はじめに
新卒採用において、インターンシップは欠かせないイベントになっています。
これからインターンシップを始めることを検討している会社や、既に実施しているけれど
成果が出ないと悩んでいる会社も多いのではないでしょうか。
本記事では、インターンシップを成功させるための
- 設計のポイント
- 受け入れノウハウ
- 採用につなげるためのポイント
についてご紹介します。
インターンシップの目的とメリット
インターンシップとは簡単にいうと「学生が実際に企業でおこなう職業体験」です。
学生は企業で実際に働いている社員から直接話を聞いたり、仕事を体験したりすることで、業種や職種、企業によって異なる仕事内容や雰囲気、社風の違いを知ることができます。
インターンシップは学生にとって、会社説明会やOB・OG訪問を通して話を聞くよりも、より現場の空気を実感することができる重要な場なのです。
企業がインターンシップを開催する主な目的は以下の3つです。
自社に興味を持ってもらう
一般的に本格的な採用活動は3月の広報活動解禁後から始まります。
しかし、採用活動開始後に、学生に本選考にエントリーをしてもらう必要があるため、まずは自社に興味を持ってもらうためにインターンシップを開催します。
数多ある企業の中から自社を選んでもらうために、まず「インターンシップ」という形で仕事の魅力を発信して学生に興味を持ってもらい、本選考につなげるためです。
インターンシップは「企業が学生にアピールできる場」なのです。
自社が求める優秀な人材にアプローチする
採用活動では、
- 募集広告の掲載費
- 対応部署にかかる人件費
- 会社説明会やセミナーなどの会場費
- 遠方からの学生の交通費や宿泊費
- 資材購入費
など多くの採用コストがかかります。
このような多大なコストをかけて採用を行うからには、自社が求める優秀な人材を確保したいですよね。
そこで、選考では見られない実務面の能力や自社との相性、コミュニケーション能力などをインターンシップを通して見極めていきます。
採用におけるミスマッチを防ぐ
実際に採用に繋がったとしても、懸念点は存在します。
企業側にとって一番の懸念点は、採用後の内定辞退や早期離職でしょう。
そこで、インターンシップを実施することで、学生は企業の雰囲気や人を知ることができ、業務に実際に携わることで入社後のイメージをつかむことができます。
一方、企業側にとっても、学生にインターンシップに参加してもらい自社について知ってもらうことで、入社後のギャップが少なくなるでしょう。
企業側と学生側はお互いwin-winの関係にあるといえます。
内定者フォローについてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
【事例あり】内定者フォローを成功させるために有効な方法とは?
昨今のインターンシップの実態
学生の就職活動の開始時期は早期化しており、それに伴い、早くからインターンシップに参加して情報収集する学生が増えています。
インターンシップに参加する学生は年々増加しており、24年卒の学生を対象にした企業アンケートによると、9割を超える学生が「インターンシップに参加した」と回答しました。
さらに、就職みらい研究所の就職白書2023年によると、8割を超える企業で、内定者の中に自社のインターンシップ参加者がいたようです。
インターンシップの時点で業界や企業の研究を進め、志望先を絞り込む動きが強まっており、重要性は年々増しています。
【参考】株式会社ディスコ『2024年卒 インターンシップ等に関わる特別調査』
また、インターンシップを実施する企業数も年々増えており、24年卒対象では約7割の企業が実施しています。
25年卒以降の「新たな」インターンシップを解説 :採用直結型とは??
2022年4月に経団連と大学の関係者でつくる採用の在り方を議論する協議会が開催されました。
「採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2021年度報告書」によると、25年卒以降は一定の条件を満たせば、インターンシップで得た学生情報を、採用活動開始後に活用してもよいということになりました。
インターンシップを採用に使う条件は以下の5つです。
- 最低5日間以上の実施
- 就業体験が必須
- 実施期間の半分以上を就業体験にあてる
- 現場社員が指導し、フィードバックを行う
- 学生の長期休暇に実施
【参考】NHK就活ニュース『インターンシップ“正式に”採用で活用も 何年卒が対象?条件は?』
このように、今後はインターンシップの評価を採用面接に反映させられるようになったため、インターンシップ実施企業はさらに増えるでしょう。
昨今の就活状況の変化から、インターンシップの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
「まず何からやればいいのか分からない」とお悩みの方。
この記事では、
- 企業側の受け入れ体制の準備
- どのようにインターンシップを設計するか
- 実際にかかる費用
- インターンシップから採用につなげるためのポイント
を成功事例とともに詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
【参考】一般社団法人国立大学協会『採用と大学教育の未来に関する産学協議会2021 年度報告書』
インターンシップの分類
インターンシップは就業期間・報酬・内容によって分けられます。
それぞれ見ていきましょう。
就業期間
就業期間は大きく3つに分けられます。
- 短期:セミナー形式(1~4日程度)
- 中期:課題形式(5日~3週間)
- 長期:就業形式(3か月以上)
【短期】
企業の事業内容や魅力を学生に理解してもらうことが目的で、会社説明会、業界研究セミナーやグループワークなどが行われます。
メリット
- 多くの学生にアピールできる
- インターンシップの運営コストが低い
- 学生の選考に慣れることができる
デメリット
- 学生の業務適性や人柄を十分に見極められない
- 学生のインターンシップへの参加意欲が低い
- 学生のインターンシップ後のフォローが難しい
- インターンシップの応募者が多く、選考が大変
【中期】
新規事業や商品開発などの課題を与え、グループディスカッションやプレゼンテーションなどをおこなう形式です。2〜5日の短期から、2週間〜1ヵ月の中期など、企業によって期間はさまざまです。
課題に取り組ませることを通じて、学生に事業理解を深めてもらえるほか、選考につながった際、学生の能力を多角的に把握できます。
メリット
- 学生の企業理解と企業の学生理解が深まり、相互理解が高い状態で採用に進める
- 学生の実務スキルや職場適応力を育成できる
- 学生の斬新なアイデアや意見を集められる
デメリット
- 通常の業務に影響を与える可能性がある
- 広告費やコストがかかる
- 学生の参加意欲や満足度を高めるために、工夫や配慮が必要
【長期】
一定の期間・業務範囲で、実際に就業してもらう形式です。
3年次はもちろん、1〜2年次など、年次の若い段階から長期でおこなうケースもあります。
業務範囲に制約はあるものの、実際に学生に就業体験してもらうことで、学生と企業の双方で、採用ミスマッチの低減に大きな効果が期待できます。
学生へのフォローが長期にわたるため負担は大きくなりますが、採用ミスマッチのリスクを低くしたうえで、質の良い学生を採用できます。
メリット
- 学生の実力や適性を長期間にわたって評価できる
- 学生との関係性を深め、採用後の定着率を高めることができる
- 学生が戦力となり、現場の生産性やイノベーションに貢献できる
- 人を育てるという意識が職場内を活性化させ、組織内のコミュニケーションを向上させることができる
デメリット
- 長期間の勤務を求めるため、学生のスケジュールや志望度に合わせることが難しい
- 学生に対する責任やサポートが増えるため、社員の負担が大きくなる
- 学生の成果や貢献に対して、報酬や福利厚生などの対価を支払う必要がある
インターンシップを導入する際には、これらのメリットとデメリットを考慮して、目的や内容、期間、対象学年、実施/募集時期などを決める必要があります。
自社の目的やニーズに合わせて、適切な期間や内容を設計しましょう。
内容
インターンシップの内容は多様化していますが、主に3つに分けられます。
【会社説明型・セミナー型】
会社説明会
会社説明やオフィス見学、社員との交流:企業や業界についての理解を深めることが目的
セミナー型
講義やワークショップ:学生のキャリア(職業観・就業観)意識を高めることが目的で、CSRとしての評価も得られる
どちらも、手軽に実施でき、学生の参加ハードルも低いため多くの学生の参加が見込め、多くの方に自社の魅力や特徴をアピール出来ます。
ただし、企業から学生に対して一方通行な内容になりやすいため、学生の興味や参加意欲を判断することは難しいです。
【プロジェクト型】
学生に何らかのテーマを与え、グループワークを経て課題を解決してもらい、最後にプレゼンテーションを行う形式です。
企業から与えられるテーマは実践的な課題が多く、商品開発・新事業の提案など多岐にわたります。
インターンシップを通して学生の思考力やコミュニケーション力、プレゼンテーション力などを評価できます。
また、参加する学生にとっても満足度が高いため、インターンシップの体験談などが口コミで広がることも期待できます。
サポート役として社員を参加させることで、学生が質問やフィードバックをもらえる環境を整え、業務理解もより深めていきましょう。
【就業型】
学生に実際に企業で一定期間働いてもらい実戦経験の中で多くのことを学んでもらう形式です。
実際に働いてもらうことにより、企業は学生の即戦力となるスキルや専門的な知識を評価でき、学生にとっても企業に対する理解を深め入社後のミスマッチを防げます。
しかし、社員による受け入れ体制の確保や、指導・管理が必須ですので、上の2つのタイプに比べて、より準備に手間がかかる方法でもあります。
就業型のインターンシップを行う際は入念に準備を行いましょう。
また、就業型のインターンシップは「有給型」とされることが多いため、働いてもらった分の給料(人的コスト)が発生します。
報酬
インターンシップの報酬は、インターンシップの内容によって「無給」と「有給」の2つに分類されます。
無給の場合は、学生に給料や賃金を支払う必要はありませんが、教育や研修を目的としたプログラムにする必要があります。
例えば、企業説明会やセミナー等は無給の場合が多く、企業によっては宿泊費・交通費など参加必要経費のみを支給することもあるようです。
有給の場合は、学生に給料や賃金を支払いますが、その額は最低賃金以上である必要があります。
インターンシップの設計方法
ここまで、インターンシップの概要について触れてきました。
では、どのような手順でインターンシップを設計していけばよいのでしょうか。
以下で具体的にお伝えしていきます。
①インターンシップの目的を明確にする
インターンシップの目的は会社によって異なりますが、前述した目的の他にも「仕事の理解を深める」「社員との交流を促す」「業界の魅力を伝える」などが挙げられます。
インターンシップは自由に企画できるものですが、だからこそ目的をしっかりと定めることが重要です。
「他社もやっているから」という理由でなんとなく始めても効果は期待できません。
目的に応じて、対象学生や実施内容も変わってくるため、まず第一に「目的」をはっきりさせる事から始めましょう。
②プログラムの内容を決める:具体例あり
インターンシップのプログラム内容を考えるときには、「会社側の視点」と「学生の視点」の2つの視点から考えましょう。
会社側の視点
会社側の視点とは、「どんな就業体験を提供したいか」という視点です。
そのためには、自社の仕事の流れを把握することが必要です。
例をいくつか挙げてみますので参考にしてください。
例1:コンサルティング
コンサルティング業界では、「課題発見→分析→提案→実行支援」などのプロセスがあります。
このプロセスの中で、学生には実際のクライアントの課題に取り組んでもらうことで、コンサルタントの仕事を体験してもらうことができます。
例えば、学生に「新規事業の立ち上げ方」や「業務改善の方法」などのテーマを与えて、グループワークやプレゼンテーションをおこなうプログラムが考えられます。
例2:広告
広告業界では、「企画→制作→メディアプランニング→効果測定」などのプロセスがあります。
この中で、実際の広告案を考えてもらうことで、広告の仕事を体験してもらうことができます。
例えば、学生に「自社の商品やサービスの広告を作成する」という課題を与えて、広告の企画から制作までをおこなうプログラムが考えられます。
例3:金融
金融業界では、「資金調達→資金運用→リスク管理→顧客サービス」などのプロセスがあります。
学生には実際の金融商品やサービスに関する知識やスキルを学んでもらうことで、金融の仕事を体験してもらうことができます。
例えば、学生に「金融市場の仕組みや動向」や「金融商品の特徴や評価方法」などの講義やワークショップをおこなうプログラムが考えられます。
以上、インターンシップのプログラム内容の例をご紹介しました。
このように自社の仕事のプロセスの中で、どの部分を学生に体験してもらうかを決めていきましょう。
学生の視点
次に学生の視点について説明します。
具体的にどんな学生に来てもらいたいですか?
学生は一括りにできないため、自社に合った学生を見つけるためにも、学生の特徴や興味を考えることが必要です。
どんなことに関心がある学生なのか、具体的にイメージしてください。
そして自分たちが提供したい就業経験の内容は、その学生にとって魅力的なのか、その告知内容で興味を引けるのか。
学生目線でインターンシップのプログラムを作りましょう。
次章では学生から人気を集めている企業のインターンシップ事例を紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。
③日程を決める
目的に沿ったプログラム内容を決めたら、続いて日程を決めましょう。
夏休みなど、学生が時間にゆとりがある8月〜9月に複数日のインターンシップを開催すると、参加者が多くなります。
また、候補日を増やしたり、休日に開催したりすると、学生の都合に合わせやすくなるでしょう。
より多くの学生の参加を促すためにも、日程は柔軟に調整することが大切です。
④受け入れ体制を整える
インターンシップを成功させるためには、受け入れ体制を整えることが重要です。
その際には、次の3つのポイントを押さえましょう。
環境・設備の整備
インターン生が快適に作業できるように、デスクや椅子、PCやネットワークなどを用意しましょう。
メンターの選定
インターン生の進捗や疑問に対応する担当者を決めて、定期的に確認や回答、フィードバックを行いましょう。
協力部署・社員の決定
インターンシップの内容に合わせて、連携や評価をしてくれる部署や社員を選び、調整しましょう。
また、学生は様々な部署や社員と交流したいと思っていますので、インターンシップの日程が決まったら、以下の情報を関係者に共有しましょう。
- インターンの内容と目的
- 担当者の名前と連絡先
- 学生が来る日
社員全員がインターンシップの意義と計画を理解し、協力できるよう体制を整えましょう。
おススメの募集方法5選
せっかくインターンシップを企画しても、応募者が少なければ意味がありません。
競争が激しい売り手市場で、どうすれば学生の注目を集めることができるのでしょうか。
ここでは、インターンシップの集客方法についておススメの手法を紹介します。
①インターンシップ情報サイトや就活サイト
インターンシップ情報サイトや就活サイトは、インターンシップを探す学生にとって、最も一般的な情報源です。
学生は業界や職種などの条件で絞り込みができるので、自分に合ったインターンシップを見つけやすいのが特徴です。
メリット
自社のインターンシップを多くの学生に知ってもらえる
デメリット
他の企業との差別化が難しい
そのため、インターンシップの内容や特徴を明確に伝えることが大切です。
②自社のホームページやSNS
自社のホームページやSNSは、自社の魅力やインターンシップの様子などを写真や動画で紹介することで、学生の興味を引くことができます。
メリット
- インターンシップの内容や魅力を具体的に伝えることができる
- 更新が容易なので、最新の情報や参加者の感想などをタイムリーに公開できる
デメリット
- (自社の知名度が低い場合)インターンシップの情報にたどり着く学生が少ない
募集ページの閲覧数や、応募者が少ない場合は、他の媒体との連携が必要です。
③大学やキャリアセンター
大学やキャリアセンターは、インターンシップの情報を大学生に提供する機関です。
自社のインターンシップに興味がある学生や、自社が求める人材に近い学生を紹介してくれることもあります。
メリット
- インターンシップの募集を効率的に行える
- 信頼性が高い
デメリット
- 事前の打ち合わせや調整が必要
- インターンシップの開催時期や募集人数などを早めに決めておくことが必要
④イベントやセミナー
イベントやセミナーで宣伝することで、自社のインターンシップの内容や魅力を直接的に伝える事ができ、インターンシップの募集を効果的に行えます。
昨今ではオンラインでの開催が増えています。全国の学生にインターンシップの情報を届けることができるだけでなく、自社のインターンシップの内容や魅力を動画やスライドで詳しく説明することができます。
メリット
- インターンシップの募集を効果的に行える
- 自社のインターンシップの内容や魅力を分かりやすく伝えられる
- 学生との対話や交流を通じて、学生の興味やニーズを把握することができる
デメリット
- 事前に準備や告知を行う必要がある
- インターンシップの開催時期や募集人数などを早めに決めておくことが必要
⑤ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、自社に登録されている就活生のデータをもとに、学生に直接アプローチする方法です。
メリット
自社の求める人物像に合致した人材に直接アプローチできる
デメリット
運用コストが大きく、運用難易度も高い
以上、インターンシップの集客方法について、5つの手法を紹介しました。
インターンシップの集客方法は、自社のインターンシップの目的や特徴に合わせて選択することが重要です。
また、複数の媒体を組み合わせて、インターンシップの情報を広く発信することも効果的です。
求める人材に出会える!おすすめサービス:Matcher Scout
インターンシップの集客方法は、自社のインターンシップの目的や特徴に合わせて選択することが重要です。
しかし、どの方法を選んでも、自社が求める人材に出会えるとは限りません。
そんなときに活用したいのが、ダイレクトリクルーティングサービス『Matcher Scout』です。
Matcher Scoutは、自社のインターンシップに最適な学生を見つけて、直接アプローチできるサービスです。
Matcher Scoutの特徴は以下のとおりです。
OB・OG訪問マッチングサービス「Matcher」のデータベースを活用
Matcher Scoutは、OB・OG訪問マッチングサービス「Matcher」のデータベースを活用しています。
Matcherは、全国の大学生がOB・OG訪問を申し込めるサービスで、登録されている学生は、OB・OG訪問に積極的に取り組む主体性のある学生です。
そのような学生に、自社のインターンシップに関するスカウトを送信できます。
自社の求める人材に絞ってスカウトが可能
学生のプロフィールや志望動機などを分析し、自社のインターンシップに最適な学生のみに絞ってスカウトすることが可能です。
例えば、自社のインターンシップがIT業界やエンジニア職を対象としている場合、IT系の学部や専攻、プログラミングの経験やスキルなどを持つ学生にスカウトを送ることができます。
採用成功報酬型のダイレクトリクルーティングサービス
Matcher Scoutは、採用成功報酬型のダイレクトリクルーティングサービスです。
つまり、採用するまで費用は一切かかりません。
初期設定やスカウト運用業務もすべて無料で承ります。
労力をかけずに導入可能
スカウトの送信や日程調整など運用に際する事務作業は、弊社が全て代行いたします。
そのため、労力をかけずに導入可能です。
ご興味をお持ちいただけましたら、まずはお気軽に、お問い合わせ・資料請求をお願いいたします!
【参考】【新卒】ダイレクトリクルーティング厳選20サービスを徹底比較
インターンシップにかかる費用の種類と相場
インターンシップ開催に伴い、さまざまな費用が発生します。
ここでは、主な費用の種類と相場について紹介します。
募集費用
企業がインターンシップの募集をするためには、外部サービスを利用して広告を掲載することが一般的です。
この場合月額約3万円〜30万円程度が相場になります。
新卒採用の求人掲載も同時に可能なサイトでは、20万円以上のサイトが多くなっているようです。
また、初期費用や広告掲載料自体は無料で、採用が決定した時点で費用が発生する「成果報酬型」のサービスもあります。
成果報酬型の場合、文系の学生で採用一人当たり約10万円、理系では15〜25万円程度が相場と言われています。
交通費
インターンシップ開催で最も大きい費用は交通費になります。
本社の位置によって交通費の大きさは異なりますが、多くの企業は関東圏に位置しているため学生は交通費を抑えられます。
しかし、地方の学生にとってはとても負担の大きいものとなります。
近年では、学生の費用負担の多さが問題となっていることから、企業が交通費を負担するケースが多くなっています。
特に地方から参加する学生に対しては、交通費の申請をすれば全額支給するなど、非常に積極的な姿勢を見せています。
給与(賃金)
インターンシップには、短期から長期に渡るものまで様々な種類があり、取り組む内容や契約内容によって無給、有給と異なります。
有給のインターンシップにおける給与の相場は、
- 時給制:時給1,000円〜2,000円
- 日給制:日給5,000円〜日給1万円
- 成果報酬制:1作業や1成約につき1,000円〜5万円
とされています。
ただし、有給のインターンシップは無給のインターンシップに比べて少なく、全体の約3割程度にとどまっています。
資材の購入費、会場費等
参加者が使用するデスクやPC等の購入にかかる資材費や、自社以外でインターンを実施する場合の会場費に関しては、実施形態により異なります。
交通費の他にも食事代などを含めれば、インターンシップ開催だけで大きな費用が発生していることが分かります。
【参考】株式会社ディスコ キャリタスリサーチ『インターンシップに関する調査』
インターンシップ開催に必要な書類
インターンシップを開催する際には、以下の書類を用意すると良いでしょう。
契約書
インターンシップの目的やプログラム内容、期間や条件、関与する業務などを明確にするために作成します。
法的に作成を義務付けられているわけではありませんが、トラブルを防ぐためにも書面で確認しておくことが大切です。
誓約書
インターンシップ中に知り得た企業の機密情報や個人情報を外部に漏らさないことを約束するために作成します。
学生が情報を漏洩してしまった場合、企業の信用や存続に大きな影響を与える可能性があります。
誓約書は必ず交わすようにしましょう。
雇用契約書
インターンシップに対して報酬を支払う場合は、雇用関係が成立するため、雇用契約書を作成します。
「アルバイト契約」「業務委託契約」など、インターンシップの形態に合わせて選びましょう。
企業側に必要なリスク管理
インターンシップを実施する際は、労働関連法令に抵触しないよう、注意が必要です。
インターンシップにはさまざまなリスクも常について回るため、それらに対する対策もしっかりと行わなければいけません。
インターンシップにおけるリスクとして、次のようなことが挙げられます。
- 学生が被る事故(作業中の怪我やインターンシップ先への通勤中の事故など)
- 学生が起こす損害(会社の機器の破損、商取引の妨害など)
- 学生による情報漏洩(製品や人事など社外秘の情報を漏洩する)
これらのリスクに対処するために、企業側は以下のようなことを行って対策できます。
- >最低賃金や労働時間、社会保険などの法令を遵守する。
- インターンシップの契約書を作成し、インターン生との間に明確な合意を形成する。
- 事故や損害の発生を防止する。事故や損害が発生した場合の連絡先や対応方法は事前に伝えておきましょう。
- インターン生に対して、機密保持に関する誓約書を取り交わし、社外秘の情報を漏洩しないように注意喚起する。また、インターンシップ終了後も機密保持の義務があることを説明しましょう。
以上が、インターンシップを導入するにあたって、企業側に必要なリスク管理のポイントです。
法的なトラブルを避けるためには、事前の準備や対策が欠かせません。
【学生に人気】インターンシップ成功事例3選
さて、最後に、インターンシップの成功事例を3つ紹介します。
ぜひ、コンテンツや募集方法などを参考にしてみてください。
就活生人気No.1「ニトリ」のインターンシップ
まず、口コミ就活情報サイト「楽天みん就」の、インターンシップの人気企業ランキングにおいて、5年連続で1位を獲得した「ニトリ」の魅力的なプログラム内容を紹介します。
インターンシップ参加志望理由別ランキング「プログラムが面白い」においても3位にランクインしていることから、学生からの満足度が高いことがうかがえます。
ニトリのインターンシップには、3つの特徴があります。
特徴①学生目線を最優先
事業内容を一方的に説明するのではなく、自己分析や就活の進め方など学生の就職活動の軸や価値観を見つけることをサポートするとともに、流通業界や分業の仕組みを学ぶ機会を提供しています。
「就活の進め方からレクチャーしてくれるサマーインターンだった。就活生を一から応援してくれる姿勢が伝わってきた」(文系・早慶クラス)
ニトリは自社アピールを控えめにし、学生がインターンシップを通じてニトリに関心を持ってもらおうという意図を持っているのです。
特徴②丁寧なフィードバック
インターンシップ後や面接後には、学生に個別のフィードバックやリクルーターを提供するサービスを行い、他社との差別化を図っています。
「長期間のインターンシップでやりがいがあった。リクルーターがついて、会社の理解も深めることができた」(文系・上位国公立大)
「自分の興味のある部門に参加でき、社員さんからのフィードバックがよかった」(文系・上位私立大)
このように、ニトリは、インターンシップを学生のキャリア支援として捉えており、囲い込みを目的としていません。
このような姿勢が、学生からの人気の理由となっているのではないでしょうか。
特徴③業務体験型である
ニトリのインターンシップには、「キャリアデザイン」「イノベーティブ」「IT」「低学年」と多彩なコースがありますが、なかでも人気な「キャリアデザインコース」のプログラム内容を紹介します。
大きく分けて、2つの部で構成されています。
① 就活スタートダッシュLIVE!
YouTubeで学生の就職活動に役立つ動画を見せ、オンラインで質問に答えるコーナーを設けています。
また、9月以降には、業界研究セミナーを行い、社長自らも登壇して流通業やチェーンストアの使命などを話します。
②就業Challenge!
4つの就業体験から選んでグループワークをする仕事体験です。
1)商品開発:顧客ニーズや競合調査から商品を企画し、売り場提案まで行う
2)法人営業:空間コーディネートのコンサルティングを行い、模擬商談やプレゼンテーションをする
3)店舗運営:地域性に合わせた店舗レイアウトやオペレーションを経験する
4)店舗開発:ニトリは2032年までに3,000店舗を目指して海外にも進出しており、そのための効果的な出店戦略を練る
【参考】ニトリ新卒HP『ニトリを体験するINTERNSHIP』
東洋経済ONLINE『「学生からウケがよい」インターンシップTOP10社』
このように、ニトリのインターンシップは
- 学生目線である
- フィードバックが手厚い
- 業務体験型である
ことから、「ニトリのインターンシップはおもしろくてためになる」という口コミが広がっています。
【参考】楽天グループ株式会社『楽天みん就 2025年卒 インターン人気企業ランキング』
【参考】東洋経済ONLINE『「学生からウケがよい」インターンシップTOP10社
株式会社サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは、人気のインターネットテレビ局「ABEMA」を運営するほか、インターネット広告事業では国内で最も多くのシェアを持っている企業です。
同社では、エンジニアの学生向けに様々なインターンシップを提供しており、参加者からの満足度が高く、「参加してよかったエンジニアサマーインターンランキング」で第3位にランクインしています。
インターンシップの内容が豊富で、参加者は自分の興味やスキルに合わせて選ぶことができます。
また、社員からの丁寧な指導やフィードバック、そして他の参加者との刺激的な交流が、インターンシップの魅力の一つとなっているようです。
インターンシップの内容は以下の通りです。
短期インターンシップ
【インフラエンジニア向けクラウド技術体験型インターン】
対面で2日間行われ、クラウドの基礎知識や実践的なスキルを学べる
【ゲームクライアント向け開発型インターン】
オンラインで3日間行われ、ゲーム開発の流れや技術を体験することができる
【Go言語やサーバーサイド開発が学べるインターン】
対面とオンラインの両方で2週間行われ、Go言語の基礎やサーバーサイド開発の実践を学べる
【アプリケーション開発にチームで取り組むインターン】
対面とオンラインの両方で2週間開催され、チームでアプリケーションの企画から開発までを行う
長期インターンシップ
【全職種向け実践就業型インターン】
長期間(3ヶ月以上)にわたって、同社のエンジニアと一緒に実際の業務に携わることができる
【参考】CyberAgent|エンジニア採用広報『サイバーエージェントの2023年サマーインターンシップを一挙紹介!』
株式会社パルディア
Matcher Scoutを利用し、採用課題を解決した企業の成功例を紹介します。
株式会社パルディアは、店頭プロモーションを主力とする広告会社です。
一般のお客様に興味を持ってもらえるような商品の企画・提案を行っており、出版事業や男性用化粧品の事業などを展開しています。
採用課題:インターンやダイレクトリクルーティングで人材確保できない
パルディアでは、インターンシップを通じて優秀な学生と出会い、採用につなげることを目指していました。
しかし、従来行っていたインターンシップでは、以下の問題がありました。
- 採用につながる学生と出会えない
- 早期からの魅力付けができない
また、他社のダイレクトリクルーティングサービスを利用してみましたが、スカウト業務が人事の負担になってしまいました。
解決策:Matcher Scoutの導入で効率的に学生と出会う
そこで、パルディアは、ダイレクトリクルーティングサービスのMatcher Scoutを導入しました。
その結果、以下の成果を得ることができました。
- 工数をかけずに想定数の2倍以上の学生に会えた
- 主体性のある人材と多く出会えた
- 学生のプロフィールや志望動機などを分析し、自社のインターンシップに最適な学生のみに絞ってスカウトできた
- インターン経由での内定承諾ができた
- Matcher Scout経由での学生は、代表面接に残る割合が高かった
このように、Matcher Scoutは採用にお悩みの企業におすすめです。
インターンシップの内容:1Day仕事体験
24卒では、倍率が300倍以上になった大人気コースです。
このインターンシップでは実際の過去の事例をもとに、クライアントの課題・要望に対してキャンペーンの企画提案を行います。
クライアントの「コレをこう売りたい!」に対して、どんなソリューションを提供するか、学生の発想力とプレゼン力が問われる内容になっています。
社員からのフィードバックも手厚く、リアルとオンラインの両方にて開催しており、学生も参加しやすいです。
おわりに
いかがでしたか?
本記事では、政府の就活ルール見直しでインターンシップの重要度が高まる中、その種類や動向、2025年卒以降の変化、学生の求めること、プログラムの作成方法などを詳しく紹介しました。
本記事を参考にして、学生のニーズを把握し、自社にぴったりのインターンシッププログラムを作って、採用につなげましょう。
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