【企業側】内定辞退に対する返信メール例文|引き止めるコツも解説
2025/12/08

採用した学生から「内定辞退メール」を受け取ったことのある採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

実際に、株式会社リクルートが行った調査によると、25卒学生の卒業時点での内定辞退率は63.8%でした。売り手市場の現在、内定を出した学生から内定を辞退されてしまうケースは増えていると言えます。

本記事では、内定辞退に対する返信メールを書く際のポイントを、内定辞退を承諾する場合と引き止める場合に分けて例文と合わせてご紹介します。

返信メールで内定辞退を引き止める場合のコツについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【参考】株式会社リクルート『就職プロセス調査(2025年卒)「2025年3月度(卒業時点)内定状況」』

内定辞退に対する返信メールで注意するべきこと

内定辞退者に対して返信メールを作成する際、どんなことに注意する必要があるのでしょうか。

ここでは、注意点を3つ解説します。

▼内定辞退者に返信するメールで注意すべきこと

  1. 必ず返信する
  2. 応募者の気持ちを考える
  3. 応募者を感情的に問い詰めない

ポイント①:必ず返信する

内定者から辞退のメールを受け取ったら、可能な限り早めに返信するように注意しましょう。

学生も生半可な理由で内定を辞退するわけではありません。内定辞退のメールを受け取ったことを伝え、学生を安心させる必要があります。

特にSNSが発達した現代において、企業が学生に対してとった対応は拡散されやすいです。

企業の社会に対する信頼感を維持するためにも学生に対して誠実に対応することを心がけましょう。

ポイント②:応募者の気持ちを考える

返信メールを送信する際には、応募者の気持ちを考えて文面を作成するようにしましょう。

内定辞退を決意したとはいえ、何度も選考を受けて内定を貰った会社に辞退の連絡をするには勇気が必要でしょう。

自社の都合を一方的に考えるのではなく、辞退した学生にも事情があることを踏まえて、誠意のある対応を心掛けましょう。

ポイント③:応募者を感情的に問い詰めない

内定辞退は企業の採用計画を大きく狂わせる要因になります。そのため、毎年、内定辞退者に対して感情的に接し、相手を非難してしまう企業があります。

しかし、このような行為がSNSで拡散された場合、他の内定者に悪影響を及ぼすだけではなく、今後の採用活動にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。

企業が採用する学生を選ぶように、学生も企業を選ぶ権利があります。

そのため、内定辞退者を問い詰めることは決してせず、誠実かつ丁寧に対応することを心がける必要があります。

【例文】内定辞退に対する返信メールのポイントと例文

内定辞退者のメールに対してどのように返信すれば良いのでしょうか。

ここでは次の2つのケースについて例文と、そのポイントを紹介します。

▼返信メールの例文

  • 内定辞退を承諾する場合
  • 内定辞退を引き止める場合

内定辞退を承諾する場合

まずはじめに、内定辞退を承諾する場合のポイントと例文を紹介します。

▮内定辞退を承諾する場合のポイント

内定辞退を承諾する旨の返信メールを作成する際のポイントは以下の4点です。

▼内定辞退を承諾する場合のポイント

  • メールは「返信」ではなく「新規作成」で送信する
  • 承諾した旨を簡潔に記入する
  • 応募書類を破棄する旨を伝える
  • 応募、連絡してもらったことに感謝を伝える

メールに返信する際は、届いたメールにそのまま返信するのではなく、「新規作成」で返信するようにしましょう。「新規作成」で返信することで丁寧な印象を与えることができます。

また、「残念だが内定辞退を承諾した」という旨を簡潔に述べるようにしましょう。辞退した旨だけだと冷淡な印象を与えかねません。逆に冗長な文章も、内容が伝わりにくいおそれがあるため避けた方が良いでしょう。

合わせて、応募書類や選考で得た情報はしっかりと破棄する旨を伝えましょう。応募者に安心してもらえるだけではなく、情報管理ができている会社であるという印象を与えることができます。

そして最後に、選考に参加してもらったこと、また、辞退の旨を連絡してもらったことに対して感謝の旨を伝えましょう。商品やサービスを通じて今後も付き合いがある可能性があるだけではなく、SNSなどでの悪い口コミを防止することができるでしょう。

▮内定辞退を承諾する場合のメール例文

これらのポイントを踏まえた、内定辞退を承諾する場合のメール例文をご紹介します。

▼内定辞退を承諾する場合のメール例文

××大学
○○様

お世話になっております。

△△株式会社 人事担当の○○です。

この度は、数ある企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。

誠に残念ではございますが、内定辞退のご意思、確かに承りました。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

なお、ご応募に際してお預かりした書類等につきましては、弊社にて責任を持って破棄させていただきます。どうぞご安心ください。

○○様の今後のさらなるご発展とご健勝をお祈り申し上げます。

何かご不明点がございましたら、どうぞご遠慮なくお知らせください。

改めまして、この度のご応募、誠にありがとうございました。

△△株式会社
採用担当○○

内定辞退を引き止める場合

続いて、内定辞退を引き止めたい場合のポイントと例文を紹介します。

▮内定辞退を引き止める場合のポイント

内定辞退を引き止める旨の返信メールを作成する際のポイントは以下の4点です。

▼内定辞退を引き止める場合のポイント

  • メールは「返信」ではなく「新規作成」で送信する
  • 応募、連絡してもらったことに感謝を伝える
  • 直接面談できないか聞く
  • 辞退理由を聞く

内定辞退を承諾する旨のメールでのポイントに加えて、引き止めたい場合は直接面談の機会をもらえないか交渉するようにしましょう。

また、面談が実施できる場合は、あらかじめ辞退理由を聞いたうえで、自社で改善できることがないかを考え、面談時に伝えるようにしましょう。

引き止める際のコツについては、次の章で解説していますので、是非参考にしてみてください。

▮内定辞退を引き止める場合のメール例文

これらのポイントを踏まえた、内定辞退を引き止める場合のメール例文をご紹介します。

▼内定辞退を引き止める場合のメール例文

××大学

○○様

この度は、内定の通知に対するお返事をいただき、誠にありがとうございます。

○○様のご辞退のご意向、大変残念ではございますが、弊社としては○○様の【具体的な強みやスキル・人柄】に大変魅力を感じております。

○○様が弊社での業務において、確実にご活躍いただけると確信しております。

もし、再度ご検討いただける余地がございましたら、ぜひ一度お話をさせていただければと思っております。ご都合の良い日程をお知らせいただければ、面談の機会を設けたいと考えております。対面でもオンラインでも、ご希望に沿う形で対応可能ですので、どうぞご遠慮なくお申し付けください。

○○様の前向きなご検討を心よりお待ちしております。

何卒、よろしくお願い申し上げます。

△△株式会社

採用担当○○

内定辞退の返信メールで内定辞退を引き止めるコツ

内定辞退は仕方がないこととはいえ、できるだけ避けたいものですよね。

本記事では、内定辞退の返信メールで内定辞退を引き止める場合のコツについて紹介します。

▼内定辞退の返信メールで内定辞退を引き止めるコツ

  1. しつこく問い詰めない
  2. 面談はオンラインも活用する
  3. 辞退理由をもとに、待遇の見直しなどを提案する

①しつこく問い詰めない

メールの文面においても直接電話や面談した場合であっても、応募者をしつこく問い詰めないようにしましょう。

勇気を持って辞退の連絡をした応募者に対してしつこく問い詰めることはマナー違反です。また、しつこく問い詰めたとしても、応募者の気持ちは変わらないだけではなく、SNSなどで悪い口コミを拡散されてしまう可能性もあるでしょう。

②面談はオンラインも活用する

先程内定辞退を引き止めるメールを作成する際のポイントの部分で、直接面談できないか交渉することをご紹介しました。面談をする際には、対面での面談だけではなく、オンラインや電話での面談を合わせて提案することもおすすめです。

対面の方がオンラインと比べて、より企業・応募者双方の気持ちが伝わりやすいですが、応募者にとってハードルが高い場合があります。

直接話すことができなければ辞退を引き止めることは難しいため、対面での面談にこだわらずオンラインや電話での面談も合わせて提案するようにしましょう。

③辞退理由をもとに、待遇の見直しなどを提案する

応募者に辞退理由をヒアリングした上で、その理由をもとに待遇の見直しなどを提案することも有効です。

提案の際は、あらかじめ返信メールで辞退理由を聞いた上で、自社で寄り添える部分はないか直接面談する前に社内で話し合うと良いでしょう。

例えば、「給料や福利厚生、社風は申し分ないが、オープンコースでの採用なので希望しない部署に配属されなかった場合が心配で辞退した」という辞退者に対しては、職種別選考を案内するなどの対応ができるでしょう。

学生の入社意欲を高めて内定辞退を防ぐ方法

採用活動において多少の内定辞退はつきものです。

しかし、内定辞退者が続出している場合は、採用活動において大事なポイントを見直す必要もあるかもしれないです。

内定辞退者を抑えるためにはどのような点に注意すべきなのでしょうか。ここでは、採用活動を行う上で大事なポイントを詳しく解説します。

▼内定辞退者を減らす4つのポイント

  • 内定者フォローを行う
  • 採用人物像を明確にする
  • 自社の良い点だけでなく課題も伝える
  • 学生の入社意欲を高める情報を提示する

内定者フォローを行う

売り手市場の現在、学生は2つ以上の内定を持っている場合が多いです。

そのため、内定者フォローを行うことで、学生の不安な気持ちを取り除き、自社で働くイメージを膨らませてもらうことが重要です。

株式会社マイナビが実施した調査によると、学生が実施してほしいと思う内定者フォローは以下のようになりました。

実施してほしい内定者フォローランキング

ここから、対面での内定者懇親会や社内見学など、実際に働く社員や同期となる内定者同士での交流を望む学生が多いことがわかります。

また同調査によると、学生が入社予定企業からの連絡に関して望ましいと思う頻度は以下のようになりました。

▼入社予定企業からの連絡に関して望ましいと思う頻度

  1. 月に1回(29.4%)
  2. 事務連絡だけで良い(28.4%)
  3. 数週間に1回(20.6%)

事務連絡で良いとする学生も一定数いる一方で、月に1回、数週間に1回の連絡を求める学生も多いことがわかります。

適切な頻度で、学生が求める内定者フォローを実施していく必要があるでしょう。

【参考】株式会社マイナビ『マイナビ 2026年卒内定者意識調査』

求める人物像を明確にする

求める人物像を明確にしましょう。

人材不足に悩み、闇雲に募集をかけてしまうと自社と学生の間でミスマッチが発生し、内定辞退が多発するでしょう。

明確な人物像を定め、採用担当者の間で共通認識を持つことは、適切な人材を採用する重要なステップです。

これにより、企業が求めるスキルや価値観を持つ学生とマッチしやすくなることで、内定辞退者を減らすことができるでしょう。

自社の良い点だけでなく課題も伝える

ミスマッチによる内定後の辞退や入社後の早期退職を防ぐためには自社の魅力や強みを訴求するだけでなく、自社の課題を伝えることも重要です。

自社の課題をあらかじめ伝えておくことで、学生は働くリアルな姿をイメージすることができるでしょう。

課題を伝える際は、ただ伝えるだけではなく、どのように改善しようとしているのかついても合わせて伝えると良いでしょう。

▼自社の課題と改善への取り組みを伝える例文
「当社の課題として、繁忙期には部署によって残業が多くなることがあります。現在は、業務フローの見直しや人員配置の最適化、ツール導入による効率化を進め、残業の削減に取り組んでいます。少しずつ効果が出てきており、より働きやすい環境づくりを継続しているところです。」

学生の入社意欲を高める情報を提示する

内定辞退を防ぐためには、学生の入社意欲を高める情報を意識して発信していくことも重要です。

株式会社マイナビが実施した調査によると、「どのようなことについて情報提供を行っていると入社意欲が高まりますか」という質問に対する回答は以下の通りでした。

▼入社意欲が高まると思う情報ランキング

  1. 待遇(給与や賞与など)の良さ(68.2%)
  2. 福利厚生の充実(66.0%)
  3. 社風や雰囲気の良さ(58.8%)
  4. ワークライフバランスの良さ(58.3%)
  5. 平均勤続年数の長さ(38.8%)

ここから、待遇や福利厚生、社風の良さなどについて知りたいと考えている学生が多いことがわかります。

これらの項目を意識して企業説明会や採用ホームページで発信することで、学生の入社意欲を高め、内定辞退を防ぐことができるでしょう。

【参考】株式会社マイナビ『マイナビ 2026年卒内定者意識調査』

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終わりに

内定辞退の理由、それからメールの返信するときの注意点について解説してきました。

少子化により売り手市場になっている今、内定辞退率を下げることは難しいです。

内定辞退率が高い現状において増加する内定辞退者の対応、それから翌年の採用活動に繋げられるようになれば幸いです。