最も理想的な採用活動は、募集人数のみと会い、そして全員を採用することです。しかしそのような採用を行うのは現実ではなかなか難しいです。
それではどのようにすれば理想に近い形で採用を行えるのでしょうか?
本記事では、母集団形成の目的や手法を挙げながら、効果的に採用活動を行うための方法を説明をしていきます。
新卒採用において母集団形成とは「自社に応募してくる学生の集団を形成すること」を指します。
内定者を出すためには、まず自社の求める人物像にフィットする学生にエントリーをしてもらわなければなりません。
どのような学生が母集団として集まり、形成されるかによって、良い採用が行えるかどうかの結果に大きく作用します。
採用における一番最初の段階であるエントリーを行う学生が母集団であり、その「量」と「質」をコントロールするために採用活動では「母集団形成」を工夫して行う必要があります。
暗くて周りが見えない状況よりも、明るくて視野が開けていた方がゴールへとたどり着きやすいですよね。
このように、『母集団形成を成功させる』という目標を達成するためには、「新卒採用市場の動向について把握し、ターゲットとなる学生のことや、競合企業の動きについて知っておく必要があります。
近年の新卒採用市場で起こっている『採用の長期化・早期化』と『内定辞退率の変化』、『新卒採用における母集団形成の現状』の3点についてご紹介します。
内閣官房から、23卒の採用活動時期を以下とするように要請が出ています。
【参考】内閣官房『2023(令和5)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請』
これはいわゆる「就活ルール」と呼ばれるものであり、就職活動が学業を圧迫しないように定められたものです。
一方で、このような動きとは裏腹に、採用の早期化・長期化が進んでいる現状があります。
内閣府が就職活動の開始から終了までの期間について調査したところ、2018年卒は「3ヶ月以内程度」が42.9%で最も多かったのに対し、2022年卒では「9ヶ月間程度以上」と回答した学生が37.9%と最も多い結果となりました。
新卒採用の長期化・早期化が進んでいる要因の一つとして、インターンシップが挙げられます。
インターンシップに参加したことのある学生は22年卒で約7割であり、そのうち約5割の学生は複数回参加しています。インターンシップを契機とした早期アプローチがあったと回答した学生は75%でした。
採用面接を「就活ルール」で定められた期日よりも前に行っている企業は97%、内々定は74%、説明会は65%と、ほとんどの企業が早期に学生へとアプローチしていることが分かります。
採用活動に乗り遅れてしまうと「優秀な学生がもう市場にいない」「自社にフィットする学生が見つからない」という事態に陥ってしまうため注意が必要です。
【参考】内閣府『学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査』
2020年〜2022年卒の3月卒業時点における新卒生の内定辞退率の平均は<61.83%>で、内定者の3人に2人は内定を辞退しています。
2022年9月1日時点における23年卒の就職内定辞退率は<64.7%>です。2023年卒では2社以上の内定を辞退している学生の割合は<36.7%>と、22年卒の<32.2%>や21年卒の<28.0%>と比較し、4〜8%ほど高くなっているのが分かります。
このことから優秀な学生は複数社から内定を貰い、辞退する確率が年々高まっていることが分かります。
そのような中で最終的に自社へ入社してもらうには、自社に対する学生の志望度を高める必要があります。自社の例年の内定承諾率から適切な母集団の数を見極め、自社とフィットした学生を母集団形成の時点で集めることが重要です。
【参考】【改善策4選】3年分の内定承諾率から考察!内定承諾率を上げるコツ
【参考】株式会社リクルート 就職みらい研究所『就職プロセス調査(2023年卒)「2022年9月1日時点 内定状況」』
【参考】株式会社リクルート 就職みらい研究所『就職プロセス調査 (2022年卒)「2022年3月度(卒業時点)内定状況」』
他の企業は母集団形成に成功しているのかどうかも気になるところです。
2023年卒において、エントリー数が「前年度よりも減った」と回答した企業は42.5%で、「前年度よりも増えた」企業より11.2ポイント上回っています。
また選考への応募者数においても、応募が「前年度よりも減った」と回答した企業の方が多く、47.2%でした。応募が「前年度よりも増えた」企業は23.9%であり、応募数の獲得に苦戦した企業が多かったことが予想されます。
【参考】株式会社ディスコ キャリタスリサーチ『2023 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査』
優秀な人材を確保しにくく、母集団形成も難しい現在、自社にマッチした人材を採用するためには戦略的に採用手法を決めていく必要があります。
ここからは、新卒採用の母集団形成を行う際に知っておくべき手法や、母集団形成を成功させるためのポイントについて紹介していきます。
近年の新卒採用においては、母集団形成の重要性が増していると言われています。
その背景として「少子高齢化による人口減少で、売り手市場になっていること」が挙げられるでしょう。
事実、2021年度卒を対象とした2020年6月の調査では、有効求人倍率が1.53倍とコロナウイルスの影響がありながら、高水準を維持しています。
【参考】株式会社リクルート リクルートワークス研究所『第37回 ワークス大卒求人倍率調査(2021年卒)』
このような社会的背景から、学生の取り合いが起き、一部の企業・業界で深刻な人手不足が発生しています。
新卒の採用が難しくなっているからこそ「質」と「量」の両方を意識した母集団の形成が重要になってきているのです。
次に新卒採用における母集団形成の流れを紹介します。
母集団形成は、このような流れで行われるのが一般的です。
「採用活動全体の流れを知りたい」「採用要件の決め方が分からない」という場合は、下記の記事をご覧ください。
【参考】【企業向け】新卒採用のスケジュールの立て方を時期別に解説します
【参考】採用ペルソナの設定方法やポイント・具体例について解説!
下記では、5の採用手法について解説しました。
「量」と「質」をコントロールし、上手な母集団形成を行うためには、いくつかの採用手法を理解し、自社に適した方法を見つけ出すことが重要です。
そこで、下記では9つの異なる採用手法を紹介し、それぞれの特徴を見ていきます。
いくつかの採用手法を組み合わせて使うことなども視野に入れながら、自社にあった母集団形成の方法を考えてみてください。
新卒採用における代表的な手法の一つであるナビ採用。
新卒採用媒体としての認知度が高いため、利用している学生数も多いことが特徴です。
会社の紹介や企業情報、募集している説明会や選考の情報などを掲載し、受験者の応募を待ちます。
ナビサイトには総合型と特化型の2種類があります。
総合型はあらゆる業種や職種に対応し、幅広い学生層にアプローチできます。
特化型では、理系学生やエンジニア志望など、ある特定の業種や職種の応募に絞り込んだアプローチが可能です。
自社が対象とする学生を集めるにはどのようなアプローチが最適かを考えましょう。
採用人数に関わらず、シーズンごとの求人掲載費が発生する形態が主流です。
掲載時期(インターン募集の6月頃か本選考の3月頃か)により料金が異なる場合がほとんどです。
また、オプションなどにより追加料金が発生します。
オプションを追加することにより、企業の紹介ページをより充実させることや、学生にDMを送信することなどが可能になります。
ナビサイトを利用するメリットは、母集団における量の獲得がしやすい点です。特に大手ナビサイトの登録学生者数は約70万人前後
という、圧倒的な数の多さが魅力です。
そのため母集団の量を増やす用途として有効です。
また、登録学生者数が多ければその分学生の目に触れる可能性も大きくなるため、自社の認知度を広げられる可能性があります。
例え100名から応募が集まったとしても、そのなかに自社の求める人物像とマッチしている学生がいなければせっかくの努力も水の泡となってしまいます。
ナビサイトでは幅広い学生層にアプローチできる反面、他の採用媒体と比較すると母集団における質を獲得しにくい傾向があります。
ナビサイトと並び、主流となっている採用手法が新卒紹介サービスです。
新卒紹介サービスではエージェントと呼ばれる仲介者が、求人している企業と求職者を繋げます。
企業はエージェントと打ち合わせを行い、自社がどのような学生を求めているのかなどの擦り合わせをします。
エージェントは打ち合わせを受け、登録している学生データベースから自社とのマッチ度が高いと思われる学生のみをピックアップし、紹介します。
基本的に成功報酬型で、内定承諾者一名につき費用が発生します。
自社にマッチしていると思われる学生のみにアプローチするため、母集団における質の確保がしやすく、選考プロセスにおける工数がかかりにくいことが特徴です。
多くの学生のなかから自社とマッチしている学生を見つけ出す作業をエージェントが代行するため、採用にかかる業務工数の削減にも繋がります。
また、自らアプローチするため企業認知度に関係なく学生とコンタクトが取れるため、出会いの幅を広げられます。
自社に合った学生のみと出会う仕組みになっているため、アプローチできる学生の量が限られます。
もしエージェントとの擦り合わせがうまくいかずに求める人物像の認識にすれ違いが起こってしまった場合は、母集団の量も数も獲得できない事態に陥ってしまいます。
人材要件やペルソナ、実際の内定者例などを共有し、丁寧に詳細を詰めるよう注意する必要があります。
【参考】人材紹介導入を検討中の方へ!新卒採用で活用する際のメリット・デメリット
ダイレクトリクルーティング事業社が提供している学生データベースの中から、自社とマッチ度の高い学生を自ら見つけ出し、スカウトを送って直接アプローチする手法です。
学生データベースには、所属大学・学部、学生時代に力を入れたこと、志望する業界・職種とその理由などが書かれたプロフィールがあります。 各サービスごとにプロフィール内容や記載方法に特徴があるため、それぞれを比較・検討してみると良いです。
新卒紹介サービスと同じく、基本的に成功報酬型で、内定承諾者一名につき費用が発生します。
ダイレクトリクルーティングでは自社が会いたいと思った学生のみにアプローチできるため、母集団の質をコントロールすることが可能です。
スカウトの送信数も操作できるため、たくさんの学生に会いたい時はスカウト送信数を多くするなど、母集団の量を増やすこともできます。
自社から学生にアプローチするため、その分の業務工数がかかります。
スカウト送信数の調整で母集団の量を多くすることも可能ですが、送信数を多くするとその分業務の負担も大きくなります。
【参考】ダイレクトリクルーティングとは?特徴や他サービスとの違いを紹介
【参考】ダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットを理解しよう
【参考】新卒採用)ダイレクトリクルーティングの費用、導入検討時の要点は?
他企業と合同で一つのイベントに参加し、自社ブースで会社説明の簡単なプレゼンテーションを行います。 数十社程度のものから数百社が集まるものまで、規模は様々です。それに合わせて学生数も数百人〜数万人まで変動します。
合同説明会は、新卒の就職活動が解禁後活発に行われる傾向があります。
単独の会社説明会とは異なり、志望する業界や会社を広く見ている学生が多く集まることが特徴です。
採用人数に関わらず、イベントへの出展料として費用が発生するのが主です。
一定数の学生に自社を知ってもらうきっかけを作ることができるため、母集団の量を確保することができます。
直接学生に会って魅力付けができるため、自社に対する理解度も深まりやすいです。
様々な業界の企業が集まった合同説明会に参加すると、意外な学生との出会いがあるかもしれません。
また、他企業のブースも覗けるため、どのようなアピール方法で学生にアプローチしているのかを見ることもできます。
自社でも活かせそうな手法を学ぶチャンスもあります。
合同説明会では一度に複数の学生へ説明を行うため、一人ひとりを見極めることが難しいです。そのため母集団の質を確保できる可能性は低めです。
大規模な説明会では、数百と集まる企業のなかで他社に埋もれないためにも印象的なアピールや魅力付けが必要です。
マッチングイベントは他企業と合同で一つにイベントに参加し、学生とマンツーマンで話をする採用手法です。
イベント参加企業は5社以内、学生数は20〜30名ほどと、合同説明会と比較するとかなり小規模で行われるケースが多いです。
会社説明を行ったり、質問に答えたりなど、学生と個別に話せる時間が多いことが特徴です。
合同説明会と同様に、採用人数に関係なく、一回の出展料として費用が発生するのが主です。
理系学生のみなどターゲットを絞って行われるイベントだと出展料もその分高くなる傾向があります。
一回参加すると○名の学生と会えるなどマッチングイベントでは確実に一定の学生と出会えるため、企業認知度に関係なく母集団の量を一定数確保できます。
合同説明会と異なり、学生一人ひとりと話せる時間もしっかりと確保できるため、イベント内で自社とフィットしているか見極めることも可能です。
また、体育会学生限定やIT系限定などのセグメント型イベントでは自社が求める特徴を持った学生のみと接触することも可能なため母集団の質もコントロールできます。
少人数で行われるため、イベントに参加する学生層が限定される傾向にあります。
参加するイベントの学生層が自社の求める人物像に適っていない場合は、せっかくの工数や費用が水の泡になってしまいます。
自社が求める人物像とイベントの特徴が合致しているかを適切に判断することが重要です。
内定者や新入社員から友人や後輩を紹介してもらい、自社が求める人物を探す採用手法です。他サービスと異なり、社内のみで採用活動が完結します。
企業をよく知る人物からの紹介となるため、自社とのマッチ度が高くなりやすいことが特徴です。
サービスを利用していないため特定の支出はありませんが、紹介した内定者や新入社員に一定のインセンティブを支払う場合が多いです。
社内のことも候補者のことも熟知した人物が仲介者となるため、質を確保した母集団形成を行うことができます。入社後のギャップが少なく、ミスマッチが起こる可能性が低いです。
また、かかる費用がインセンティブのみとなるため、他採用手法と比較して支出が抑えられます。
紹介制となるため多くの学生と出会うことは難しく、母集団形成において量を獲得したい企業には向いていません。
ある特定のコミュニティ内で採用を行うことになるため、人材が偏りやすいことも特徴です。
大学に訪問し、そこに通う学生に対して会社説明を行う採用手法です。
学校主催で開催され、他企業との合同説明会となる場合があります。
学内セミナーでは学校側が提供するスペースで、教室に収まる程度の比較的少人数で行われることが多いです。
学生も自分の通い慣れた場所で会社説明を受けることができため、参加への心理的ハードルが低くなりやすいです。
一回の出展料が発生することが主です。合同説明会やマッチングイベントと比較するとかかる費用が少ない傾向があります。
特定の大学や学部の学生に対して説明を行うため、ターゲットとなる人物に対してピンポイントでアピールすることができます。そのため母集団形成における質を確保しやすいです。
また、学内で行われるため学生はセミナーに参加しやすく、他媒体ではリーチできなかったような学生とも出会える可能性があります。
集客できる学生数が限られるため、母集団の量を獲得することが難しいです。
企業からの人気が高い有名大学では、学内セミナーに誘致してもらえない可能性もあります。
ソーシャルリクルーティングと呼ばれるSNS採用では、FacebookやTwitterなどで学生にアプローチし、説明会への誘致を行います。
近年、ソーシャルメディアを利用した情報収集が主流になっており、就職活動においてもまずは企業やイベントの口コミをSNS上で検索する学生も少なくないです。
その状況を利用してSNS採用では企業自らが採用に関する情報を発信していきます。
採用に特化した媒体ではないため、形式もカジュアルになりやすいのが特徴です。
無料でアカウントを作成できる場合がほとんどです。
有料のプロモーションを行い、認知度を高めることも可能です。
採用の広報活動としても利用できるため、企業ブランディングを行えます。
SNSというカジュアルな場の特徴を活かしてリアルな企業情報を発信することにより、企業理解の解像度が高い学生からの応募がある可能性があります。
気軽にやりとりが行えるため、学生と企業の相互理解が深まります。
そのため母集団形成における質を確保することが可能です。
学生にリーチするためにも、まずはフォロワーを増やすことから始める必要があります。
採用活動のための基盤がなく、こまめな情報発信やメッセージのやりとりなどの業務に手間がかかるため、運用に工数がかかります。
また、費用対効果が見えにくい媒体でもあるため、せっかく工数をかけたのに応募が全然得られなかったという事態も起こり得ます。
母集団形成において大事なことは、エントリー数を増やすだけではありません。
「母集団の人数(エントリー数)の目標を決定すること」も非常に重要です。
母集団を形成する目標の人数を決めずに、ただ採用媒体を通じて学生のエントリーを増やしても、最終的な目標である「採用人数を確保すること」は達成できません。
そればかりか「エントリーを増やすために、採用媒体をたくさん使ったけど、結局ほとんどの媒体が必要なかった・・・」なんてケースも発生しかねません。
に採用活動を行うためには「母集団の人数(エントリー数)の目標」を、数値で決めておくことが重要なのです。
では母集団の目標は、どのように決めればよいのでしょうか。
下記にてその方法を2つ紹介していきます。
1つ目が「最終的な採用目標人数から、各選考ステップの辞退率・歩留まり率を考慮して母集団の人数を決定する」手法です。
この手法の場合、最終目標から逆算してエントリー数を考えます。
ここでいう辞退率や歩留まり率は、前年までの自社の選考におけるデータを指します。
下記はこの手法を画像で解説したものです。
上記の図の数字の順番で、目標を定めていくのがこの手法の特徴です。
最終目標から逆算して細かく数字を設定するため、選考フローのどこに課題があるのか明確になりやすいのが特徴です。
【参考】【保存版】採用の歩留まりとは?平均値と9つの改善方法を紹介します
エントリー数目標を設定するうえでおすすめのやり方2つ目が「例年の採用実績を考慮する」手法です。
例えば「前年度は1000名のエントリーから30名の内定承諾が出たので、今年も1000名のエントリーを確保すれば、30名の内定承諾を獲得できるだろう」というのが、この手法にあたります。
募集人数が例年と変わらない場合は、有効な手法といえるでしょう。
一方で、募集人数に例年と変更がある場合は、エントリー数目標を変更する必要があるため、有効な手法とは言えません。
母集団形成を行うには、自社の採用における強みや弱みを知ることが大切です。
例えば、採用における知名度が低い場合は学生からの応募を待つ『受け身の採用』を行っても母集団形成がうまくいく確率は低いです。
自社から主体的にアプローチする『攻めの採用』を行うことが賢明です。
今までの採用活動の傾向や、競合他社の採用と比較から、自社が何に強く、どんなところが弱いのかを明確にしましょう。
そこからその強みを強化し、弱みを克服できる採用手法を選ぶことで、効果的な母集団形成を行うことが可能になります。
せっかく多くの学生にアプローチしたとしても、自社がどのような人材を求めているのか不明瞭であったら効果的な採用は行えません。
そのため母集団形成を行う前に、採用要件やペルソナをしっかりと設定する必要があります。「どのような人材」を「どれほどの量」採用する必要があるのか把握した上で、その質と量の学生を集める方法を考えましょう。
求める人物像を明瞭化することは、候補者に対してアプローチする際にも役立ちます。
以下の画像は、候補者に対して自社の求める人物像を説明したことによってスカウトの承諾率が上がった例です。
自社の採用要件は、学生自身が自社とマッチしているかを判断する材料にもなります。
自社に最適な採用手法を選び、学生の自社への事業内容を高めるためにも、求める人物像を明瞭化しましょう。
「参加しようと思っていたら、既にイベントが終わっていた」
「学校の試験と日程が重なっているため、参加できない」
せっかく求める人物像にフィットする学生にアプローチできたのに、説明会へと集客できなければ意味ないですよね。
母集団形成において、説明会などのイベントに参加してもらい、自社への志望度を高めてもらうことはとても重要です。そのためイベントを開催する場合は、日程や、集客するタイミングなどを見計らう必要があります。
また、学生は基本的に大学3年の夏頃から大学4年の6月頃までの間に就活を行います。
学生によって活発に動いている時期と、そうではない時期が異なります。
求める人物像にアプローチした際の返答率を高くするためには、ターゲットとなる学生層が活発に就職活動を行っている時期に説明会やイベントなどを行う必要があります。
試験や体育会の試合など、学生のスケジュールを把握しながらイベント日程を組むことによって、「参加したいのにできない」学生が少なくなるように意識しましょう。
効果的な母集団形成を行い、計画的に人材を採用するには、戦略的に採用活動を進める必要があります。求める人物像に対して最適な訴求を行うために、採用マーケティングが有効です。
採用マーケティングでは、就活生のニーズをデータから読み取り、適切なコミュニケーションを取って効果的に採用活動を行えるようにします。
下記のような情報を収集し、有力な候補者に対して効果的なタイミングで効果的な訴求が行えるように戦略を立てましょう。
【参考】注目の採用ブランディングとは?注意点や成功のポイントをご紹介!
採用を効率的に行うには、自社の傾向を知ることが大切です。
以下のような項目を適宜調べながら、アプローチするべき学生像とアプローチ方法の最善を探していきます。
様々なデータを集め、トライアンドエラーを繰り返し、改善思考を持って取り組みましょう。
【参考】ココに注意!採用歩留まりが低下しやすいポイントと9つの改善方法
母集団形成が上手くいった場合、このような3つのメリットがあります。
1つ1つ具体的に見ていきましょう。
まず1つ目のメリットとして「自社の採用要件にマッチした学生に多く出会うことができる」ことが挙げられます。
説明会やインターンシップ等、就職活動の序盤で多くの学生にアプローチすることができれば、それだけ自社の採用要件にマッチした学生に出会いやすくなるでしょう。
また「エンジニア志望の学生と多く出会いたい」など、採用要件を細かく定めている場合は、インターンシップや説明会を実施する際に【エンジニア志望の学生限定】といった文言を添えると、採用要件に当てはまる学生に出会いやすくなるのでおすすめです。
また母集団形成が上手く行けば、形成した母集団を基に採用計画を立てることができるため、後々の予算が分かりやすくなります。
万が一母集団形成が適切に行われなかった場合、ターゲットとなる学生や必要な人数が明確にならず、戦略的な採用活動が実施できなくなります。
上記のような場合だと、有効な採用手法も明確になっていないため「応募が全然こない・・・」「人がたくさん集まりすぎた・・・」といった問題が発生する可能性が高くなるでしょう。
まずは採用要件や採用目標の人数を決め、そこから逆算して母集団形成を行うのがおすすめです。
最後に「学生と企業のミスマッチが発生しにくくなる」というメリットが挙げられます。
というのも、適切に母集団の形成が行われれば、自社にマッチした学生に多く出会う可能性が高まるからです。
自社で長く活躍してくれる優秀な学生を多く採用するためにも、母集団の形成は重要といえます。
「採用した新卒がすぐに辞めてしまい困っている・・・」という方は、下記の記事も併せてご覧ください。
【参考】新卒採用のミスマッチが起こる原因と8つの対策を紹介します
母集団形成を疎かにすると、新卒採用の効率も効果も下がります。
自社の採用目標と課題をしっかりと認識し、ターゲットとなる学生に対して効果的なアプローチをしなければなりません。
「とりあえず多くの学生に応募してもらえばいい」という方針で採用活動を行うと、エントリー数が増える分だけ面接や、メールなどの学生対応に多くの時間をかける必要があります。
また、多くの時間をかけたとしても、求める人物像に当てはまる学生からの応募がなければせっかくの労力が無駄となってしまいます。
一方で、できるだけ工数をかけないために母集団を少なく設定すると、目標採用人数に達することができなくなる可能性もでてきます。
そのため母集団形成においては、「求める人物像に近い可能性」のある学生を、「採用目標人数に対する適切な量」で集める必要があります。
いかがでしたか。
今回は効果的な母集団形成を行うために、新卒採用手法を比較しながらそれぞれの特徴を見ていきました。
「量」と「質」を意識した母集団形成を行うことで、効率の良い採用を行えるように意識してしてみてください。