少子高齢化などにより、「優秀な人材の採用が難しくなってきたな…」と感じている採用担当者の方はいませんか。
グローバル人材の中に、自社で活躍できる優秀な人材が眠っているかもしれません。
「優秀な人材を採用したいけど、自社とマッチするか不安」という方は、外国人留学生の採用を検討してみてはいかがでしょうか。
今回は外国人留学生の新卒採用について、その方法やポイントについてご紹介します。
グローバル人材の採用については、以下の記事をご覧ください。
【参考】【保存版】グローバル人材採用を大成功させる4つのポイント
外国人留学生の就活・採用動向
外国人留学生を採用するにあたって、その就活状況を把握しておく必要があります。
ここでは、外国人留学生の就活、採用動向に加え、外国人留学生がなぜ日本で就職したいのかについてお話しします。
外国人留学生の就活状況
日本学生支援機構の報告によると、令和3年5月1日の留学生数は242,444人です。
前年より減少傾向にあるものの、2011年から2019年にかけて急激に増えていることから、これからコロナ禍の収束が進むにつれて増えていくことが考えられます。
では、この中で日本で就職したいと考えている学生はどれくらいいるでしょうか。
入国管理局が行った調査によると、令和2年度に日本の企業などでの就職を目的として、在留資格変更許可申請をした外国人留学生は34183人、うち許可が下りた学生は29689人です。
主な国籍・地域別内訳では、中国が10933人と最も多くなっており、ベトナム、ネパール、韓国、スリランカとアジア諸国が続き、全体の95.5%をアジアに属する国が占めています。
業種別の許可数の割合としては、卸売業・小売業が最も多く18.2%で、職業紹介・労働者派遣業が次いで7.8%、3番目に多いのは学術研究、専門・技術サービス業の7.6%です。
職種内容別では、翻訳・通訳が20.6%、海外取引業務が8.1%、情報処理・通信技術が7.2%と、グローバル人材を活かした職に就く傾向があります。
【参考】独立行政法人日本学生支援機構「2021(令和3)年度外国人留学生在籍状況調査結果」
【参考】出入国在留管理庁「令和2年における留学生の日本企業等への就職状況について」
外国人留学生が日本で就職したい理由
日本で就職したい外国人留学生の人数とその内訳について紹介しましたが、これほどの人数の学生が就職先として外国である日本を選ぶ理由はなんでしょうか。
株式会社ディスコの調査によると、理由として最も多く挙げられたのは「生活環境に慣れているから」で、68%を占めています。
次に「日本語力を活かせるから」で64.4%、3番目に多かったのは「給与・待遇が良いから」で38.7%です。
語学や環境の面で慣れていることが理由として多くの学生から挙げられていました。
【参考】株式会社ディスコ「2023年卒外国人留学生の就職活動状況に関する調査」
外国人留学生の採用状況
多くの外国人留学生が日本で就職活動をする一方で、ほとんどの日本企業は外国人留学生を採用できていないのが現状です。
株式会社マイナビの調査では「2022年卒採用において外国人留学生を採用したか」という質問に対し、「採用した(する予定)」と回答した企業は全体(1915社)の中で7.8%でした。
一方「採用活動はしたが、採用できなかった」と回答した企業が84.4%であるため、採用したいと考えている企業は多数であることがわかります。
「外国人留学生を「採用していない」または「採用予定がない」理由」として最も多く挙げられているのが「外国人が活躍できる環境が整っていないため」で、44.3%を占めています。
次に「現場の受け入れ体制が整っていないため」が41.5%、「ビザの申請など、手続きが困難なため」が15.7%でした。
この結果から、外国人留学生の採用に合わせて環境を作ることに課題があり、採用したいができない現状があることが考えられます。
【参考】株式会社マイナビ「マイナビ 2022年卒 企業新卒内定状況調査」
外国人留学生を採用するメリット
外国人留学生の就活・採用動向についてご紹介してきました。
さて、ここでは外国人留学生を採用するメリットについてご紹介します。
優秀な人材を採用できる
日本人の優秀な人材は、国内では競争が厳しく奪い合いのような状況となっています。
そこでターゲットをグローバル人材に広げることは、優秀な人材を安定して確保することにつながります。
株式会社マイナビの調査では、外国人留学生の採用理由を「国籍を問わず優秀な人材確保のため」と回答している企業が最も多く、60%近くを占めています。
優秀な人材を外国人留学生に期待し、確保しようとしている企業が一定数あることが伺えます。
【参考】株式会社マイナビ「2021年卒 企業 外国人留学生採用状況調査」
海外進出のチャンスにつながる
日本語と母国語となる外国語の両方に長けている外国人留学生は、コミュニケーション面や異文化理解を助ける存在として貴重な人材になる可能性が高いです。
国ごとの独自のビジネスマナーやルールに関する知識を得られることもあるでしょう。
海外進出を検討している企業が増える中、いち早く外国人留学生の人材を確保することはアドバンテージになります。
新たなアイデアが生まれる
先程述べたように、外国人留学生は他国の文化の中で生活してきているため、日本人では思いつかない視点を持っていることがあります。
新規事業の立案など、アイデアマンとして活躍する場面もあるでしょう。
また、母国を離れて日本で働きたいと考えている外国人留学生はチャレンジ精神や高いモチベーションを持っているため、社内に刺激を与える存在になることも考えられます。
日本になじみやすい
海外から外国人を雇う場合、日本の文化や日本語を活用する場面が少なく、日本で働くことに慣れるまで時間がかかります。
その分、外国人留学生は日本で生活している時間が比較的長いため、抵抗が少なく働き始めることができるでしょう。
また、外国人留学生は留学ビザの取得や更新を行った経験があるため、在留資格を変更する際、初めて日本に滞在する外国人よりもスムーズに手続きを進めることができます。
外国人留学生を採用する3つのステップ
外国人留学生を採用するには、以下の3つのステップが必要です。
- ①在留資格を確認する
- ②雇用契約を結ぶ
- ③留学ビザから就労ビザに変更する
それぞれのステップについて、詳しく説明していきます。
①在留資格を確認する
外国人留学生が取得している「留学ビザ」はあくまで学生としての在留資格であるため、原則週28時間のアルバイト勤務までしか認められておらず、そのままでは正社員として企業に入社することができません。
まずは外国人留学生の採用後の配属や業務をきちんと確認し、就労可能かどうか確かめてからビザの変更を申請しましょう。
②雇用契約を結ぶ
「留学ビザ」を変更するために求められる書類のひとつに雇用契約書のうつしがあるため、申請の前に雇用契約を結ぶ必要があります。
ここで注意すべきなのは、「停止条件付き雇用契約」を結ぶことです。
規定上、外国人留学生はビザの変更が認められるまでは就労することができません。
よって、ビザが認められなかったときのために、「ビザが許可されてからでないと雇用契約は適用されない」ことを書き加えておくと安全でしょう。
具体的な書き方としては「本雇用契約書は、在留資格の許可を条件とし、就労許可がなければ発効しないものとする」といった文言を入れることになります。
③留学ビザから就労ビザに変更する
先ほど述べたように留学ビザのままでは就労できず、許可なく就労させた場合は「不法就労助長罪」にあたります。
就労ビザへの変更には、以下のような手続きが必要です。
- 卒業見込証明書を入社の3ヶ月前から申請してもらう
- 書類の原本は申請時に「原本還付」を希望し、原本とコピーの2つを提出する
- 外国人留学生本人が住所地管轄の地方入国管理局などで申請する
申請後の審査では、在留の理由や活動内容から在留資格を割り当てます。
就職先の企業は継続して雇用することができるか、留学生は技術や知識を活かして仕事ができるかなどを審査されることになります。
また、入社後も就労ビザの更新や「外国人雇用状況届出」の提出など申請の機会があるため、出入国管理及び難民認定法(入管法)について把握しておくと安心です。
【参考】栗林総合法律事務所「外国人留学生を雇用する場合の注意点」
外国人留学生を採用するときに注意すべき3つのポイント
外国人留学生を採用するときに気をつけるべきことは、就労ビザの申請だけではありません。
ここでは3つに分けて注意すべきポイントをご紹介します。
①採用条件をわかりやすくする
採用条件を書類として残すことはもちろんですが、本人に伝わるようきちんと説明することが大切です。
入社後に互いの認識の違いから、思わぬ離職やモチベーション低下につながってしまう可能性があります。
例えば「日本語検定N1レベル」「ビジネスレベルの英語でスムーズに会話ができる」といった伝え方がふさわしいでしょう。
他にも自社でどのような活躍を期待しているのか、入社することでどんなキャリアを選択できるのかなどを明らかにすることで、企業への信頼度を上げることにもつながります。
②外国人留学生を受け入れやすい環境をつくる
「外国人留学生の採用状況」では、受け入れる環境が整っていないことが原因で採用しない、できない企業が多いことをお伝えしました。
とはいっても、「受け入れやすい環境ってどうやって作ればいいんだろう…」と悩んでしまう方もいると思います。
環境づくりのためには、まず外国人留学生を受け入れることを事前に社員に伝えておくことがおすすめです。
職場になじみやすいように積極的にコミュニケーションをとることなどを言い添えれば、サポートを促す体制を作ることができます。
さらに、気軽に悩みを共有できるように定期的な面談を行うなど、メンター制度の導入も効果的です。
また、日本人にとって当たり前な「空気を読んで察する」文化に慣れていない可能性があるため、仕事を依頼するときなどは何をしてほしいのか具体的に伝えるよう心がけましょう。
③日本語レベルを確認しておく
株式会社マイナビの調査によると、ネイティブ・ビジネスレベルの日本語力を求める日本企業の割合は70%を超えており、多くの企業が高い日本語力を条件としています。
しかし株式会社ディスコの調査では、外国人社員活用の課題で最も多いのは「社内での日本語コミュニケーション能力の不足」という結果が出ています。
期待した日本語レベルに到達しておらずミスマッチが発生しないよう、社内独自の筆記テストや日本語能力検定の活用などで、事前に外国人留学生の日本語レベルを確認しておきましょう。
【参考】株式会社マイナビ「2021年卒 マイナビ企業外国人留学生採用状況調査」
外国人留学生を採用すべき企業とは?
これまでの内容を踏まえると、以下の企業は外国人留学生の採用に向いていると言えます。
- 優秀な人材を幅広く採用したい企業
- 社員に刺激を与えてくれる新卒を求める企業
- 海外進出を考えている企業<
多くの企業が採用できていない分、優秀な外国人留学生の雇用は大きなアドバンテージになる可能性があります。
資格の申請や環境整備など、準備をしっかり行うことで採用のチャンスを増やしましょう。

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