)』
また、全体の半数の企業は採用活動終了時期を10月以降に予定しており、採用活動に苦戦する様子が見受けられます。
内定式のある10月以降も全体の1割程度が就職活動を継続しています。
「納得できる企業に就職したい」「春採用を経て、自分のやりたいことが明確になった」という学生が意欲的に活動していると見られるため、積極的に追加募集/二次募集を告知するとよいでしょう。
【出典】就職プロセス調査(2024年卒)「2023年10月1日時点 内定状況」 | 株式会社リクルート
1つ目の目的は採用予定数を実現するための、母集団の充足です。
という場合に二次募集を実施します。
2つ目の目的は採用ターゲットの拡大です。
一般的な採用スケジュールだと採用ターゲットの取りこぼしが生じる可能性があります。
は追加採用や秋採用を実施する場合があります。
最後の目的は大企業との競合を避けることです。
大企業と同時に採用活動を実施した場合、人材獲得競争に勝つことが難しくなることが考えられます。
という考えのもと追加募集を実施する企業も少なくありません。
ここからはどんな人が秋採用に応募してくるのかについて説明します。
秋採用に応募する学生の中でもっとも多いのは「内定が取れずに就職活動を続けている」というパターンです。
具体的には
などが当てはまります。
このような層を採用したい場合は、いきなり選考に入るのではなく、キャリア相談で学生たちの要望を聞き「自社であればあなたの希望を叶えられるかもしれない」と伝えることが有効です。
学生の中には課外活動などの都合により就職活動の開始が秋にずれ込んでしまう場合もあります。
具体的には
などが当てはまります。
こういった層は推薦やエージェントを利用して就職活動をする場合が多いため、確実に採用したい場合はエージェントの利用を検討しましょう。
秋採用に応募する層の中では少数派ですが、内定はあるもののまだ納得しきれていない就活生も存在します。
こういった学生に対しては個別の説明会を開いたり、面談を実施していくことが有効です。
ここでは、新卒採用の追加募集/二次募集を行うべき企業の特徴とその理由をご紹介します。
新卒採用の追加募集/二次募集を行う最大の理由として「採用予定数に達しなかった」が挙げられます。
母集団形成がうまくいかなかったり、内定辞退が想定より多かったり、春採用のみでは採用予定数に達せられないケースがあります。
【参考】株式会社リクルート 就職みらい研究所『就職プロセス調査(2022年卒)「2022年3月度(卒業時点)内定状況」』
春採用の選考終了後である7月時点では、33.4%の2022年卒学生が就職活動を継続していました。
「納得できる企業に就職したい」「春採用を経て、自分のやりたいことが明確になった」という学生が意欲的に活動していると見られるため、積極的に追加募集/二次募集を告知するとよいでしょう。
追加募集/二次募集を行うことで、通常よりも遅れて就職活動を始めた、新たな学生層と会える可能性があります。
「留学をしていて海外にいたから」「全国大会に向けて部活に打ち込んでいたから」「長期インターン先で業務に追われていたから」などの理由で、周りより遅れて就職活動を行う学生が一定数います。
追加募集/二次募集で集まる学生は、春採用よりも多様で、個性的な場合が多いです。
実績や少し変わった経験を持つ学生と会うことを狙い、春採用とは別の求める人物像を設定し、追加募集/二次募集を行う企業もあります。
先ほど挙げたデータを見ても分かる通り、大手企業ほど春採用で採用充足しやすく、中小企業は充足しにくいです。
夏・秋採用は、春採用よりも周りの企業に埋もれにくく、学生に自社を発見してもらいやすいという利点があります。
当初の計画から変更して追加募集を行うのではなく、元から夏・秋採用も実施する計画で進めている企業もいます。
新卒採用の追加募集/二次募集を行う際は、次の5つステップを踏みましょう。
新卒採用の追加募集/二次募集で最も重要なのは「いかに春採用とは異なるアプローチで集客を行えるか」という点です。
もし春採用で採用が充足しなかった場合、採用の方法に改善点が見つけられるはずです。エントリー数や面接通過率、内定辞退率など各過程における歩留まりから、平均よりも数値が低い箇所を見つけましょう。
春採用で歩留まりが低かった箇所の理由を考察し、改善方法を見つけることで、追加募集/二次募集の際の採用に生かせます。
詳しい採用歩留まりの調べ方については、こちらの記事をご覧ください。
【参考】分析方法を徹底解説!採用歩留まりが低下しやすい項目と9つの改善策
春採用の振り返りをもとに、採用イベント内容や採用手法など、具体的な手段の見直しを行います。
「1人ひとりへの魅力訴求が弱かったことが課題だから、春採用では会社説明会の定員を設けていなかったが、秋採用は個別説明会にしよう」
「春採用では採用要件にマッチする人材からの応募が少なかったから、夏・秋採用では自らアプローチできる採用手法を利用しよう」
こういったように自社の課題を解決できる採用手法を利用し、イベントを開催することで、母集団形成の成功や、内定承諾率の向上に繋がります。
広報開始から内定までにかかる期間を考え、採用スケジュールを決めていきます。
春採用に比べ、夏・秋採用は「早く内定を貰って、採用活動を終了させたい」という気持ちが強くなっている学生が多いです。
採用スケジュールを決める際は、早めの選考フローを組むように意識してみましょう。
採用スケジュールまで組めたら、学生に向けて追加募集/二次募集のお知らせをします。
追加募集/二次募集の広報では、以下のことを行いましょう。
特に追加募集/二次募集を当初から計画していなかった企業では、選考があることをいかに多くの学生に認知してもらえるかが重要です。
なるべく多くの媒体で追加募集/二次募集のお知らせを行い、興味を持ってもらえるようにしましょう。
「イベント参加後の応募率が例年に比べて低かった」「面接中の選考辞退が予想より多かった」など、春採用での改善点を意識することで、求める人材の内定承諾が得られやすくなります。
また急遽追加募集/二次募集が決まった場合は、短い準備期間の中で様々なことを用意する必要があり、大変ですよね。オンライン説明会のURLを送り忘れるなどのミスも起こりやすいです。
トラブルがないように注意しながら、学生にとって「参加してよかった」と思えるような選考になるように意識していきましょう。
【参考】【採用CXとは?】即マネできる参考事例や取り組むメリットを解説
追加募集/二次募集のメリット・デメリットについてそれぞれ解説します。
まず、内定出しから入社までの期間が春採用よりも短いです。
加えて、追加募集/二次募集を辞退してしまうと就活終了が翌年度に持ち越されてしまい、就活留年・浪人をする必要が生じます。
そのため追加募集/二次募集した学生は、春採用の学生よりも内定辞退されにくいというメリットがあります。
通年採用が普及しつつありますが、現在も春採用が主流です。
春に採用活動を終了する企業も6割近くあるため競争率が下がることも追加募集/二次募集のメリットです。
追加募集/二次募集を実施すると、春採用の内定者のフォローと追加募集/二次募集の採用活動を同時に行う必要があるため、担当者の業務負担は大きくなります。
また、就職活動を継続する学生の数は春採用の時期よりも減少するため、母集団形成が難しくなるでしょう。
ここでは新卒採用の追加募集/二次募集を成功させる秘訣を4つご紹介します。
追加募集/二次募集の際は以下のポイントを意識しながら取り組んでみてください。
春採用で思ったように人材が集まらなかった、選考の通過率が低かったという場合は、今ある採用要件・求める人物像を再定義しましょう。
再定義を行う方法はいくつかあります。
まず一つ目は、社内で活躍している人物の特徴を言語化し、採用要件に当てはまる方法。
一般的に優秀である社会人の特徴と言われている「協調性がある」「リーダーシップがある」などが、 必ずしも自社で活躍する人物の特徴であるとは限りません。
既に活躍してる人物の特徴に当てはまる要件を設定することで、自社にとって最適な採用要件を設定しやすいです。
他にも、ペルソナの設定や、春採用で最終選考まで残った人材の特徴分析などを行いながら「本当に現在の採用要件・求める人物像が最善か」を見直しましょう。
【参考】採用要件を明確に定義する方法!評価基準の設け方などを解説
多数のうちの1人として企業の魅力訴求が行われるよりも、個別化された内容の会社説明を受ける方が、学生の自社に対する志望度は上がりやすいです。
新卒採用の追加募集/二次募集では、春採用の時期よりも就職活動を行っている人数が少ないため、対象となる学生数が比較的少ないという特徴があります。
学生1人あたりにかけられる工数が増えるため、個別説明会などで魅力付けを行い、応募者数や内定承諾数の増加を狙いましょう。
追加募集/二次募集を行う際に、「今までに接点を持つことができなかった学生層にまでリーチできるようにする」ことを意識すると成功に繋がりやすいです。
ナビサイトなど応募を待つ採用手法だけでは、今までリーチできなかった学生層との接点を持つことはできません。
ダイレクトリクルーティングや人材紹介といった、いわゆる「攻め」の採用手法の導入を検討してみるとよいです。
秋採用に応募している学生は自身の進路に焦りを抱えている場合がほとんどです。
そのため、選考スケジュールをコンパクトにし、内定出しの日を明確にしておくことで、学生の不安を解消できます。
さらに入社後のスケジュールもあわせて展開することも重要です。
先ほどご紹介したように、「攻め」の採用手法を利用することが追加募集/二次募集の成功に繋がりやすいです。
ここでは「ダイレクトリクルーティング」と「人材紹介」についてご紹介します。
サービス提供会社の保有する人材データベースの中から自社の採用要件にフィットする学生を見つけ、スカウトを送るダイレクトリクルーティング。
追加募集/二次募集では、就職活動を継続している学生数が春採用時よりも少なくなります。ダイレクトリクルーティングを利用することで就職活動中の学生に直接アプローチでき、自社の魅力訴求や選考参加への動機付けが行えます。
一方で、ダイレクトリクルーティングに関するナレッジがなければ、学生が魅力的に思うスカウトを作成することが難しく、そのため採用成功に至りにくいです。
また自社とマッチしそうな学生を膨大なデータベースの中から見つけて、個別化されたスカウトを送って…といったスカウト運用にかかる工数が大きいことに懸念をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
弊社が運用する新卒向けダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scoutでは、ダイレクトリクルーティング運用にかかる煩雑な業務を全て代行しております。
2500回以上のA/Bテスト結果から得たノウハウを活用して、貴社に最適なスカウトの作成もいたします。
詳しくはこちらをご覧ください。
エージェントを介し、要件に合致する学生を紹介してもらう人材紹介。
学生の選定や自社の魅力づけ、学生との連絡をエージェントが行ってくれるため、導入ハードルが低く、かかる工数も少ないです。
一方で、費用が他の採用手法と比較し高くなりやすいことや、多くの学生と会うことは難しいという懸念もあります。
新卒採用の追加募集/二次募集を行う際は、「いかに学生に採用のことを認知してもらえるか」というところが重要なポイントです。
ここでは、追加募集/二次募集の告知を行う際の2つのポイントについてご紹介します。
「インターンには参加してくれたけど、春採用の選考応募はなかった」「プレエントリーまでは終わっていたけれど、ES提出などはなかった」というような学生もいたのではないでしょうか。
追加募集/二次募集を行う際は、春採用では選考に乗ってくれなかった学生に対してもアプローチすることを忘れないようにしましょう。追加募集/二次募集の告知を行うメールを送ってみると良いです。
特に魅力を感じた学生に関しては、個別の告知内容を送ることも効果的です。
追加募集/二次募集の告知に加え、魅力を感じた理由や企業との相性が良いと思う点なども一緒に記載しましょう。まずは個別面談会などに集客し、段階を踏みながら選考までの流れを作ると、参加率が上がりやすいです。
企業のアカウントがある場合は、SNSで告知を行ってみるのもオススメです。
Twitterで「追加募集 採用」または「二次募集 採用」と検索してみてください。様々な企業が募集の告知を行っているのが見られると思います。
SNSで告知を行う際は、追加募集/二次募集の開始日と締め切り日、募集職種といった簡単な概要とともに、詳細が記載されている採用HPのURLリンクを記載しましょう。
社内に向けて追加募集/二次募集の告知をSNSに上げたことを伝え、情報の拡散に協力してもらえると効果的です。
ここでは新卒採用の追加募集/二次募集の告知を行う際に使える、掲載場所別の例文をご紹介します。
<20○○卒対象>
○○職の追加募集を行います。
応募書類の締め切りは20○○年○月○日必着です。
詳しくは、新卒採用HPの応募詳細をご覧ください。
▼20○○卒 新卒採用HP
(採用HPのURLリンク)
みなさまからのご応募、お待ちしております。
※本年度の採用に既にご応募いただきました方は、申し訳ございませんが対象外とさせていただきます。
20○○卒 春採用は終了いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
以下の職種については、追加募集を行います。
・企画職
・エンジニア職
※春採用にご応募いただきました方は、選考対象外とさせていただきます。
詳細につきましては、追って掲載いたします。
【20○○卒対象 夏採用】
20○○卒を対象とした二次募集を開始いたします。
まずは会社説明会にご参加の上、Webの方からご応募ください。
▼会社説明会日程
20○○年○月○日(水) 18:00〜
20○○年○月○日(金) 18:00〜
20○○年○月○日(日) 11:00〜
会社説明会のご予約はこちら:(予約できるリンク)
▼Webエントリー締切日
20○○年○月○日 23:59まで
▼募集職種
○○職
※本年度の○○職の採用で既にご応募いただきました方は対象外とさせていただきます。
▼選考フロー
会社説明会→Webエントリー→書類選考→面接(3回)→内定
※説明会参加から内定まで最短で1ヶ月
みなさまのご応募お待ちしております。
【○○卒対象】○○職の追加募集を開始しました。
みなさまのご応募お待ちしております!
応募締め切り:20○○年○月○日 23:59まで
詳細・ご応募はこちら
(採用HPのURLリンク)
件名:20○○年卒対象 追加募集のお知らせ
内容:
○○さま
ご無沙汰しております。
株式会社○○ 新卒採用担当の○○です。
先日は弊社の1day インターンにご参加いただきありがとうございました。
グループワークの中で積極的に発言しながらも、周りを見ながら意見をまとめていくところがとても素敵でした。
弊社では、20○○年卒対象の追加募集を開始しております。
その後、○○さまの就職活動のご状況はいかがでしょうか?
○○さまには【ES提出免除】で選考にご参加いただきたいと考えております。
少しでもご興味がありましたら、まずは私とざっくばらんにお話ししてみませんか?
ご連絡お待ちしております。
株式会社○○ 新卒採用担当
○○
2024年卒業予定者向けに追加募集/二次募集を実施している企業の事例を2つご紹介します。
1社目はビジョン・コンサルティングです。
ビジョン・コンサルティングでは、早期に接点をもったが採用に至らなかった学生を対象に特別再選考を実施しています。
就職活動を通じて成長した学生の採用が目的とのことです。
また、採用フェーズを非常にスピーディーにして、学生の参加ハードルを下げている点も特徴的といえます。
2社目は株式会社SHIFTです。
すでに内定者が150名を超えているSHIFTですが、業績好調であるため現在(2023年10月)も24卒の採用活動を継続しています。
最短即日で内定が出る「即日内定会」や職種別の説明会や社員との交流会などを積極的に行い、人材獲得を進めているようです。
いかがでしたか。
本記事では、新卒採用の追加募集/二次募集を実施の手順や成功させるための秘訣、募集告知の際のポイントなどをご紹介してきました。
「内定辞退率が予想より多かった」「新たな層の学生と会いたい」という方はぜひ追加募集/二次募集をご検討ください。