「なかなか対面では会えない中、しっかりと自社の魅力を伝えられているか不安・・・」
「選考中に候補者の志望度を高められる方法を知りたい!」
このようなお悩みを抱えている場合、採用CX(=候補者体験、Candidate Experience)に注目してみましょう!
本記事では、採用CXを通して採用活動全体を改善していく方法を、国内外の実際の企業事例と共にご紹介します。
採用活動の各プロセスに、よりフォーカスした改善方法も知りたいという方は以下の記事もご覧ください。
【参考】【カジュアル面談を徹底解説】採用担当向け|準備・流れ・質問・その後
【参考】座談会の進め方のコツ6選|採用成功に繋げる秘訣とは【新卒】
採用CX(Candidate Experience)とは?
採用CXとは、
企業を認知してから入社するまでの採用プロセスにおける候補者体験(=Candidate Experience)のことです。
採用活動では、候補者が企業を知ってから、選考を終了するまでに複数の接点(タッチポイント)が生まれます。
選考時のステップで候補者の経験価値を最大化することで、企業のファンになってもらう、というのが採用CXの考え方です。
採用CXの目的
採用CXを改善することで、採用力向上を実現することができます。
採用CXを見直すことで、合否に関わらず候補者が「この企業の選考を受けてよかった」と思ってもらえる状態を目指します。
採用CXの改善は知名度の低い企業が母集団を形成する際にも有効です。
採用CXに注目が集まっている3つの背景
なぜ近年採用CXへの注目度が高まっているのでしょうか。 ここではその背景を3つご紹介します。
候補者が企業を選ぶ時代に
少子高齢化が進んでいる日本では、15-64歳の生産活動の中心にいる人口(=生産年齢人口)が年々減少しています。
生産年齢人口は2017年には7,596万人(全体の60.0%)を占めていましたが、2040年には5,978万人(全体の53.9%)まで減少すると予想されています。
【参考】「総務省 情報通信白書 人口減少時代とその課題」
このような生産年齢人口の減少によって、「候補者数(=売り手)」よりも「企業の採用枠(=買い手)」の方が多くなる売り手市場が続くと想定されています。
優秀な人材の獲得を目指して採用が激化する中、候補者に自社への入社を決めてもらうためには、採用プロセスにおける候補者の満足度を高めることが重要です。
このような背景から、採用CXに取り組む企業が今後も増えるであろうと予想されます。
転職が当たり前に
テクノロジーの発展によって勤続年数と技術力が比例しなくなってきていることや、日本経済が低迷していることが要因となり、年功序列をもとにした終身雇用制度が崩壊しつつあります。
成果を評価する実力主義の社会では、一つの会社に長く勤めるよりも、自分の実力をより評価してもらえる会社への転職を繰り返すことがキャリアアップに繋がります。
このような背景により雇用の流動性が高まっているため、候補者に「自社で働く理由」をいかにアピールできるかがこれからの日本の採用において重要なポイントです。
「自社で働きたい」と候補者に思わせるために、採用CXに取り組むことが効果的だと考えられています。
採用でも口コミが重要に
スマートフォンの普及によって、レストランを選ぶにも、新しい歯ブラシを選ぶにも「他の皆はどう評価しているのか」を気にすることが増えたのではないでしょうか。
採用活動でも同様に、口コミが重要な時代となりました。 該当する企業の選考を受けたことのある人が、採用活動に関する情報や感想を書き込んだり、勤務経験のある人が労働環境について評価する口コミサイトが存在します。
また面接中や選考後の企業の対応がSNSに投稿されることも多いです。 もし採用に関する悪い口コミが広がってしまえば、次年度の採用活動に影響が出る可能性もあります。
できるだけ多くの候補者に「選考に参加してよかった」と思ってもらうためにも、採用CXを改善するニーズが高まっています。
採用CX実現までのステップ
採用CXは- 認知
- 応募
- 選考
- 内定/入社
- 入社
の5つのフェーズに分かれています。
ここからはそれぞれのフェーズごとに実施すべき施策について解説していきます。
⓪自社理解を深める
採用では、求職者が自社を認知してから入社するまでに複数の接点(タッチポイント)があります。
ここでは採用CXを改善するために意識するべきタッチポイントを4つのフェーズに分けてご紹介します。
採用CXを改善するためには必ず「なぜ採用を行うのか」について知っておくことが重要です。
目的なく採用活動を行っても、理想的な結果は得られません。
- 自社で採用を行う意味は何か
- どのような人材を求めているのか(=採用要件/ペルソナ)
- 何をもって採用だと判断するのか(=採用基準)
- 他社ではなく自社に入社する理由は何か
以下の4つのフェーズのタッチポイントでどのようにアプローチするべきかを考える前に、まずは自社について整理しておきましょう。
① 認知
自社を認知する段階で求職者に好印象を抱いてもらえれば、そこから応募や選考に繋ぎやすいです。
認知の段階のタッチポイントは以下のものが挙げられます。
- ナビサイト
- 人材紹介
- スカウト
- 自社HP
- 採用HP
- SNS
- プレスリリース
- 社員インタビュー記事
無関心→認知の段階では、「自社をどういう企業だと思って欲しいのか」に沿って採用CXを考えます。
もし「ユニークな会社」だと思って欲しいなら、採用HPのデザインに凝ってみる、ナビサイトなどの企業紹介ページにおいて独自制度の魅力訴求を重点的に行うなどの方法があります。
この時ペルソナを意識し、ターゲットに届く訴求を行うことが重要です。
例えばエンジニア職での採用を行っていたとします。
誰でも分かりやすい業務内容説明がされていたら、求職者の惹きつけができ、次のステップへと繋ぎやすいです。
認知の段階では、自社を紹介する際に「誰に」「どのような印象を抱いて欲しいのか」について考えた訴求を行うようにしましょう。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
② 応募
認知のフェーズでは、インターネット上などの情報で候補者が一方的に情報を得ることがほとんどですが、応募のフェーズでは採用担当者との相互コミュニケーションが主です。
応募の段階のタッチポイントは以下のものが挙げられます。
- 座談会
- 会社説明会
- インターンシップ
- カジュアル面談
- OB/OG訪問
- スカウト承諾後のメッセージ
- SNSでのやりとり
- 採用担当者とのメール
これらのタッチポイントでは、返信速度の速さが候補者CXに大きく関わります。
例えば「ダイレクトリクルーティングでスカウトが届いて興味が出たから承諾したけれど、それから2週間経っても何も連絡が来ない」なんてことがあったら候補者は自社への興味を失ってしまいます。 なるべく早いレスポンスを応募段階では意識するようにしましょう。
他にも、本選考への応募前に座談会や会社説明会などに集客する場合がほとんどかと思います。
このようなイベントに参加するメリットを候補者に伝えると良いです。
「招待制座談会」「少人数制会社説明会」「FBありのインターンシップ」「就活相談に乗るカジュアル面談」などのイベントへ集客することで、候補者CXを高めることが可能です。
【参考】座談会の進め方のコツ6選|採用成功に繋げる秘訣とは【新卒】
【参考】【カジュアル面談を徹底解説】採用担当向け|準備・流れ・質問・その後
③ 選考
応募さえしてくれれば、あとは企業側に選択権のある優位な立場になれると思っていませんか?
売り手市場の現在、選考中も自社への志望度を高める取り組みを行わなければ選考辞退や内定辞退に繋がるため注意が必要です。
選考の段階のタッチポイントは以下のものが挙げられます。
- 面接日程調整連絡
- オンライン面接
- 受付の対応
- オフィス内での社員の態度
- 面接官の口調
- 面接時の質問内容
- 面接官の話を聞く姿勢
- 候補者の質問に対する対応
- 合否連絡メール
新型コロナウイルスが流行している現在、選考時に初めて対面で候補者と接触するというケースもあると思います。
面接時の対応が第一印象として候補者の記憶の中に濃く残る可能性も考え、丁寧な対応を忘れないようにしましょう。
また各選考段階での合否連絡メールをスピーディーにすることも採用CXを高めるために重要です。
「なるべく早く結果を連絡する」「合否連絡日時について事前に共有する」などの対応を行うと、候補者を大切に扱っている印象を与えやすいです。
【参考】【質問例あり】面接で学生の本音や本質を見抜くための3つのポイント
【参考】面接|WEB&対面のメリット/デメリット!学生を見極めるコツは?
④ 内定
優秀な人材ほど多くの内定を抱えています。
内定後の採用CXを改善することによって、候補者に選ばれる企業となることが可能です。 内定の段階のタッチポイントは以下のものが挙げられます。
- 内定通知
- 不合格通知
- 内定者面談
- 内定者懇親会
- 内定者研修
- 社内イベントへの参加
- オフィス見学
特に新卒採用では、内定者は初めての就業経験を前に緊張したり、不安になったりしているはずです。
内定者ブルーになっている内定者に対して、親身に対応することが採用CXを高めることに繋がります。
また不合格通知も、内定通知と同様に採用CXにとって重要なポイントです。 自社のファンを増やす採用活動を行うためには、不合格者にも「選考を受けてよかった」と思ってもらえる仕組み作りを行いましょう。
具体的には、「直筆で手紙を書く」「自社製品を同封する」「1人ひとりに丁寧なメッセージを記載する」などの方法があります。
【参考】内定者フォローのコツは3つだけ!面白い企画事例もご紹介
⑤採用
入社後も社内環境を改善し、業務経験を最適化していくことで、人材の定着を目指しましょう。
採用CXに取り組む4つのメリット
ここでは、採用CXの改善に取り組むメリットを3つご紹介します。
採用CXに取り組む4つのメリット①:自社のファンを増やせる
採用CXの改善に取り組み自社のファンを増やすと、人材を採用しやすい土壌を整えることができます。
就職活動を行う候補者は、先輩や友人に企業の情報を教えてもらうケースも多いです。
「選考には落ちてしまったけど、とても丁寧なフィードバックをしてくれた」
「面談時にとても親身になってくれて、就職活動の悩みも相談できた」 このような情報を周りから得られたら、選考に参加してみようと思いやすいですよね。
また過去の選考時にはフィットしなかったが、タイミングが変われば採用となる可能性がある候補者もいるはずです。
新卒採用では不合格だったが、別の会社で経験を積み、結果的に転職で自社へ入社することもあるかもしれません。
採用CXが良ければ「一度選考に落ちたことがあるけれど再チャレンジしてみよう」と思う候補者が増える可能性があります。 生産年齢人口が減少する少子高齢化社会だからこそ、自社のファンを増やすメリットが大きいです。
採用CXに取り組む4つのメリット②:企業イメージアップに繋がる
「大金を道に落としたけれど、一銭も無くならずに無事に帰ってきた」
「アイスを一口も食べれずに落としてしまったら、新しいものをサービスしてくれた」
このような特別で印象に残る体験をしたら、SNSや口コミサイトなどで誰かに共有したくなりませんか?
採用活動でも同様に、採用CXを意識していれば良い口コミが広がり、結果的に自社のイメージアップに繋がります。
「これは良い商品なんです」と作った本人が売り込むよりも、「これを使ってよかった」とユーザーが感想を伝える方がフラットな印象がありますよね。
自社のイメージアップをする最善の方法は、採用候補者を通して間接的に自社の魅力をアピールすることです。
採用CXの改善に取り組み、企業イメージをアップさせることで、採用市場における自社の価値を上げることが可能です。 その結果「優秀な人材の応募が増える」「マッチ度の高い候補者が多くなる」などの可能性が高まります。
採用CXに取り組む4つのメリット③:採用後の活躍可能性が期待できる
良い対応をしてくれた人に対して、何かお返しをしたいと思ったことはありませんか?
採用CXを意識して採用活動を行うと、候補者は自社の対応に満足し、自社への好感度が高まった状態になります。
このような状態で入社すると、社員のエンゲージメントが高まり、働きがいを感じやすいです。
下記のグラフを見て分かるように、他国に比べて日本企業で働く社員のエンゲージメントは低いという結果が出ています。
【参考】「厚生労働省 令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」
社員のエンゲージメントが高まると社員の活躍機会が増え、以下のような効果があると言われています。
- 離職率の低下
- 顧客満足度の向上
- 業績アップ
採用CXの改善に取り組み、入社前からエンゲージメントを高めておくと、最終的に企業の成長に繋がります。
採用CXに取り組む4つのメリット④:ミスマッチの防止に繋がる
採用cxに取り組むと、企業と求職者の間のミスマッチ防止にも役立ちます。
これまで採用を行ってきて、 「入社して一緒に仕事してみると、思っていたような人材と違った・・・」 と感じた経験、過去にありませんか。
「思っていたのと違う」というのは、採用担当者だけでなく、求職者も感じる悩みです。
事実、厚生労働省の調査によると、新卒(大卒)の3年以内の離職率は
- 5人未満 56.3%
- 5~29人 49.4%
- 30~99人 39.1%
- 100~499人 31.8%
- 500~999人 28.9%
- 100人以上 24.7%
となっており、依然として高い状態にあります。
離職の原因全てがミスマッチではありませんが、一定数、会社と従業員のミスマッチが発生していることはわかるでしょう。
多くの企業が頭を悩ませているミスマッチを、採用cxによって解決できる可能性があります。
というのも採用cxを意識すると、選考において求職者と企業のコミュニケーションが重視され「お互いの本質」がより伝わりやすくなるからです。 「ミスマッチに悩んでいる・・・」という企業の方は、採用cxの導入を検討してみることをおすすめします。
採用CXに取り組まない場合のリスク
ここまで採用CXに注目が高まっている理由や、改善するメリットをお伝えしました。
本項では、「今すぐ採用CXの改善に取り組む必要があるのか?」という判断のために「採用CXに取り組まない場合のリスク」についてお伝えします。
企業イメージが悪くなる
質問に対する企業のレスポンスが遅い、面接官に高圧的な態度を取られた、など採用CXが悪いと企業のイメージが悪くなる恐れがあります。
以下はアメリカのコンサルタント企業で行われた悪い採用CXによる影響をグラフで示したものです。
【参考】Software Advice「8 Tips for Improving the Online Candidate Experience」
日本人の行動傾向とやや異なる可能性もありますが、悪い採用CXによる影響が大きいことが分かります。
同企業の商品を買わない」に対して42%が肯定的な意見を示し、さらに「他の人に同企業の商品を買わないように伝える」も30%を超えています。
採用活動中の悪いイメージは、採用のみならず企業全体のイメージダウンに繋がります。
もしSNSに自社のネガティブイメージが拡散されてしまったら、影響がさらに大きくなることが予想されます。
採用CXに取り組まないことで、企業イメージの低下にも繋がり、結果的に採用が成功しにくくなる可能性が高まります。
母集団形成失敗リスクが高まる
「新卒カードは一生に一度しか使えない」という言葉に聞き覚えのある採用担当者様もいるのではないでしょうか?
大きなライフイベントである就職を納得いく形で終えられるように、求職者は就活情報サイトやOB・OG訪問などで企業に関する情報収集を徹底的に行います。
「あの企業はやめておいた方がいい」という噂を耳にしたら、志望度の高い企業でも多少の不信感を覚えてしまうかもしれません。
採用CXの改善を怠り、自社に対する悪い印象が広まってしまったら、求職者が自社へ応募しにくくなります。
一度ついた悪い印象はなかなか払拭しにくいです。
母集団形成の失敗が続くと、採用にかかる工数が増大し、また早期離職者が増加する恐れがあります。
選考/内定辞退率が増える
採用CXに注目が高まっている理由でもご紹介したように、少子高齢化の影響で企業の採用枠が求職者数よりも多い状態となっています。
優秀な学生ほど企業から貰う内定数も多いため、様々な情報から複合的に入社先を選択することになります。
以下のグラフは就職みらい研究所による「就職先を確定する際に最も決め手となった項目」についての調査結果です。
【参考】「就職みらい研究所 就活プロセス調査(2022年卒) 2021年12月1日時点 内定状況」
こちらの項目にある「自らの成長が期待できる」や「会社・団体で働く人が自分に合っている」には採用CXが大きく関わっています。
もし選考中に嫌な思いをすることがあれば、その企業において「成長できそう」、「社員が自分に合っている」とは思えないですよね。
どちらの項目も就職先の決断に大きな影響を与えているからこそ、採用CXを意識して採用活動を行わなければ内定辞退や選考辞退が増加する可能性があります。
【参考】【最新版】過去3年分の内定承諾率から考察!内定承諾率を上げるコツ
【参考】すぐできる内定辞退対策12選!主な辞退理由から対策を立てる!
採用CXを改善するためにすべきこと
ここでは、具体的にどのような方法を取れば採用CXを改善できるのかをご紹介します。
採用CXが改善した状態とは?
まず、採用CXが改善したかどうかを調べるためには、以下のことを行いましょう。
- 各段階における歩留まり率を把握
- 合否に関わらず選考参加者にアンケートを取る
これらの方法によって自社への志望度の推移や選考への満足度などが調べられます。
採用CXが改善すると、このような影響が現れます。
- 選考ごとの各歩留まりが向上
- 内定承諾率の向上
- 内定承諾後の辞退率の低下
- 入社後の定着率の向上
- 不合格者の採用に対する満足度が向上
選考期間中だけではなく、長期的に採用CXによる効果を見ていくように意識しましょう。
採用CXを改善のための8つのこと
下の図をご覧ください。
【参考】分析方法を徹底解説!採用歩留まりが低下しやすい項目と9つの改善策
① 採用ペルソナを見直す
採用を行う前に、採用要件で自社の求める人物像を定めているかと思います。 採用活動は、その採用要件に沿った人材を探す作業です。 逆に言えば、採用要件に当てはまらなそうな人物に対してアプローチしてもあまり意味がありません。
採用CXは、採用要件にフィットする人材に適した形で設計していきましょう。 そのためには採用ペルソナを見直すことが必要です。
ペルソナにある年齢、趣味、嗜好、学生時代の経験などから、効果的な訴求を見つけます。 例えば「ベンチャーでの長期インターン経験がある」というペルソナの項目がある場合、成長意欲の高いことが予想できます。
そのため自社にある教育制度や若手から挑戦できる環境などについての訴求を行うとターゲットに沿った訴求が行えます。 フィットしている人材と出会えると、採用CXも高めやすくなります。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
② 候補者の対応速度を早くする
採用活動中はイベントの企画や面接、社内への協力要請などタスクが多く、緊急度の低い候補者との連絡を後回しにしてしまいがちです。
一方で、候補者への返信が遅いと「連絡がないうちに別企業への志望度が高まった」「選考を受けることを忘れていた」などが起こりやすくなります。
また「何度も連絡しているのに全然返信がない」などは採用CXを著しく低める可能性があります。
なるべく候補者への対応速度を早め、一人ひとりの候補者に対して丁寧に向き合っていることを伝えましょう。
③ 採用管理システム(ATS)を導入する
採用管理システム(ATS)では、候補者の個人情報や選考状況などを一括管理できます。
例えば「サマーインターン参加後からの接点がないので、今度開催する会社説明会へ招待しよう」というような対応を行うことが可能です。
候補者一人ひとりの状況にぴったりな導線を作ることができるので、採用CXを高めやすくなります。
また候補者状況の把握にかかる工数も削減できるため、より良い採用CXのために注力しやすいです
【参考】ATS(採用管理システム)とは?無料サービス7選を徹底比較!④ 初回接触前に会社説明資料を送付する
採用CXを高めるためには「候補者との接触時にいかに有益な時間を送ってもらえるのか」が重要です。
カジュアル面談や会社説明会などの前に「軽く目を通しておいてください」と会社説明資料を送ると、事前に疑問点や質問したいことを考えてきてくれる可能性があります。
イベント参加後に「聞きたいことが聞けた」「ためになった」などの感想を持ってもらえるように、初回接触前に会社説明資料を送付すると良いでしょう。
⑤ 面接官の面接練習を行う
録音された自分の声を聞いてみたら、思っていたものと違ったという経験はありませんか?
自分の話し方や聞き方をしっかり把握できている人は、意外と少ないのではないでしょうか。
就職活動においては、面接を受けた社員の印象が企業のイメージに直結しやすいです。
そのため面接官に好印象を抱いた候補者は採用CXも高まりやすく、逆に悪い印象を持ってしまった場合は、採用CXも低くなります。
面接実施前にロールプレイングや面接官研修などを行い、候補者に良い印象を与えられる面接をするための準備をしましょう。
⑥ リラックスした雰囲気で面接を行う
「担当者が怖くて萎縮してしまい、本来の姿を見せられなかった」
「面接中に緊張感が漂っていて、すごく疲れた」
このような感想を持っている候補者の採用CXは低そうですよね。
特に候補者が緊張を感じやすい面接中は、できるだけ和やかにリラックスした雰囲気を出せるようにしましょう。
- アイスブレイクを行う
- 雑談をする
- 笑顔を意識する
- 少し砕けた言葉遣いにする
- リアクションを大きくする
具体的に以上のようなことを行うと、候補者の緊張を和らげられます。
【参考】【面接官必見】アイスブレイクのネタ・質問集|オンライン面接も!
⑦ 候補者に感謝の気持ちを伝える
合否に関わらず、自社に興味を持ってくれた人にはきちんと感謝を伝えましょう。
採用CXを改善するには「選考に参加してよかった」と思ってもらえる採用活動を行わなければなりません。
不合格の場合は、「どういう点から自社とフィットしていないと考えたのか」「候補者にとって活躍できる環境とはどのようなところか」などのコメントもつけると良いでしょう。
合格の場合は、「これから一緒に働けることを楽しみにしている」ということをしっかり伝えましょう。
⑧面接・選考終了後にアンケートを実施する
説明会や、面接の後にアンケートを実施することも、採用cxを改善する上で重要です。
一見アンケートの回答は、cxの改善と関連がなさそうにみえるでしょう。
しかし例えば「この後、弊社が行うアンケートにご協力頂けませんか」と一言連絡を行うだけで、求職者とのコミュニケーションのきっかけになり、次回選考に進む人の数が増える可能性があります。
アンケートは、各選考ステップで分けるとよいでしょう。
はじめの段階では、
- 弊社の面接を受けようと思った理由を教えてください
- これまでの選考を通じて、弊社で活躍できるイメージはもてましたか
といった質問が効果的です。
もし仮にアンケート結果から「働くイメージが持てるか」という項目の数値が低いと判断した場合は、次回の選考で面接官に具体的な業務内容を話してもらうとよいでしょう。
このように各選考ステップで、異なるアンケートを取ることにより、候補者の課題・疑問が明確になり、それを解消する打ち手が打ちやすくなります。
候補者の疑問・課題をコミュニケーションによって解消し、「選考を受けて良かった」と思われる選考を実現しましょう。
【必見】採用CXには入社後の満足度も重要!
採用CXを改善するためには、採用後の社員体験も重要なポイントとなります。
新入社員のオンボーディングや社内文化、キャリアアップの機会提供などに注力することで、社員の満足度を向上させることができます。
オンボーディングの改善
新入社員が会社に馴染むまでには、時間がかかることがあります。
オンボーディングを改善することで、新入社員がスムーズに仕事に取り組めるようになり、生産性の向上につながります。
新入社員が仕事に集中しやすい環境づくりや、働きやすい制度の整備も必要です。
たとえば、リモートワークやフレックス制度、育児休暇など、社員のワークライフバランスを考慮した働き方を導入することで、生産性向上につながるとされています。
【参考】新卒採用に有利な「福利厚生」とは?導入する際のポイントも解説!
モチベーション改善
また、社員がやりがいを感じることも重要です。
キャリアアップの機会やトレーニング、社内のコミュニケーション活性化など、社員が成長できる環境を整えることで、モチベーションの向上や離職率の低下につながります。
【気になる】採用CXに取り組む企業事例4選
ここでは「採用の4P」に当てはめて、各企業がどのように採用CXの改善に取り組んでいるのかという事例を4つご紹介します。
「採用の4P」とは以下のことです。
Philosophy(理念/目的)→ビジョンやミッションを通じて自社の魅力を訴求
Profession(仕事/ 事業)→事業や業務内容を通じて自社の魅力を訴求
People(人材/風土)→人や社内環境を通じて自社の魅力を訴求
Privilege(特権/待遇)→特別感を醸成して自社の魅力を訴求
事例を参考にしながら、自社で取り組めることは何かを考えていきましょう。
【国内事例】株式会社メルカリ
○概要
株式会社メルカリでは、採用CXを改善するための施策が多く行われています。
まず「各リクルーターが担当領域のタレントプールをきちんと管理できていて、過去の候補者とも定期的に接点を持つことができている」点です。
採用管理システム(ATS)を導入しており、然るべきタイミングで候補者と接触することができています。
またエンジニア採用では「ライブコーディングインタビュー」を行っています。
この面接は、株式会社メルカリのエンジニアリング組織にあるコンセプト「全員Software Engineer」を体現する内容です。
「ライブコーディングインタビュー」では面接中に候補者にコーディングを行ってもらい、面接官と共に問題点などをディスカッションするなど、候補者にとっても参加メリットのある面接となっています。
【参考】mercan「メルカリの今昔“採用”物語を現役メンバーが振り返る #今メルカリが一緒に働きたい仲間」
○採用の4P
①Philosophy(理念/目的) →エンジニアリング組織のコンセプトを体現する面接を行っている
③People(人材/風土) →ATSで候補者管理を行い、定期的な接点を持っている →面接にフィードバックがある
【国内事例】株式会社大熊工業
○概要
株式会社大熊工業の建設事業部カジャデザインでは、特殊採用を行っています。
「肩のすごいマッチョは最終面接行き」のメロン肩採用や、「インスタがおしゃれなら最終面接行き」のインスタ書類採用など、キャッチーでユニークな選考ルートを設けています。
採用HPに「思いつきを捨てず、実行できるのがこの会社の良さ」と記載されているように、社風を応募者に体験してもらえる仕組みとなっています。
【参考】KAJAのリクルート「特殊採用」
○採用の4P
③People(人材/風土) →選考ルートが社風を体現している
④Privilege(特権/待遇) →一気に最終面接まで進める
【海外事例】Google
○概要
Googleの採用では、構造化面接を取り入れています。構造化面接は、同じ職種を受けている候補者全員に対して、同じ面接手法で評価する方法のことです。
構造化面接には以下のようなメリットがあります。
- 面接で行う質問などが決まっているため、面接官にも候補者にも負担がかかりにくい
- 面接時間の短縮につながる
- パフォーマンスの高い社員を採用しやすい
実際にGoogleで調査を行ったところ、不採用者の面接満足度が通常よりも35%高いというデータが出ています。
候補者にとってメリットのある面接手法は「ユーザーに焦点を絞れば、他のものは後からついてくる」というGoogleの理念を体現し、カルチャーが伝わるものとなっています。
【参考】re:Work「構造化面接を実施する」
【参考】【簡単解説】構造化面接は本当に効果的?実施手順と質問例を紹介
○採用の4P
①Philosophy(理念・目的) →面接手法が理念を体現している
③People(人材・風土) →パフォーマンスを重視する風土が伝わりやすい
【海外事例】Spotify
○概要
Spotifyでは自社製品である音楽ストリーミングサービス内で『Life at Spotify: The Podcast』を配信し、自社で働くことについての紹介を行っています。
具体的なコンテンツには、エンジニア職として働く女性にインタビューした『My Path to Spotify : Women in Engineering』や、コロナのパンデミックを受けて自宅から働くことについて社員が話す『Working From Home During a Pandemic』などがあります。
また採用HPでは、FAQを多く設定しています。 採用フローについて記載しているページ『How We Hire』では、エントリーから内定までの各段階ごとにFAQを設けています。
「エントリーしました!どのくらいで合否連絡がくる?」
「助けて!オンライン面接があるのですが繋がりません!」
「んーあんまり下級職(未就業者のため)のポジションがないみたいだけど...なんで?」
このように、設けられているFAQには会話をしているようなカジュアルさがあり、候補者がエントリーする際の心理的ハードルを低める効果があると考えられます。
【参考】Spotify「Life at Spotify」
○採用の4P
②Profession(仕事・事業) →自社のプロダクトを利用することで事業への理解が深まる
③People(人材・風土) →会話のようなFAQで会社の雰囲気が伝わりやすい
【最新】採用cxのクラウドサービスをご紹介!
最後に採用cxの改善で効果的なクラウドサービスを、2つ紹介していきます。
「IT化で社員1人1人にかかる負担を減らしたい」という方は、必見の内容です。
①採用CXクラウド
まず紹介するのが「採用CXクラウド」です。
こちらのクラウドには、以下のような特徴があります。
- 各選考ステップで欠かせない、複数のツールが利用可能
- サービスの運用と分析を任せられる
- 分析結果に基づいたアドバイスを行ってくれる
「採用業務にかけられる時間、人が足りない」「採用業務が上手くいっていないので、その原因を分析して欲しい」という方におすすめのクラウドサービスです。
サービスの詳しい内容に関しては、下記のURLをご覧ください。
②miryo+
次に紹介するのが、株式会社Legaseedが提供するクラウドサービス「miryo+」です。
miryo+を利用することのメリットには、以下のようなことが挙げられます。
- 採用すべき候補者が明確になる
- 対応の抜け、漏れを無くすために有効なアラート機能
- 面接の効果を把握できる面談ノートで、候補者に刺さる自社の魅力を発信できる
従来のATSが「数値の管理」「候補者の管理」「データの管理」といった内容に対応していたのに対し、miryo+では 「個別の候補者の管理」 「コミュニケーションの支援」「データの活用」 などができます。
このようなサービスは「自社の魅力付け」に有効です。
「競合他社に人材が取られてしまう・・・」「社内の人手が足りないため、候補者1人1人を丁寧にフォローできていない」といった場合は、こちらのクラウドがおすすめです。
サービスについての詳しい内容は、下記をご覧ください。
【参考】miryo+ サービス紹介ページ
採用CXを改善したい方はMatcher Scoutがおすすめ!
「採用工数を減らしながらも、優秀な学生に会いたい!」
「ダイレクトスカウトを使いたいけど、採用工数はかけられない…」
こんなお悩みがある方には、「Matcher Scout」の活用がおすすめです。
Matcher Scoutでは、候補者選定やスカウト送信、日程調整などをすべて弊社が請け負うため、労力をかけずに会いたい学生を集めることができます。
Matcher Scoutとは
Matcher Scoutは「自社の求めている学生に、手間を掛けずに、リスク無く採用したい」というニーズにお応えする、新卒向けダイレクトリクルーティングサービスです。
大きな特徴は以下の4つです。
- 待っているだけでは会えない優秀な学生にアプローチ可能
- 運用に際する、事務作業が一切不要に
- 独自のA/Bテスト機能で会いたい学生に会える確率が向上
- 採用するまで0円初期費用・運用費用も無料
新卒採用にぜひお役立てください。
おわりに
いかがでしたか? 本記事では、採用CXに取り組むメリットや改善する際のコツ、実際の企業事例などをご紹介しました。
採用CXを向上させることで、採用全体の改善や企業イメージのアップに繋がります。
「自社の選考に参加してよかった」とできるだけ多くの候補者に思ってもらえるように意識しましょう。