新卒の離職率は平均約3割!退職理由と対策方法について解説
2023/10/16

新卒3年目以内の離職率が高くなっている現在。

「離職率が高くて困っている・・・」という悩みは、どの企業も抱える共通の悩みになっています。

本記事では、離職率の平均を日本全体・業界別・企業規模別に紹介した後、離職が生じる原因と対策を紹介しています。

離職率の高さに悩む企業の方は必見の内容です。

この記事は、新卒採用に特化したダイレクトリクルーティングサービス「MatcherScout」を運営する弊社所属のライターが執筆しています。

Matcher Scoutは学生へのスカウト送信等を代行する「スカウト代行型のダイレクトリクルーティングサービス」です。

  • 独自のABテスト機能で、成果の残るスカウト送信を実現
  • 完全成功報酬型のため、初期費用が0円
  • MARCH・関関同立の学生の割合が高い

といった特徴があります。

「学生にスカウトを送信しているけど、なかなか成果につながらない・・・」

という企業の方におすすめです。

詳しくは、下記よりMatcher Scoutに関する資料をダウンロード頂けますと幸いです。3分で分かるMatcher Scoutの資料ダウンロードを喚起する画像

離職率の定義と計算方法

厚生労働省によると、離職率とは「常用労働者数に対する離職者数の割合」を指します。

離職率は以下の計算式で算出できます。

離職率=調査対象期間内の離職した人の数÷起算日の従業員数×100

決算月が3月で、4月1日に従業員が200名いる会社の場合で考えてみましょう。

上記の会社で4月1日〜翌年の3月31日までに30名が退職をすると、離職率は30÷200×100=15 で15%になります。

「自社の離職率をしっかりと把握しておきたい」という方は、上記の式を使うのがおすすめです。

【参考】厚生労働省「2019 年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」

定着率との違い

離職率と似た意味の言葉に「定着率」があります。

定着率とは「入社した従業員が一定期間後に会社に残っている割合」を示し、離職率と真逆の意味を持つ数値です。

定着率は以下の計算式で求められます。

定着率=調査対象期間後に勤務している人数÷起算日の従業員数×100

【最新版】日本の平均離職率データ

日本企業における離職率は一般的にどのくらいなのでしょうか?

以下では属性別の離職率のデータを紹介しますので、自社の現状分析にお役立てください。

日本企業の平均離職率は13.9%

まずは日本全体の平均離職率です。 離職率は13〜15%で推移していることがわかります。

この数値は、正規雇用・非正規雇用労働者全てを含みます。入職率・離職率の推移

【参考】厚生労働省「入職と離職の推移」

新卒の3年以内離職率は30%を超えている

新卒(大学卒)の3年以内の離職率は以下の通りです。

  • 2016年卒 32.0%
  • 2017年卒 32.8%
  • 2018年卒 31.2%

新卒3年以内の離職率は、約30%で推移していることがわかります。

【参考】厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します

【業界別】新卒3年以内の離職率 

業界・業種別の新卒3年以内離職率は以下の通りです。業界別新卒3年以内離職率

サービス業や教育業、医療・福祉などの業種では、新卒の離職率が全体平均を大きく超えています。

これらの業種は夜勤や休日出勤があることや在宅ワークができないことなどから、ライフワークバランスを保ちにくい傾向があります。

繁忙期や忙しい時間帯などは勤務時間が長くなりやすいことや肉体労働が多いことなども、離職率の高さにつながっているでしょう。

一方で、電気・ガスなどのインフラ業界や製造業では離職率が低い傾向にあります。

これらの業界は給与水準が比較的高く、休暇が取りやすいことが特徴です。

人々の生活に欠かせない事業を展開しているため、業績が景気に左右されにくく安定している点も離職率が低い要因です。

【参考】厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」

【規模別】新卒3年以内の離職率

新卒3年以内の離職率は、会社規模によっても変わります。

以下は会社規模別の離職率です。事業規模別新卒3年以内離職率

【参考】厚生労働省「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況」

従業員数の少ないベンチャー企業やスタートアップ企業は、離職率が高い傾向にあり、反対に会社の規模が大きくなるほど、3年後の離職率は低くなります。

離職率の原因ランキングTOP5 

「コストをかけて新卒を採用したのに、すぐに辞めてしまう・・・」

「業界平均より自社の離職率が高い・・・」

とお悩みの方はいませんか?

自社の離職率を改善するためには、新卒社員が離職する原因を把握することが大切です。

以下は、新入社員が3年以内に退職した理由をグラフに表したものです。

ここでは、退職した理由の上位5項目を詳しく見ていきましょう。新卒3年以内に退職した理由

【出典】THE ADECCO GROUP「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」

1位:自身の希望と業務内容のミスマッチ

第一志望として入社した企業であっても、配属先や業務内容が入社前のイメージと異なる場合があります。

そういった際に当初の希望が実現できる企業に転職するために、退職を決断するパターンが少なくありません。

2位:待遇や福利厚生に対する不満

給料・福利厚生などの待遇面は、知人や他社との比較から不満に繋がることが多いです。

一度、競合他社・年齢別の平均年収と自社の待遇を比較し「著しく待遇が悪くないか」を確認することをおすすめします。

3位:キャリアアップが望めないため

終身雇用制度が少しずつ崩れていく中で、社員は企業の安定性にくわえて「自身のキャリアにつながる業務であるか否か」を重視した職業選択をするようになりました。

  • 業務がルーチン化されていて、新しいことに取り組めない
  • 年功序列で成果を残しても役職に就くことが難しい
  • 機械でも代替できるよな仕事が多く、専門性が身に付かない

といった状況の企業は従業員が不満を抱えやすく、離職につながる可能性が高まります。

4位:長時間労働のため
また長時間労働が慢性化している会社も、離職率が高くなりやすいです。

具体的には、以下のような状況が挙げられます。

  • 休日でもメール・チャットに返信することを求められる
  • 人手不足であり、1人1人が長時間働かないと業務が回らない

近年、新卒入社する企業を選ぶ際「土日はしっかり休めるか」「残業時間は長くないか」を考慮する学生が増加傾向にあります。

そのため、休日出勤・長時間労働が常態化している職場は、新卒にとって働きづらい環境と言えるでしょう。

5位:上司や同僚との人間関係に関するストレス

人間関係によるストレスがかかるシチュエーションとして、具体的には、以下のような状況が挙げられます。

  • 同僚、先輩に話しかけづらい雰囲気が職場内で漂っている
  • パワハラに近い言動を行う上司がいる
  • 社員同士が助け合うのではなく、責任を押しつけあっている
  • ネガティブな発言が多い従業員が力を持っている

特に新卒は、社会人としての知識がないまま入社してくるため、直接指導を行う上司の存在が非常に大きいです。

新卒を受け入れている部署では、言動に注意して接するようにしましょう。

【参考】OJTとは?OFF-JTの違い・研修のフロー・コツを簡単解説!|新卒採用ダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scout

離職率が高い企業の特徴

ランキング調査を踏まえて離職率の高い企業の特徴をまとめました。

以下のような特徴が自社に見られる場合、改善するための対策を行う必要があるでしょう。

  • 長時間労働が常態化している
  • 業務の量やレベルと給与が見合っていない
  • 勤務時間や場所の変更、休暇の取得が柔軟にできない
  • ノルマや目標が厳しい
  • 業務内容が不明瞭
  • ハラスメントが横行している
  • 福利厚生が少ない、あっても形骸化している
  • 人事評価制度に公平感・透明性がない
  • 人材育成やキャリア支援に力を入れていない
  • 従業員が企業に対して愛着を持っていない

離職率が高いことにより発生する問題とは?

これまでは、離職が発生する要因について見てきました。

では離職率が高いと、どのような問題が生じるのでしょうか。解説していきます。問題のイメージ画像

①人手不足になり売上を伸ばすことが難しくなる

1つ目の問題として「売上を伸ばしにくくなること」が挙げられます。

というのも企業の売上増加には、ヒト・モノ・カネの3つすべてが重要であり、ヒトは経営の根幹をなす重要な役割を持つからです。

特に優秀で長く働いてくれる従業員の確保は、売上に直結します。

経営に与えるダメージを少なくするためにも、離職率を下げることが重要なのです。

②採用コスト・教育コストが無駄になる

2つ目の問題が「採用コスト・教育コストが無駄になる」ことです。

採用には非常に多くの人手が必要で、社内研修にも大きなコストがかかっています。

そんな時間とお金をかけて採用した社員がすぐに退職してしまうと、採用・教育にかけたコストが見込んでいた売上を上回り、赤字の状態になってしまいます。

1名の社員が3カ月以内に退職した場合、約187万円の損失になるというデータもあります。社員が入社後3か月で退職した際の損失概算

「早期離職」は人手不足が生じるのみならず、費用面でも問題が生じるのです。

③社員1人にかかる負担が増える

3つ目の問題が「社員1人にかかる負担が増えること」です。

離職率が高いと本来10人で回すはずの仕事を5人で回すという状況になり、社員1人1人の負担が増加します。

そうなると、社員の業務に対する不満が高まり、離職が連鎖して起こる可能性もあります。

離職率を下げる方法6選

では離職率を下げるためには、どのように対処すればよいのでしょうか。

ここでは離職率を下げるために有効な対策を5つ紹介します。内定辞退を防ぐための内定者フォローの資料ダウンロード

①新入社員の研修体制を拡充する

まず1点目が、社員の教育制度を拡充することです。

特に新入社員の教育は手厚く行いましょう。

座学だけでなく、自社が社会に与える影響・意義などを研修にて伝えることで、新入社員の会社に対する思いを強くできます。

面接を突破した優秀な社員に長く働いてもらうためにも、新入社員の教育は手厚く行いましょう。

②自動化で生産性を上げ、労働時間を減らす

2点目が「自動化で生産性を上げ、労働時間を減らすこと」です。

DXという言葉に代表されるように「自動化」は、労働生産性を上げるために重要な要素となっています。

今一度社内の業務を見返し「機械に代替できる業務はないか」を確認するようにしましょう。

③社員全員が納得できる評価制度を作る

3つ目が「社員全員が納得できる評価制度を作る」ことです。

評価に納得でき、その評価が給料・昇進に反映されると、待遇面で社員のモチベーションが下がることはありません。

評価は具体的な数値・プロセスが事前に示されていると、誰の目から見ても公平で分かりやすくなります。

具体的な数値・プロセスだけで判断が難しい場合は、上司が「なぜ今期はこのような評価になったのか」を明確に伝えることが重要です。

④人員の配置を流動的に行えるようにする

4つ目が「人員の配置を流動的に行えるようにする」ことです。

具体的には、以下のことが行えます。

  • 希望する部署を定期的にヒアリングし、空きがあれば希望部署に異動をしてもらう
  • 上司と部下の関係性が悪い場合に、どちらかを他の部署/チームに移す仕組みを整える

「人間関係の悪化による退職」を減らすためにも、配置を流動的にできる仕組みを作ることは重要です。

⑤給与・待遇を競合他社と変わらない水準まで引き上げる

5つ目が「給与・待遇を競合他社と変わらない水準まで引き上げる」ことです。

先述の通り、給与・待遇面の不満は競合他社との比較によって生じることが多いです。

そのような事態を防ぐために、給与・待遇面はできるだけ競合他社と変わらない水準まで引き上げましょう。

⑥自社に合った人材を採用する

6つ目は採用段階から自社との相性を見極め、ミスマッチを防ぐことです。

自社にマッチした人材を採用しやすい手法として「ダイレクトリクルーティング」があります。

「ダイレクトリクルーティング」とは、自社の採用要件にマッチした学生に効果的にアプローチする手法です。

企業のほうからアプローチするため、自社に合う人材の意図で会うことができます。

ダイレクトリクルーティングでおすすめなのが、弊社が運営している「Matcher Scout」です。

【Matcher Scoutの特徴】

  • 運用で発生する事務作業を代行する
  • 独自のA/Bテスト機能で、会いたい学生に会える確率を向上できる
  • 自社にマッチした優秀な学生にアプローチが可能
  • 採用成功まで料金は一切かからないため、リスクなく導入できる

詳しくは、下記よりMatcher Scoutに関する資料をダウンロード頂けますと幸いです。3分で分かるMatcher Scoutの資料ダウンロードを喚起する画像

離職率を下げるとどんなメリットがあるの!?

離職率を下げるメリットは具体的には以下の3つです。

  • 自社のイメージが向上する
  • 生産性の向上が見込める
  • 採用・育成にかけたコストが無駄にならない

1つずつ具体的に見ていきましょう。離職率を下げるメリットについて説明する様子

1、自社のイメージが向上する

離職率が業界平均と比べて高いと

「ブラック企業なのではないか・・・」

「経営が上手くいっていないのではないか」

といった印象を持たれやすくなります。

一方離職率が低いと、

「社員が働きやすい会社である」

「経営が安定している」

といった印象を持たれやすくなります。

結果として、求職者から自社に対するイメージが良くなり、応募者の増加に繋がるでしょう。

特に学生は働いた経験がないため、離職率など分かりやすい数値データを非常に重要視します。

「新卒採用の募集を行っても学生が集まらない・・・」という場合は、自社の離職率を改善してみるのも1つの手段です。

2、生産性の向上が見込める

離職率が改善すると「生産性の向上」も見込めます。

離職率が低い企業の多くは、社員が

  • 労働環境
  • 人間関係
  • 給与、待遇

などに満足しているケースが多いです。

「現状に満足して働いている」と、社員は前向きに業務に取り組めるようになり、結果として生産性の向上に繋がります。

3、採用・育成に掛けたコストが無駄にならない

3つ目のメリットとして「採用・育成に掛けたコストが無駄にならない」という点が挙げられます。

多くの企業は、採用と育成に多くのコストを掛けているはずです。

せっかく時間とお金を掛けて採用・育成したにも関わらず、すぐに離職されては、それまでのコストが無駄になってしまいます。

一方離職率が低く、長い間働いてもらえると、費やした時間とお金以上の利益をもたらしてくれるはずです。

「採用・育成に掛けられるコストが非常に少ない・・・」という場合は、コストを抑える施策に合わせて、離職率を下げる工夫も行いましょう。

離職率が低下した企業事例

続いては実際に「離職率が改善した企業」を、その方法とともに紹介していきます。

「離職率を下げたいけど、具体的にどうやってやったら良いのか分からない・・・」という方は必見の内容です。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、離職率を28%から4%に減らすことに成功しました。

このポイントとして「人事制度」を、社員みずから設計するようになったことが挙げられます。

人事担当者以外の社員が人事制度を変更し、自身にマッチした人事制度を選べるようになりました。

結果として「在宅勤務制度」や成果や生産性を重視する「ウルトラワーク制度」など、さまざまな人事制度が作り出されました。

それにより社員の働きやすさも大きく向上しています。

また「人事制度をみずから作成すること」により、社員1人1人の主体性が向上した、というメリットもあったとのことです。

【出典】離職率28%、採用難、売上低迷。ボロボロから挑んだサイボウズのハイブリッドワーク10年史

株式会社鳥貴族ホールディングス

株式会社鳥貴族は、さまざまな取り組みを通じて、離職率を低く抑えています。

具体的には「店舗に配属されて間もない新卒の社員に、入社後1ヶ月程で本社の社員が直接話を聞きに行く」といった取り組みを行っています。

直属の上司にはいいづらい要望・不満を本社の社員が吸い上げることで、新入社員の労働環境が改善し、早期離職が減少しました。

また飲食業界の一般的なイメージとは異なり、無断での残業・休日出勤も禁止されています。

加えて、休日を増やしたことで、完全週休2日に近い年間休日111日を実現しました。

働く社員に寄り添った仕組みづくりを複数行うことで、鳥貴族の離職率は低くなっています。

【参考】【定着率の裏に理念あり】離職率が業界平均を大きく下回る鳥貴族の秘密 | リクナビNEXTジャーナル

株式会社レオパレス21

株式会社レオパレス21は、新入社員の離職率を15%から9%弱まで改善することに成功しました。

この数値は、業界平均以下です。

離職率を下げるために同社が行ったのが、

  • 研修制度の導入
  • 評価制度の見直し

の2つです。

研修制度では、

  • 管理職向けのコンテンツ
  • 営業力を強化させるためのコンテンツ
  • 組織マネジメント

などさまざまなものを実施しています。その結果、社員の能力向上だけでなく、会社に対するロイヤリティも向上しました。

また評価制度の見直しでは、時間の長さではなく、限られた時間で成果を出す社員を評価する制度に変更したことで、労働環境の改善を実現しました。

この研修・評価制度を行った結果、社員1人あたりの月間労働時間を約6時間短縮させ、34%だった有給取得率を70%にまで伸ばすことに成功しています。

社員が働きやすい環境になったことが、レオパレス21の離職率低下につながったのです。

【出典】3年間で離職率が劇的に改善! レオパレス21はなぜ変われたか? | リクナビNEXTジャーナル

まとめ

いかがでしたか?

この記事のポイントは以下の通りです。

  • 新卒3年以内の平均離職率は約30%
  • 特にサービス業や教育・医療・福祉業、従業員数の少ない企業は離職率が高い傾向にある
  • 離職の理由は「待遇や労働時間などの労働条件」「業務内容やキャリア形成」「人間関係」
  • 離職を下げるには研修体制や評価制度・待遇の見直しや、自動化による業務効率化などの工夫を行うのがおすすめ

「自社の離職率が高い・・・」とお悩みの方は、まず自社の離職率が平均より高いのか、離職が起きている原因はどこにあるのかを明確にして、対応策を練りましょう。