近年、様々な業界でDX化が推進されています。
2020年、政府において「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」が決定され、目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」が示されました。
このDX化、採用でも進んでいることはご存じですか?
採用のDX化により、業務が効率化されるだけでなく、採用における課題解決が可能です。
本記事では、採用DXの効果や実現方法について、詳しく解説します。
採用活動や業務を効率化させたい方や、採用DXって具体的にどんなものか気になっている方はぜひご覧ください。
採用DXとは?
「採用DX」とはデジタル技術やITツールを活用・導入を通じて選考や組織体制を変革し、優秀な人材を確保することです。
採用DXの対象になる領域は「認知」「応募」「選考・内定」「入社・活躍」の採用にかかわるすべてのフェーズです(下図)。
例えば、採用領域における「応募者管理」や「適正検査」「面接」といった作業をデジタル化することで、採用フローの効率化を実現します。
ただし、採用のDX化の目的は単にITシステムの導入によって、採用をデジタル化することだけではありません。
採用CX(候補者体験)とEX(従業員体験)を向上させることも目的に含まれます。
- 採用CX⇒候補者が企業のことを認知してから内定がでるまでの一連の体験のこと
- 採用EX⇒従業員が働いているときに得られる体験のこと
【参考】【新卒】 採用CX(CandidateExperience)を解説
採用をDX化する目的は、ITシステムの導入によって、採用CXとEXをより良いものにすることです。
そもそもDXとは
ここで「DX」とは何か、確認しておきましょう。
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、デジタル技術を用いることによる生活やビジネスの変革を指す言葉です。
定義
“企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内
部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラッ
トフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)
を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリ
アルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上
の優位性を確立すること”(IDC Japan 株式会社)
採用DXが注目されている背景
採用市場において採用DXが求められる理由として、以下の2つが挙げられます。
オンライン上での採用活動の定着
コロナ禍を機に、説明会や選考の一部をオンラインで実施するようになりました。
新型コロナウイルスにかかわる行動制限はほぼ撤廃されましたが、オンラインでの採用活動は定着すると考えられます。
そのため、企業は採用活動にもIT技術やツールを導入する必要が生じているのです。
就活生はSNS上での口コミや情報を重視する
新卒採用がデジタルネイティブ世代になったことで、SNS上での情報発信に力を入れる必要が出てきました。
またopenworkなど、既存の社員が自社の働き方などの口コミを書くことができる媒体も増加しているため、企業の積極的な情報発信が求められています。
新卒採用をDX化するメリット3選
新卒採用でDX化する意味はあるのでしょうか?
ここで、新卒採用をDX化するメリットについて以下の3つについて解説します!
- 採用業務の効率化
- データベースの構築
- 採用CXの強化
①採用業務の効率化
従来の採用方法だと、候補者の履歴書やエントリーシートをチェックするだけでも膨大な時間がかかりました。
ITツールを導入することで、応募書類の選別が自動化できるため、業務負担が軽減し、短時間で書類選考を完了します。
面接の日程調整も電話やメールでのやり取りでなく、半自動化することが可能です。
②候補者データベースの構築
採用のDX化によって、候補者の情報を管理するデータベースを構築できます。
それにより
- 過去の候補者へのアプローチ
- 各候補者の選考進捗の一括管理
などが可能になります。
③採用CXの強化
ITツールを導入し、企業にマッチングする候補者を絞ることができれば、効果の高い的確な情報発信が可能になり、候補者も満足する選考が実現できるでしょう。
また採用フローの各段階で、ITツールを介したやり取りしり形式を用いることで、連絡漏れが起こりにくく、コミュニケーションの円滑化が期待できます。
候補者との信頼構築も可能です。
採用DX化実現に向けた4つのステップ
前述した通り、採用をDX化する目的は、ITツールを活用することで、業務効率化を図るだけでなく、優秀な人材に働き続けてもらい、候補者から選ばれる企業となることです。
採用DXの目的実現に向けた、方法とポイントについて見てみましょう。
STEP1:現状のCX(候補者体験)を整理する
続いてCX(候補者体験)の整理です。
近年の市場の変化によって候補者のニーズや行動が変化している可能性があるため、現状のCXを把握しておきましょう.。
例えば、候補者が自社を認知する方法は、従来候補者自身が合同会社説明会や就活サイトが中心でしたが、現在はスカウトサービスやSNSなど多くの選択肢があります。
また、近年ではインターンシップや社員との座談会への参加が、選考を受けるかどうかの基準になっているのです。
まずは、4P分析やSTP分析といったフレームワークや手法を用いて現状のCXを整理しましょう。
これまでの採用活動で蓄積したデータを揃えておくことも大切です。
STEP2:EX(従業員体験)を整理する
なぜなら、面接時の社員の態度やSNSでの社員の投稿は、応募者が企業を判断する際に重要な判断材料となるからです。
例えば、面接時に社員が不機嫌な態度をとったり、SNSで企業の悪口を投稿したりすると、応募者は「この会社は働きにくいのではないか」という印象を抱く可能性があります。
そうなると、応募者は入社を辞退したり、入社後も早期退職したりする可能性があり、採用活動の成果を下げることにつながるでしょう。
EXが高い企業は、社員が仕事にやりがいを感じ、積極的に取り組む傾向があります。また、SNSで企業の良い評判を拡散してくれる可能性も高くなります。
そのため自社のEXの状態を理解しておくことは採用DXにおいて重要なフローです。
STEP3:CX/EXの理想状態と現状の差分を特定する
理想状態と現状のそれぞれを分析し、差分を特定しましょう。
「理想的なCX/EXを妨げている要素は何か」
「CX/EXを改善するためにはどんなアプローチが考えられるか」
といった問いを立てて考えてみるとよいです。
STEP4:ツールを導入し、課題解決を試みる
STEP3での分析をもとに、どのようなツールが必要なのかを検討しましょう。
例えば、業務が忙しく、学生と接点を持てていないという課題がある場合、採用活動の場を積極的にWebに求めることで、業務は効率化され、多くの人と接点を持てるようになります。
他には、ITツールで多方面から来る請求書を一括管理することができれば、業務の効率化によって作業負担が軽減できます。
その結果残業時間の削減を実現できれば、EXの向上に繋がる上、採用にかける工数を増やすことができるでしょう。
以上の例のようにツールの導入自体を目的とするのではなく、自社の課題解決の手段としてのDX化を進めることが重要です。
採用DXに使えるツール5選
採用DXの実現に効果的なおすすめのサービスを5つ簡単にご紹介いたします。
なお、採用DXにはATS(採用管理システム)の導入もおすすめです。
以下で無料のATSを取り上げていますので安く採用DXを進めたい企業の方はぜひ参考にしてください。
【参考】ATS(採用管理システム)とは?無料サービス7選を徹底比較!|新卒採用ダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scout
ジョブカン採用管理
ジョブカン採用管理は、応募獲得から採用決定までの業務を一元管理するクラウドサービスです。応募者の獲得から候補者の管理、選考の実施、採用活動の効果分析まで行えます
主な機能
- 自社の採用サイトの作成
- Indeed・Googleしごと検索との連携
- 候補者の管理
- 書類選考
- 面接日時の調整
- 面接後のフィードバック記入
- .採用活動の効果分析
特徴
- シンプルで使いやすいUI
- 業界最安値クラスの利用料金(月額8500円~)
- 10種類以上の求人媒体と連携できる
【参考】ジョブカン採用管理
採用係長
採用係長は、株式会社ネットオンが提供している採用管理システムです。
採用サイトの作成から応募者集客まで対応しており、大手求人サイトとの連携や応募者情報の一括管理ができます。
主な機能
- 会社PR文自動作成
- 求人票管理システム
- 求人ページ分析機能
- 求人検索エンジン連携
- 応募者管理システム
- 最低賃金チェック機能
- 自動返信機能
- 面接サポート機能
特徴
- 自社採用サイトを簡単に作成できる
- サポート体制が充実している
- indeedと連携可能
- 応募者情報や選考状況を一括管理できる
【参考】採用係長
3.HITO-Link リクルーティング
HITO-Link リクルーティングは、新卒・中途採用に特化したクラウド型の採用支援システムです。パーソルプロセス&テクノロジー株式会社が提供しています。
主な機能
- 応募者情報自動取り込み
- エージェント連携(紹介・派遣会社)
- カレンダー連携
- 求人ページ作成
- 説明会・面接などの予約受付
- メール一括送受信
- 採用分析・レポート機能
- 新卒/中途の一元管理
- i選考フロー調整
- WEB面接機能(Zoomなど)
- タレントプール機能
- 書類選考結果一括反映
- 新卒/中途の一元管理機能
特徴
- 40種類以上の求人媒体と連携できる
- Execl集計作業なしで採用分析が可能
- 媒体からの候補者取り込みや紹介会社の管理、候補者との面接日程調整などの作業を効率化できる
4.HARUTAKA
HARUTAKAはオンライン面接を軸においた、採用のオンライン化を進めるサービスです。
主な機能
- 録画面接機能
- ライブ面接機能
- 採用管理システムとの連携機能
- 応募者管理
- 日程調整
- 設問登録
特徴
- オンライン面接に特化したサービス
- オンライン採用の導入支援が手厚い
- AIを使って選考の評価を定量化できる
【参考】WEB面接ツールharutaka | 採用改善プラットフォームharutaka(ハルタカ)
採用DXを成功させるには
採用DXを進める際には、以下の点に注意が必要です。
- デジタル技術の導入それ自体を目標としないこと
- 採用担当者の意識改革とともに進めること
- 効果検証を欠かさないこと
採用DXは、デジタル技術を活用することで採用活動を効率化し、自社にマッチした人材を獲得するための取り組みです。
ただし、デジタル技術の導入に偏りすぎてしまうと、採用担当者のスキルや経験が不足し、採用活動の質が低下する可能性があります。
また、採用担当者の意識改革を図らないと、デジタル技術を活用した採用活動がうまく進みません。
さらに、採用DXの効果を継続的に検証しないと、効果的な施策が把握できず、採用活動の改善につながらないでしょう。
単に先端技術を導入して満足するのではなく、
それを
- 何のために
- どう使い
- どのような効果
を出せているのかを検証しながら採用DXを進める必要があります。
採用DXの事例
最後にツールを導入し、採用DXを実施した企業事例をご紹介します。
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社は戸建て、マンションの管理を担う企業です。
同社は
- 書類選考を手作業で行っており、工数がかさんでいた
- Excel上で選考管理をしていたので歩留まり確認に時間をとられていた
という採用課題がありました。
そこで、
- 採用の効率化
- ミスマッチ防止
を目的にHITO-Linkを導入。
導入した結果、採用業務に付随する事務作業を効率化でき、事務作業が効率化されたことで、業務の所要時間が月40〜50時間程度削減されました。
採用DXを進めたことで採用の本質的な部分に注力できるようになりました。
【参考】媒体からの候補者取り込みをすべて自動化! ー50時間/月の効率化によって候補者へ向き合う時間を創出
東京建物
東京建物株式会社は、日本最古の総合不動産会社として、幅広く事業を手掛け、学生からも人気の企業です。
同社では
- 評価の属人性が高かったこと
- 動画選考をする際に数千人分の動画を見る必要があった
という採用課題がありました。
harutakaを導入したことで
- 動画選考の評価にかかっていた工数を半分に削減
- 評価基準の定量化
を実現しました。
その結果、一人一人の学生に向き合う時間を確保できるようになり、より高い制度での選考が進められるようになったとのことです。
【参考】「学生一人一人とより真摯に向き合いたい」東京建物がAI導入で成功した評価の定量化と、データ活用のこれから | 採用改善プラットフォームharutaka(ハルタカ)
採用業務を効率化するならMatcherScout
Matcher ScoutとはOB・OG訪問アプリMatcherに登録頂いている学生に向けて、スカウトを送信するダイレクトリクルーティング活動を行います。
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Matcher Scoutの導入事例
Matcher Scoutを実際に導入されている企業が、導入してみてどんな効果があったか、採用課題は解決したかについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
【参考】ムラのない集客力。工数削減とナレッジ蓄積が同時に行え、意欲的な学生の採用に成功しました。(株式会社クイック:人材)
【参考】4名の学生さんとの出会い。スカウトを通じて弊社の魅力が伝わり、マッチ度の高い学生さんとのご縁が生まれました。(freee株式会社:IT)
おわりに
採用DXは目的ではなく、採用活動を効率化するための手段であることをご理解いただけましたでしょうか。