新卒採用には様々な法律が関わっています。
そのため気を付けなければ、採用の過程で意図せず違法行為を犯してしまうかもしれません。
この記事では採用に関わる法律を網羅的に解説しています。
企業には採用の自由がある
企業には採用の自由が与えられています。
採用の自由とは、使用者が「自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができる」(最判平48.12.12民集27巻11号1536頁[三菱樹脂事件])というものです。
つまり「自社の利益のために必要な条件であれば法律に反しない限り自由に定めて採用してもよい」ということを意味します。
この背景には日本の解雇規制(解雇権濫用法理(労働契約法16条))があります。
一度採用してしまうと簡単に解雇ができないため、企業の採用の自由は重視されているのです。
採用の自由を構成する要素として
- 雇入れ人数決定の自由(何人採用するのかを決める自由)
- 募集方法の自由(人材をどのように募集するのかを決める自由 公募/縁故など)
- 選択の自由(どんな条件の人材を採用するかを決める自由)
- 契約締結の自由(使用者(企業側)は求職者に契約締結を強制されない)
- 調査の自由(候補者が自社に適格かを判断するために候補者の情報を収集する自由)
があります。
ただし採用の自由には限界があり、候補者のプライバシーに配慮し、かつ社会通念上妥当である方法で候補者の情報を収集する必要があります。
【禁止される調査事項】
① 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
② 思想、信条、信仰
③ 労働組合への加入、労働組合活動に関する個人情報
④ 医療上の個人情報
採用担当者が理解しておくべき労働法の基礎知識
まず採用担当者が最低限理解しておくべき労働法について解説します。
労働法
労働法とは、労働関係および労働者の地位の保護・向上を規定する法律の総称です。
労働関係とは、労働者と使用者(雇う側)との間の雇用関係のことを指します。
使用者は、労働者に労働の対価として賃金を支払い、労働者は使用者の指揮命令に従って労働を提供することになります。
労働法は、この労働関係を規律する法律です。
具体的には、労働契約の締結や解除、労働時間や休日・休暇、賃金、安全衛生、労働組合活動など、労働に関する様々な事項を定めています。
労働法の目的は、労働者の地位の保護・向上にあります。労働者は、使用者に対して劣勢な立場に置かれていることが多いため、労働法によって一定のルールを定めることで、労働者の権利を守り、公正な労働条件を確保することを目的としているのです。
労働基準法
労働基準法とは、労働条件に関する最低基準を定めた法律です。
労働基準法の目的は、労働者の人たるに値する生活を営むための必要を充たすべき労働条件を確保することです。
そのために、労働時間、賃金、休日、安全衛生など、労働条件に関するさまざまな規定を設けています。
労働基準法の適用範囲は、以下のとおりです。
事業主と労働者の間の雇用関係に基づく労働
労働関係調整法の規定に基づく請負契約に基づく労働
労働基準法の主要な規定は、以下のとおりです。
- 労働時間の原則:1日8時間、1週間40時間
- 休憩時間:1日6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上
- 休日:毎週1日以上、原則として日曜日
- 時間外労働:労使協定を締結して行うこと
- 割増賃金:時間外労働については100分以上120分未満の労働につき25%以上の割増賃金を支払うこと
- 賃金の支払:直接払、通貨払、全額払、毎月払、一定期日払
- 賃金の最低保障:最低賃金法に基づく最低賃金以上の賃金を支払うこと
- 安全衛生:労働者の安全と健康を確保するための措置を講じること
労働基準法の適用除外とは
労働基準法は、原則としてすべての労働者に適用されます。
しかし、一定の要件を満たす労働者については、労働基準法の適用が除外される場合があります。これを「労働基準法の適用除外」といいます。
労働基準法の適用除外は、以下の通りです。
労働者としての性質を有しない者
労働者としての性質を有しない者とは、労働契約に基づいて労働の対価として賃金を受けている者ではない者のことです。
具体的には、以下の者などが該当します。
- 事業主、その家族、使用人の親族
- 事業主の指揮命令を受けず、独立して労働する者(自由職業者、自営業者など)
- 社会福祉事業や学術研究など、公益を目的とする事業に従事する者
労働時間や休日・休暇に関する規定の適用除外
労働時間や休日・休暇に関する規定の適用除外とは、労働時間や休日・休暇に関する労働基準法の規定が適用されないことを指します。具体的には、以下の者などが該当します。
- 農業、畜産、養蚕、水産の事業に従事する者(林業は除く)
- 管理監督者(事業の経営に関与するなど、重要な地位にある労働者)
- 監視業務等に従事する者(ただし、労働基準監督署の許可を受けた者のみ)
労働基準法の適用除外となるかどうかは、個々の労働者の状況によって判断されます。
労働基準法の適用除外となる場合でも、労働者の安全と健康を確保するための一定の規定が適用される場合があります。
また、公務員は一般的な労働者とは性質が異なるため労働基準法は適用されません。
労働契約法
労働契約法は、労働契約に関する基本的な事項を定めた法律です。
労働契約法の目的は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することです。
労働契約法の主な内容
- 労働契約の成立
- 労働契約の変更
- 解雇
- 労働契約の書面交付
- 労働条件の明示
- 労働者の権利の保護
職業安定法
職業安定法は、労働者の職業選択の自由を保障し、労働力の需給の調整を図ることを目的とした法律です。
職業選択の自由の保障とは、労働者が自由に職業を選択できることを保障するものです。
このため、職業安定法では、求職者への職業紹介、求人者への求職者紹介、求職者への職業指導などの事業を行うことや、求人者による求職者への不当な取り扱いを禁止するなどの規定があります。
職業安定法の主な内容
- 職業選択の自由の保障
- 職業紹介事業
- 雇用保険
- 労働者供給事業
一見採用には関係のない法律のように見えますが、職業安定法によって求人票の記載が規定されているため採用担当者は正しく理解しておく必要があります。
【参考】【企業向け】新卒採用での効果的な求人票の書き方とポイントを解説
労働施策総合推進法
労働施策総合推進法は、労働者の雇用の安定と職業生活の充実を図るために、重要な役割を果たしています。
労働施策総合推進法の具体的な内容は、以下のとおりです。
雇用政策の総合的な推進
労働市場の安定と労働者の多様なニーズに対応した雇用政策を総合的に推進するための規定を定めています。具体的には、雇用創出や雇用安定、労働移動の円滑化、雇用機会の均等などに関する施策を定めています。
労働者の雇用の安定及び職業生活の充実
労働者の雇用の安定と職業生活の充実を図るための規定を定めています。具体的には、労働時間の短縮や休日・休暇の確保、賃金の改善、安全衛生対策、労働者のキャリア形成支援などに関する施策を定めています。
労働者の能力の開発及び活用
労働者の能力を開発・活用するための規定を定めています。具体的には、労働者の教育訓練、職業能力開発、人材交流などに関する施策を定めています。
労働関係の円滑化
労働関係の円滑化を図るための規定を定めています。具体的には、労働協約の締結促進、紛争の解決、労働者派遣の適正化などに関する施策を定めています。
2020年には、労働施策総合推進法が改正され、パワーハラスメント防止対策が義務化されました。これにより、事業主は、職場におけるパワーハラスメントの防止のための措置を講じる義務を負うようになりました。
【参考】労働施策総合推進法の改正 (パワハラ防止対策義務化)について
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法は、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保を目的とする法律です。
禁止事項
- 募集・採用時に男女どちらかを優先すること
- 男女で異なる求人条件を設けること
- 採用に関する情報提供を男女別で行うこと
- 合理的な理由なく業務内容や待遇に差をつけること
例外
事実上の男女間格差を是正する目的で女性を有利に扱う措置(ポジティブ・アクション)
法律違反をした場合どういった罰則があるの?
ここまで採用にかかわる法律について説明してきました。
上記の法律を破ってしまうと、どういったペナルティがあるのかについて解説します。
労働基準法
労働基準法は第一条にて
第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
② この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
としており、労働基準法を下回る内容の契約は出来ません。
労働基準法に違反した場合、労働基準監督署からの指導が入る可能性があります。
場合によって、違反した事業者に対して「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」や「30万円以下の罰金」などが課せられる場合があります。
加えて、労働基準監督官は労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の権限が与えられており(102条)労働基準法違反にたいしては警察と同様に逮捕状を請求し、逮捕・送検することが可能です。
【参考】労基署が異例の逮捕で話題に ── 逮捕できる職業はほかにもあるの?
労働契約法
労働契約法は私法であるため、違反しても刑事罰が与えられることはありません。
ただし、労働契約法に反する労働契約は無効とすることができますし、労働者側から民事訴訟を受ける可能性があります。
※私法=法律の中で市民間の関係性を規律する法律のこと
労働施策総合推進法
労働施策総合推進法には明確な罰則はありません。
しかし、パワハラなどの問題が発覚した場合、厚生労働省の是正勧告が入る可能性があります。
内容が悪質な場合、是正勧告が公表される場合もあるようです。
就活生に「この企業はパワハラが問題になっているらしい」とう印象を持たれるのは大きなリスクです。
労働施策総合推進法を順守し企業イメージを維持できるようにしましょう。
職業安定法
先述の通り、企業は職業安定法に基づいて求人票を作成する義務があります。
労働条件の明示義務違反があるとハローワークに求人が無制限に出せなくなってしまう場合があります。
虚偽の内容の求人を行った場合、職業安定法により「6月以上の懲役または30万円以下の罰金」が課せられることになりますので注意が必要です。
定期的に求人票を見直し、実態と齟齬がないように気を付けましょう。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法の違反には罰則が与えられる場合があります。
第一に違反が発覚した際は、厚生労働大臣より指導、是正勧告が出されます。
そういった求めに対して虚偽の報告をしたり、求めに応じないままでいると企業名の公表や、20万円以下の過料が科せられるなどのペナルティが与えられます。
なお、過料は罰金とは異なりますので、前科はつきません。
【選考フロー別】採用にかかわる法律を解説
人材採用に関わる法律をご紹介しました。
ここからは採用活動の段階ごとに抑えるべきポイントを解説します。
募集要項作成時にかかわる法律
募集要項には「必ず記載が必要な情報」があります。
募集要項に記載をしなければならない必須項目は以下の7つです。
- 業務内容
- 勤務時間
- 勤務地
- 給与
- 保険
- 休日休暇
- 試用期間
- 募集者の氏名もしくは企業名
- 派遣労働としての雇用ではその旨
厚生労働省のホームページには「ハローワークや職業紹介事業者への求人申込み、自社HPでの募集、募集広告の掲載等を行う際」に求人票や募集要項において労働条件を明示する必要があると記載されています。
求人を行う際には、必ず募集要項に労働条件を記載しましょう。
【参考】厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」
募集要項を正しく作りたい方は以下のページも参考にしてください。
【参考】募集要項の正しい書き方を徹底解説【テンプレ付き】|新卒採用ダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scout
採用・選考にかかわるルール
人材を採用・選考するにあたって、厚生労働省では下記のルールを定めています。
1 募集・採用における年齢制限の禁止について
平成19年10月から、事業主は労働者の募集および採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこととされており、年齢制限をしてはなりません。
2 募集・採用における性別による差別の禁止について
事業主は、労働者の募集・採用において性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされています(男女雇用機会均等法第5条)。
3 公正な採用選考について
厚生労働省では、就職の機会均等を確保するために、応募者の基本的人権を尊重した公正な採用選考を実施するようお願いしています。
4 募集・採用における障害者への差別禁止と合理的配慮の提供について
平成28年4月より、事業主は労働者の募集及び採用において、障害者であることを理由に差別することが禁止されています(障害者雇用促進法第34条)。また、障害者から必要な配慮の申出等を受けた場合は、合理的な配慮の提供が義務付けられています(障害者雇用促進法第36条の2)。
法律で原則として収集が認められていない個人情報は、次のとおりです。
社会的差別の原因と
なるおそれのある事項 |
|
思想および信条 |
|
労働組合への加入状況 |
|
違反した場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることもあります。
採用面接のNG質問例
- 本籍地、出生地に関する質問
- 家族、家族構成に関する質問
- 生活環境、家庭環境に関する質問
- 信仰している宗教に関する質問
- 政治信条、支持政党に関する質問
- 労働組合での活動歴、加入状況に関する質問
社会運動への参加に関する質問
他にも
「結婚する予定はありますか?」
「結婚や出産したら仕事は続けますか?」
「何歳頃まで働くつもりですか?」
といった質問などは、男女雇用機会均等法に抵触する可能性が高いです。基本的人権の侵害や就活差別につながるおそれもあるため、気をつけましょう。
【参考】採用・選考時のルール|厚生労働省
公正な面接を実施したい採用担当者の方は以下のページも見てみてください。
【参考】面接で本質を見抜く質問とは?すぐに使えるキラー質問例|新卒採用ダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scout
内定にかかわる法律
続いて内定に関わる法律について解説します。
内定の定義にかかわるルール
内定とは、解約権留保付労働契約と呼ばれる労働契約のことです。
採用内定は、企業から正式な内定通知を受け、両者で採用・入社の意思を確認するタイミングで「始期付解約権留保付労働契約」が成立するという考え方が判例上一般的です。(大日本印刷事件 最高裁二小 昭54.7.20判決)
内定取り消しは取消が解約権の濫用にあたるとして、基本的に認められていません。
大日本印刷事件:留保解約権に基づく大学卒業予定者採用内定の取消が解約権の濫用にあたるとして無効とされた事例
【参考】最高裁判所判例集
【参考】内定の定義とは?内々定との違いや成立条件を解説!|新卒採用ダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scout
内定取り消しにかかわる法律
企業は新卒採用に際して以下の場合においては事前にハローワーク等の施設長にそれを通知する義務があり、報告を受けたハローワークの所長は厚生労働大臣に報告しなければなりません。
①卒業後に労働させ賃金を支払うことを約束し、又は、その旨通知した後、内定期間中にこの約束又は通知を取り消し、又は、撤回するとき
②内定期間を延長しようとするとき
(職業安定法施行規則35条2項)
内定取り消しが認められる条件(内定者側の都合)
- 大学卒業が成立しなかった場合
- 内定者が病気や怪我を負い、就職が困難になった場合
- 重大な経歴詐称
内定取り消しが認められる条件(企業側の都合)
企業側の経営状況悪化に伴う内定取り消しが認められる場合があります。
- 人員整理の必要性(経営悪化の状況を明確に説明できるか)
- 解雇回避努力義務の履行(内定取り消すを避けるためのあらゆる努力を行っているか)
- 被解雇者選定の合理性(平等に内定取り消し対象を選んでいるか)
- 解雇手続きの妥当性(解雇理由を説明し、対象者との交渉を行っているか)
内定者研修にかかわるルール
内定者研修の実施自体は違法ではありません。
ただし、先ほど述べた通り内定は「「入社予定日を就労開始日とする解約権留保付きの労働契約(雇用契約)」であり入社日まで就労を開始する義務はないことに留意が必要です。
実際に内定者が学業を理由に内定者研修を欠席したことによる内定取り消しは、違法であるという判決が出ています。宣伝会議事件(東京地判平17.1.28)
【参考】入社前研修を望む内定者は多い!やり方や賃金の有無について解説|新卒採用ダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scout
入社時にかかわる法律
入社時の手続きに影響を与える法律は以下の通りです。
労働条件通知書
採用する際には労働条件通知書によって内定者に労働条件を通知する必要があります。(労働基準法第15条)
「労働条件通知書」とは、企業が労働者との間で雇用契約を結ぶ際に労働者に交付する、労働条件を記載した書面です。
労働条件通知書のテンプレートは厚生労働省のページからダウンロードできます。
【参考】主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)|厚生労働省
労働条件通知書に関心のある方は下記の記事も参考にしてください。
【参考】労働条件通知書とは?記載すべき項目も解説【テンプレート付き】
試用期間
試用期間中であっても、都道府県労働局長の許可を受けることなく、都道府県ごとに定められた最低賃金を下回ることはできません。
加えて、試用期間中の安易な解雇は解約権の濫用にあたる可能性があります。
採用にかかわる法律に関するFAQ
最後にまとめとして採用にかかわる法律でつまずきがちな点をFAQとしてまとめましたので参考にしてください。
なお、厚生労働省のホームページにて労働条件にかかわる法律についてのFAQの回答が掲載されているのでそちらも併せてご確認ください。
【参考】よくある質問 |厚生労働省
インターンは労働者にあたるのか
結論からお伝えすると、「一般的なサマーインターンやサマープログラムに参加する学生は労働者には当てはまりません。
ただし継続的に雇用したり、一定の業務にあたらせているとなるとインターン生は労働者の条件を満たす可能性があります。
厚生労働省はインターンシップにおける学生の労働者性を下記のように定義しています。
【 インターンシップにおける学生の労働者性 】
以下のような実態がある場合、労働者に該当するものと認められます。
☑ 見学や体験的な要素が少ない。
☑ 使用者から業務に関わる指揮命令をうけている。
☑ 学生が直接の生産活動に従事し、それによる利益・効果が当該事業所に帰属する。
☑ 学生に対して、実態として何らかの報酬が支払われている。
(参照:平成 9・9・18 基発 636 号、昭和 57・2・19 基発第 121 号)
出典:1 インターンシップ制度とは? 2 インターンシップ生受入れにおける留意点 3 インターンシ
学生側の内定辞退は法律で認められていますか?
学生の内定承諾後の辞退は認められています。
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」(憲法第22条第1項)
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」(民法第627条)
以上の条文から、内定者は他の労働者と同様、2週間前に通告すれば退職(内定辞退)ができると判断されているようです。
障害者雇用促進の取り組みで注意することはありますか?
法定雇用率を満たすだけでなく、障害者の能力や特性を活かした職場の環境整備・職場定着支援も重要です。障害者雇用を単なる義務ではなく、多様性尊重による経営強化のチャンスと捉えましょう。
障がい者雇用を推進したいとお考えの採用担当者の方は、以下の記事も参考にしてみてください。
【参考】【最新版】障がい者雇用とは?採用方法や法改正のポイントを解説!
内定取り消しを正当化する客観的かつ合理的な理由とは具体的にどのようなものですか?
- 虚偽の経歴詐称
- 応募資格を満たさない場合
- 内定後の不品行
- 違法行為など
が該当する場合があります。ただし、慎重に判断を下し、応募者への説明責任も果たしましょう。
個人情報保護法の遵守において特に注意すべき点はありますか?
応募者情報の収集目的を明確にし、同意のない情報は取得・利用しないことが重要です。また、不要な個人情報は適宜廃棄し、厳格な情報漏洩対策も講じましょう。
法令遵守に自信がありません。どのような相談先がありますか?
地域の弁護士会や専門家コンサルタント、公的機関の相談窓口などを活用しましょう。法令遵守意識を高め、常に最新情報をキャッチアップすることも大切です。
採用活動と法律に関する理解を深めるためのFAQを5つ紹介しました。疑問が残っている場合は、各項目の内容を参考にもう少し調べてみるのも良いでしょう。法令遵守を徹底し、誰もが安心して応募できる公正な採用を目指しましょう。
内定者に就労規則を適用できますか?
内定を出したタイミングを労働契約が始まったときであると解釈すると、内定者であっても就労規則を適用することができます。
ただし、労働契約法第7条では、
「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとする。」
と定められているため、内定者に就業規則を適用するには内定者が就業規則にアクセスできる体制を整えておく必要があります。
おわりに
いかがでしたか?
この記事では採用に関する法律について網羅的に解説しました。
複雑な法体系ですが公正・公平な採用活動のために重要です。
正しく法律を理解して採用活動に臨みましょう。