「なかなか採用の母集団形成が上手くいっていない・・・」
「同じようなタイプの新卒が多く、変わった経験を持った学生を採用出来ていない・・・」
「内定辞退が多く、採用予定人数に満たないことが多い・・・」
といった悩みを抱えていらっしゃる方はいませんか。
これらの悩みは、新卒採用に関わる人事の方であれば、1度は経験したことがあるのではないかと思います。
少子化の現代において、多くの学生に興味を持ってもらい、内定承諾まで繋げることは容易ではありません。
そのため企業側としては、従来の採用手法を見直し、現代に適応した採用活動を行うことが求められています。
その1つが、一括採用から通年採用への切り替えです。
本記事では、近年主流となり始めている通年採用のメリットや導入方法、一括採用との違いなどを紹介しました。
「通年採用という言葉は聞いたことがあるけど、具体的にどんなものか知りたい」という方は必見の内容です。
通年採用とは、新卒・中途に関わらず「1年中採用活動を行うこと」です。
採用したいときに採用活動を行うという点で、比較的自由度の高い採用手法といえます。
欧米や外資系企業は、ほとんどが通年採用を行っています。
これまで日本では、4月に新卒者が入社する一括採用が中心でした。
しかし、少子化や学生の多様化、多国籍人材の採用などが進むにつれて、日本でも通年採用を導入する企業が増えています。
採用時期
新卒一括採用は、一般的に3月から6月にエントリーを開始し、7月から9月に内定を出すのが一般的です。一方、通年採用は、年間を通じて採用活動を行っているため、採用時期に縛られることがありません。
対象者
新卒一括採用は、新卒予定者を対象とするのが一般的です。一方、通年採用は、新卒者だけでなく、第二新卒や既卒、留学生なども対象となります。
採用方法
新卒一括採用は、大規模な会社説明会やエントリーシートを活用した選考が一般的です。一方、通年採用は、企業によって採用方法は様々です。
就職白書2020 |就職みらい研究所の調査によると、2021年卒で通年採用の導入を考えている企業は25.1%と、約4社に1社にのぼります。
2020年卒採用で通年採用を取り入れていた企業は約17.5%のため、1年間で通年採用の導入を検討する企業が増加していることがわかります。
「新卒採用=一括採用」ではない企業が一般的になっているといえるでしょう。
通年採用を導入する企業が増えている理由としては、以下のような点が考えられます。
一括採用では、3月から説明会解禁、6月に選考解禁、9月に内定出し解禁というように、経団連から推奨されたスケジュールで採用が行われるケースが多いです。
これは、学生を早期から囲いこむことを防止するために行われています。
しかしすべての企業が同時に選考を開始するため、学生は一部の大企業・有名企業に集まってしまう傾向にあります。
このような状況を打開するため、早期に選考を開始したり、他社が選考を終了した段階でも採用活動を行ったりする通年採用が増えているのです。
また通年採用は、海外大学生や留学生の採用にも効果的です。
この点に関しては、後述する「通年採用のメリット」にて詳しく紹介しましたので、ご覧ください。
通年採用の一般化に拍車をかけたのは、上記のような理由だけではありません。
経団連が2018年3月に発表した、「新卒採用活動における協定への疑問提起」が、通年採用の一般化に大きな影響を与えました。
ここでは、新卒採用一括採用のデメリットに触れられており、経団連が進めてきた「採用に関する指針」を撤廃する方針を示しました。
これにより、2018年10月に経団連は、採用に関する方針を今後示さないと決定します。
一方で、就職活動が学業へ与える影響も踏まえるべきという理由から「2020年度卒業・終了予定者等の就職・採用活動に関する要請について」が取りまとめられている、という現状もあります。
しかし全体的な流れとしては、同じ時期に採用活動を開始し終了するという、一括採用は減っていき、通年採用に移行していく可能性が高いでしょう。
大学側も通年採用に対応する動きを見せています。
2019年に出された「採用と大学教育の未来に関する産学協議会/中間とりまとめと共同提言」は、経団連と大学の間で出されたもので、多様な採用方法を実施していくべきと示しています。
外国人留学生や日本人留学生の増加などを、大学側も認識しており、通年採用を進めていこうという動きはまずます進みそうです。
「通年採用を導入してみたいけど、経験がないからやり方が分からない・・・」
とお悩みの方はいませんか。
ここでは通年採用を導入する際の流れを紹介していきます。
具体的には以下の5つのステップで導入すると良いです。
STEP1:採用目標人数に基づき採用計画を立てる
STEP2:採用のペルソナを設定する
STEP3:採用担当者を決定する
STEP4:採用手法などを決定する
STEP5:新人の受け入れ体制を構築しておく
1つずつ具体的に紹介していきます。
まず最初に採用目標人数に基づき、採用計画を立てましょう。
採用目標人数を決定する場合は、事業計画や経営計画から逆算して考えると良いです。
経営全体に関わってくる話でもあるので、経営層との打ち合わせの上、採用目標人数を決定しましょう。
採用目標人数を決定したら
の3つを細かく決定しましょう。
具体的には、
というように、細かく人員配置を決めるのが良いです。
採用目標人数を決定するのと同時に、どんな学生を採用するのか、採用したい人物像(ペルソナ)を設定しましょう。
新卒を配属する予定のある部署の社員や、経営層にヒアリングをした上で、ペルソナを設定しておくと、より自社にマッチした学生に効果的にアプローチできます。
ペルソナの立て方について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
ペルソナ設定にお悩みの方に最適な「採用ペルソナ設計ワークフロー」の資料も、下記のリンクから無料でダウンロードできます。
【参考】【新卒】採用ペルソナの設定方法を具体例・フォーマットで紹介します
ペルソナを設定できたら、採用担当者をはじめとした採用チームを結成しましょう。
通年採用は1年中採用活動を行うため、一括採用に比べて採用工数が多く掛かる可能性が高いです。
加えて、一括採用を行う企業の状況や他社の状況、内定率などの調査・分析といった作業が必要になります。
そのため、スケジュール管理や分析・調査が得意な人材を確保しておくのがおすすめです。
採用チームを結成したら、採用手法と選考のフローを決めましょう。費用面を考慮しながら、自社にマッチした方法を選ぶのがよいです。
通年採用で有効な採用手法は、一括採用と少し異なります。
通年採用が難しい採用手法としては、合同説明会やナビサイトを活用した集客が挙げられます。
というのも、合同説明会やナビサイトは、一括採用に合わせて夏以降は次第にクローズしていくからです。
そのため、夏以降に採用したい場合は不向きと言えるでしょう。
一方、企業から学生にアプローチできる、スカウト型採用やダイレクトリクルーティングであれば、いつでも学生にアプローチができるのでおすすめです。
最後に新人の受け入れ体制と、研修のスケジュールを整えましょう。
入社のタイミングや、内定者研修のスケジュールが全員一緒の一括採用とは異なり、通年採用では、内定者1人1人に合わせたスケジュールを決める必要があります。
内定者の中でバラツキが生まれないように、育成体制をしっかりと整えておくようにしましょう。
また初期の研修だけでなく、部署に配属された後のフォロー体制についても、しっかりと構築しておく必要があります。
ここでは新卒の通年採用を成功させるためのポイントを紹介していきます。
通年採用に興味がある方は必見の内容です。
通年採用は一括採用とは異なり、決まったスケジュールがありません。
そのため、学生の動向を定期的にチェックし、それに合わせた採用計画・スケジュールを組む必要があります。
また多様な学生を採用するために、学生が普段どんなことに興味を持ち行動しているのかを定期的に調査しなくてはなりません。
大手人材会社が学生向けに行っている調査や、政府動向、SNSなどを使って学生の声を常にキャッチアップするように心掛けましょう。
就活生に興味を持ってもらえるようなブランディングを行うことも、通年採用では重要です。
特に学生からの知名度が低い中小企業や、toB向けの企業、馴染みのない産業の会社の場合、ブランディングは重要です。
学生が知っている企業は限られており、一部の有名企業にエントリーが集中しがちです。
少しでも知名度を向上させる取り組みとともに、様々な手法を使って、社風や業務内容などを分かりやすい形で伝えるようにしましょう。
採用ブランディングについての細かいやり方は、下記の記事をご覧ください。
【参考】採用ブランディングとは?成功事例を交えて運用方法をご紹介!
通年採用を行う際は、1つの採用手法だけでなく、複数の採用手法を組み合わせて採用を行うことが重要です。
その際は、採用媒体ごとに役割を決めるとよいでしょう。
例えば「自社を知ってもらうためにはSNSを使い、業務内容を詳しく説明するにはnoteを使おう」というような形で、役割を決めるとよいです。
SNSを使った採用方法については、下記の記事にて詳しく紹介しました。
「SNSを使って採用をしたいけど、やり方が分からない・・・」という方におすすめの内容です。
【参考】【SNS採用とは】特徴を理解し効果的な企業ブランディングを実施
一括採用と同じように、通年採用でもKPI(業務のパフォーマンスを計測・監視するために置く指標)を設定することが重要です。
具体的には、
などでKPIを設定するとよいでしょう。
KPIを数字で明確に決めることで、効果のある広報戦略や母集団形成、内定者フォローができるようになります。
またゴールまでの道筋が明確になることで「無駄なコストの削減」も期待できます。
これまでは一括採用が主流でしたが、これからは通年採用を導入する企業が増加することが予想されます。
それに伴い、これまでは競合しなかったような企業と、通年採用による人材の取り合いになる可能性が高まります。
通年採用を行う企業が増えても慌てずに対応できるように、前もって他社の動きを把握しておきましょう。
特に自社の競合他社や大手企業の採用動向は、注視しておくのが良いです。
採用効率を上げるため、管理システムなどを導入することもおすすめです。
特に一括採用は一年中採用を行う必要があるため、効率化ツールは効果的といえるでしょう。
採用管理システムを使うと
といったメリットがあります。
自社の戦略や課題にあった採用ツールを導入することが重要です。
現在ではAIを用いた採用ツールが多数あります。
詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。
【参考】【AI採用とは?】メリット・デメリットや導入企業を紹介【新卒】
通年採用を導入することで、一括採用より採用ターゲットを広げたり、エリアを広げたりすることがより簡単になりました。
説明会や面接・面談をオンラインで行うことにより、地方学生や海外の学生とも接触しやすくなっています。
一括採用では出会えなかった学生にアプローチするためにも、オンラインを駆使して、採用活動を行う範囲を拡大しましょう。
先ほども触れましたが、通年採用を導入する場合は、一括採用とは異なる手法で実施する必要があります。
ここでは通年採用でおすすめのサービス・ツールを紹介していきます。
「通年採用の導入がはじめてだから、なにか外部のツールを使いたい」という方におすすめの内容です。
まずは弊社が提供するサービス「Matcher Scout」です。
Matcher Scoutは、完全成果報酬型のダイレクトリクルーティングサービスで、初期費用や運用代行手数料が掛かりません。
学生へのスカウト文言の作成からスカウトの送信、説明会や面接のやり取りなどを全て代行するため、採用工数削減にも役立つサービスです。
学生へのスカウト送信は、好きなタイミングで行うことができるので、
「採用目標人数に少し足りていないので、もう少し多くの学生にスカウトを送ってほしい」
「9月から採用を始めたいので、9月になったらスカウト送信を開始してほしい」
といった細かい運用も可能です。
あえて一括採用が行われていない時期にスカウトを送信することもできるので、通年採用には最適なサービスといえます。
OfferBoxは、AIと適性診断を活用した学生検索の仕組みにより、自社にマッチした学生に直接スカウトを送信できる新卒採用サービスです。
学生のオファー開封率は89%と非常に高く、「自社にマッチした学生」のみに効率的にアプローチができます。採用要件に当てはまる学生のみにスカウトを送れるので、採用の効率化にも繋がるでしょう。
スカウトを送信できるだけでなく、統計データから採用工数を予測し、採用計画表を策定できる機能も兼ね備えています。
通年採用を導入した際のスケジュールを立てられるので、今後通年採用の導入を考えている企業におすすめです。
【参考】OfferBox
dodaキャンパスは、自社が求める学生に直接オファーできる、スカウト型の新卒採用サービスです。
学生のオファー開封率は、約8割で高い効果が見込める新卒採用サービスです。
登録学生数は約67万人いるため、アプローチできる学生が多い点も魅力的です。
また大学1〜2年生の低学年の学生も多く登録している点も、特徴の1つといえます。早い段階で学生にアプローチし、自社をアピールしたい企業におすすめのサービスです。
【参考】dodaキャンパス
Future Finderは、AIと心理統計学の両面から、自社で活躍できる可能性の高い学生を抽出し、マッチする学生に効率的にスカウトを送信できる採用サービスです。
またマッチする学生に、優先的に求人を表示できたりもできます。
登録者数は約13万人おり、その中で理系学生は約37,500人いるため、幅広い層の学生にアプローチが可能です。
求人広告やスカウトメッセージの作成、配信をはじめとした、採用に関わる幅広い業務を代行してくれるため、採用工数を削減したい企業が利用しやすいでしょう。
【参考】Future Finder
上記では、通年採用の概要について紹介してきました。
では通年採用には、どんなメリットがあるのでしょうか。
学生側と企業側に分けて、詳しく紹介していきます。
「本当に自社に通年採用のメリットがあるのか分からない・・・」という方におすすめの内容です。
具体的には、学生側と企業側あわせて8つのメリットがあります。
【企業側】
【学生側】
まずは企業側のメリットについて紹介していきます。
通年採用は期間が決められておらず、一年中採用ができるため、短い期間で何十人・何百人という学生を選考する必要がなくなります。
そのため、今までは1人1人の選考に時間が掛けられなかった場合でも、通年採用を導入することで、自社にマッチした学生を時間を掛けて丁寧に見極めることが可能です。
入社後に発生しがちな、企業と学生のミスマッチ防止に効果的といえます。
ミスマッチにお悩みの方は、下記の記事を併せてご覧ください。
企業と学生のミスマッチ防止のために必要なことを記載しています!!
【参考】【すぐできる】新卒採用のミスマッチが起こる原因と8つの対策を紹介
通年採用を導入することで、留学経験者や日本に住む外国人留学生、既卒者など多様な人材との接触回数・採用を増やすことができます。
海外留学をする人や留学生は、一括採用が本格化する時期に日本におらず、選考に参加することが困難なケースがありました。
通年採用を導入することで、例えば大学3年生の3月から大学4年生の9月まで留学していた学生でも、エントリーが可能になります。
「留学経験のある人や外国人留学生を採用したいけど、一括採用では上手くいかなかった・・・」
という場合は、通年採用の導入がおすすめです。
これまで、留学生や日本人の留学経験者を採用するためには「一括採用枠」とは異なる「留学生枠」を設ける必要がありました。
このやり方は、採用枠が異なるため、一般の学生と留学生の間で評価基準が変わってしまう可能性が高いといえます。
一方通年採用は、どんな学生でもいつでもエントリーできるため、一括採用とそれ以外で採用枠を分ける必要がありません。
そのため、通常の学生と留学生などの評価基準の差を小さくすることが可能です。
通年採用を行っていれば、内定者フォローが丁寧にでき、内定辞退者がでてもすぐに新しい学生を採用することができます。
一括採用は短期間での採用になるため、丁寧な内定者フォローをして、内定辞退を減らす必要があります。
しかし何十人、何百人と採用する企業だと、1人1人のフォローに掛けられる時間は少なく、内定辞退が発生してしまうケースも多いです。
また採用目標人数が達成できなかった場合や、内定辞退者が出た場合は、一度終了した選考を再開させなければならず、非常に手間が掛かります。
一方通年採用は、一年中選考・エントリーを受け付けているため、たとえ内定辞退者が発生した場合でも、すぐに新しい学生を採用することが可能です。
「内定者フォローに時間を取られている・・・」
「内定辞退者が多く、採用目標人数が達成できない・・・」
とお悩みの方は、通年採用の導入を検討してみてはいかかでしょうか。
内定者フォローのやり方については、下記の記事にて詳しく紹介しております!
【参考】【オンラインあり】内定者フォローの面白い企画事例からコツまで紹介
まずは通年採用における、学生側の4つのメリットを紹介していきます。
一括採用は、大学3年生の3月〜大学4年生の6月の短期間で行われることが多いです。
約4か月という短い期間での就職活動になり、毎日のように説明会や選考の予定が入ります。
そのためスケジュールの調整が難しく、余裕を持った就職活動ができない学生も多いです。
一方通年採用であれば、一年中選考に臨めるため、余裕のある就職活動を行うことができます。
また一括採用が本格化する時期に、家庭の事情や病気、部活で思うような就職活動ができなかった学生でも、通年採用であれば安心して選考に参加することができます。
選考スケジュールに余裕ができることで、学生が選考の準備に時間をかけることもできます。
これまでは
「面接の予定を入れてしまったから、とりあえず選考を受けないと」
と、なんとなく選考を受けていた学生でも、通年採用による余裕を持ったスケジュールであれば、1社1社しっかりと準備して選考に臨むことができるでしょう。
また通年採用を導入することで、学生が応募する企業を増やすことができます。
一括採用では、短期間で多くの企業を受けなければならないため、面接や説明会のスケジュールが被ってしまい、応募できる企業が限られる可能性があります。
一方、通年採用は一年中選考を受け付けているため、スケジュールに余裕ができ、他社の選考と被る可能性を減らすことが可能です。
それにより「スケジュール的に余裕があるし、他社も受けてみようかな」と、少しでも興味があれば選考に参加する学生が増えるでしょう。
スケジュールに余裕ができることで、一社一社の選考に集中できるというメリットもあります。
学生は数十社、多い人で100社という多くの企業に、一括採用の限られた期間でエントリーするのが一般的です。
短い期間で大量の企業にエントリーをすることは、多くの企業を知ることができるというメリットがある一方、1社1社の選考に集中できず
「第一志望の企業以外に、志望動機が思いつかない・・・」
という学生特有の悩みが発生することがあります。
働いた経験のない学生だからこそ、1社1社の選考に集中し、本当にその企業が自身にマッチしているのかを注意深く確認することが重要なのです。
通年採用は、学生が一社一社の選考に集中できる環境を整備するために、最適な採用手法といえるでしょう。
いいことだらけに思われる通年採用ですが、デメリットはあるのでしょうか。
ここでもメリットと同じように、企業側と学生側に分けてデメリットを紹介していきます。
【企業側】
【学生側】
1つずつ詳しく見ていきましょう。
まずは通年採用を導入することによる、企業側のデメリットを紹介します。
まず1つ目が、教育・研修にコストが掛かる可能性があることです。
採用活動には、内定者研修や内定者インターンなど、入社前の教育も含まれます。
一括採用では入社前の教育をまとめてやることで、コストを抑えることできていました。
しかし採用のタイミングが異なる一括採用では、研修をまとめて実施することが難しく、結果的にコストが高くなる可能性があります。
これまで一括採用を行ってきた企業の場合は特に、通年採用に対応できる受け入れ体制の構築が必要になります。
1年中選考を行うための人材の確保、通年採用で用いる媒体の選定と運用、入社前研修の実施など、通年採用に対応した体制の構築が欠かせません。
そのため一括採用しか行ってこなかった企業の場合は、通年採用に関する知見がない影響で、最初はうまく対応できない可能性があります。
一括採用のスケジュールに合わせて選考を行ったが、内定をもらえなかったため、通年で選考を行っている企業を受けてみた、、といった学生がエントリーをしてくる可能性もあります。
この場合は「その会社にいきたいわけじゃないけど、内定が無いから受けてみた」という後ろ向きな志望理由で選考を受けにきているといえるでしょう。
とりあえず受けにくる学生にも優秀な学生はもちろんいますが、志望理由が積極的でない場合、一般的には採用要件に満たない可能性が高いです。
通年採用は一年を通じて選考を行うため、採用が長期化します。
そのため、採用担当者は年中選考に対応しなければならず、負担が増加する可能性が高いです。
また本来は中途採用に集中できていた時期でも、新卒採用に対応する必要が出てくるため、中途採用と新卒採用を兼任している人事の場合、負担が増大する可能性があります。
通年採用では、常に採用活動を行うため、採用媒体での発信やSNS等を通じた広報、説明会の開催を1年中行う必要があります。
そのため一括採用のように、まとまった時期にすべてを行う採用方法に比べて、コストが高くなる可能性があります。
コストを抑えるためには、「説明会は動画でいつでも見れるようにしておく」といった、コストを抑える取り組みが必要不可欠です。
通年採用が一般的になっているとはいえ、まだまだ日本では一括採用が主流です。
そのため「あの会社は年中募集しているから、後回しでいいや」というように、滑り止め的な立ち位置で選考を受けにくる学生が増加する可能性があります。
また売り手市場の場合、一括採用で多くの人が採用されるので、通年採用を行う企業まで学生が選考を受けにこないという可能性もあるでしょう。
このような状況を防ぐためには、一括採用が始まる前に選考をはじめるといった対応が効果的です。
続いて学生側のデメリットについて紹介していきます。
通年採用は、選考スケジュールに余裕があるため、学生をより厳しい目で評価することができます。
そのため、一括採用よりもより能力のある人が採用されやすいといえるでしょう。
1人1人に時間を掛けられるのはメリットですが、学生からするとより厳しい目で評価されることになり内定のハードルが高くなります。
また自発的な就職活動が求められることも、学生側のデメリットと言えるでしょう。
これまでのような一括採用であれば、一斉に採用活動が開始するため
「友達が就活始めたから、一緒にはじめよう」
というように、周囲の状況をみて採用活動を開始することができました。
しかし通年採用は、画一的なスケジュールがないため、自分で情報を取りに行く必要があります。
一括採用よりも、より自発的で能動的な就職活動を求められていると言えるでしょう。
新型コロナウイルスの流行は、新卒採用に大きな影響を与えています。
コロナウイルスの影響で、一括採用のスケジュールが後ろ倒しになったり、オンライン化が進んだりしました。
この影響は一括採用だけでなく、通年採用にとっても大きなものです。
コロナ渦、そしてコロナ後を見据えた通年採用を行う際に、意識しておくべきポイントを抑えておきましょう。
一括採用と通年採用の大きな違いは、スケジュールの自由度です。
一括採用では、学生が企業の就活スケジュールに合わせなければなりませんでしたが、通年採用では、企業と学生のスケジュールをすり合わせることが可能になります。
そのため、企業側は学生のテスト期間や長期休みなど、学生のスケジュールを把握して採用戦略を立てる必要があります。
また留学する人や、外国人留学生は通常の学生と就活のスケジュールが異なることがあります。
このような就活スケジュールの変化は、コロナ渦でより大きくなりました。
例えば、元々大学3年生の9月から留学する予定だった人が、コロナの影響で大学4年生の4月からに変更になったなどのケースです。
通年採用は柔軟に採用計画が立てられるからこそ、自社の採用したい学生が、どんなスケジュールで動き、コロナによってどんな影響を受けているかを知ることが大切なのです。
コロナ渦で一番大きく変化したのが、面接や説明会のオンライン化です。
コロナ渦以前は、説明会や面接は対面で行うことが主流で、Zoomなどのオンラインツールは使用されていませんでした。
しかしコロナウイルスの影響で、これまでオンラインツールを導入していなかった企業が、一気にオンラインツールを導入し始めました。
オンライン面接は、学生に直接会えないため、熱量や雰囲気が掴みにくいというデメリットがある一方、地方や海外に住んでいる学生でも、気軽に選考に参加できるというメリットもあります。
また学生が企業を訪問する回数も減らせるため、学生と接触する回数を増やすことができるというメリットもあります。
最終面接のみは対面にして、あとはオンラインで対応するなど、オンラインと対面を掛け合わせた採用活動がおすすめです。
通年採用を始めようと思った採用担当の方が抱きがちな疑問とその解答をまとめましたのでぜひ参考にしてください。
企業の状況に合わせて柔軟に設定しましょう。
「通年採用といっても1年中選考して、入社の手続きをするのは大変」と思われている方もいるかもしれません。
実際に通年採用を謳っている企業の中にも、
といったパターンもよくあります。
通年採用のスケジュールパターンとして
①随時選考・随時入社
②随時選考・一括入社
➂複数回選考・一括入社
等が考えられます。
自社のリソースや獲得したい人材の条件などにあわせて入社時期や選考の実施方法を設計しましょう。
2022年に政府は、2026年度卒業の学生からの就活日程の弾力化に向けた方向性を提示しました。
就活日程の弾力化の主な対象は人工知能(AI)やデータ分析などに習熟した学生を想定しています。
しかし、この弾力化が公に通知されたタイミングで他の大手企業の通年採用がさらに進行する可能性があるでしょう。
現時点で通年採用を実施している企業は少数派ですが、26卒採用のタイミングで通年採用が一般的になるかもしれません。
【参考】「新卒一括」見直しへ半歩 政府、専門人材の採用柔軟に - 日本経済新聞
中小企業の採用がさらに難化する可能性があります。
その理由は以下の通りです。
通年採用が普及することで、大手との人材獲得競争がさらに激化すると考えられます。
【参考】通年採用拡大 中小企業へのしわ寄せを避けよ|愛媛新聞ONLINE
外資系企業やIT・ベンチャー企業を中心に通年採用を実施する企業が増えつつあります。
以下で実際に通年採用を導入している企業の事例を紹介していますのであわせて参考にしてください。
【新卒を通年採用している企業一覧】
通年採用を導入している企業の実際の取り組み事例を紹介します。
株式会社リクルートホールディングスは、既卒・新卒・社会人経験を問わず、30歳以下の採用を一本化しました。
これは、3月や9月に卒業する「一般的な学生」のみを採用する採用は廃止した、ということを意味します。
ただし入社のタイミングは4月なので「新入社員の対応は一括でできる」というメリットもあります。
通年採用を導入した背景には、「やり残したことがある学生が、就活のためにその活動を終わらせてしまうのはもったいない」という思いがあるようです。
ソフトバンク株式会社は、「ユニバーサル採用」を導入しています。
既卒・社会人経験など不問で、30歳以下の採用を一括にしたという点は、リクルートと同様です。
ただ入社時期は、4月・7月・10月と3回あります。
通年採用を導入した背景には、1年を通じて優秀な学生に出会いたい、という思いがあるとしています。
2016年に従来の新卒一括採用を廃止し、通年採用を実施しています。
既卒・社会人経験を問わず、30歳以下の採用を1つにしたというのは、上記の2社と同様です。
導入の背景としては、従来の一括採用だと既卒や第二新卒が不利になってしまうことや、留学生の増加などで、就職活動の時期が多様化していることをあげています。
ファーストリテイリンググループは、新卒採用が「グローバルリーダー社員」「地域正社員」の2種類あり、「グローバルリーダー社員」の採用に通年採用を導入しています。
新卒・中途については一切不問です。
入社時期は3月と9月で、多数の新入社員の受け入れは一斉に行われます。
2013年の新卒採用という、かなり早い時期から通年採用を導入しているのが特徴です。
いかがでしたか。
今回の記事では、通年採用のメリットやデメリット、導入方法、おすすめのツールなどを紹介してきました。
「一括採用だけを行っているけど、なかなか上手くいかない」という場合は、本記事を読んで通年採用の導入を検討してみてはいかかでしょうか。