面接は、企業が採用したい人材を選ぶ場というだけではなく、候補者が企業を見極める場でもあります。
そこで、面接で少しでも良い印象を持ってもらい、自社への志望度向上を図るために有効な手段の1つが面接フィードバックです。
面接フィードバックは、応募者に対する魅力付けはもちろんのこと、ミスマッチ防止や就活生からのイメージアップなどさまざまなメリットがあります。
この記事では、面接フィードバックのメリットや実施方法について、フィードバックの具体例も交えながら解説していきます。
面接フィードバックとは
面接フィードバックとは、その名の通り面接で良かった点や改善点を応募者に伝えることです。
面接フィードバックは、選考に合格した参加者に対して、合格した理由や次のステップに進む際のアドバイスなどを伝えることが多いです。
ただし、中には不合格者に対してもフィードバックを行う企業もあります。
面接フィードバックのメリット
面接フィードバックを行うことで期待できるメリット・効果は以下のようなものがあります。
- 候補者への魅力付けができる
- 企業イメージアップにつながる
- ミスマッチ防止になる
詳しく見ていきましょう。
①候補者への魅力付けができる
面接フィードバックの最大のメリットは、候補者に対して自社の魅力付けができることです。
自分の良かった点を褒められて悪い気分になる候補者はいないでしょう。
面接でのどんな話から、候補者のどのような経験・能力・人柄を評価したのか詳細に伝えることで、「しっかりと自分のことを見て評価してくれているのだな」という印象を持ってもらうことができます。
また、改善が必要な点についても伝えることで、候補者は次回選考や就職活動全体に役立てることができます。
面接フィードバックを行うことで、「面倒見がよい企業」「丁寧に就活生と向き合ってくれる企業」だという良い印象を与え、志望度アップにつなげられるでしょう。
②企業イメージアップにつながる
SNSが発達した現在、企業の情報は求職者の間で拡散されやすくなりました。
中には、面接の雰囲気や面接官の対応などをSNSで発信する就活生もいます。
SNSに悪評が投稿され広まってしまうと、就活生の間でのイメージや応募者の志望度に悪い影響を与える可能性もあります。
良くも悪くも、自社の選考に参加した候補者からの印象が、企業イメージに影響しやすいのです。
そのため、面接フィードバックを通して参加者に良い印象を持ってもらうことが大切です。
③ミスマッチ防止になる
面接フィードバックはミスマッチ防止にも役立ちます。
応募者のどのような点を評価したのか、またどのような点が不足しているのかを伝えることで、応募者に自社の評価基準を知らせることができます。
企業で求められる特性や能力を知ることで、応募者はその企業が本当に自分とマッチしているのか判断する基準にすることができるでしょう。
面接フィードバックのデメリット
面接フィードバックにはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
①面接官の負担が増える
面接参加者ひとり一人に対してフィードバックを実施するとなると、当然面接官や人事担当者の工数は増加します。
そのため、面接フィードバックに多くの工数を割けられない場合は、「2次面接以降」や「最終面接合格時のみ」フィードバックを行うといった工夫をするとよいでしょう。
②自社の採用基準が流出する可能性がある
面接フィードバックを行うことで、自社の採用基準が面接参加者や他の就活生に伝わってしまうリスクがある点にも留意してください。
先述の通り、応募者に自社の評価基準を知ってもらうことは、ミスマッチを防ぐうえで役立ちます。
その一方で、内定が欲しいがために、フィードバックをもとに応募者が面接で自分を偽ったり、他の就活生に対して自社の評価基準を広めてしまう可能性もあります。
前者に関しては、フィードバックを最終面接合格時のみにすることである程度防止できます。
【OK例・NG例】面接フィードバックで伝えるべき内容
「面接フィードバックの意味や実施するメリットはわかったけど、実際の面接フィードバックではどんな内容を伝えればいいの?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ここからは、面接フィードバックで伝えるべき内容を解説していきます。
①評価した点
まずは「候補者のどのような点を評価して合格と判断したのか」を伝えましょう。
その際、ただ「面接であなたのここが良かった」と伝えるのではなく、必ず評価の根拠もあわせて伝えるようにしてください。
具体的には、以下の内容を伝えましょう。
- 面接でのどのエピソードから、候補者のどのような特性・能力を評価したのか
- その特性・能力がなぜ自社で必要とされているのか、入社後どのように生かせるのか
評価の根拠となったエピソードを伝えることで、候補者はなぜ自分が評価されたのか明確に知ることができ、「きちんと自分の話を聞いて評価してくれている」という実感を持つことができます。
また、入社後の生かし方を伝える際は、具体的なポジションや場面なども示しながら伝えることで、候補者はより具体的な活躍イメージを持ちやすくなります。
<NG例>
「傾聴力が素晴らしい方だと思いました」
→なぜそのように判断したのか、なぜ傾聴力があると良いのかがわからない
「○○さんの部活動でのリーダー経験は弊社で必ず活かせます」
→リーダー経験が自社のどの職種でどのような仕事で生きるのか、具体的なイメージが持てない
<OK例>
「部活動でチームメイトひとり一人の考えを吸いだしてチームをまとめたエピソードから、傾聴力がある方だと思いました。○○さんのように傾聴力のある方は、お客様のニーズを上手く引き出し、弊社の営業職として必ず活躍できると思います」
→具体的なエピソードが根拠になっており、入社後の活躍イメージが持てる
②次回選考に向けたアドバイス
面接フィードバックでは、良かった点だけでなく、次回選考で気を付けるべきポイントや、どのようなアピールをするとよいといったアドバイスも伝えるとよいです。
改善点を伝える場合は、必ず具体的な改善策も一緒に伝えるようにし、個数は1〜2個にとどめましょう。
また、短期間で直すことができないようなところや人格否定と捉えられてしまうような内容も避けてください。
<NG例>
「もう少し論理的に話せるとよいですよ」
→アドバイスが抽象的で改善方法が伝わらない
「お人柄の素晴らしさは伝わってきましたが、能力や経験が他の候補者よりも劣っているように感じました」
→人格否定ととらえられる
<OK例>
「淡々としている印象を受けたので、笑顔を心がけるととさらによくなると思いますよ」
→短期間で改善することができる
「志望動機が漠然としていたので、弊社の部署ごとの仕事なども調べたりしてみて、もう少し内容を詰められるとよいです」
→アドバイスが具体的でやるべきことが伝わる
上記のようなアドバイスに加えて、次回選考で面接官を担当する社員の属性なども伝えると、候補者は次回選考のイメージがしやすくなり親切です。
面接フィードバックはいつ行う?効果的なタイミングと手段
そもそも面接フィードバックはどのタイミング・どの手段で行うべきなのでしょうか?
面接フィードバックを行うタイミングは、選考合格通知から1〜2日後がベストです。
前提として、合格通知はできる限り迅速に行うべきです。
そのため、合格の連絡と面接フィードバックを同時に行うのではなく、まずは取り急ぎ合格通知を行い、フィードバックはその後実施しましょう。
またフィードバックは、基本的に電話で行うとよいでしょう。
メールでは細かいニュアンスや温度感が伝わりづらいため、電話で直接話した方が候補者からも親しみを持ってもらいやすくなります。
最終面接合格時には、ウェブ会議や対面での面談を実施するのも一つの手です。
面接のフィードバックを行うとともに、質疑応答や就活状況のヒアリングを行うことで、入社にあたっての不安解消や自社の魅力付けにつなげられます。
【参考】【事例あり】内定者フォローを成功させるために有効な方法とは?
効果的な面接フィードバックのポイント
ここまで、面接フィードバックで伝えるべき内容や実施するタイミングなどを解説してきました。
さらに効果的な面接フィードバックを行い、候補者の志望度向上につなげるためのポイントは以下の通りです。
- 学生のタイプに合わせてフィードバック内容を変える
- ポジティブな言い回しにする
- 面接官の一人称で伝える
- 評価シートを活用する
- ブリッジングを意識する
詳しく解説していきます。
①学生のタイプに合わせてフィードバック内容を変える
フィードバックには、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの2種類があります。
有効なフィードバックを行うためには、候補者の性格タイプごとにフィードバック内容を変えるとよいでしょう。
ポジティブフィードバック
褒め言葉が中心で否定的な言い回しは避けたフィードバックです。
自己評価が低い候補者に対して使うことで、自分のことを高く評価してくれているという印象から、志望度向上につながります。
ネガティブフィードバック
課題点と改善に向けたアドバイスを中心に行うフィードバックです。
自信がある候補者や優れた経歴を持つ候補者に対して使うことで、自身を成長させてくれる企業だという印象を持たれやすくなります。
②ポジティブな言い回しにする
上記で、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの使い分けについて解説しました。
しかし、面接フィードバックでは、基本的にポジティブな言い回し・内容を選ぶべきです。
たとえネガティブフィードバックを行う場合であっても、「こうすればさらに良くなる」といった前向きな言い回しにするよう心がけてください。
特に、人格否定につながる内容や改善方法がわからないようなフィードバックになっていないかについては注意深くチェックする必要があります。
③面接官の一人称で伝える
フィードバックは、面接官が責任を持って一人称で伝えるようにしましょう。
例えば「一般的にこういうふうに言われているので~」といった言い回しをしてしまうと、面接官がフィードバックの内容に責任を持っていないようにも感じられます。
「私はこのように感じました」というように、面接官自身の意見として伝えることが、相手に誠意を伝えるうえで大切です。
④評価シートを活用する
先ほど、面接フィードバックを実施するデメリットとして、工数がかかる点をあげましたが、工数を削減するためにおすすめなのが評価シートの活用です。
面接での評価項目や評価基準を記載した評価シートをあらかじめ用意し、候補者の回答や反応に対するフィードバックを、ある程度言語化して評価シートに記しておきましょう。
そうすることで、1からフィードバックを作成する手間を省き、確実で適切なフィードバックができるようになります。
また、評価シートを作成しておくことで、評価基準が明確になり、担当者ごとのばらつきを防ぐこともできます。
【参考】【テンプレ付き】面接評価シートの作り方を解説|新卒・中途
⑤ブリッジングを意識する
ブリッジングとは、フィードバック内容を自社の志望度向上につなげることです。
- 面接で評価した長所や能力が自社でどのように生かせるのか
- その長所を自社でどう伸ばしていけるのか
- 候補者の価値観と自社の価値観がどのようにマッチしているのか
などを伝え、フィードバックを自社への適性度に結びつけることで、魅力付けを行いましょう。
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まとめ
いかがでしたか?
この記事のポイントは以下の通りです。
- 面接フィードバックとは、面接で良かった点・改善点などを候補者に伝えること
- 良かった点は具体的な根拠や入社後の活躍イメージとともに伝える
- 改善点を伝える場合は改善策も示し、人格否定にならないよう注意する
- 学生のタイプごとにフィードバックの種類を変えるのがおすすめ
- 評価シートを活用すれば面接フィードバックの工数を削減できる
ポイントを押さえて、候補者の志望度向上を目指しましょう。