採用を成功させるには、自社の求める人物像を具体的に定義して採用要件を設け、人材の採用基準のばらつきを抑えることが必要になります。
本記事では、採用要件を基準を設け、自社にあった採用要件の作り方を解説していきます。
採用要件とは?
採用要件(=人材要件)とは、自社が採用する人材に求める能力や特性、経験を明文化したものであり、選考時に合否を判断するための指標となるものです。
採用の明確な基準を設けなくては、気分や感覚などの主観的な要素に大きく判断が左右されてしまいます。
そういった判断を無くし、正当な基準で合否を決められるように採用要件を設けます。
採用要件を設けることで、自社が本当に求める人材の採用に繋がります。
採用要件と求める人物像の違い
「採用要件と求める人物像は同じもの?別のもの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論として、採用要件と求める人物像は「別物」です。
求める人物像は、ビジョンやミッションなど企業の価値観に基づき作成されたもので、採用時の指針となるものです。
キリンホールディングスでは、「「熱意・誠意・多様性」を共通の価値観として、リーダーシップを発揮し、成長・発展し続けられる人財」を求める人物像として公開しています。
【参考】キリンホールディングス『求める人財像』
花王株式会社では、「花王を舞台にして、実現させたい夢がある人」「自ら高い目標を掲げ、果敢に挑み続けられる人」など5つの求める人物像が紹介されています。
【参考】花王株式会社『求める人財について』
このように求める人物像ではある人物を形容する言葉が並びますが、採用要件では選考時に評価しやすい具体的な経験やスキルなどを設定します。
例えば「自ら高い目標を掲げ、果敢に挑み続けられる人」という求める人物像をもとに、「部活やサークルなどで主体的に改善のためのアクションを取ったことがある」という採用要件を設定できます。
採用要件とペルソナの違い
ペルソナは主にマーケティング分野において、ターゲットに効果的にアプローチする方法を考えるために使われています。
採用におけるペルソナとは、採用要件や求める人物像に該当する架空の人物のことです。
「部活やサークルなどで主体的に改善のためのアクションを取ったことがある」という採用要件があるとします。
この場合、「大学では体育会水泳部に所属。主将ではないが、練習メニュー改善のために自主的にデータを集めて分析。チームに共有して実装された」というペルソナを設定することができます。
ペルソナを用いることで、使用する採用手法の選定や会社説明会の日時設定など採用活動における様々な場面において、求職者側のニーズを想像しやすくなります。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
採用要件を作るメリット
合否の判断基準が不明瞭な場合は、認識のすれ違いが起きやすくなります。
面接官同士での基準のすれ違いは、本来合格するはずの学生を落としてしまったり、自社の求める人物像にフィットしない学生を採用してしまうことに繋がります。
選考段階ごとに面接の担当者が変わっても、採用要件が設けてあれば、自社の求める人材に対する一定の基準を満たす学生を通過させることができます。
また、採用する理由が明瞭化されるため、その学生が自社で活躍できると思われる根拠が明確になります。実際に入社した際に何が期待できるのか推測しやすく、それに応じた課題なども分かります。
採用基準が適切に設けられていると、自社にフィットする学生が入社でき、入社後の活躍も期待できます。採用基準を設けることは、採用のミスマッチを減らすことに繋がります。
採用要件の作り方
採用要件では「学歴」「経験」「能力」「価値観」などの項目において自社が必要とする基準を設けていきます。
採用する目的、会社の経営理念やビジョンを再確認してから、本質的な採用が行えるようにしましょう。
①大まかな採用要件の方向性を決める
経営陣と話し合いながら、会社の企業理念や今後の経営について擦り合わせを行います。ここで、採用における大まかな方向性を決めます。
新卒は自社の会社風土を体現していく重要な人材となるため、価値観やビジョンを重視し、綿密な擦り合わせを行いましょう。
②具体的な採用要件を羅列していく
各部署にどういった人材が必要なのか、具体的な要件をヒアリングします。
スキルや性格など、実際に新卒が働く現場ではどのようなことが求められているのかを聞き、詳細を詰めていきましょう。
③採用要件をまとめ、評価基準を設ける
ヒアリングした内容をまとめ、経営陣が求めているもの、各部署が求めているものに乖離がないかなどの確認を行います。
その上で、採用要件を「必須条件」「歓迎条件」「NG条件」に分けましょう。
必須条件
必須条件とは、自社で働く上で必ず必要となってくる能力や価値観のことを指します。コミュニケーション能力、課題解決能力、素直さなど、自社で働く上で必須となる条件を決めていきます。
必須条件は採用における最低限の基準となるため、選考序盤にこの条件で合否を判断することが多くなります。
歓迎条件
歓迎条件とは、自社で活躍するために必要な能力や価値観のことを指します。プログラミングスキルがあると業務を理解しやすいなど、より自社で活躍するために必要なものをこちらの条件で設定します。
必須条件をクリアした上で、プラスで歓迎条件を評価していく形になります。最終選考に近づくほど、歓迎条件をどれほど満たしているかどうかが大切な判断基準となります。
NG条件
NG条件とは、自社とフィットしていない志向や価値観のことを指します。例えば海外勤務がないのに海外志向の人を採用してもミスマッチになってしまいます。
採用を成功させるには、学生が何を求めているのか、それは自社で実現できることなのかということを考えていく必要があります。
一番最初の書類選考や面接などで、NG条件に当てはまっていないかを見極めることが必要です。
評価基準を設ける
自走力や主体性などの能力は、学生が話す経験などから判断することが多いです。一方で、全員が同じ経験をしているわけではないため、能力を有するか、有さないかの2択で判断することが難しいです。
そのため評価基準を段階的に設けることが必要になります。
以下の画像は、「主体性」に対して設けた4段階評価基準の例です。
上記のように、それぞれの評価に対する定義と、実際の例を記載すると、より評価基準に対する認識が深まります。
また、歓迎条件にある○個の能力のうち×個が◎評価に該当したらOKなど、合格を量的に判断できるように設定すると、合否基準がぶれにくくなります。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
④完成した採用要件を共有/説明する
最後に、経営陣や各部署が求める人材を集められる採用要件になっているのかの最終確認します。必要があれば修正しましょう。
また、面接官に対して採用要件を丁寧に説明することも重要です。
採用要件について面接官のあいだで理解にズレがないかなどの確認し、しっかりと共通の認識を持つことが、ミスマッチを減らすことに繋がります。
採用要件の改善を常に意識
採用要件は、採用全体の方向性を決める重要なポイントです。採用要件をうまく設定できれば、それに沿った適切なアクションが起こせるため、採用全体を効率化させることにも繋がります。
採用要件をうまく設定するためには、定期的な採用要件の見直しが必要です。
新入社員がモチベーション高く業務に当たれているか、活躍している社員の特徴や退職率などを見て、現在の採用要件が本当に自社にマッチする学生を示しているのかについて確かめ、改善していく必要があります。
採用戦略とともに採用要件を見直しながら、自社にフィットする学生を効率よく見つけられる方法を見つけていきましょう。
少なくとも年に1回、新しい卒年度で採用を始める前に見直しをしましょう。
【参考】採用戦略の上手な立て方を解説!新卒採用を成功に導くには?
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さいごに
いかがでしたか。
採用要件を上手に設定すると、採用活動を効率化させるだけではなく、会社全体をレベルアップさせていくことに繋がります。
常に改善意識を持って採用要件を見直しながら、自社にマッチする学生を採用していきましょう。