面接官の間で候補者の評価基準が異なると、自社が求める人材を正確に採用することが難しくなってしまいます。
採用面接評価シートは、面接という限られた時間の中で候補者が自社の採用要件に当てはまる人材かを的確に見極めるために欠かせません。
本記事では採用面接評価シートの作り方やテンプレート、注意点などを解説します。
「オンラインと対面、どちらで面接を実施しよう…」
「面接で学生の本質を見極められていない気がする…」
このようなお悩みがある場合は以下の記事もご参照ください。
【参考】結局どっちがいいの?Web面接&対面のメリット/デメリットを比較
【参考】【簡単】コンピテンシー面接を徹底解説!質問例・評価シート例あり
採用面接評価シートとは?
採用面接評価シートとは、候補者の面接を行う際に面接官が利用する評価シートのことです。
基本的には評価項目と評価基準が記載されており、シートに記載の評価軸にしたがって候補者の合否判定を行います。
採用面接評価シートを元に候補者を評価していくため、シートの完成度によって面接の質が左右されます。
シートの正しい作成方法や注意点などを知っておくことが、候補者を的確に見極める面接を行う上で重要です。
【保存版】採用面接評価シートのテンプレート
こちらに新卒採用・中途採用の面接評価シートのテンプレートを添付します。
自社の求める人物像によって「項目」「チェックポイント」「評価」は変化するので、保存し、必要に応じてカスタマイズすることをおすすめします。
新卒採用向け
中途採用向け
面接評価シートを作成する目的
面接評価シートを作成する目的は
①公平な評価の担保
②採用活動の効率化
③企業と採用者のミスマッチの防止
の3つです。
面接評価シートがあれば、面接官による評価のばらつきを避けられます。
また、面接評価シートを作成し、評価項目や評価基準を共有しておくことで人事社員のみならず、現場社員でも問題なく面接をすることが可能です。
それに加え面接内容をまとめる手間が省けるため「採用活動の効率化」にも効果的とされています。
この他、評価項目に「価値観」や「コンピテンシー」といった企業独自の評価項目を盛り込めば、採用後のミスマッチを改善し「入社後の定着率向上」につながります。
採用面接評価シート導入のメリット
ここからは、各面接官の経験や感覚に頼るのではなく、採用面接評価シートを導入することのメリットについて解説していきます。
【的確な採用】人材を採用する基準がわかりやすくなる
面接官の間で採用基準の認識にばらつきがあると、自社が求める人材を適切に見極められない可能性があります。
採用面接評価シートには評価基準や評価項目、また質問項目などが記載されているため、面接中に候補者のどのようなところを見るべきなのかが明確になります。
そのため採用基準の認識が擦り合わせやすくなり、自社の求める人材の的確な採用に繋げることが可能です。
また採用面接評価シートを導入することで、スキルや実績のような客観的指標がない項目に関しても数値化できます。
特にポテンシャル採用を行う新卒では、何を基準として人材を評価するのかが難しいです。
5段階評価にして候補者を評価することで、面接官の間で評価にブレが生じにくくなります。
【公平な選考】「なんとなく」の評価がなくなる
せっかく採用要件を設けても、面接官が「なんとなく」良さそうだからという理由で合否を決めていては入社後のミスマッチが発生しやすくなります。
なるべく公平に自社の求める人材を判断するためにも、主観的な評価は避けたいところですよね。
採用面接評価シートでは明確な判断基準が設けられているため、面接官の感覚による評価を防ぐことができます。
そのため「同じ選考段階でも面接官によって質問内容が大幅に異なり、選考の合否にばらつきがある」ということが起こりにくくなります。
また候補者が自社の求める人材なのかを見極めるための項目が採用面接評価シートにまとめられているため、面接における質問漏れなどを防ぐことも可能です。
【時間の短縮】面接で見るべきポイントが明確になる
採用面接評価シートがあることで、面接官が候補者の何を評価すればよいのかが明確になります。
面接経験は面接官によってバラバラです。
まだ面接をあまりしたことがない担当者は候補者を見極めるためにどのような質問をすれば良いのかが明確に分かっていない可能性があります。
候補者を見極めるためには、その人の本質を引き出せるような質問を行うことが必要です。
面接評価シートがあることで「何を聞いたら良いのか」というポイントが明確になりやすく、結果的に面接時間の短縮にも繋がります。
【面接の改善】面接評価の記録が行える
採用面接評価シートを使って面接の記録を残すことで、面接段階ごとの引継ぎを行いやすくなります。
エントリーシートなどでは見極められない候補者の能力を自社の評価軸をもとに数値化したものが採用面接評価シートになります。
前回の面接で記入された評価シートを参考にしながら、より精度高く候補者を評価できるように選考の準備を行うことが可能です。
また、面接で素早く的確に候補者を評価できているのかの振り返りを行い、次年度の採用面接に活かすこともできます。
採用面接評価シートは、候補者の評価を助けるだけではなく、分析するためのデータとして活用すると効果的です。
採用面接評価シート導入のデメリット
ここまで面接評価シートを作成する利点について解説してきました。
しかし、便利な面接評価シートも使い方を間違えると逆効果になってしまうことも。
ここでは二つのデメリットを説明します。
①点数をつけること自体に意識が向いてしまう
記録をとることに注力するあまり、面接評価シートに記録すること自体が目的になってしまい、柔軟な評価ができなくなってしまう可能性があります。
②チェックポイントが正確でなければ、求める人物を採用できない
チェックポイントを自社のこだわりや社風、業務内容に沿って的確に設定していない場合、面接官をする社員同士で誤った認識をしてしまう可能性が高くなります。
面接官が同じ認識を持っていないことで、優秀な人材を正確に評価することができなくなってしまいます。
そのため、チェックポイントは社員同士で綿密に認識をすり合わせておく必要があります。
採用面接評価シートの作り方│5ステップで解説
ここでは採用面接評価シートの作り方を解説していきます。
例えば目的地までの道のりを示す地図が誤っていたら、行きたい場所に辿り着くのはなかなか難しいですよね。
採用面接評価シートは、自社の求める人材を採用するための地図となるものです。
- 求める人物像を確認する
- 評価項目を設定する
- 評価/採用基準を設定する
- 選考段階ごとに評価項目を分ける
- 質問例を作成する
以下の手順を踏まえ、上記の採用面接評価シートテンプレートを参考にしながら、的確に候補者を見極められる採用面接評価シートを作成していきましょう。
① 求める人物像を確認する
目的地が決まっていなければ、どのようなルートを進んでいくべきか分からないですよね。
求める人物像の認識が曖昧な状態では、何を軸に候補者を評価するべきなのかが決められなくなってしまいます。
そのため採用面接評価シートを作成する際は、まず自社の求める人物像を確認することから始めましょう。
求める人物像は、事業計画をもとに今後自社に必要になるのはどのような人材かを役員や各部署にヒアリングをしながら設定します。
【参考】【初心者向け】採用要件の作り方!求める人物像やペルソナとは違う?
② 評価項目を設定する
求める人物像を確認したあとは、具体的にどのような能力やスキルを見極めていくのかを設定していきます。
主体性、チャレンジ精神、協調性、というように求める人物像に即した項目をまずは全て書き出してみましょう。
ただし、評価項目を設定する際には、現在活躍中の人材の特徴を参考にしすぎないようにしましょう。
なぜなら、自社で現在活躍している人材の特徴が、今後の事業展開における活躍人材にも当てはまる特徴であるとは限らないからです。
以下の画像は評価項目の設定例です。
こちらを参考にしながら、これから自社が発展していくために必要な人材の特徴も並べるように意識するようにしましょう。
③ 評価/採用基準を設定する
ひとえに「主体性を持っている」人でも、「自ら課題を発見できる」候補者と「自ら課題発見・解決を行いながら、チームを動かし目標達成ができる」候補者では評価が異なりますよね。
そのため評価項目を設定するだけではなく、1つの項目に対してどのような基準で評価を行うのかを設定する必要があります。
5段階評価などで評価を行い、定量的に候補者とのマッチ度を判断しましょう。
また質問によって配点の比重を考える必要があります。
「必須要件である『主体性』の評価は5で、歓迎条件である『チャレンジ精神』は2」
「必須条件である『主体性』の評価は2で、歓迎条件である『チャレンジ精神』は5」
上記2つの例は、合計点は一緒ですが、自社が求める人材により近いのは前者です。
もし合計点だけで合否を決めてしまっては、自社の求める人材を不採用としてしまう可能性があります。
自社が求める人材を的確に採用できるように、「必須条件」「歓迎条件」のように評価/採用基準の設定を綿密に行いましょう。
④選考段階ごとに評価項目を分ける
上の表からわかるように、選考段階ごとに評価するポイントは異なってくるため、選考段階ごとで評価項目を分けることをおすすめします。
例えば一次面接ではコミュニケーションスキルなどの社会人としての基礎的なマナー、二次面接では性格が企業とマッチしているかと自社への志望度など、各選考段階で見極めるべきポイントを分け、シートを作成すると良いです。
⑤ 質問例を作成する
的確に自社の求める人材を採用するには、どの面接官でも面接の質が一定となる構造を作ることが重要です。
そのためには採用面接評価シートに質問例も作成しておくと良いでしょう。
その際、構造化面接でよく使う「起点となる質問」と「話を掘り下げる質問」の2つを各項目ごとに作成しましょう。
例えば、「目標達成力」という項目の質問では、「目標達成力を発揮した経験はなんですか?」という起点となる質問と「目標達成のために起こした行動が、なぜ必要だと考えたのですか?」「その目標達成力は他の場面でも発揮できましたか?」という話を掘り下げる質問に分かれます。
構造化面接ほど厳密に質問を設定しなくとも、評価項目に即した質問が行えるように質問例を作成しておくと良いでしょう。
構造化面接についてさらに知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【参考】【簡単】構造化面接の質問例・手順を紹介!Google導入の理由
採用面接評価シート作成時の5つの注意点
こちらでは採用面接評価シートの作成時に注意するべき点についてご紹介します。
以下の5つがポイントです。
- チェックポイントはわかりやすく表現する
- 採用目的にあった評価項目を作成する
- 評価項目数は必要最低限にする
- コメント欄を作成する
- 面接中に使いやすいデザインにする
上から詳しく解説していきます。
①チェックポイントは分かりやすく表現する
採用面接評価シートでは、評価項目の隣にその項目の定義を示すチェックポイントが記されています。
このチェックポイントをいかに分かりやすく表現できるかが、面接官ごとの評価項目の認識のズレを予防するための鍵となります。
特に「行動力」「主体性」といった項目は、何をもってその項目に当てはまるかという認識に差が出やすいため注意が必要です。
「行動力」は「工数がかかることでも躊躇せず行動できる、諦めずに様々なアプローチを試せる」というように、具体的にどのようなアクションが取れていると評価項目に該当すると判断できるのかを記載しましょう。
また採用面接評価シートとは別に、どれくらいのアクションだとどの評価になるのか、ということを示した表を共有しておくと良いです。
以下のテンプレートを参考に、各項目での評価の詳細を設定しましょう。
②採用目的にあった評価項目を作成する
採用面接評価シートはどのような人材を採用したいのかによって仕様が変わります。
ポテンシャルを重視する新卒と、今までの経歴やスキルを重視する中途とでは採用面接評価シートを変える必要があります。
他にも営業職とエンジニア職では候補者に求める項目も異なるでしょう。
どの採用にも同じ採用面接評価シートを使いまわしてしまうと、自社の求める人材を的確に採用できなくなってしまう恐れがあります。
採用要件の変更に応じて一部修正などを加えながら、採用面接評価シートを使い分けるようにしましょう。
③評価項目数は必要最低限にする
評価項目数が多いとシートにばかり集中が行ってしまい、目の前にいる候補者との対話に対する意識が薄くなる可能性があります。
面接の時に最も重要なのは、採用面接評価シートを埋めることではなく、候補者が自社に合う人材なのかを見極めることです。
評価項目数を必要最低限に設定するよう意識し、面接官が面接を行いやすくなるような採用面接シートの作成を心がけましょう。
また評価項目の中で「自社が最も大事にしているポイント」についてシート上に示しておきましょう。
特に時間をかけて深掘りするべきところが明確だと、面接官が効率的に候補者の見極めを行うことができます。
④コメント欄を作成する
採用面接評価シートをもとに候補者を評価すると、点数をつけること自体に意識が向いてしまいますが、評価項目の横に『コメント欄』を設けることによって対策することができます。
評価コメント例
候補者の回答から事実を抜き出してコメント欄に記述するスペースがあることで、面接官が主観ではなく事実ベースで客観的に評価が行うことの意識づけができます。
また面接内容の記録にもなるため、後から振り返り、見極めが不十分であるポイントなどを改善していくことが可能です。
コメント欄に記載されている内容と実際に入社した社員のパフォーマンスを比較しながら、どのような採用面接評価シートだと効率的に候補者の見極めが行えるのかを考えていきましょう。
コメント例を参考にしながら、感想ではなく、事実をベースとしてコメントを残すことを心掛けましょう。
⑤面接中に使いやすいデザインにする
的確な採用のために採用面接評価シートを作っても、シートの仕様が複雑だと形骸化してしまいます。
面接の流れとともに確認しやすいようなデザインにすることで、面接官が使いやすい仕様にしましょう。
例えば、志望理由などエントリーシートに既に記載があるような項目の確認は面接の序盤に話しやすいです。
それから今までの経歴や力を入れたこと、将来行いたいことなどを聞いていく流れだと、スムーズに面接を進めていくことができます。
自社で設定した評価項目を、面接の流れを想定しながら並び替え、採用面接評価シートを作成しましょう。
面接評価シート運用時の3つの注意点
面接評価シートを運用するにあたって注意すべきことを紹介します。
以下の3つがポイントです。
- 評価項目を絞る
- チェックシートの管理体制の構築
- チェックシートの項目の見直し
上から詳しく解説していきます。
①評価項目を絞る
チェックシートの評価項目が多すぎると、その分面接時間も長くなりますよね。
面接時間は企業によって異なると思いますが、30分から1時間が一般的です。
面接時間から逆算して、質問項目を精査することで、効率よく面接を行えるでしょう。
②チェックシートの管理体制の構築
選考には、人事担当者以外にも、複数の現場社員が関与します。
候補者を検索する時に手間がかからないよう、チェックシートの管理方法を整理しましょう。
そこで、面接評価シートを紙媒体にするのか、データで管理するのか定める必要があります。
- 紙媒体で管理を行う際は、時期ごとにファイリングする
- データ形式で管理を行う際は、フォルダにまとめてタイトルを付ける
など管理しやすい方法を検討してみましょう。
③こまめにチェックシートの項目を見直す
自社が求める人物像は不変ではありません。
会社によって、社会情勢や会社の方針の変化にともない、採用要件に変更が出る可能性があります。
そのため、面接評価チェックシートの項目をこまめに見直して、変更に合わせて追加・削除を行うことをおすすめします。
MatcherScoutなら採用したい学生をスカウトできます
MatcherScoutとは、OB・OG訪問サービス「Matcher」に登録している学生に向けてスカウトを送ることができる、ダイレクトリクルーティングサービスです。
テキスト上で直接やり取りを行うこともできるため、中長期的に確保することができます。
MatcherScoutは
- 成功報酬型でリスクなく導入できる
- 優秀な学生に多数のアプローチができる
- スカウト送信など運用に負担がかかる業務を代行
といった特徴があります。
必要な人材に絞ってスカウトを送ることも、もちろん可能です。
詳しいサービスの内容については、3分でわかるMatcherScoutをご覧ください!
おわりに
いかがでしたか。
本記事では、採用面接評価シートを導入するメリット、作成方法をご紹介しました。
自社の求める人物を的確に採用するためにも、面接官が候補者を評価しやすくなるような仕組み作りを行うことが重要です。
採用面接評価シートを作成し、効率的に採用を行えるようにしましょう。