採用を成功させるには、採用の全体像を把握し、計画的に進めていくことが大切です。
本記事では、新卒採用担当者が行う業務内容や手順の解説、よくあるお悩みと解決方法などをご紹介します。
「新卒採用って何から始めたらいいの?」
「そもそもなんで新卒採用を行うの?」
「どんな人が採用に向いているの?」
新卒採用を始めるに際して感じる疑問を解消し、効果的な採用ができるように細かく解説していきます。
既にある程度の経験やスキルを持ち即戦力となりうる中途ではなく、就労経験のない新卒採用を行う理由はなぜでしょうか?
以下で解説していきます。
新卒は、社会人としてのスキル・スタンス・考え方がまだ確率されていない場合が多く、入社した企業の風土やカルチャーを吸収しながら成長していきやすいです。
そのため企業の理念やビジョンに共感し、企業文化を体現する人材になることが期待できます。
新卒は大学の卒業時期に合わせた一括の採用となるため、中途採用とは異なり、同時期に入社して研修なども共にする同期との繋がりが強くなる傾向があります。
研修後にそれぞれ別の部署へ配属となった場合も、横のつながりがあるとプロジェクトへの協力要請が行いやすいです。
そのため会社全体で連帯しながら事業の発展に向けて取り組めます。
また、同じ時期に入社した人物がいることで自身の成長に対する比較対象ができ、同期の間で切磋琢磨するライバル意識が芽生え、成長の後押しにもなります。
一括でまとまった人数が入社するため、新人教育の体制を整える必要があります。
今までの業務を見直し、マニュアル化を行う中で、既存の社内ナレッジを言語化する機会となります。
社内ナレッジの言語化は、漠然としていた業務フローを見える化し、業務の質を一定に保つことや効率化に繋がります。
新卒で採用した人材はまだ特化した職種がない場合がほとんどなため、最初の数年間はジョブローテーションで様々な部署を経験する仕組みとなっている会社が多いです。
様々な立場を経験することで会社全体のことを考えられるようになり、将来的に会社を担える人材となる可能性が高いです。
【参考】新卒採用とは?メリット・デメリットを検討し、自社に最適な採用を考える
会社を発展させていくためには、事業計画に則って必要な人材を確保する必要があります。
必要な人材の要件と人数を判断し、的確に採用することが採用担当者の役割です。
新卒採用の業務を行う上で、どのような意識を持って取り組むと効果的な採用を行えるでしょうか?
上手な採用が行える人の特徴を以下で見ていきます。
採用業務を行う際は多くの書類や面接を通して、候補者が自社が求める人物に適っているかを確かめていきます。
応募してきた学生のエントリーシートや、面接での受け答えを見ながら、応募者がどのような人物であるかを的確に判断する必要があります。
また、応募者の人物像を言語化し、なぜその人材を採用するのか、採用基準に該当する理由を説明も行います。
そのため、上手な採用を行うには学生を見極める観察眼が必要です。
新卒採用では、多くの学生と会い、就活の悩みを聞くなどのコミュニケーションを取ることが必須です。
社内でも、各部署や役員との連携を取って選考への協力を要請したり、求める人物のヒアリングを行います。
人と接する機会が多くある採用業務では、社交性が欠かせません。
会社説明会などでは学生に対して自社を売り込む必要があります。
どのようなところが魅力で、どのようなところにやりがいを感じるのかなどを説明する機会が多くあります。
多くの企業がある中で自社を選んでもらうためには、学生の印象に残るような魅力的で面白い説明を行わなければいけません。
プレゼンテーション能力が高いほど、上手に採用が行えます。
どのような訴求が学生に伝わりやすいか、どういったアプローチが効果的かなどを常に見直しながら改善していくことが採用の成功に繋がります。
特に新卒採用では1年かけて活動し、その成果が出るまでにも時間がかかります。
採用目標を達成できずに失敗した場合、1年間の活動が徒労に終わることも。
採用活動中も改善思考を持って業務を遂行する必要があります。
実際に採用を始めるには、何から行えばよいでしょうか? 以下で具体的に解説していきます。
実際に採用活動を行う前に、まずは採用全体の見通しを立て、効果的な採用を行うには何を行うべきかを明確にします。
採用戦略を考え計画を立てることは、採用を成功させる上で必須です。
以下のプロセスで採用戦略を進めていきましょう。
【参考】採用戦略の上手な立て方を解説!新卒採用を成功に導くには?
まず、採用全体をどのように動かしていくのかの計画を立てます。
ここでは、採用目標人数、採用職種、選考フロー、採用スケジュールを立てを行います。
各部署にヒアリングをして、退職予定者や人件費の予算、必要な人数を把握し、そこから今回採用するべき人数と職種を決めます。
その後、自社とマッチする人材を見つけ、判断するにはどれくらいの選考が必要なのかを決め、選考フローを立てます。
最後に、決めた選考フローから目標人数を採用するにはどれくらいの期間が必要かを算出し、採用スケジュールを立てます。
競合他社の採用スケジュールを調べ、日程がかぶらないように注意しましょう。
また、学生が予定を立てやすいように、できるだけ早い段階で採用スケジュールを開示できるように準備しましょう。
採用を始めるにあたり、まず自社がどのような人物を求めているのかを考えます。
求める人物像の設定では、今後どのような人物が必要になってくるのかを判断し、言語化していきます。
各部署や役員にヒアリングしながら自社の求める人物像を決めましょう。
<採用要件の設定>
まずは、どのような経験/スキル/価値観を持った学生を採用したいか、また、どのような人物が自社とフィットしないか、条件を書き出します。
次に、書き出した項目を『必須条件』『歓迎条件』『NG条件』に割り振ります。
上記のように割り振ったものが『採用要件』と呼ばれるものです。
<ペルソナの設定>
採用要件を決めたら、次にペルソナを作ります。
ペルソナは採用チーム内や社内で採用基準の認識をすり合わせる際に使用します。
ペルソナ作りでは採用要件をより具体化して考え、実際に選考を行う際の基準を明確に想像していきます。
下記はペルソナ作りの際に考える項目です。
求める人物像の精度の高さが採用成功に繋がるため、社内で十分な話し合いを行いながら採用要件やペルソナを設定していきましょう。
【参考】採用要件を明確に定義する方法!評価基準の設け方などを解説
SNSの普及の効果もあり、現代には様々な採用手法があります。
それぞれのサービスに特徴があるため、その中から自社に最適なものを選ぶ必要があります。
下記の表は、主な採用手法の特徴と、母集団形成への働きについて記したものです。
自社の強みをより活かせるもの、自社の弱みを克服できるものなど、自社に最適な手法を選び、効率よく、効果的な採用が行えるように検討しましょう。
各選考ごとの細かな数字を見ながら振り返りを行うと、利用するサービスの見直しや検討に役立ちます。
使用する各サービスからどれくらいの学生数にアプローチし、内定承諾をどれほど出したいのかの目標も事前に立てておきましょう。
採用を成功させるには、学生の見極めが欠かせません。
学生と面談をする面接官が、適切に求める人物像を理解し、学生を見極め、判断する必要があります。
的確に候補者の評価を行うには、事前に面接官との打ち合わせを行う必要があります。
どのようなところを重点的に見て欲しいか、どのような質問をすると学生の本質が見られそうかなどを事前に考えます。
採用要件やペルソナなどを共有しながら、なぜ自社がそのような人材をもとめているのかの背景まで説明し、擦り合わせを行いましょう。
【参考】【質問例あり】面接で学生の本質を見抜くための3つのポイント
せっかく内定を出しても、実際に入社してもらえないと意味がないですよね。
自社が欲しい!と思った優秀な学生は、他にも内定をもらっている可能性が高いです。
そのため内定者フォローを行い、自社への入社意欲を高める必要があります。
内定者フォローでは、社員と交流できる懇親会や、同期との仲を深められる研修、就職に当たって悩みなどを聞く面談などを行います。
内定後のケアを怠らないことが、採用活動を成功させる上で大切です。
内定者フォローを行うために必要な社内の人からの協力、会場の手配など、事前に用意し、体制を整えましょう。
【参考】学生が求める内定者フォローとは?ポイントごとの実例もご紹介!
せっかくイベントを開き学生に来てもらったのに、スケジューリングのミスで急遽登壇者が出られない、といった辞退は誰しも避けたいですよね。
特に、事前の連絡がなく予定が変更となる場合は、学生が自社に対して不信感を持ってしまう可能性があります。
そのため採用全体の見通しが立ったら、座談会や選考、内定者フォローなどへの社内協力者に再度連絡しましょう。
当初見込んでいた協力者の数や時間では足りない場合、選考フローの変更や、または協力者の追加などが必要です。
念入りに準備をしておくことが当日スムーズな進行に繋がります。
採用戦略が立てられたら、採用媒体を活用しながら実際に学生を募集し、母集団形成を行います。
もちろん各採用媒体でコンタクトが取れた学生をそのまま選考へ案内することもできますが、選考前に自社のことをよく知ってもらうためにイベントなどの機会をいくつか設ける会社がほとんどです。
自社のことを深く理解してもらうことで、採用後のミスマッチを防止できます。
いずれのイベントでも、本選考に繋げられるように導線の設計を事前にしておきましょう。
学生はESを書くためにも、企業にエントリーする前にある程度その企業についてのリサーチを行います。
そのためほどんどの企業では、学生に自社をよく知ってもらうため、会社説明会へ参加してもらいます。
学生へのアプローチは、ナビ媒体を使って自社が開催する会社説明会へ誘致する場合と、合同企業説明会や学内セミナーに参加して会社説明を行う場合があります。
会社説明会へと誘致できる学生の量と質によって母集団が決まってくるため、採用媒体を活用しながら自社とのマッチ度が高い学生にアプローチしましょう。
【参考】 オンライン説明会とは?メリットと成功させるポイントをご紹介
インターンは、実際に就労体験をし、どのような業務を日々行っているのかを理解してもらう目的で開催されます。
3月から始まる本選考より前に開催されることが多く、特に学生が応募する企業選びを行っている時期である7〜9月には盛んにインターンが行われています。
インターンには短期と長期があり、短期では1日〜1ヶ月程度、長期では数ヶ月に渡って行われます。
短期インターンでは自社への理解度を深め、長期インターンでは学生の即戦力化を吐かれます。
インターン開催には以下のようなメリットがあります。
自社とフィットする学生に本選考へと進んでもらえるような導線作りも忘れないようにしましょう。
【参考】インターンシップ募集〜開催までの方法や、成功のポイントを詳しく解説!
【参考】オンラインで学生を惹きつけるインターンシップの内容とは?
カジュアル面談では、学生と1対1で就職活動のことや日々の業務のことなどについてざっくばらんに話します。
インターンや会社説明とは異なり、カジュアル面談は気軽でリラックスした場なので、学生の本音が聞きやすくなります。
お互いをより良く知る機会となるため、ミスマッチの予防に繋がります。
また、学生が知りたい情報を持つ社員を担当にすることで自社への理解がより深まり、学生の志望度が高まる可能性もあります。
カジュアル面談は、学生が企業理解を深めたいと感じている時期に行うのが効果的です。
そのためサマーインターンが盛んに行われる6月以降から選考前期の春ごろまでの開催を目安とすると良いです。
開催時期に注意して、効果的なカジュアル面談を行いましょう。
【参考】 カジュアル面談の効果は?知っておきたいポイントを一から解説!
母集団形成を行い応募者が集まったら、次に選考を行います。
選考では、採用戦略で設計した採用要件やペルソナに基づき、できるだけ客観的な評価が行えるように意識しましょう。
エントリーシートに書かれた『学生時代に頑張った経験』や『志望理由』などと、SPIやTOEICの結果などの客観的指標を見ながら選考行います。
この段階では経験やスキルを重視して選考を行います。
採用要件で『必須条件』として設定した、採用する上でなくてはならない要素を備えた人材であるかどうかをここでは主に判断します。
実際に学生と話をしながら、書類上では判断がつきにくい部分の見極めを行います。
学生に対して的確な質問をするには、具体的に何を見極めたいのかを明確にすることが大切です。
例えば『チーム力』を見極めたい場合は、団体での活動経験や、具体的なエピソードなどを深めていきます。
学生の回答を聞きながら、採用要件に当てはまるかどうかを判断していきましょう。
また、より正確に学生を見極めたい場合は、面接ごとに面接官の属性を変えてそれぞれテーマを持った質問を投げかけていきます。
例えば、一次選考は若手や中堅、最終選考は役員など、選考段階ごとに面接官を変え、多面的な評価をしていきます。
【参考】【質問例あり】学生の話を深める!面接で本質を見抜くポイントを解説
最終選考を終え、是非入社して欲しい学生に出会えたら内定出しを行います。
最終選考を通過した学生を社内で共有した後、内定が出た旨を学生にメールや電話などで連絡します。
ここで学生が内定を承諾した場合、基本的に入社してもらうことになります。
前述した通り、優秀な学生は複数の内定を持っている可能性が高いです。
自社が欲しい人材からの承諾がもらえるように、内定者フォローをしっかりと行いましょう。
また、内定出しを行う時は、内定辞退も考慮して人数や時期を設定しましょう。
最初から完璧で効率的な採用活動を行うことはなかなか難しいです。
そこで、新卒採用でよくあるお悩みとその解決方法をご紹介します。
以下の点に留意しながら採用を行いましょう。
会社説明会やインターンなどのイベントを開催しても、そもそも応募者数が集まらないという場合があります。
このときに見直すべき点は、『使用する採用媒体が自社にあっているか』というところです。
例えば、ナビ媒体など学生からの応募を受動的に待っているだけでは、採用における知名度の低い会社であると母集団の量を獲得するのに苦労します。
この場合、企業側から学生に向けてアプローチしていくダイレクトリクルーティング、人材紹介、リファラル採用などの採用手法を使用すると解決できることが多いです。
また、学生の興味関心を引き出せる説明会になっているか、説明会の魅力を学生にきちんと伝えられているかなども見直しましょう。
むやみに多くの学生へアプローチしても、自社とマッチする学生が見つけられなかったら意味がありません。
マッチ度の高い学生を見つけるには、自社にマッチする学生が集まりそうな採用媒体を探すなど工夫が必要です。
この場合、新卒で入った社員や内定者に共通する項目(サークルや学生団体所属経験、長期インターン経験など)を探し、上がった項目に当てはまる学生を探すと効果的です。
理系学生、IT系、などの学生に特化したサービスがあるため、特定の学生に特化した採用媒体を使うことも検討してみましょう。
また、そもそもの採用要件が厳しすぎる可能性もあるため、現在設定している採用要件が現実的かどうかを判断し、実現させるには何が必要かを見極めましょう。
早期退職者が多いのは、ミスマッチが原因です。
採用活動時に、自社の良い面ばかりを伝えていたら、入社後のギャップに苦しむことになります。
会社説明会やインターン、面談の際に、自社で働く上でやりがいを感じられるところ、課題だと感じるところなど、できるだけ正直に話すことが大切です。
学生は、自分のやりたいことがその会社で実現できるのかどうか、想像できないことも多いです。
社員の目線から、学生が実現したいと思うことや目標を自社で叶えられるかについてもアドバイスできると良いでしょう。
自社へ入社することがその学生にとってベストなことなのか、常に考えながら採用を行いましょう。
いかがでしたか。
採用を成功させることで、自社の発展に大きく貢献できます。
様々な手法を駆使し、改善を繰り返すことで、効果的な採用活動を行いましょう。