新卒採用のダイレクトリクルーティング運用でよくおかしてしまう失敗事例を解説し、成功に向けたコツを紹介していきます。
ダイレクトリクルーティングは他の採用手法と比べ、学生と直接のコミュニケーション機会が多く、そのため自社の魅力をアピールする機会が豊富です。
一つひとつのメッセージ文言を最適化することで歩留まりの改善に繋がるため、自社に合った訴求を見つけ出すことが採用成功の鍵となります。
失敗事例を参考にリスクをできるだけ最小限に押さえた新卒採用運用ができるよう、成功のコツを掴んでください。
ダイレクトリクルーティングの導入を検討している段階の担当者様は、気になる費用や実際のサービスをご紹介している以下の記事もご参照ください。
【参考】ダイレクトリクルーティングの費用を紹介!安くすませる方法とは?
【参考】【新卒20社比較】ダイレクトリクルーティングサービスを徹底解説!
企業から新卒学生にアプローチできる3つの「攻め」の採用手法
企業から学生にアプローチできる「攻め」の採用手法は様々存在し、近年では導入企業も増えてきています。
しかし、手法によって特徴も様々。
採用にかけられる工数や予算、母集団形成に必要な学生の人数など、自社の状況や目的を整理した上で自社にあった手法を導入しないと、運用に振り回されてしまい、効果を得られない結果に陥ります。
ここでは、主な「攻め」の採用手法3つを紹介します。それぞれの手法が自社の状況に合い、目的を達成できるものか確認しましょう。
ダイレクトリクルーティングサービス
サービスに登録している学生のプロフィールを読み、自社に求める人物像に適う人材に対して直接スカウトメールを送ることができます。
特定のキーワードなどで学生を絞り込むことも可能です。
自社で学生を選定、スカウト送信する必要があるため、運用に工数がかかります。
リファラル採用
優秀な人の周りには優秀な人が集まるという仮定をもとに、社員や内定者に後輩を紹介してもらう方法です。
知り合いの紹介で入社するため、他の採用手法と比較して離職するリスクが低いことが特徴です。
一方で、数に限界があるため、量的な面で安定した母集団の獲得は難しいです。
ソーシャルリクルーティング
TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを利用した採用方法です。
新卒採用アカウントなどを開設し、そこで自社の採用情報を流しながら学生と交流します。
SNSならではのフラットなコミュニケーションが可能なため、リアルな情報のやりとりができることが特徴です。
日々の投稿や返信など運用に工数がかかります。
また、上記2つの採用手法とは異なり、求める人物像以外からの応募もあります。
新卒採用を行う企業のダイレクトリクルーティング利用状況
ダイレクトリクルーティングや人材紹介などの民間職業紹介事業は、1999年度の職業安定法改正以来増加傾向にあります。
1998年時点における有料職業紹介事業数が3,498社であったのに対し、2021年時点では25,684社にまで増加しました。
ダイレクトリクルーティングを含む様々な人材サービスが、IT技術の発展やインターネットの普及に伴って展開されています。
【参考】厚生労働省「労働市場における雇用仲介の現状について」
Wantedlyが2021年11月に実施した調査によると、22年卒で企業からのスカウトを受け取ったことがある学生は全体の94%でした。
同時点においてスカウト受信経験のある23年卒が86%、24年卒が66%と、就職活動が本格化する以前から企業のスカウトを受け取った学生が半数以上となっています。
【参考】Wantedly「22卒〜24卒の就職活動に関する調査結果を発表」
就職みらい研究所の調査では、スカウト型の採用形態を通じて選考に応募したことのある2022年卒学生は全体の13.9%でした。
企業の採用HPやナビ媒体など「誰でもエントリー可能な採用」(自由応募)を利用したことのある学生は80.4%、「インターンシップからの採用」は36.0%、「人材紹介サービスを利用した採用」は13.7%です。
また内閣府の調査によると、最初に内々定をもらった企業の経路は、自由応募が55.7%、インターンシップが27.3%、スカウトが6.6%、人材紹介が4.2%でした。
【参考】内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」
新卒採用におけるダイレクトリクルーティングサービスの特徴は?
ダイレクトリクルーティングの最大の特徴は、学生からの応募を待つのではなく、企業が会いたい学生を主体的に探してアプローチできる点です。
ナビ媒体などを利用した従来の「待ちの採用」では、自社に十分な知名度がなければ求める人物像となかなか出会えません。
一方ダイレクトリクルーティングでは、自ら会いたい学生にスカウトメールを送ってアプローチするため、求める人物像と会える可能性が高まります。
また、スカウトメールを送る量も自社で調整が可能です。そのため母集団の「量」と「質」どちらもコントロールすることができます。
ダイレクトリクルーティングを成功させるには、学生に送るスカウトメールをいかに魅力的に設定するかが鍵となります。
検証を重ねて自社に合った訴求を見つけ出すことが必要となります。
【参考】【新卒】「ダイレクトリクルーティング」とは?特徴や他サービスとの比較、メリット・デメリットを紹介
ダイレクトリクルーティング運用の失敗事例から学ぶ6つのコツ
ここでは、ダイレクトリクルーティングを運用する際に起こしてしまいがちな失敗事例と、そこから学べる6つのコツをお伝えします。
▼失敗事例から学んだ6つのコツ
- 一人ひとりに合わせた文言を作成
- 学生に対してこまめに連絡を取る
- スカウト文と面談の内容にすれ違いをなくす
- 初回接触は「面接」ではなく「面談」
- 面談者は事前に学生の情報を把握
- スカウト運用を改善していく
ダイレクトリクルーティングは、他の採用手法を踏襲すると失敗する危険のある採用手法です。ぜひここで説明する事例を押さえ、同じ轍を踏まないよう意識してください。
【失敗事例から学んだコツ①】一人ひとりに合わせた文言を作成
1つ目の失敗事例は、スカウトの文章が誰に対しても送れるものになっているパターンです。
現在、新卒採用市場でダイレクトリクルーティングのサービスを提供している事業者は数多あります。学生がもらうスカウトの量は決して少なくありません。
スカウトをたくさんもらう中で、送られてきたスカウトが自分のプロフィールをしっかり読んだ上で送られたものか、適当に送られたものなのかの区別がつくようになっています。
知らない企業からありふれたスカウト文章が送られてきても、学生は興味を持ちません。
下記のような内容を一人ひとりに合わせて送信するようにしましょう。
- プロフィールを読んでどこに魅力を感じたのか
- どんな部分が自社に合っていると思ったのか
- 自社の面談・説明会に来ることでどんなメリットがあるのか
一人ひとりに内容を合わせて送るのに手間がかかるのは否めません。
しかし、一通一通丁寧に送ったほうが高確率で承認され、結果的に会いたい学生に会える確率を高めることになります。
実際にあった失敗事例
上の図は、とあるITベンチャー企業のダイレクトリクルーティングの運用事例をグラフにしたものです。
誰にでも同じ文言のスカウトを送ったときの返信率と、学生一人ひとりのプロフィールに合わせて文言を変更したスカウトを送ったときの返信率を比較しています。
両者の返信率の違いを見れば、その差は一目瞭然でしょう。
【失敗事例から学んだコツ②】学生に対してこまめに連絡を取る
2つ目の失敗事例は、学生の連絡に対するレスポンスが遅いパターンです。
日々の事務作業や学生対応に追われることで、せっかくスカウトを承認してくれた学生への連絡が遅くなってしまう採用担当の方は少なくありません。
しかし、スカウトが承認されてからしばらく経ってから連絡をしても、返信がなく結局会えずじまいになってしまう場合が多いです。
ダイレクトリクルーティングを運用する際に意識すべきことは、「学生の興味は長期間持続しない」という事実です。
スカウトをひと目見て面白そうと思ってもらえても、時間が空くにつれて興味は薄れ、しばらく経てば面談に行くことが面倒に感じられてしまいます。
学生の自社に対する興味が薄らぐ前に、日程調整をすることを心がけてください。遅くともスカウトが承認されてから24時間以内にはメッセージを送るようにしましょう。
実際にあった失敗事例
上の二つは、Matcher Scout運用のなかで実際に出たデータです。
スカウト承諾後も学生にこまめに連絡を取ることで途中離脱を防ぐことができました。
リマインドの連絡ではいかにその学生と会いたいか記載して特別感を醸成するなど、メッセージのやりとりのなかで学生のモチベーションを高めることも意識しましょう。
【参考】ダイレクトリクルーティングで採用を成功させる運用の秘訣とは?
【失敗事例から学んだコツ③】スカウト文と面談の内容にすれ違いをなくす
3つ目の失敗事例は、スカウトに書いた文章と、実際の面談の内容が異なるというパターンです。
「カジュアル面談」と書いていたのに「選考」だったり、「特別面談」と書いてあるのに「通常の選考会」だったりすると、学生は企業に対して強い不信感を覚えます。
魅力的な文章を書けばスカウトは承認され、実際に面談や説明会に動員できるでしょう。しかし、企業に足を運んでもらったタイミングで悪い印象を持たれてしまっては、元も子もありません。
学生からの信頼を損ねることがないよう、スカウトの文章で虚偽の情報を記載するのは、絶対に避けてください。
【参考】スカウトメールの返信率をグッと高める8つの方法を紹介!
実際にあった失敗事例
こちらの事例にあるように、スカウト文と実際の内容に異なりがあると学生に不信感を抱かせ、結局採用には繋がらなくなってしまいます。
どうしても都合が合わなくなってしまったなど、スカウト文で記載した内容から変更しなければならなくなることもあると思います。
そのような場合は、学生への説明や対応を忘れないように注意しましょう。
【失敗事例から学んだコツ④】初回接触は「面接」ではなく「面談」
4つ目の失敗事例は、初回面談を「選考のための面接」として捉えてしまうパターンです。
ダイレクトリクルーティングで面談する学生に対して、最初から志望動機や学生時代頑張ったこと等選考で聞くようなことを聞くのは禁物。学生の志望度を下げかねません。
学生の立場で考えると、学生が企業との面談に赴くのは、自分に興味を持ってくれている企業がどんな企業なのか知るためです。
まだ企業の選考を受ける意思が固まっていないのに、選考のように質問攻めにされたらどのように感じるでしょうか?「そっちが話したいと連絡をしてきたから来たのに...」と、不信感を抱くでしょう。
ダイレクトリクルーティングの初期接触では、「面接」ではなく「面談」をすることをおすすめします。
もっと言えば、学生がやりたいことを丁寧にヒアリングし、企業に興味を持ってもらえるよう説明をすることに集中するのです。
初期面談で企業に対する意向を上げることが、ダイレクトリクルーティングを成功させる鍵になります。
実際にあった失敗事例
こちらは、「面談」だと思っていたら「面接」が行われていた体験談です。
学生も選考が行われると知った状態で挑む際は、事前に念入りな準備を行うはずです。
面談:学生と対等な立場でコミュニケーションを取り、お互いのことをよく知るために行う
面接:いかに志望度が高いかなど、学生を選考するために行う
しっかりと違いを把握し、学生にメッセージを送る際も打ち間違いが無いよう注意しましょう。
【失敗事例から学んだコツ⑤】面談者は事前に学生の情報を把握
5つ目の失敗事例は、面談の担当者に学生の情報を共有していないパターンです。
スカウトを運用するのは採用担当の仕事で、面談をするのは現場の社員という分担をしている企業も多いでしょう。
採用担当の方が現場の方に適切なかたちで情報伝達をしないと、現場の面談担当者が「面接」と解釈し、質問攻めにしてしまう恐れがあります。
面談担当者も「全然やる気のない学生だった」という感想を持つだけでなく、学生当人もそれによって嫌な思いをする恐れがあります。
下記の2つを必ず伝えるようにしましょう。
- そもそもこちらからスカウトを送っているという事実(前提共有)
- 企業について知ってもらい、選考を受けてもらいたいというゴール(目的共有)
実際にあった失敗事例
こちらはスカウト文と実際の面談内容にすれ違いがあり、そして面談担当者が学生の情報を把握していなかったケースです。
せっかくダイレクトリクルーティングで直接コミュニケーションを取れていると思っていたのにも関わらず、このような対応をされてしまったら学生は落胆しますよね。
一度不信感を抱いてしまったら、そのイメージを払拭することはなかなか難しいです。
一対一のやりとりを重要視するダイレクトリクルーティングだからこそ、学生のことをしっかりと把握しているとアピールすると効果的です。
そのためにも面談の担当者には、事前に学生の情報を共有することを忘れないようにしましょう。
【参考】タブーな質問例と面接の進め方を紹介します《質問例あり》
【失敗事例から学んだコツ⑥】スカウト運用を改善していく
最後は、スカウト運用の改善ができていないパターンです。
これまで紹介した失敗事例とは異なり、スカウト運用全般に言えることです。
例えば、【失敗事例①】【失敗事例②】を解消してもスカウトの開封率や返信率が伸び悩む場合、他の原因が考えられます。
考えられる原因に対して仮説を立てて改善していかないと、時間と労力をかけても1人も採用できなかった、という結果になりかねません。
- スカウトの件名や文章における表現方法
- 送信対象となるターゲットの見直し
- スカウト送信のタイミング
など、改善できるポイントは多岐に及びます。スカウトの件名の表現を工夫するだけで、開封率が10%も向上した、というケースもよくあります。
①〜⑤の失敗事例以外にも課題は発生しますので、工夫を施しながらダイレクトリクルーティングを運用していきましょう。
【参考】自社でできる!スカウトの返信率を着実に高める方法を紹介!
【参考】2,500回のABテストで分かった、開封率の高いスカウトタイトルとは?
2,500回以上のA/Bテストから改善を繰り返すMatcher Scout
弊社ではMatcher Scoutというダイレクトリクルーティングサービスを提供しています。
Matcher Scoutでは、採用担当者様の業務工数が大きいというダイレクトリクルーティングのデメリットをスカウト代行サービスによって補いながら、スカウト運用の改善を行っています。
スカウト代行サービスでは、自社にマッチする学生の選定〜イベントの日程調整までの業務を全て代行するため、ダイレクトリクルーティング運用にかかる採用担当者様の業務工数を削減します。
また、弊社ではこれまで2,500回以上のA/Bテストを実施し、ダイレクトリクルーティング運用の改善を行っています。
そこから得たダイレクトリクルーティングを成功させるコツを活かして、どのようなスカウト文言が学生にとって効果的かを見つけ出し、会いたい学生と出会える可能性を高めます。
新卒向けダイレクトリクルーティングサービス Matcher Scoutの導入企業事例
これまでMatcher Scoutでは、採用担当者様の負担を軽減しながら、会いたい学生と出会える可能性を高める採用活動をご支援してきました。
どのような効果が得られたのか、実際の企業様の導入事例を以下でご紹介します。
株式会社サティス製薬
詳しくはこちら
株式会社コスモスイニシア
詳しくはこちら
株式会社BNGパートナーズ
詳しくはこちら
株式会社インティメート・マージャー
詳しくはこちら
株式会社鎌倉新書
詳しくはこちら
ダイレクトリクルーティング成功の鍵は、「コミュニケーションの一貫性」
失敗事例から学ぶ、ダイレクトリクルーティング成功のコツを紹介しました。
- 「ぜひ会いたい」と熱いメッセージがきたのに、メッセージがこない
- 「カジュアル面談」という触れ込みできたのに、「選考」だった
- 興味を持ってくれて送ってきてくれたはずなのに、面談の相手が自分のことをあまり知らない。
スカウト文章と実際会ったときの印象の乖離が大きくなればなるほど、学生の企業に対する不信感は強くなります。
スカウト文から面談、そして選考までのコミュニケーションに一貫性を持たせられるように運用していきましょう。