近年就職活動の早期化が進んでいます。
それに伴い、「早くから自社を知ってもらいたい」「優秀な学生を確保したい」という目的からインターンシップを実施する企業数も年々増えています。
就活状況の変化からインターンシップの実施を検討している企業も多いのではないでしょうか?
しかし、インターンシップの特徴を理解しないで実施してしまうと時間とお金の無駄になってしまいます。
この記事では、就活市場の変化を捉えた上で、
- インターンシップの種類
- メリット・デメリット
- 注意点
をご紹介します。
インターンシップの実施を検討している企業はぜひ参考にしてみてください。
インターンシップとは
一言でいえば、学生のうちに行う職業体験のことをインターンシップといいます。
就職活動の中で企業について知る機会は、説明会やOB・OG訪問、面接など様々な場面が考えられます。
その中でも、インターンシップは他の活動では感じられないような現場の空気感や仕事の内容を知ることができる学生にとって貴重な機会です。
このような機会を充実させることは、企業としても採用活動を成功させるために非常に重要です。
「インターンシップを開催したはいいけど、学生が上手く集まらない・・・」という方は、下記の記事をご覧ください。
【参考】【手法5選!】インターンシップの募集方法をお悩みに合わせてご紹介
インターンシップが採用活動の主流に
近年インターンシップが採用活動の主流になりつつあります。
ここではインターンシップの動向を、企業側と学生側に分けて紹介していきます。
インターンシップを実施する企業が増えている
マイナビ2021年卒企業新卒採用活動調査によると、2021年卒のインターンシップ実施率は56.9%(対前年1.7%t増)で、2016年の調査開始以来、最高の割合となっております。
上場企業では80.5%となっており、大手企業を中心にインターンシップを実施していることがわかります。
【参考】株式会社マイナビ『2021年卒マイナビ企業新卒採用活動調査』
新卒採用選考に関する指針のスケジュールはあるものの、企業は少しでも早く優秀な人材を獲得しようと、早期選考を実施する企業もあります。
それによって就活がより前倒しで実施されることとなり、情報解禁前に学生にアプローチする手段として、多くの企業が「インターンシップ」を導入するようになりました。
インターンシップは企業の採用活動における大事な役割を担っていることがわかります。
インターンシップへの参加が当たり前に
マイナビ2022年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(1月)によると、インターンシップ・ワンデー仕事体験に応募したことがある学生は21年1月時点で93.7%(前月比2.5%増)で、参加したことがある学生は84.9%でした。
【参考】株式会社マイナビ『マイナビ 2022年卒大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査(1月)』
インターンシップに参加する理由を見てみると、インターンシップに参加する6割の学生が企業研究をするためにインターンシップに参加しています。
そして、マイナビ 2022年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(10月)によると、22卒のインターンシップ平均参加社数は4.5社と前年より1.3社増加しています。
【参考】株式会社マイナビ『マイナビ 2022年卒 大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査(10月)』
インターンシップに参加することは、近年当たり前になってきており、インターンシップが就活のプロセスにおいて一般化しているといっていいでしょう。
【参考】オンラインで学生を惹きつけるインターンシップの内容とは?
企業側がインターンシップを開催する目的
インターンシップには大きく分けて3つの目的が存在します。
これらの目的を意識してインターンシップを設計・運営することが大切です。
①ミスマッチを防げる
先述の通り、インターンシップは学生にとって企業を知る貴重な機会です。
新卒採用後に離職されてしまうようなミスマッチを防ぐためにも、自社を理解してもらい、且つ学生の志向や適性を確認するという狙いがあります。
「入社してきた新卒がすぐに辞めてしまうなど、ミスマッチに悩んでいる・・・」という方は下記の記事を併せてご覧ください。
【参考】【すぐできる】新卒採用のミスマッチが起こる原因と7つの対策を紹介
②優秀な人材との接触
就職活動の早期化が進んできているとはいえ、早い段階からインターンシップに参加する学生は視座が高く、優秀である可能性が高いです。
そのような学生とインターンシップの中で時間をかけて接することができるので、インターンシップは優秀な人材を見つけることにも繋がります。
③人材育成
長期インターンシップのみに該当する目的ではありますが、インターンシップは人材育成にも繋がります。
インターンシップを通じて学生と接点を作り、学生の卒業後にそのまま即戦力として採用したいという企業もいます。
そのような場合に、インターンシップは入社後に社員として戦力なってもらうために様々なことを学んでもらう場としての意味を持ちます。
インターンシップの種類は2つある?
ひとえにインターンシップといっても、その種類は2つあります。
- 短期インターンシップ
- 長期インターンシップ
の2つです。
それぞれについて具体的に紹介していきます。
短期インターンシップ
短期インターンシップにはセミナー型とプロジェクト型があります。
セミナー型とは、いわゆる「1dayインターンシップ」と呼ばれているものです。
会社説明会や社員交流会など、業界や企業への理解を深めることができるコンテンツが多いです。
実施期間が短いため、開催回数を増やすことで学生との接触回数を増やしエントリー数を確保します。
プロジェクト型とは、数日間から1週間で実施されることが多いです。 内容は、企業が提示する課題に対して学生数名のグループで施策を提案するなどより実践的なプログラムです。
インターンシップ中の発言や行動を基に学生を評価し、早期選考に招待する企業が増えています。
長期インターンシップ
長期インターンを実施する目的として、就業経験を通して学生の社会人としての基礎力や実務スキルを身につけてもらいながら、採用を判断することが挙げられます。
実際に社内で勤務し、社員の補助や実際の業務を担当することが多いです。
期間は1年以上のものが多く、企業は従業員と同じ働きを期待して採用しています。
長期インターンの働き方次第ではそのまま新卒採用として内定出しをする企業もあります。
【短期】インターンシップのメリットとデメリットとは?
では短期インターンシップにはどんなメリットとデメリットとがあるのでしょうか。
見ていきます。
短期インターンシップ2つのメリット
まずはインターンシップのメリットを2つ紹介します。
①早期に開催することで、企業の認知度を上げ母集団を形成できる
短期インターンを夏期から実施する企業が多くなっています。早期から開催することで、スケジュール的にも余裕のある学生からの参加を獲得できます。
経団連が推奨する『就活スケジュール』で多くの企業は採用活動を行います。
学生から人気の企業・業界は、他企業と同じタイミングで採用を始めても、十分なエントリー数を確保できますが、認知度の低い企業・業界は、他者と同じタイミングで採用を始めても、学生のエントリーを確保するのが難しい傾向にあります。
他社が選考を始めていないような、早いタイミングからインターンシップを行うことで、学生の認知度を上げ、母集団形成の形成が可能になるのです。
【参考】【新卒採用】母集団形成に効果的な採用手法を8つ紹介します
②優秀な学生と接触できる
インターンに参加する学生は、早くから就職活動に主体的に動いている傾向にあります。採用が本格化する前に接触できれば、自社にフィットしやすい学生の母集団形成ができます。
短期インターンシップのデメリット
続いて短期インターンシップのデメリットを紹介します。
短期では企業の社風・業務内容が伝わりづらい
1日から数日にかけての接触になるため、企業説明や業務内容の簡単な実施に留まりがちです。
また、早期に集客したはいいものの、その後のフォローを疎かにしてしまうと本選考で離脱してしまうケースがあります。
時期に応じて、企業理解を深めて志望度を高める別コンテンツのイベントを用意し、魅力を伝える必要があるでしょう。
優秀な学生の見極めが難しい
特に1Dayインターンのような会社説明を行うインターンでは、企業からの一方的な説明で終わってしまいます。
学生の特徴を見極めたい場合、取り組んでもらう課題の設計が重要です。
見極めたいポイントから逆算して、コンテンツを作っていきましょう。
【長期】インターンシップのメリットとデメリットを紹介します
続いては、長期インターンシップのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
長期インターンシップ2つのメリット
まずは長期インターンシップのメリットについて紹介していきます。
①実務を通じて学生の能力や性格を見極め、ミスマッチが起こりにくい
長期にわたって参加してもらい実際の働き方を確認できるため、能力や性格に沿って採用するかどうかを判断できます。
学生が企業のことを理解したうえで入社するため、ミスマッチを防ぐことができます。
②成長意欲の高い学生を採用することができる
長期インターンを志望する学生は、社会人になる前から就業を経験し成長したいと考えていることが多いです。
業務からさまざまなことを吸収しようと主体的に行動するので、入社後は即戦力としての活躍が期待できます。
長期インターンのデメリット
続いてインターンシップのデメリットを紹介します。
①インターン生を受け入れる組織体制を構築する必要がある
教育社員のアサインから育成計画、任せる業務の範囲など、環境を整える必要があります。
業務内容によっては、配属部署以外の社員の協力も必要です。
②インターン生への教育に時間がかかる
入社して業務を渡せば勝手に育つ訳ではありません。タスクだけ渡して放置されれば働くモチベーションは下がります。
定期的なフィードバックなどを行いながら成長を促す必要があるので、時間がかかります。
インターンシップには無償と有償の2種類がある
インターンシップには無償と有償という区別の仕方もあります。
有償のインターンシップについては、主に長期インターンシップで労働力の対価として支払うものと、短期インターンシップで企業の採用宣伝費として支払うものに分けることができます。
一方で無償のインターンシップでは参加学生に費用を支払うことをしません。企業説明を受けたり、業務内容を知ることのできる貴重な機会であるため、無償でも就職活動の一環として多くの学生が参加します。
インターンシップの受入マニュアル作成がおすすめ!
インターンシップを開催し、学生を集客する場合は、受入マニュアルの作成がおすすめです。
下記にて、受入マニュアルを作成する流れについて紹介していきます。
これから紹介する内容にそってマニュアルを作成するのがよいでしょう。
1、インターンシップを開催する目的を決める
まずはインターンシップを開催する目的を明確にしておくことが重要です。
複数の目的があると、多くの学生にアプローチしやすくなります。
2、インターンシップの内容を決める
続いて目的に基づいて、自社が開催するインターンシップの内容を決定します。
インターンシップの内容は、大きく分けると以下に分けられます。
①説明会、社員座談会
⇒企業、業務の説明を企業側、社員から行う
②業務体験
⇒実際に社員が行っている業務を、学生が体験する
③社会問題など、課題の解決
⇒環境問題や地方創生などの問題に対し、学生が解決策を考える
インターンシップの目的に合わせて内容を変更するのがよいです。
例えば「自社の業務理解を深めてほしい」ということが目的であるならば、業務体験を通じて、実際に社員が行っている業務を知ってもらうことが重要でしょう。
「グループの中で学生がどう振舞うのかみたい!」という場合は、チームで1つの課題に取り組んでもらうなどするとよいです。
3、開催前の事前準備を行う
インターンシップの内容が決定できたら、開催前の事前準備を行いましょう。
具体的には
- インターンシップ実施の社内共有
- 学生を受け入れる体制の整備
の2つをしておくのが重要です。
特に社員座談会など、インターンシップの内容が社員を巻き込む必要がある場合は、必須の工程です。
※学生との連絡手段を確保しておくことも、忘れずに行っておきましょう。
特に派遣会社、スカウト媒体経由でインターンシップに参加している学生は、自社のメールアドレスや電話番号を知らない可能性があります。確認しておきましょう。
4、インターンシップの具体的な内容を決定する
最後に、インターンシップの具体的なカリキュラムを決定しましょう。
上記のようにインターンシップの流れを決めておくと、事前に準備すべきことが明確になります。
上記の内容を、インターンシップに関わる社員全員が見られる形でマニュアル化しておくと、やるべきことが明確になり便利です。
インターンシップを開催する際の注意点
インターンシップを開催する場合には、いくつかの注意点があります。
具体的には以下の3つについて注意しましょう。
- 目的を明確にする
- 賃金が発生するかを確認する
- 情報漏洩を防ぐ
1つずつ具体的に見ていきます。
①目的の明確化
インターンシップの導入を検討している企業は、まずインターンシップを行う目的を明確にしましょう。
先述した通り、インターンシップには様々な種類・メリット・デメリットがあります。
目的が「認知度を高める」のであれば短期のセミナー型インターンが有効ですが、「即戦力を求める」のであれば時間はかかりますが長期インターンが有効です。
「できるだけ多くの学生と会いたい」
「従来の説明会とは異なる形で企業理解を深めてもらい、ミスマッチを防ぎたい」
「入社後すぐに第一線で活躍する学生を獲得したい」
などといった自社の課題から逆算して目的に沿ったプログラムを設計しましょう。
②賃金が発生するかを確認する
特に長期のインターンシップを検討中の企業は注意しましょう。
インターンシップの内容や形態によって、企業は賃金の支払い義務が発生します。
労働時間をしっかり管理し給与体系を整備しましょう。
③情報漏洩を防ぐ
インターンシップを運営するうえで企業が有する情報を使用する場合があります。
そのような場合には情報漏洩に注意する必要があります。
インターンシップの中で使用する情報で機密情報がないかを確認することや事前に学生に誓約書に署名してもらうなどの対応をしっかり行いましょう。
おわりに
インターンシップの種類とメリット・デメリットをご紹介しました。
インターンシップにおける学生の受け入れ態勢が不十分だとかえってコストがかさみ、リスクも大きくなります。
ぜひ本記事を参考にして、目的を明確にしたうえで自社に合ったインターンシップを実施し、採用活動を成功させてください。