採用予定者に向けて内定が決定したことを通知する内定通知書ですが、内容や体裁は企業に委ねられているため「内定通知書に何を記載すればよいのか」とお悩みの採用担当者も多いと思います。そのような方のために、本記事では内定通知書のテンプレート共に書き方を解説します。
さらに、内定通知書に法的拘束力があるのか、その他の採用書類との違い、注意点についても解説していますので内定通知書を作成・送付する採用担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
内定通知書とは
内定通知書とは、企業が求職者を採用する意思があることを通知する書類のことを指します。
ここからは内定通知書を送付する目的や発行する義務があるのか、さらに法的拘束力があるのかについて解説していきます。
内定通知書を送付する目的
内定通知書を送付する目的は、トラブルを防ぐことです。口頭で内定を伝えるだけでなく文書として残しておくことで、企業側・求職者双方の認識の齟齬を防ぐことが可能です。
内定の通知を口頭で済ませてしまうと、「言った」「言ってない」のトラブルが起こる可能性があります。
内定通知書を発行する義務の有無
内定通知書は、法的に発行する義務はありません。企業によって発行するかどうかの判断が委ねられています。
しかし、実際は多くの企業が内定通知書を発行しています。その理由として、内定通知書を送付する目的でもあげたように、口頭で伝えるだけだとトラブルが起こる可能性があるためです。求職者に内定を伝える確実な手段として、内定通知書が発行されています。
内定通知書に法的拘束力はあるのか
内定通知書自体には法的効力はありません。ですが、「内定」には「始期付解約権留保付労働契約(しきつきかいやくけんりゅうほつきろうどうけいやく)」という法的意味があります。
これは労働契約(または入社日)まで、労働者と企業のそれぞれが解約権を持っている特別な労働契約のことを指します。そのため、内定通知書を発行しても特別な事情が発生した場合は入社日前の内定取り消し(または辞退)が可能となります。
❚ 内定通知書の発行後に企業の内定取り消しが認められる特別な事情とは
内定通知書によって、企業と求職者の間に労働契約が成立します。そのため、内定通知書発行後に企業側が求職者の内定を取り消すことは法的には解雇と同じ扱いとなり、企業が正当な理由なく内定を取り消すことは労働契約法の「解雇権の濫用法理」により、違法・無効と判断される可能性があります。
「では、いかなる場合でも内定を取り消すことができないのか?」というと、そういうわけでもありません。
内定通知書に明示した内定取り消し事由に該当し、企業と求職者の間で取り消し事由に合意があった場合は内定の取り消しが認められます。
▼内定取り消しが認められる例
- 内定者が学校を卒業できなかった場合
- 履歴書の内容に嘘があった場合
- 健康上の理由で勤務に重大な支障が出る場合
【参考】厚生労働省『労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール』
❚ 内定通知書を受領した求職者の内定辞退は認められる?
結論からいうと、認められます。内定とは「求職者が企業で労働者として働く権利を持つことが認められた状態」のことです。この権利を行使するかは求職者に委ねられます。
企業が求職者を選ぶだけではなく、求職者も企業を選んでいるということを忘れず、採用した人材に自社への入社意思を固めてもらう必要があります。内定を出して終わりではなく、内定を出した求職者に選んでもらえるように工夫をしていきましょう。
内定通知書を送付するタイミング
内定通知書は一般的に最終面接から1週間〜10日を目処に求職者に送付しましょう。
内定通知書やその他の採用書類の送付の流れは次のようになります。
①選考後、採用の決定:採用通知書(+内定承諾書の送付)
②内定承諾の確認:内定通知書
③入社日当日:労働条件通知書+雇用契約書
内定者も書類の多さに混乱する可能性が高いので、確認用紙を作成・配布することで提出もれを防ぐことができるでしょう。
内定通知書とその他の採用書類の違いについて、この後の見出しで解説します。
内定通知書と他の採用書類との違い
ここでは、内定通知書とほかの採用書類の違いについて解説していきます。
採用通知書との違い
採用通知書とは、求職者が採用になったことを伝える書類です。主な違いは、名前の通り通知内容が「採用」か「内定」かの違いです。
「採用」とは企業が求職者と労働契約を結ぶ前の状態で、求職者が選考に合格したことを指し、「内定」とは企業と求職者の間で入社の合意がとれて、労働契約が結ばれていることを指します。
採用通知書は企業が採用に至ったことを求職者に一方的に伝える書類であり、内定通知書は企業と求職者双方で合意が取れた際に発行する書類です。
採用通知書は発行義務がないため、口頭で済ませる企業もありますが、採用の意思を伝えた記録を残しておくことで求職者と無用なトラブルを避けることができます。このように両者は明確な違いはあるものの、採用通知書は内定通知書と似ていることからまとめて「採用内定通知書」として送付する企業もあります。
内定承諾書との違い
内定承諾書とは、学生が内定を承諾し、入社を誓うための書類です。
内定承諾書は内定者に入社意志の有無を確認するための書類であるのに対し、内定通知書は企業が学生に対して内定を通知する書類という違いがあります。
加えて、内定承諾書は企業が独自に発行するものであるため法的効力もありません。しかし、労働契約法第6条の「合意の原則」に基づいて、内定承諾書を介した労働契約は締結されています。そのため、締結後の内定取り消しは内定通知書と同様に、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当である」必要があります。
労働条件通知書との違い
労働条件通知書とは、賃金や労働時間など、労働条件を明示した書類です。労働基準法により、労働条件通知書を使って求職者へ労働条件を明示しなければいけません。
労働条件通知書の交付は労働基準法で定められているため、発行が義務付けられています。その中でも、絶対的明示事項は原則書面(労働者が希望すれば電子メール等でも可)で交付する必要があります。労働条件通知書に関しては厚生労働省が雛形を用意しているのでぜひ参考にしてください。
【参考】主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)
雇用契約書との違い
雇用契約書は、企業と労働者の間で雇用契約が締結されたことを証明する書類です。雇用期間や業務内容、就業時間が記載されており、双方が署名捺印することでこれに合意したことを証明します。雇用契約書を結ぶことで、正式な雇用関係を結ぶことになります。
雇用契約書は労働条件通知書とは異なり、発行義務はありません。しかし、口頭による「言った・言ってない」のトラブルを避けるためにも作成した方が良いでしょう。
【テンプレート・雛形あり】内定通知書へ記載すべき事項
内定通知書はどのように書けばよいのでしょうか。ここでは、ダウンロード可能なテンプレートと、内定通知書の基本的な記載事項を紹介します。
【word形式】すぐに使える内定通知書のテンプレート・雛形
記載事項が書かれている内定通知書は、以下からWord形式でダウンロードすることができます。
この資料には、郵送版、メール版のすぐに使える内定通知書のテンプレートのほか、添え状、採用通知書、内定承諾書のテンプレートも含まれています。内定通知業務の工数を大きく削減できる資料となっています。
word形式のテンプレートはこちらからダウンロードしてご活用ください。
内定通知書へ記載すべき事項
内定通知書の体裁に法的な規定がないため、決まった書き方はありません。ここでは、内定通知書に必要な記載事項をご紹介します。
▼内定通知書の記載事項
- 日付
- 求職者氏名
- 採用試験参加のお礼
- 内定通知文
- 返送が必要な書類の説明(種類・期限)
- 入社日
- 同封書類の説明
- 書類の提出期限
- 内定取り消し事由の説明
- 社名
- 採用担当者の連絡先
また、内定通知書に給与を記載することも可能ですが、労働条件通知書として別途で通知することが一般的です。
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内定通知書等の送付方法
ここまで、様々な書類について解説しましたが、採用を決めた人材に渡す書類はどのように送付すれば良いのでしょうか。ここでは、書類の3つの送付方法とそれぞれの注意点について解説します。
▼書類の送付方法
- メール
- 郵送
- 学校に送付
1|メールの場合
メールの場合、他社のメールと混じってしまう可能性もあるので、シンプルでわかりやすい件名や差出人にしましょう。それから、求職者は毎日メールをチェックするとは限りません。最終面接時に、内定通知はメールで送ることを伝えておくと安心でしょう。
送付メールのテンプレートは次のようなものになります。こちらからダウンロードしてご活用ください。
2|郵送の場合
郵送の場合、郵便物が取り扱われている際に生じる不足の事態によって内定者に内定通知書が届かないことを防ぐ必要があります。そのため、郵便物が無事に配達されたことを追跡できる簡易書留を使って郵送した方が良いでしょう。また、返信用封筒に自社の名前、住所や切手をあらかじめ貼っておくことで、求職者の手間も省けます。
◎郵送時の封筒に同封するもの
内定通知書を郵送する場合は、以下の4点を同封することが基本です。
▼内定通知書郵送時に同封するもの
- 添え状
- 内定通知書
- 内定承諾書
- 返信用封筒
3|学校宛ての場合
学校宛てに内定通知書を送る場合は、宛先に学校名を入れ、窓口となっている担当者や教師の名前を記載しましょう。わからない場合は学校名の後に「御中」と記載し、件名を「内定者決定のお知らせ」と、学生を推薦したことへの感謝を伝えましょう。もし、不採用となった場合でも、不採用者の名前、そして不採用理由については面談で伝えることも記載します。
内定通知書を作成する際の注意点
内定通知書を発行するにあたり、以下の内容から注意しておくべき点について解説します。
▼内定通知書を作成する際に注意すべき点
- 社印の押印はなくてもよい
- 正確な情報を記載する
- 問い合わせ先と担当者を記載する
- 受け取りを確認できる方法で送る
①社印の押印はなくてもよい
雇用契約は民法上の解釈で、口頭のみでも成立するとされていることから内定通知書に社印の押印はなくても問題ありません。ただ注意点として、コピーなど内定通知書の偽書が出回る危険性があります。危険を担保するという意味で、社印や通し番号の割り振り、人事部長印などをしておくといいでしょう。
②正確な情報を記載する
当たり前ですが、送付する書類に間違いがあっては失礼です。特に、求職者の情報に関しては注意して記載するようにしましょう。
③問い合わせ先と担当者を記載する
問い合わせ先と担当者を内定通知書内で明記することで、内定者が質問や確認事項があった際に対応がしやすくなります。求職者の不安を解消することは会社に対する信頼感を高め、さらに、丁寧な対応をすることで入社意欲を向上させることができるでしょう。
④受け取りを確認できる方法で送る
内定者に送付した内定通知書がしっかり本人の手元に届いているかを確認できるよう、「簡易書留」や「レターパック」など、配達の状況を確認できる方法で郵送することも大切です。
内定通知書に関するよくある質問(Q&A)
ここからは内定通知書に関してよくある疑問について、Q&A形式で解説していきます。
◎内定通知書の再発行依頼はOKするべき?
基本的には応じることが一般的です。内定通知書は、大学や奨学金機関、または賃貸の契約などで提出が求められることがあります。再発行する際は、初回に発行した通知書と混乱しないよう再発行日を記載するとよいでしょう。
また、郵送・メール送付など手段を相談のうえ決定することが望ましいです。
◎内定通知書の返信期限の延長依頼にはどう答える?
状況に応じて柔軟に対応するのがよいでしょう。学生が他社選考との兼ね合いや家族の相談などで、意思決定に時間を要することはよくあります。企業としては内定辞退のリスクもあるため不安になるところですが、理由が明示されている場合一度は延長を認めるとよいです。
ただし、返信が来ないことを防ぐために、延長の具体的な期限を設けることが必要です。同時に、期限を過ぎても返信がない場合は内定取り消しの可能性もあることも含め、誠実に伝えましょう。
◎内定通知書の労働条件は変更してもよい?
原則として、内定通知書発行後の労働条件の変更は避けるべきです。内定通知書は、企業と内定者の間での労働契約の事前合意の一部とみなされるため、内容の変更はトラブルの原因になります。
特に給与・勤務地・勤務時間などの重要事項の変更は、内定辞退や信用問題にもつながりかねません。
一方で、学業の都合による入社日の変更や健康上の理由での勤務時間の調整など、学生から要望があった場合、対応できる範囲で変更してもよいでしょう。
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まとめ
内定通知書は単に内定を告知するためのものではなく、応募者に対して入社してほしいという気持ちを伝えるものでもあります。この記事で基本的な構成や注意点を理解し、テンプレートを活用しながらよりよい採用活動につなげていただければ幸いです。