「新卒一括採用はもう古いと聞くけど、実際どうなの?」
「通年採用との違いは何?メリットはあるの?」
こういったお悩みを抱えた人事の方はいませんか。
本記事では、そんな人事担当者の方に向けて
などを、100社以上の新卒採用を支援している弊社の視点から紹介しています。
新卒一括採用の導入を考えている企業の方は、必見の内容です。
まず最初に、新卒一括採用と通年採用の違いを解説していきます。
新卒一括採用とは、日本独自の採用方法で、新卒の学生を毎年同じ期間に一定数採用する方式のことです。
毎年定期的に行われる採用のため、定期雇用と呼ばれることもあります。政府が定めた新卒一括採用における「就活ルール」に則り採用活動を進める場合が多いです。
先ほども触れましたが、新卒一括採用は政府主導で定められた「就活ルール」にのっとり進められることが多いです。
新卒一括採用の対象期間は3月から10月で、具体的には以下のスケジュールで選考が進みます。
-大学3年次の3月に広報が解禁
-大学4年次の6月に選考が解禁
-大学4年次の10月に内定が解禁
かつて経団連主導で定めていた「就活ルール」は廃止され、現在は政府主導の就活ルールに変わりましたが、就活スケジュール自体は変わっておらず、過去のものがそのまま引き継がれています。
就活ルールに関係なく新卒一括採用を行う場合は、上記の対象期間は関係ありません。
ただし、上記のスケジュールにのっとらず、早くから選考をはじめる企業でも、大学を卒業する年の4月から新入社員が入社するケースが多いです。
「採用を成功させるためには、いつ、どんな採用活動を進めていけばいいのだろうか」というお悩みをお持ちの方は、こちらの記事もご覧ください。
【参考】【企業向け】新卒採用スケジュールの立て方|企業、時期別にご紹介!
【参考】【テンプレート付き】採用計画の立て方を3つのポイントで紹介します
ここでは、新卒一括採用を行う企業側のメリットとデメリットについてご紹介します。
まずは、新卒一括採用を行うメリットを以下の4つの点から解説していきます。
新卒一括採用は一定の期間中に行うべきことが明確です。 会社説明会の実施数や、参加するイベントにかかるコストなど、採用業務においてやるべきことの枠組みが基本的に決まっているため、全体を考えて行動しやすいです。
また、採用する人数の見通しも年度ごとに立てやすいので、どのくらいの業務負荷になるのか判断ができます。 そのため他の業務とのバランスを見ることができ、先々の計画が立てやすいです。
採用コストの削減について考えている方は、下記の記事をご確認ください。
【参考】【完全版】採用コストを削減する6つの方法とは?安い採用を実現しよう
【参考】【保存版】採用コスト・工数の削減方法!今すぐできる4つのポイント
新卒一括採用では一括で教育を行います。 そのため「人によって受けた教育の内容が違うので業務遂行レベルに差が出てしまう」ということが起きにくく、一定のクオリティを保つことができます。
また、一括に教育や研修を行うためには社内ナレッジの言語化が必要です。 「なんとなく」で行う業務をなくす機会となるため、業務内容に対する解像度を一致させることができます。
新卒一括採用では、年齢の近い同期ができ、内定者懇親会や研修を通して仲間意識が生まれやすいです。 同じスタート地点から始めた同期がいることで、自分の成長の比較対象ができます。
そのため時にはライバルとして、時には支え合う仲間として切磋琢磨しやすい環境があります。 また、同時期に入社した同期がいることで、会社への帰属意識も高められます。
日本では新卒一括採用が主ですが、海外では通年採用で新卒・中途問わずポストごとで採用を行っています。 能力や経験を重視される採用が主なため、経験値の低い若年層の雇用機会が少なくなってしまう傾向にあります。
一方で、日本では新卒一括採用で就職のチャンスが安定して設けられているため、若年層の失業率を低めることができています。
次に、新卒一括採用を行う企業側のデメリットについて以下の4つの点から解説していきます。
新卒一括採用ではいわゆるマインドマッチの「ポテンシャル採用」を行っており、社会経験がない新卒が対象となっています。 実務経験がないため本当にその仕事が合っているのかを判断しにくく、実際に入社してからミスマッチに気付くということが多々あります。
実際に、新卒採用で入社した人材が3年以内に離職する可能性はおよそ30%前後です。
新卒一括採用では採用を行う時期が3~10月と限定されるため、その期間に就活を行うことが難しい留学生や海外大学生は対象から外れてしまいます。 また、第二新卒・既卒者も対象外となる場合が多く、対象とする学生の間口を狭めてしまいます。
新卒一括採用では、学生へ短期間でアプローチできるため採用コストが削減できるという点で採用担当者へのメリットがあります。 一方で、学生にとっては選考の時期が集中しており限られた時間で就活を行う必要が出てくるため、負担がかかりがちです。
新卒一括採用では、選考を開始する時期と終了する時期が明確です。 基本的に10月にある内定式以降は、就職活動を続ける学生が少数派となります。
そのため、選考終了時に内定辞退者が出た場合、採用活動を再開しても求職者が少ないため、欠員分を補完するということが難しくなっています。 内定辞退者が想定より多く出た場合、採用目標人数に満たないという可能性もあります。
内定者フォローの方法について詳しく紹介している記事も参考にしてみてください。
【参考】【オンラインあり】内定者フォローの面白い企画事例からコツまで紹介
【参考】内定辞退の理由とは?すぐできる内定辞退対策12選を解説!
ここでは、新卒一括採用の学生側にとってのメリットとデメリットを解説していきます。企業と学生双方のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
新卒一括採用を行う学生側のメリットを以下の4つの点から解説していきます。
新卒一括採用の場合は、ほとんどの企業が具体的なスキルや経験を求めてきません。
そのため、「人生で頑張った経験」や「入社してどのように活躍したいのか」など、企業にアピールをすることで、企業とマッチすれば採用に繋がる可能性があります。
企業にはよりますが、大半は新卒人数を多くとっている傾向にあります。
このように、多くの企業が新卒一括採用を行っているため、有名企業や大手企業に就職できる最大のチャンスと思っている学生も多いでしょう。
続いては、新卒一括採用の学生側のデメリットについて紹介します。
限られた期間で就活活動を行うため、学生は学業や部活、趣味などと同時進行で行うことが難しいため、負担がかかる可能性が大いにあります。
新卒一括採用が大チャンスだと思う企業の方も多いと思いますが、その反面、学生側にプレッシャーがかかっていることもあります。
一斉に就職活動がスタートするため、同学年の友人と比べてしまうことや、家族からの過度な期待によるストレスを抱えてしまう学生もいます。
新卒一括採用の状況は就活ルールの廃止に伴い、大きく変化すると考えられます。
「就活ルール」というのは通称で、正式な名称は異なります。 経団連によって定められていた就活ルールの正式名称は「採用選考に関する指針」です。
就職活動の早期化によって学業に支障をきたすことを防ぐ目的で制定されました。
この指針では、下記の5点に配慮しつつ採用選考を行うように定められていました。
なお、具体的に取り組む際には、別途定められている「採用選考に関する指針」の手引きを踏まえるようにとの記載があります。
【参考】一般社団法人 日本経済団体連合会「採用選考に関する指針」
どの企業も必ず経団連の定めたルールに従わなければならないわけではありませんが、日本の企業の多くは経団連に加盟しているため、就活ルールに則った採用が主流となっていました。
そのような中、2018年9月3日に行われた記者会見で、経団連の中西宏明会長が「就活ルールを廃止する意向」を表明しました。 そのため、2021年卒以降のルールは経団連ではなく政府が主導して定めており、現在の就活ルールの正式名称は「学生の就職・採用活動日程」となっています。
前述の通り、2018年9月に経団連主導の「就活ルール」の廃止が発表されました。 ここからは、就活ルールの今までや、廃止後の新卒採用についてを分かりやすく簡単に解説します。
以上の4点を理解して、今後の採用はどのように行っていくべきなのかを考えましょう。
就活ルールの廃止が決まったのはなぜなのでしょうか。 主に次の2点が原因と言われています。
⑴ ルールの形骸化
就活ルールには、違反した際の罰則がありません。 そのため経団連に加盟している企業でも、優秀な学生を早く確保しようと水面下で採用活動を行うことが少なくありません。
実際、面接の解禁日である6月1日よりも前に内定を得ている学生も一定数存在します。
⑵ 通年採用の重要性が高まっている
企業の世界展開が進む中、競争力や生産性を高めるために必要な人材を流動的かつ適時に確保する手段が重要となっていきます。
その状況の中、欧米では時期を定めず採用をする通年採用が一般的になっています。 世界の企業を相手に戦っていくためには、日本の雇用形態も変化していく必要があるのです。
経団連主導の就活ルールは廃止されましたが、現在は政府が主導でルールを定めています。採用活動時期については変化していませんが、25卒からインターンシップ経由での採用が正式に認められた点が大きな変更点です。
以下でそれぞれ見ていきます。
2024年4月16日に発表された「2025(令和7年)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請事項」では、下記のように採用活動の日程が定められています。
-広報活動開始:(卒業前年度) 3月1日以降
-採用選考時期:(卒業年度) 6月1日以降
-正式内定:(卒業年度) 10月1日以降
25卒学生から、インターンシップ経由での採用が正式に認められました。
具体的には、産学協議会が定めたインターンシップの分類の内、タイプ3の「専門活用型インターンシップ」に参加した学生の内から早めの選考ができるということです。
インターンシップ経由での選考が可能になる専門活用型インターンシップとは、以下4つの要件を満たすものを指します。
▼専門活用型インターンシップの要件
【参考】産学協議会「産学で変えるこれからのインターンシップ」
【参考】内閣官房「2025(令和7)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請について」
ルール変更前からも、インターンからの選考は水面下で実施されていましたが、政府公認になったことで更なる早期化が予想されます。
そもそも就活ルールが形骸化したのは、新卒一括採用が現状の企業体制に合っていないためです。 上述しましたが、昔は「終身雇用」や「年功序列」が日本の企業にとって当たり前でした。
このような長期的な雇用を前提とした上で、企業文化に染まりやすい新卒を一括に採用していました。
しかし現在では、テクノロジーが発展し、年齢と能力が比例しなくなり、年功序列制度や終身雇用制度も崩れ始めています。 それに応じる形で、「転職への意向が高い」労働者、「実力評価主義」の企業が増えています。
また、少子高齢化によって労働人口が減少し、多くの企業が優秀な人材を自ら積極的に確保する必要が出てきています。 将来的に貢献してくれそうな新卒をマインドマッチで採用することよりも、経験や能力を重視したスキルマッチ型の通年採用がこれから増加していくでしょう。
就活ルールを廃止することによる企業側のメリットは、以下の通りです。
だからこそ今、新卒一括採用と通年採用のメリット・デメリットを把握し、自社にとってのベストな採用は何かを考えることが必要です。
新卒一括採用が見直されている現在、どれほどの企業が通年採用へと移行し、実施しているのでしょうか。
ここでは通年採用への移行状況や、採用の早期化の現状をデータを用いてご紹介します。
通年採用では、新卒一括採用のように期間を限定せずに年間を通して採用します。新卒・中途問わず、ポストが空き次第、必要に応じて人材を募集していく形式です。
日本でも、日立製鉄やソフトバンクといった企業が通年採用を導入済みです。
【参考】SoftBank「新卒採用」/日立製鉄所「ジョブ型人財マネジメント:採用・インターンシップ」
海外では主流である通年採用は、日本企業ではどの程度実施されているのでしょうか。 経団連の2020年の発表によると、実施状況について次のようなデータが得られています。
通年採用を
また、今後5年間の方向性としては、未定と回答した企業が7割と大多数でしたが、増やしていくと回答した企業が2割という結果でした。
【参考】一般社団法人 日本経済団体連合会『2021年度入社対象 新卒採用活動に関するアンケート結果』 この調査から3年ほど経過した現在の状況はどうなっているのでしょうか。
就職みらい研究所によると、2025年卒の採用について「通年採用」を実施予定の企業は31.9%という結果が得られています。 前年比+1.0%ということで、通年採用への注目が高まっていることが窺えます。
【参考】就職みらい研究所「『就職白書2024』 2024年卒の就職・採用活動の振り返りと、2025年卒の採用見通しを調査」
新卒一括採用から通年採用への移行は、採用の早期化という点からも見ることが可能です。
近年、経団連の定めた就活ルールの解禁日よりも前から学生との接点を持つ企業が近年増加傾向にあります。
内閣府の調査によると、約97%の学生が、就活ルールで定められた解禁日よりも前に「採用面接」に参加したと回答しています。
就活ルールよりも前に「内々定」を貰った学生は約74%、「説明会」に参加した学生は約65%、「エントリーシート」を提出した学生は約61%です。
また本選考前にインターンシップを行い、学生との接点を持つ企業も増えています。 2022年卒のなかでインターンシップに参加したことのある学生は全体の73%で、2018年卒の時よりも6%増えています。
インターンシップ参加者に向けたアプローチは、「3月の広報開始前の説明会に参加」が約6割、「参加者を対象とした早期選考の案内」が約5割となっています。
このことから、インターンシップを契機とし、早期に学生へとアプローチする企業が増えていることが分かります。
さらに、採用の長期化傾向も見られます。 「就職活動が始まったと考える時期」から「就職活動が終わったと考える時期」の間の期間について見てみると 、「9ヶ月間程度以上」の割合が約4割と最も高いです。
新卒一括採用を行う企業においても、採用の早期化・長期化が進んでおり、通年採用との区別がつきにくくなっていることが分かります。
【参考】内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」
ここでは、通年採用の企業側のメリット・デメリットをご紹介します。
まずは、通年採用を行う企業側のメリットを以下の3つの点から解説していきます。
新卒一括採用では一定の期間内に目標人数を採用しなければならないため、期間中の業務負荷が大きいです。
一方で、通年採用では採用活動に期限が設けられていないため、業務負荷が分散しやすくなっています。 そのため余裕をもって採用を行うことができます。
また、求職者側も他社の会社説明会日程被りなどがなくなるため、気になる企業全てを吟味できます。 他企業との兼ね合いでスケジュールが合わずに自社への応募を断念する、ということがなくなります。
通年採用では、新卒に限らず、第二新卒や留学生・中途など様々な候補者の中から自社に必要だと判断した人材を採用します。 そのため幅広い人材にアプローチすることが可能です。
また、期間内に採用できなければ来年まで待たなければいけない、ということもないため、本当に必要な人材か否かの基準で採用を判断しやすいです。
新卒一括採用では時期によって採用市場にいる学生総数の変化が大きいです。
選考終盤の6月以降からは、優秀な学生は既に内定を貰っている場合が多く、採用したい人材を探すことが難しくなります。
一方で、通年採用では閑散期のようなものがないです。 そのため内定辞退があった際に、採用活動を再開してもこの時期には既に良い人材がいなくなっている、ということが起こりにくく、そのため欠員の補完がしやすくなっています。
次に、通年採用を行う企業側のデメリットを以下の3つの点から解説していきます。
通年採用では、一括で大人数が入社することがないため、ひとまとめに研修や教育を行うことがありません。
一括で行う場合は研修内容などにも目が行き届きやすいですが、そうでなければ管理することが難しくなります。
そのため、質を一定に保って、安定的な教育を行うことが新卒一括採用に比べて難しくなります。
それにより、人によって業務に対する理解度、解像度が異なってしまう可能性があります。
新卒一括採用のように、同じスタート地点から出発して切磋琢磨する仲間ができにくいです。 通年採用で入社した人材は、自分自身で鼓舞し続け、モチベーションを保ち続ける必要があります。
また、新卒一括採用では、内定者フォローや懇親会、研修などで社内同士で繋がりが深まる機会が多く設けられていますが、通年採用では比較的そのような機会が少ないです。
そのため会社に対する帰属意識を醸成しにくくなる傾向があります。
新卒一括採用では、一定の期間内に集中して就職活動を行う人が多いです。採用イベントや合同説明会などに足を運んで、様々な企業を見ていく学生が多く存在します。
そのため、最初は興味がなかった業界・業種に対する関心が就職活動を通して大きくなり、結果的に『予想外の出会い』が生まれる可能性があります。
一方で通年採用では、その時点で興味のある業界・業種の中だけで就職活動を行う求職者が多いです。
これにより人材に偏りが出やすくなります。
続いて、通年採用の学生側のメリットとデメリットを解説します。
まずは、通年採用の学生側のメリットについてです。
通年採用は長期的な採用活動になるため、学生はスケジュールに余裕を持つことができます。一方、新卒一括採用は短期的に行われるため、毎日のように説明会や面接がありスケジュールの管理が難しくなります。
場合によっては、志望している企業の説明会や面接が同日になってしまうこともあります。
反面、通年採用は採用時期が長いので、選考日が重複してしまう可能性は低いです。
新卒一括採用は短い期間で、企業を選定して選考を進めなければなりません。
これは、必然的に1つの企業に対しての準備時間が少なくなるということです。
一方、通年採用は採用時期がバラバラであるため、1つの企業に集中して準備を進めることができます。
通年採用の学生側のデメリットについてです。
通年採用は、新卒一括採用よりも選考基準が高い企業が多いです。
何故かというと、企業側も通年採用の場合スケジュールに余裕が出るため、採用コストと人材への期待度のバランスをよりシビアに評価するからです。
通年採用は、企業ごとに選考期間やフローが異なります。そのため、学生側が自発的に企業の情報収集をしなければいけません。
自ら入社したい企業に合わせて就職活動をするといった、自発的な行動が必要です。
ここまでで、新卒一括採用と通年採用それぞれのメリット・デメリットについて見てきました。それでは、結局今後の採用方法はどのように見直していけばよいのでしょうか。
通年採用の実施状況・実施理由を、事業規模別にみていきながら、自社が通年採用の導入を検討すべきか否か、考えていきましょう!
上記の表は、23卒に対して通年採用を実施した企業の割合を事業者規模別に示しています。
実施率を見ると、事業所の規模が小さいほど、通年採用を導入している割合が高いことがわかります。通年採用を実施中の割合と、検討中の割合でみても、300人未満の企業が46.8%となっており、中小企業ほど通年採用導入に対して意欲が高いことが窺えます。
企業が通年採用を実施する理由は何でしょうか。以下の表では、通年採用を実施する理由を事業所規模別に示したものです。
事業所規模に関わらず、通年採用導入理由で最多だった理由は「人員確保のため」でした。
ただ、「人員確保」を理由として挙げる割合は事業所規模が小さくなるほど高くなるため、中小企業ほど人員確保の要請が強いといえます。
また、「留学生に対応するため」、「多様な人材を確保するため」といった理由は事業所規模が大きくなるほど多くなっています。大きな企業になるほど、人員補充だけでなく、より多様な属性の学生を得ることを目的に通年採用を導入していることが窺えます。
これまでにご紹介した調査結果を踏まえてわかったことをまとめると、以下の通りです。
以上でわかったことを元に、これから通年採用の導入を検討すべきかどうか悩んでいる方向けに、今後の方針を示していきます。
今後通年採用の実施の導入を検討すべき企業としては、「新卒一括採用だけでは人員確保ができない企業」または、「新卒一括採用では出会えない多様な人材を採用したい企業」で、かつ「通年採用を実施する余裕がある場合」が挙げられます。
特に、人員不足に悩んでいる中小企業や、医療業界や飲食業界といった、人手不足が問題となりやすい業界に当たる場合は、通年採用を導入することで、人員確保に繋げられる可能性があります。
また、より多様な人材を採用したいと考えている企業の場合も、通年採用の導入を検討すべきです。新卒一括採用だけでは、留学している学生などの優秀な人材を逃してしまう可能性が高いです。
特に、グローバルな競争に勝ち抜き、一層の成長を見据えていきたい大手企業の場合には、既に通年採用を導入している競合他社を参考にしながら、検討を進めていくべきだといえます。
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【サービス説明資料】3分でわかるMatcher Scout
【導入事例】運用負荷は一番少ない。「効率的」に「会いたい学生」に会えるツール
以上で、通年採用を導入すべき企業の特徴についてご紹介しました。では、新卒一括採用のみを行っている企業はどのように時代に合わせて対応していくべきでしょうか?現状の採用活動は、『早期化』と『長期化』の2つの特徴があり、これらが就活ルール廃止によって拍車がかかると考えられます。
採用活動の『早期化』によって、優秀な人材を早いうちから確保しようとする企業が、今まで経団連のルールに従っていた大企業を含めて増えています。
これによって選考を受け始めてから、最終的に全ての企業を受けて内定承諾するまでの期間が長くなり、採用活動の『長期化』が予想されます。
これらの背景があるため、自社の採用活動をより強固なものにする必要があります。 具体的には下記のことを行います。
次項から具体的に解説していきます。
上述したように、採用の早期化・長期化によって競合他社が増えていくことが予想されます。 競争が激化していく中で自社を魅力的に見せるためには、採用戦略をより綿密に考えて、自社が求める人材に対して的確なアプローチを行っていく必要があります。
そのためには以下のことを把握することが必須です。
「自社はどのような人材を求めているのか」 「自社のターゲットが集まりやすいイベントや場所はどこか」 「自社のターゲットのニーズは何か」
これらを知るためには、採用要件からペルソナを設定しなければなりません。 採用要件は以下の流れで設定します。
詳しい設定方法: 採用要件を明確に定義する方法!評価基準の設け方などを解説 ペルソナは以下の流れで設定します。
詳しい設定方法: 採用ペルソナの設定方法やポイント・具体例について解説!
採用が激化していく中では、自社の魅力を最大限に表現し、求める人材へ自社の情報を確実に届けていくことが採用活動を成功させるために必要です。
ペルソナ作りを通してターゲットをピンポイントに設定することで、自社が行うべきことを明確にすることが可能になります。
例えば、「理系・主体性がある」という要素が採用要件に含まれていたとします。このままでは具体的にどのようにアプローチすれば求める人材に届くのかを考えることは難しいです。
「〇〇大学××学部、IT系のベンチャーで3ヶ月以上のエンジニアとしてのインターン経験あり」というように、採用要件から人物像を膨らませ、ペルソナを設定することができます。
ここまで考えられると、自社が求める人材が集まりやすい採用手法の選定など、具体的なアプローチ方法が見つかりやすいです。前年の採用プロセスと結果、その年の採用市場動向などを踏まえながら、見直しと改善を行うことを忘れないようにしましょう。
自社が求める人材を採用するためには、採用市場や自社の強み・弱みについて分析し、戦略的に自社のPRを行う必要があります。
そのために、採用マーケティングを行なっていきます。 採用マーケティングは以下の流れで行います。
設定したペルソナに基づき、自社が求める人物像が企業に対して求めるものや想定される就職活動状況などを予想し、それに合わせたコンテンツ作りを行なっていきます。
採用管理システム(ATS)などのツールを活用し、データに基づいた戦略立てを行うことも効果的です。
求める人材を獲得するための最も効果的なアプローチ方法を採用マーケティングによって見つけ出し、激しい採用競争の中でも着実に求める人材を獲得できるようにしましょう。
【参考】採用マーケティングで採用活動を成功させる!手順とポイント徹底解説
【参考】注目の採用ブランディングとは?注意点や成功のポイントをご紹介!
就活ルールの廃止によって、採用活動の開始時期が早期化すると予想されます。 それに伴い、学生に対する内定出しも早まる可能性が高いです。
学生が内定を貰ってから実際に入社するまでの期間が長くなると、内定者のモチベーションが低くなる恐れがあります。
入社意欲の低下によって内定辞退に至ってしまわないように、今までよりも内定者フォローに力を入れていくことが必要です。 学生は内定者フォローでは以下のことを行います。
採用の長期化に伴い、入社へのモチベーションが低くなる学生が増加することが予想されます。 学生が自社へ入社したいと思い続けられるような環境作りを行うことで、入社までのサポートを行いましょう。
【参考】【改善策4選】3年分の内定承諾率から考察!内定承諾率を上げるコツ
【参考】学生が求める内定者フォローとは?ポイントごとの実例もご紹介!
【参考】新卒採用の内定辞退を予防!主な辞退理由から対策を立てる
人材獲得の競争の激化に伴い、採用力の高い大手有名企業などとの差別化を測る採用を行なっていく必要があります。
ナビサイトなどに自社の情報を掲載して学生からの応募を待つだけでは、優秀な人材と出会える可能性は低いです。
労働人口が少なくなっている現在、優秀な人材を確保するためには自らが積極的に動いていかなければいけません。
ダイレクトリクルーティング、人材紹介などでは、企業側から学生へ主体的にアプローチしていく「攻めの採用」を行うことで、もともと自社に対する興味が低かった求職者にもリーチすることが可能です。
自社が求める人材からの応募を待つよりも、自社からその人材に対してアプローチしていくことで、効率的な採用活動が実現できます。
他にも、SNSなどを利用しながら自社についての情報を積極的に開示し、広げていくことが必要です。
SNSは媒体によってカジュアルさや求められる情報に差があるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
他社との差別化を狙い、採用活動の早期化・長期化による競合他社増加に備えましょう。
【参考】表で解説!新卒採用で効果的な母集団形成を行う方法
【参考】【徹底解説】採用活動でSNSを最大限活用するには
ここまで日本の新卒採用のあり方について解説しました。
最後に、海外(アメリカ・中国・フランス)の新卒採用の制度について説明します。
アメリカは通年採用を実施しています。
日本における中途採用と同様に、欠員が出たとき、あるいは特定の人材が必要になったときに求人を出し、採用を実施します。
そのため、新卒のキャリアを重視する傾向が日本に比べて低く、学業に重点を置く傾向が強いです。
日本で一般的な「就職活動」を実施せずに企業に入社する場合が多いといわれています。
また特徴的なのが、採用活動におけるインターンシップの重要度の高さです。
多くの学生が学業期間中にインターンシップに参加し、その経験が就職に影響することも多いです。
中国の就活制度も他の国と異なる特徴があります。
まず中国は人口が多いため, 就活市場の競争率が非常に高いです。
企業は即座に業務に貢献できる候補者を優先的に採用することが多く、実践的なスキルを持たない新卒者が就職するのは困難です。
また、外国人留学生も競争相手となるため、年間800万人以上の新卒学生が就職活動をしています。
こういった激しい競争を勝ち抜くため中国の学生は大学時代の早い時期から就職活動を開始する必要があるようです。
フランスはアメリカと同様、いわゆる「新卒採用」という正式な制度はありません。
フランスでは一般的に卒業時期よりもスキルや資格に基づいて採用が行われています。
求職者はいつでもポジションに応募することができる一方、フランス企業は求職者のスキルと能力を重視するため、求職者はスキルや経験を積む必要があります。
いかがだったでしょうか。 今回は、現在の採用体制である新卒一括制度についてお伝えしました。
今後は一層採用方式が多様化する可能性があるため、本記事をきっかけに現在の採用体制を見直してみることをおすすめします。