【テンプレート付き】内定通知書の書き方と内定に関する書類を解説
2024/05/31

採用予定者に向けて内定が決定したことを通知する内定通知書ですが、内容や体裁は企業に委ねられているため「内定通知書に何を記載すればよいのか」とお悩みの採用担当者も多いと思います。

そのような方向けに、本記事では内定通知書の記載内容をテンプレート共に解説します。

加えて、内定に関係するその他通知書についても解説していますので参考にしてください。内定承諾率の向上に欠かせない2つの秘訣の資料ダウンロード

内定通知書とは

求職者からの内定承諾を確認できたときに「内定」が成立します。

内定が成立したことを伝えるために発行されるのが、内定通知書です。

一般的に、内定通知書は単体ではなく、後に説明する労働条件通知書(雇用契約書)が同封されることが多いです。

なお、内定通知書には法律上の発行義務はありませんが、内定通知書によって内定を通知したことに対しては法的効力が発生します。

内定通知書の発行後に企業は内定取り消しを行えるのか?

内定通知書によって、企業と求職者の間に労働契約が成立します。

そのため、内定通知書発行後に企業側が求職者の内定を取り消すことは法的には解雇と同じ扱いとなり、企業が正当な理由なく内定を取り消すことは労働契約法の「解雇権の濫用法理」により、違法・無効と判断される可能性があります。

【参考】厚生労働省『労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール』

「では、いかなる場合でも内定取り消すことができないのか?」というとそういうわけではありません。

内定通知書に明示した内定取り消し事由に該当し、企業と求職者の間で取り消し事由に合意があった場合は内定の取り消しが認められます

▼内定取り消しが認められる例

  • 内定者が学校を卒業できなかった場合
  • 履歴書の内容に嘘があった場合
  • 健康上の理由で勤務に重大な支障が出る場合

以下の記事で健康上の理由と内定取り消しに関する記事を具体的にまとめているので加えて参考にしてください。

【参考】新卒内定者の入社前健康診断について解説|制度や内定取り消しの条件

内定通知書を受領した求職者は内定辞退が可能なのか?

では、求職者が内定通知書を受領し、承諾した後に内定辞退することが可能なのでしょうか?

結論からいうと「可能」です。

民法で「雇用期間に定めがない時は、解約(内定辞退)の申し入れから2週間が経過すると雇用契約が終了する」と定められています。

わかりやすく言い換えると、求職者は企業に入社する2週間前まで内定を辞退する権利を持っています

そのため、できる限り内定辞退者が出ないようにフォローを徹底的に行う必要があります。

内定辞退を防ぐための対策を以下の記事で紹介しているので参考にしてみてください。

【参考】内定辞退を防ぐには?辞退の理由と13個の対策を紹介!

内定通知書の記載必要事項

では、内定通知書にはどのような事項を記載する必要があるのでしょうか?

内定通知書の体裁に法的な規定はありませんが、通知書には基本的に以下の内容を記載するとよいです。


  • 日付
  • 求職者氏名
  • 社名
  • 採用試験参加のお礼
  • 内定の通知
  • 入社日
  • 同封書類説明
  • 返送必要な書類の説明(種類・期限)
  • 採用担当の連絡先
  • 内定取消条項

内定通知書のテンプレート

このまま使える内定通知書のテンプレートを作成しましたので是非お役立てください。

【テンプレート】内定通知書

                           令和●年●月●日
●● ●●●様

                 内定通知書

拝啓
この度は弊社の新卒採用選考にご応募いただき、ありがとうございました。
また先日は最終選考にご足労いただいたこと、重ねてお礼申し上げます。

厳正な選考の結果、貴殿の採用が決定いたしましたので、ご通知申し上げます。
つきましては、以下書類を同封いたしました。

必要書類に記入、署名・押印のうえ、 
●月●日までにご返送くださいますよう、お願いいたします。
                                敬具

                 記
1.入社日
 令和●年●月●日

2.同封書類
 入社承諾書
 労働契約書
 身分保証書

3.提出期限
 令和●年●月●日 必着

4. 内定取り消し事由

本状送付後、及び必要書類をご返送いただいたのち、以下の事項に該当する事柄が判明・発生した場合は内定を取り消す場合があります。

1.重大な経歴の詐称が判明した場合

2.犯罪を犯す、もしくは犯したことが判明した場合

3.業務上支障をきたす重篤な病気であることが判明した場合

4.入社日までに現在在籍している教育機関を卒業できない場合


                                以上

質問やご不明点等ございましたら、下記までご連絡ください。
株式会社●●●●
新卒採用担当
電話番号:●●●-●●●●-●●●●
メールアドレス:●●●●@●●●●

ドキュメント版のテンプレートはこちらからダウンロードして、お使いください。

内定通知書の送付方法について

内定通知書の送付方法について議論している様子。内定通知書の送付方法について郵便、メール、そして学校宛ての3つに分けて解説していきたいと思います。

郵送の場合

郵送の場合、郵便物が取り扱われている際に生じる不足の事態によって内定者に内定通知書が届かないことを防ぐ必要があります。

そのため、郵便物が無事に配達されたことを追跡できる簡易書留を使って郵送した方が良いでしょう。

また、返信用封筒に自社の名前、住所や切手をあらかじめ貼っておくことで、求職者の手間も省けます。

メールの場合

基本的に送る内容は郵送と変わりません。

しかし、他社のメールと混じってしまう可能性もあるので、シンプルでわかりやすい件名や差出人にしましょう

それから、求職者は毎日メールをチェックするとは限りません。

最終面接時に、内定通知はメールで送ることを伝えておくと安心でしょう。

送付メールのテンプレートも紹介いたしますのでぜひお役立ちください。

【テンプレート】送付メール

件名:※重要※【株式会社▲▲】内定通知書の送付

⚫︎⚫︎様
先日はお忙しい中、
弊社の採用試験にお越しいただき誠にありがとうございました。
株式会社▲▲、採用担当の⚫︎⚫︎です。

厳選なる審査の結果、
○○様の内定が決定いたしましたのでここに通知いたします。

また、入社手続きに必要な書類に関しましては、
別途ご連絡をさせていただきます。

⚫︎⚫︎様と働ける日を社員一同心待ちにしております。

以上、メールにて恐縮ではございますが
取り急ぎご連絡申し上げます。

——————————————————

株式会社▲▲人事部採用第一グループ

⚪︎⚪︎

住所:〒111-1111 東京都~~

TEL:000-1111-2222 / FAX:000-1111-2222

URL:https://www….co.jp

Mail:abcd@abcd.co.jp

——————————————————

学校宛ての場合

学校宛てに内定通知書を送る場合は宛先に学校名を入れ、窓口となっている担当者や教師の名前を記載しましょう。

わからない場合は学校名の後に「御中」と記載し、件名を「内定者決定のお知らせ」と、学生を推薦したことへの感謝を伝えましょう。

もし、不採用となった場合でも、不採用者の名前、そして不採用理由については面談で伝えることも記載します。

封筒の中身について

内定通知書を郵送する場合、

  • 添状
  • 内定承諾書
  • 返信用封筒

この3点を入れておくことが基本です。

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新卒の内定通知書を作成する際の注意点

内定通知書を発行するにあたり、注意しておくべき点について解説します。

①民法上内定通知書への社印の押印はなくてもよい

雇用契約は民法上の解釈で、口頭のみでも成立するとされていることから内定通知書に社印の押印はなくても問題ありません。

ただ注意点として、コピーなど内定通知書の偽書が出回る危険性があります。

危険を担保するという意味で、社印や通し番号の割り振り、人事部長印などをしておくといいでしょう。

②正確な情報を記載する

当たり前ですが、送付する書類に間違いがあっては失礼です。

特に、求職者の情報に関しては注意して記載するようにしましょう。

③問い合わせ先と担当者を記載する

問い合わせ先と担当者を内定通知書内で明記することで、内定者が質問や確認事項があった際に対応がしやすくなります

求職者の不安を解消することは会社に対する信頼感を高め、さらに、丁寧な対応をすることで入社意欲を向上させることができるでしょう。

採用にかかわるその他通知書

採用に関わるその他通知書を書いている様子。採用には様々な通知書が必要となりますが、「どれがいつ必要になるのかわからない」や「それぞれの送付タイミングがわからない」という方も多いと思います。

そのような方向けにまとめましたので参考にしてください。

送付すべき通知書一覧

採用決定者に送付すべき通知書は次の5つになります。


  • 採用通知書
  • 内定承諾書
  • 労働条件通知書
  • 内定通知書
  • 雇用契約書

ここでは、その他通知書送付の内容について詳しく解説します。

採用通知書

内定通知書と混同されやすい書類ですが、主な違いは名前の通り通知内容が「採用」か「内定」かの違いです。

「採用」とは企業が求職者と労働契約を結ぶ前の状態で、求職者が選考に合格したことを指し、「内定」とは企業と求職者の間で入社の合意がとれて、労働契約が結ばれていることを指します。

採用通知書は発行義務がないため、口頭で済ませる企業もありますが、採用の意思を伝えた記録を残しておくことで求職者と無用なトラブルを避けることができます。

このように両者は明確な違いはあるものの、採用通知書は内定通知書と似ていることからまとめて「採用内定通知書」として送付する企業もあります。

内定承諾書

内定承諾書とは学生が内定を承諾し、入社を誓うための書類です。

基本的には内定者に入社意志の有無を確認するための書類で法的な発行義務はありません。

加えて、企業が独自に発行するものであるため法的効力もありません。

しかし、労働契約法第6条の「合意の原則」に基づいて、内定承諾書を介した労働契約は締結されています

そのため、締結後の内定取り消しは内定通知書と同様に、「客観的に合理的な理由」と「社会通念条相当である」必要があります。

労働条件通知書

労働基準法により、企業は内定を出すとき(採用するとき)に、求職者へ労働条件を明示しなければいけません。このときに用いられるのが、労働条件通知書です。

労働条件通知書の交付は労働基準法で定められているため、発行が義務付けられています。

その中でも、絶対的明示事項は原則書面(労働者が希望すれば電子メール等でも可)で交付する必要があります。

労働条件通知書に関しては厚生労働省が雛形を用意しているのでぜひ参考にしてください。

【参考】主要様式ダウンロードコーナー (労働基準法等関係主要様式)

雇用契約書

雇用契約書は企業と労働者の間で雇用契約が締結されたことを証明する書類です。

雇用期間や業務内容、就業時間が記載されており、双方が署名捺印することでこれに合意したことを証明します。

雇用契約書は労働条件通知書とは異なり、発行義務はありません

しかし、口頭による「言った・言ってない」のトラブルを避けるためにも作成した方が良いでしょう。

それぞれの通知書を送付するタイミング

企業によって発行義務のない書類は送付しない場合もあると思いますが、それぞれの書類は次のような流れで送付すると良いでしょう。

①選考後、採用の決定
→採用通知書(+内定承諾書の送付)

②内定承諾の確認
→内定通知書

③入社日当日
→労働条件通知書+雇用契約書

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まとめ

内定通知書は単に内定を告知するためのものではなく、求職者に対して入社してほしいという気持ちを知らせるものでもあります。

内容に間違いがあると、せっかく内定を出した就活生から不信感を抱かれ、最悪の場合辞退されてしまうかもしれません。

学生に入社したいと思われる会社になる第一歩として、会社の入り口である採用の現場から、丁寧な対応の仕方を考えてみてはいかがでしょうか。